【Vtuber】
・結城さくな
ホワイトデーが間近に迫ってきたころ、陽月はゲーム配信を行っていた。内容は視聴者参加型のレースゲーム。Connectで初のゲーム配信はなにをしてほしいかリクエストしたところ、視聴者参加型をやってほしいという意見が多かったので、今回の配信枠を立てたという感じだ。
ただし、この企画に参加できるのは1人につき1回まで。陽月の配信の同接数はゆうに1万を超えるため、そういう制限を設けないと特定の人が参加権を独占してしまうことになり、参加できる人数が減ってしまうからだ。
【ホワイトデー近いけど、お返しは用意してるの?】
視聴者ことひずナーからそんなコメントが送られてきた。だが、これは愚問だ。
「もちろん、用意してるよ。もらったからにはちゃんとお返ししないといけないからね」
先月のバレンタインでは多くの人からチョコをもらった。つまり、それはお返しする人数も多いということ。なので、陽月は数週間も前からみんなにお返しする準備を進めていたのだ。
【俺、お返しはマカロンがいいなー】
男性ひずナーからそんなコメントが送られてきたが、そこはスルー。ちなみにホワイトデーにマカロンを贈るのは永遠の愛を意味する。
「3位か」
陽月はアニヲタだ。なので、ひずナーもそれに比例してアニヲタが多いのだが、それと同じくらいプレイヤースキルが高い人が多いのである。
「もう2時間か。今日の配信はここまでにしようか。ホワイトデーは配信しないけど、その代わりショート動画あげるから楽しみにしててね。それじゃ、おつひず~」
締めのあいさつを言うと、陽月は配信画面をED画面に変更にした。そしてホワイトデー当日、久遠寺邸。そこでそわそわしている少女がいた。
「ついに、来ちゃった……」
彼女の名は結城さくな。久遠寺邸で見習いメイドとして働いている彼女は陽月にバレンタインチョコを贈った。しかし、引っ込み思案な彼女が直接渡す勇気など持ち合わせてなどいない。そんな彼女がチョコを渡すには下駄箱にチョコを忍ばせるしかなかった。しかもチョコの出来も初めてということもあっていいとは言えるものではなく、何度も試行錯誤を繰り返して一番上手くできたものを贈る形になったというおまけつき。今後のためにもお菓子作りにも力を入れたほうがいい。そう思ったバレンタインだった。
(受け取るときは1人でねってはーちゃん言ってたけど、1人じゃ緊張して死んじゃうよ……)
大げさと思うかもしれないが、さくなにとっては本命の人にお返しされるということはそれほどまでに特別なことなのだ。バレンタインにチョコをあげたのもホワイトデーにお返しされるのも初めてなこと故に……。
(とりあえず学校いこ……)
放課後、陽月がお返しをするために久遠寺邸にやってくる。それまでに心の準備をしなくては。さくなはそう考えながらカバンを持つと、駒皇学園にむかうのだった。
―――――
放課後。陽月は一度帰宅後、久遠寺邸にやってきた。さくなにバレンタインのお返しをするために。ちなみにほかの人へのお返しはすでにすませてあり、残るはさくなだけとなっている。
「陽月くん、よく来たね。ここに来たのはお返しのためかな?」
「バレンタインにチョコをもらいましたから。さくなはいますか?」
「さくなだったらもう帰ってきているよ。今は自分の部屋にいるのではないかな?」
「自室ですね。ありがとうございます」
羽路芽に礼を言った後、さくなの部屋に行くと、ドアをノックする。
「はい」
「さくな、僕だよ」
「うえぇっ!?陽月!?」
部屋の中からさくなの上ずった声が聞こえてくる。そこからしばらくどもりが続いた後、“どうぞ”と入室の許可をもらったので、部屋に入る。
「こ、こんにちは……」
顔を赤くさせ、視線を下にむけたままあいさつをしてくるさくな。陽月は合わせてあいさつを返すが、緊張していることはひと目見た時点でわかった。
「えっと……大丈夫?」
「さっきから胸がドキドキしてるけど、なんとか……」
陽月の彼女はみんなどこか恋愛慣れしているところがあるので、こういうウブな一面を見るのはとても新鮮に映る。そう思いながら、陽月はさくなに歩み寄り、ピンクのリボンでラッピングされた箱を差し出す。バレンタインのお返しだ。
「チョコ、美味しかったよ」
「本当……?作るの初めてだったんだけど……」
「たしかに形は個性的だったけど、本当だよ」
さくなにもらったチョコを思い出しながら言う。本人はハートの形にしたかったんだろうが、実際に見たのはトゲトゲした、ウニのような見た目のモノだった。だが、食べればそれはとても甘い。たとえるならイチャイチャしているバカップルの雰囲気と似た味だった。
「開けてもいいかな……?」
「もちろん」
箱を開けて入っていたのはピンクカラーのマカロンとブラウンカラーのマカロン。丸みを帯びた生地にその間に挟まれたクリーム。それらから甘い匂いがただよい、食欲を煽ってくる。
「……あむっ」
ピンクのマカロンをひと口かじる。さくっと焼き上げられた外側の生地。甘味が広がるバニラクリーム。内側の生地はねっとりとしていて、外側とは異なる食感だった。
「美味しい……陽月、お菓子も作れるんだ」
「独学で作り方を学んだからね。ブラウンのほうも食べてみて」
「う、うん……」
言われるまま、ブラウンカラーのマカロンをかじる。外側はさっくり、内側がねっとりしているのはピンクカラーと同じだが、使用されているガナッシュクリームは甘さが控えめだった。
「これも、美味しい……」
「それならよかったよ。どうせ複数用意するなら違う味がいいと思って、ガナッシュにしてみたんだ」
「なるほど……」
陽月が持っているマカロンの知識に感心していると、ふと目に映るものがあった。それはテレビの横に置かれているミニ冷蔵庫。ドア部分には“陽月専用”と書かれた付箋が貼られている。
「ところで、これは?」
「え、えっと、これはその……陽月がいつでも飲み物飲めるようにっていうか……」
突然の質問にオドオドしながらも答えるさくな。そのせいでたどたどしくなってしまっているが、これはもう彼女の性格上しかたない。
「これから暑くなる季節だから、麦茶とかもいれておくつもりだったんだ。陽月に熱中症になってほしくないから……。でも、余計なお世話だったかな……?」
今度は不安そうな表情になり、おずおずとした様子で聞いてくる。そんなさくなに陽月は苦笑を浮かべながら「全然」と首を横に振った。
しかし、季節はまだ春。いくらこれから夏が来るにしたってまだ熱中症対策するには早すぎる。だが、彼女の厚意に水を差すようなことはしたくない。そう思った陽月は彼女の問いを否定した後、“ありがとう”と返した。さくなはそれを見てホッとしたのか、“良かった……”と言って胸をなでおろす。
「じゃあ、僕はそろそろ帰ろうかな」
「え……?」
“帰る”と聞いて、さくなが明らかにさびしそうな顔をする。陽月としてはお返しを渡せた時点で今回の目的は達成できたのだが、さくなはまだ物足りないらしい。
「なに?帰ってほしくないの?」
「そ、それは……」
「ほら、正直に言ってごらん」
優しい笑みを浮かべて促す陽月。するとさくなはうつむき、小さな声でこう言った。
「もっといっしょに、いたい……」
おねだりの言葉を聞き終えた瞬間、陽月は彼女を抱き寄せた。そして彼女の耳元でそっとささやく。
「そんなこと言ったら、襲いたくなるじゃないか」
その言葉が耳に届いた瞬間、さくなの耳が真っ赤になる。顔色も恥じらいの朱に染まり、瞳には羞恥で潤んでいる。そのまま押し倒してもいいが、あまり刺激を与えるとさくなの心臓が爆発してしまいそうだ。と、思っていたが……。
「陽月……」
さくなが耳まで真っ赤になって俯くのを見て、陽月は内心微笑む。初めてではないとはいえ、はじらいはまだ残っているらしい。
「さっき言ったこと……本当……?襲いたくなるって……」
「逆に冗談だと思ってる?」
陽月はゆっくりと彼女の髪を撫でながらソファに導く。そのときのさくなは大人しく、飼い慣らされた猫のようだった(実際、猫ではあるが)。きっと彼女も期待しているのだろう。おかげでさっきまでの緊張した空気が一転して湿度を帯び始めている。
「あのね……今日はお返しっていうことだから……私、ちゃんと準備してきたんだよ」
「準備?」
「えっと……この間よりは、少しは……慣れたかもって……」
ぎこちなく靴下を脱ぐさくな。もう一度や二度ではないとはいえ、まだぎこちなさが抜けていない。しかしこの間泊まりに来たときと違って、自分から積極的に服の裾を持ち上げ始めたのは成長と言えるだろう。
「本当に?」
「ほ、本当だってば!陽月が優しくしてくれたから……気持ちよかったし……」
「じゃあ、証明してくれる?」
「……うん」
照れ隠しのように首筋に唇を寄せてくる。ぎこちないながらも必死な舌使いに、陽月は小さく笑う。
「まだ硬いね」
「だって……!」
「でも、気持ちいいよ」
「最初からそう言ってよ……もう……」
そんなやりとりをしているうちに、さくなの吐息がどんどん熱くなっていく。無意識に腰が揺れ始めていることに気づいていない様子がなんともかわいらしい。
「ん……っ」
「声、我慢しなくていいのに」
「だって、はずかしいもん……」
「じゃあ、もう少し練習が必要だね」
耳元で囁けば、肩がビクリと跳ね上がる。慣れていないとは言っても、この言葉の意味を理解できないほどさくなも純情ではない。
「うん……いっぱい教えてほしい……」
素直になったさくなに応えるように、陽月はゆっくりと指を這わせる。そこはもうすでに十分過ぎるほど湿っていた。
「陽月……?」
「さくなががんばってくれたから……ご褒美をあげなきゃね」
「ごほう……び?」
言葉の意味を理解できていないままの彼女をソファに押し倒しながら、陽月は心の中で決める。今夜はたっぷり時間をかけて、これまで以上に丁寧に教え込むことを。
「大丈夫、痛くしないから」
その言葉に安堵したような表情を浮かべたさくなの額に口づけを落とし、陽月は静かに服のボタンを外し始める。今夜のレッスンが始まる前に、まずはちゃんと準備運動から始めよう。心臓の高鳴りを落ち着かせるためにも、最初は優しく丁寧に。けれどもたしかに“もっと”へと導けるように。それが恋人としての務めだと思うから。
「あっ……そこ……」
陽月の指先がさくなの背中をなぞると、小さな喘ぎ声が漏れる。普段は控えめなさくなだが、触れ合う瞬間には意外なほど敏感で、どこを触られてもすぐに反応してしまうのだ。
「いつもより、少しだけ強めにしてもいい?」
「……うん」
許可を得ると同時に指先にわずかに力を込めた。甘い疼きに耐えきれなくなったさくなが身を捩ると、その動きに合わせて薄い衣擦れの音が静寂の中に響く。
「んっ……そこ……陽月……っ」
「ここが好きなんだね」
指摘されて頬を赤らめるさくな。けれど抗うことなく背筋を仰け反らせることでさらに快楽を求める姿勢を見せてしまう。最初のころは受け身一方だったが、最近は自分から求めることも増えてきた。それでもなお処女性を保つ不思議な魅力がある。
「もっと……触って……」
自らスカートの端を持ち上げて誘惑するさくなに目を細めつつ、陽月は慎重に彼女の内面を探っていく。まだ誰にも教えられていない未知の領域を丹念に暴き出していく行為には、慣れているセックスするときとはまた違った悦びがあった。
「じゃあ、お望み通りに」
ふたたび深く沈み込んでいく。今宵限りでは終わらないであろう2人だけの秘め事。それを想えばこそ、殊更大切にしたいと思える関係だった。
「陽月……」
名前を呼ぶ声に含まれた期待と不安。だが、さくなはもう目を逸らさなくなっていた。まっすぐ見つめる瞳には欲望と愛情が渦巻いている。
「こっちおいで」
ソファに座る陽月が腕を伸ばすと、さくなは躊躇いなくその中に収まった。膝の上で向かい合う体勢。自然と互いの鼓動が伝わってくる。
「ドキドキしてるね」
「当たり前だよ……」
首筋に唇が触れるだけで震えが走る身体。陽月は焦らず、鎖骨から徐々に降りていくように愛撫を続けた。
「あっ……♡」
薄いブラ越しに触れられるとさくなの背中が弓なりに反る。指先が乳輪をなぞるように動くたびに呼吸が乱れていった。
「……ぅん……」
小さな声を抑えきれずに漏らす姿があまりにもかわいらしくて、陽月はブラを外した。露わになったおっぱいを両手で優しく包み込む。
「ここ……どう?」
親指の腹で軽く押すと、さくなの全身が小刻みに震えた。
「気持ちいぃ……でも……」
「でも?」
「なんか……変になっちゃう……」
「いいよ、変になっても。ここには僕しかいないから」
舌先で左胸を転がすと同時に右手が太ももの内側に滑り込む。ショーツ越しに感じる熱が伝わり、さくなの手が無意識に陽月のシャツを掴んでいた。
「こんなに濡れてるね」
「言わないで……っ♡」
羞恥心と興奮で頬を染めるさくなの様子に陽月は満足げに微笑んだ。ショーツを下ろし、直接触れると水音が立つほど溢れている。
「指……入れるよ」
「んっ……」
1本目が侵入する瞬間、さくなの眉間にシワが寄る。陽月は一度動きを止め、頬に軽くキスをしてから再開した。
「ゆっくりするからね」
温かな内部を撫でるように指を動かす。最初は固かった筋肉も次第に柔らかくなり、2本目を受け入れる頃にはさくなは完全に陽月の肩に身を預けていた。
「陽月……もう……」
「まだ早いよ」
「だって―――あっ♡」
膣壁のある一点を押すと、さくなの声が裏返る。陽月はその反応を逃さず重点的に責め始めた。
「ぁあっ……そこ……だめっ……♡」
「ダメじゃないでしょ?ほら、もっと声出して」
「いや……はずかしい……っ♡」
涙目になりながらも、腰を浮かせてしまうという矛盾した身体の反応。陽月はさらに3本目の指を追加し、Gスポットを集中的に擦った。
「んんーっ♡」
絶頂の予感に震えるさくなの腰を支えながら、陽月は指の動きを速める。室内には湿った音と甘い呻き声だけが響いていた。
「ぁああっ……♡」
さくなの背中が大きく反り上がり、短い痙攣と共に絶頂に達した。指が抜けた瞬間に大量の蜜が滴り落ちる。
「上手にイケたね」
「はぁ……はぁ……」
荒い息遣いで放心状態のさくなだったが、陽月のズボンの膨らみに気づくと瞳が潤んだ。
「私も……シたい……」
「大丈夫なの?」
「うん……だって……お返し、だし……」
さくなが陽月からズボンを剥ぎ取ると、既に限界近くまで張り詰めたペニスが現れる。さくなは恐る恐るそれを握り、“こんなに……大きくなってる……”とつぶやく。
「舐めてくれる?」
「うん……」
不器用ながらも一生懸命に舌を這わせるさくなの頭を撫でながら、陽月は高まりを抑えるのに苦労していた。
「もういいよ」
「え……でも……」
「いっしょに気持ちよくなりたいから」
ベッドに移動し、正常位の体勢でさくなの両膝を開く。潤んだ入口に亀頭をあてがうと、“ゆっくり入れるよ”と声をかける。
「来て……」
先端が入った瞬間、さくなの爪がシーツを握りしめる。ゆっくりと進む陽月の腰使いは慎重そのもの。1cm単位で確かめるように押し進んでいく。
「痛くない?」
「っ……平気……むしろ、気持ちいいっ♡」
「まだこれからだよ」
半分ほど入ったところで一旦停止。“慣らそうか”と告げて浅い抽送を開始すると、さくなの内部が徐々に開いていった。
「もっと……奥まで……欲しい♡」
「わかった」
願いに応えようと一気に根元まで貫通させる。さくなの口から小さい悲鳴のような喘ぎ声が漏れたが、それは痛みよりも充足感によるものだと陽月にはわかっていた。
「全部入ったよ」
「すごい……陽月のが……私の中で……♡」
結合部を見つめながら幸せそうに笑うさくな。その笑顔を見ると、陽月は堪らない気持ちになった。
「動いてもいい?」
「うん……来て……♡」
ゆっくり引き抜いては奥まで打ち付けるピストン運動。さくなの嬌声が次第に大胆になっていく。
「あんっ♡ もっと……突いてっ♡」
「こう?」
「そうっ♡ そこっ♡」
最適な角度を見つけてからは2人の息がぴったり重なり合った。肌のぶつかり合う乾いた音と淫らな水音が混ざり合う。
「陽月っ♡ 私……またイキそっ♡」
「いいよ……いっしょに……」
ラストスパートをかけながら陽月はさくなを強く抱きしめる。たがいの心拍数が1つになるのを感じながら。
「ぁああっ♡」
「くっ……!」
さくなの絶頂とともにより強く収縮する膣内。その刺激に耐え切れず、陽月も射精を迎えた。2人の身体はしばらく離れず、余韻に浸っていた。
「陽月……大好き♡」
「僕もだよ。さくな」
たがいの体温を感じながら見つめ合う。ホワイトデーの特別なお返しはまだ終わらない―――。