【戦姫絶唱シンフォギア】
・マリア・カデンツァヴナ・イヴ
・セレナ・カデンツァヴナ・イヴ(並行世界ver)
かつてF.I.Sに所属していた者たちが共同生活を送っている一軒家。陽月はその一室でマリア、セレナと行為の真っ最中だった。先日、陽月はマリアから自宅に来ないかと誘いを受けた。このところ、彼女は人気歌手としていそがしい日々が続いていた。だが、ようやくそれもひと段落したので休みを取ったのだ。彼女にとって休暇はとても貴重なものだが、選んだ使用方法は愛しの陽月と過ごすこと。先ほども言ったが、普段のマリアはいそがしく、陽月と同じ時間を共有することは少ない。駒皇学園で教員を務めているセレナのほうがまだ陽月と過ごせる時間を確保できている。だが、マリアは世界を熱狂させる人気歌手。故に時間の融通が一般の職業よりも効きづらい。だからこそ、貴重な休暇を彼と過ごす時間に使いたい。そう考えたから故にマリアは今日彼を自宅に誘ったのだ。
「あっ♡あぁああっ♡陽月、いきなり……はげしっ♡ああぁああんっ♡」
激しく子宮を突かれ、卑猥な声をあげるマリア。彼とは何度も体を重ねているが、やはり気持ちいい。口ではいきなりと言ったものの、本音は違う。もっとシてほしい。そんな気持ちでマリアの頭はいっぱいになっていた。
「ぁあああぁああああぁああぁあっ♡」
嬌声とともに子宮が精液で満たされる。だが余韻に浸る間もなく、今度はセレナに挿入。マリア同様、奥まで入れた肉棒で子宮を突いていく。
「あっ♡ああぁんっ♡陽月、くんっ……♡」
セレナの甘い声が聞きながら、激しく腰を振っていく陽月。そのたびに肉棒から精液が生成され、子宮へと流れていく。マリアもセレナもそれと連動するように絶頂を繰り返す。出し終えたころにはぐったりと脱力し、ベッドに身を預けた。
「家に誘うなりこういうことに誘ってくるなんて、姉妹そろってスケベですね」
「だって、このところご無沙汰だったんだもの。しかたないでしょ?」
「それに陽月くん、私たちとするの……好きでしょ?」
「好きですね。はい」
好きじゃないならヤるわけない。これは恋人を持つ者の共通認識だ。マリアもセレナも陽月がそう思ってくれるのはうれしい。でも、ふと思ったのだ。プレイの幅を広げることができれば彼はもっと喜んでくれるのではないか、と。そう考えた2人は陽月が帰ったあと、数多の本を広げた。もちろん、どれも成人むけのものだ。それらには幾多のプレイ方法が記載されているが、どれもピンとこない。凌辱や調教というものもあったが、それは陽月が好まないので論外。
「姉さん」
「なに?セレナ」
「こういうのを見つけたんだけど……どう?」
セレナが見せた本のページ。そこには寝取られ報告という項目とともにそのプレイ方法が詳しく記載されていた。
「寝取られ報告って……セレナは私に陽月以外の人とヤれっていうの?」
「そういうわけじゃないよ。私もあの人以外とシたくないし」
「じゃあ、なんで見せたの?相手がいないなら寝取られ報告なんてできないじゃない」
「それについては私にアテがあるの。明日、ちょっと付き合ってくれる?」
詳しいことは明日と話をまとめて翌日。セレナはマリアを連れて紅魔館の図書室へ。その管理をまかされているのはパチュリー・ノーレッジという魔法使い。セレナがここへ来たのは彼女に昨日話したことを相談するため。パチュリーは膨大な知識かつ魔法を習得している。そんな彼女であれば、問題を解決できるかもしれない。そう考えてセレナは彼女を相談相手に選んだのだ。
「寝取られ報告ねぇ……一応聞くけどあなたたち、ほかの男とする気は?」
「ないにきまってるでしょ。でも、あなたならなんとかしてなるかもってセレナが……」
「今の魔法はとても進んでいると聞きまして。なので魔法に精通しているあなたならそれでフェイク映像を作れないかと思ったんです」
「つまり、あたかも他のやつとヤッてるような映像が欲しいってこと?それならちょうどいいものがあるわ」
そう言うと、パチュリーは両手の間から球体が出現。水晶玉のようなそれは両手に導かれるようにテーブルの上に移動させられる。
「……これは?」
「説明の前に……マリア、これにおでこをくっつけてなにかをイメージしてみて」
「え、ええ……」
言われるまま球体を持ち、おでこにくっつける。頭にあるものをイメージしながら。
「……これでいいのかしら?」
「ええ。もうすぐ再生されるはずよ」
テーブルにもどされた球体は砂嵐状態がしばらく続いたあと、映像が映し出される。マリアが陽月とデートしている光景を。
「これが……姉さんがイメージしたもの……?」
「ええ……たしかにイメージしたわ……。パチュリー、これって……」
「
「……なんのために?」
「それは陽月とセッ―――秘密よ」
セックスしているところを第3者の目で見たかった。これが開発理由だが、そんなのパチュリーにははずかしくて言えなかった。
「そうですか……でも、これならフェイク映像を作れますね。パチュリーさん、これ貸してもらうことってできますか?」
「構わないわ。あとこれ1週間たつと自動で消えるから、返さなくてもけっこうよ」
「ありがとうございます。このお礼は必ずさせてもらいます」
「ならスイーツでも持ってきてちょうだい。あの城下町にあるスイーツ店においしいシュークリームがあるって聞いたから」
パチュリーは食事を取る必要がない種族だ。故に彼女からスイーツは無用の長物なのだが、以前陽月がそれをおいしいと言っていた。好きな人と同じものを食べたい。そう。これはそんなパチュリーの乙女心なのだ。
「あのシュークリーム、女子にも人気ありますからね。わかりました。次来たときに持ってきますね」
こうして、フェイク映像を作る手段を得たセレナとマリア。球体を自宅に持ち帰り、早速他人と寝取られている光景を出力する。2人は帰るまでに大体のイメージはしてきたのだが、問題が1つ発生した。虚像の寝取り相手だ。彼女らは陽月以外の男性はあまり印象がない。マリアには一応男性のマネージャーがいるが、さすがに世話になっている人を寝取り相手に使うのは気が引ける。2人は頭を抱えた。そこで考えて考えたまくった末、選んだのはAIイラスト。最近はAIが進歩しているのはネロことブラックチェイサーを見れば一目瞭然だろう。だがAIはしてくれるのはああいうのだけじゃない。イラストも自動で書いてくれるのだ。セレナは早速アプリを使ってAIイラストを生成することに。マリアと容姿を話し合う中でキモデブのおっさんが候補に出た。このタイプの人は寝取りの王道だ。しかし犯される光景を想像したら反吐が出たので、候補から外した。
「……よし」
話し合いを重ねた末、ようやくAIイラストが完成した。夜を思わせるような黒髪。水底のような深く青い瞳。端正な顔立ち。陽月には劣る(贔屓)が、それでもイケメンと呼んでもいい風貌だった。
「今のAIってすごいね。容姿を指定するだけでイラストを描いてくれるんだから」
「私たち、この人に犯されるのよね……?」
「映像の中だけだけどね」
球体をおでこに当て、イメージを送り込む。パチュリーのとき同様に砂嵐状態が続いたあと、セレナの送り込んだイメージが映像として出力される。最後まで見たが、さすがはパチュリーとアリスの合作。内容はまるっきりイメージまんまだ。
「本当に魔法ってすごいわね。偽装映像とは思えないわ」
「じゃあ、早速陽月くんを呼んで実践してみよう」
「陽月、どんな反応するかしら……?」
「それはやってみてのお楽しみだね」
そうして、2人に呼び出された陽月。彼は2人の様子に違和感を感じていた。表情こそ笑っているものの、どこかぎこちなさがある。2人とも自分との行為を求めているときはハイテンションになるが、今はそうではない。なにか別の目的がありそうな感じだ。だが、気になってそれを聞こうとしても彼女たちに誤魔化されてしまった。
(まぁいっか)
特に気に留めることなく、2人に導かれるまま寝室にむかう。そこで見てほしいものがあるということで、始まった鑑賞会。見せられたものはもちろんあのフェイク映像だ。
(なに、これ……?)
特に気に留めることなく、2人に導かれるまま寝室にむかう。そこで見てほしいものがあるということで、始まった鑑賞会。見せられたものはもちろんあのフェイク映像だ。よくある寝取られ系のAVみたいな内容。マリアとセレナが知らない男に犯され、“このデカチンポいいわぁ~♡”と喘いでいる場面などが映し出されるが、偽物なので、当然事実ではない。
「セレナさん、これは……」
なんだと聞こうとした陽月だったが、見せた張本人たちは肩を密着させていた。妖艶な笑みを浮かべて。
「すごく気持ちよかったですよ。アソコもあっさり子宮に届いて、テクもすごくて♡」
「ウィークポイントも的確に突いてくれたわ。あんなに満たされたのは初めてかも♡」
映像に映っている男を褒めたたえながら、マリアとセレナは陽月の股間をいじっていく。だが、その男は2人がAIイラストで創作したもの。つまり存在しない架空の人物なので、この言葉も当然ウソ。なのに彼女たちはなぜこんな真似をしているのか。それは陽月の嫉妬を煽るため。嫉妬を煽り、性欲を高めてもらい、こんな報告した自分たちを上書きという形で犯してもらう。それこそが2人の狙いだった。まあ本当にあの男に犯されたわけではないので、実際は上書きもなにもないのだが……。
「それに比べて陽月さんはダメダメでしたね」
「オチンチン小さいし、すぐに射精しちゃうし……。やっぱり大きくなきゃダメね」
映像が流れる中、2人はそれぞれ左と右の耳元で囁く。彼女たちに煽られたことで陽月の中で怒りがふつふつと湧いてくる。だが、彼女たちに対してではない。映像に映っている男に対してだ。もし今ここにその男がいたら、彼は陽天竜の力を解放してその男をたたき潰していることだろう。この世に存在しない男なので、それが実現することは決してないのだが……。
「ほら♡あなたより大きいオチンチンがあっちに映ってるわよ♡」
「私たち2人を骨抜きにしてるんですから……陽月くんとはちがいますよね♡」
そうしているうちに限界が訪れたのか、勢いよく発射される精液。射精が収まると同時に映像も停止する。彼の怒りに比例したようにかなりの量が床を汚していた。
「あら、もう出しちゃったんですか?」
「射精するならしてって言うつもりだったのに、ほんと情けないわね……♡」
煽りつつ、優しく頭を撫でる。陽月が完全に性欲の炎に包まれた状態なのは一目瞭然。もうすでに目も据わっている。今ならなにしても抵抗できない。そう思ってさらに煽ろうとしたとき、セレナの体が宙に舞う。陽月が力任せに持ち上げたのだ。そのまま自分のほうに引き寄せると、服を強引に脱がし秘所に挿入。いきなりのことだったのでセレナは痛みで顔を歪ませたが、。陽月は構わず彼女の片足を持ち上げ、ピストンを開始。今までのセックスよりもずっと乱暴で荒々しく彼女を責めていく。
「ひぅっ♡あっ♡やっ♡」
いきなりの強い刺激に甘い声が漏れるセレナ。先ほどまでの行為で十分に濡れていたのもあり、快楽はいつもよりもずっと強かった。
「やぁああっ♡はげしっ♡ひぃいんっ♡」
乱暴に突かれるたびに意識が飛びそうになる。だがすぐに快楽が襲ってきて正気にもどってしまう。何度も何度もそれを繰り返すうちに思考回路は完全にショート。快楽を受け入れることしかできない雌になっていった。いつにも増して荒っぽくなっている彼だが、これも狙いのうちなのでセレナも喜んで受け入れている。
「ダメ♡もうイっちゃう♡はあぁあぁあんっ♡」
膣内が強く締まり、大量の潮を吹くセレナ。同時に陽月のほうも果てたようで、中から肉棒が引き抜かれる。その瞬間、栓が抜けたように秘所から愛液が溢れ出した。今まで散々溜めてきた分の量なので、当然多い。しかもまだ出きっていないのか、少し残っていて糸を引いているほどだった。そんなこともあってか太もものあたりまでびしょ濡れになっている。陽月はそれを見てさらに興奮したようで、彼女を押し倒した。そして無防備になった股間に再び肉棒を突き立てる。休ませるつもりはないらしい。その証拠にふたたび動き始める肉棒。激しい抽送によって結合部分から愛液が飛び散る。その飛沫がまた新しい刺激となり、セレナを追い詰めていった。
「やっ♡まっで♡いま敏感だから♡やあぁああんっ♡」
休ませてもらうどころか、むしろさらにペースアップされる。あまりの激しさに意識を失いそうになったが、強烈な一突きによって現実へ引きもどされた。
「あっ♡おぐっ♡ダメ♡しゅごい♡気持ちいいっ♡ああぁああぁあんっ♡」
今までで一番大きな声で叫ぶセレナ。全身を痙攣させ盛大に絶頂を迎える。それとほぼ同時に陽月のほうも限界を迎えたらしく、大量の精液を放った。どぷどぷっと注ぎ込まれる白濁液。それを受け止めるように子宮が収縮し、飲み込んでいく。長い射精が終わるとゆっくりと引き抜かれる陰茎。栓を失ったことで逆流してきた精子がこぽっと溢れ出す。陽月はそれを見て我慢できなくなったのか、今度はマリアに覆いかぶさる。マリアも待っていたと言わんばかりに大きく足を開き、迎え入れる体勢に入った。そのまま一気に貫き、欲望を叩きつけるように激しく腰を打ち付ける。パンパンッと肌同士がぶつかり合う音が響く。同時に結合部からはじゅぶじゅぶという水音とともに流れ落ちる愛液。それは白く泡立っており、相当な量であることを証明していた。
「あっ♡ひぅっ♡すごぉい……♡もっときて♡」
陽月の攻めに悶えながらさらなる追撃を要求するマリア。それに応えるように速度を上げていく彼の動きはどんどん加速していく。
「ああぁああっ♡いいっ♡あぅっ♡イく♡イッちゃう♡ああぁああんっ♡」
ビクンッと大きく跳ね上がる身体。膣壁がキュウゥッと強く締まり、精液を搾り取ろうとしてくる。その刺激に耐えきれず、陽月もフィニッシュを迎えた。ドクンドクンと脈打つ肉棒から熱い奔流が解き放たれる感覚にマリアは歓喜に震える。長い時間をかけて全て放出するとずるりと引き抜かれる肉棒。ぽっかりと空いた穴からは入りきらなかったものがゴポッと溢れ出してきた。陽月はその光景に満足げな笑みを浮かべると、マリアに覆い被さりキス。舌を入れ絡め合わせ、たがいを求め合う濃厚なもの。息継ぎをする暇もないほど激しく求め合った末に唇を離すと、銀色の橋がかかる。
「ねぇ……まだできるでしょう♡?」
「私達のこと……いっぱい犯してください♡」
2人に求められて断る理由などなく、陽月は何度も体位を変えながら2人と交わり続けた。正常位から始めバックで突いて騎乗位になったり、座位になったりなど色々試していくうちにだんだんと激しさを増していき、ついには四つん這いの姿勢で後ろから責め立て始めた。そうやって獣のように貪るように交わり続ける3人のセックスは朝まで続いたのだった。
―――――
「……やりすぎたな」
夜が明け始めたころに目を覚ました陽月は隣で眠るマリアとセレナに頭を抱えていた。寝る直前の記憶は定かではないが、おそらく2人が誘ってきたのだろうということだけはわかる。だが、それにしたってこれは酷い。部屋中に漂う独特の匂いといつもより湿気の多い部屋。床には汗やら体液やらで汚れてしまっている。正直かなり臭うが、2人は全く気にならない様子で眠り続けている。起こすのも悪いと思い、そっとベッドを降りシャワーを浴びに行くことに。浴室に入るとまず浴槽にお湯を張るために蛇口を捻り、タオルでぬれた身体を拭いていく。その際に鏡を見るとそこには無数の赤い痕があった。首筋から胸元にかけて点々とつけられた痕跡を見る限り誰がつけたのかは一目瞭然だった。
「これどうしようかな……まぁいいか」
どうせ消えるものだしと諦めることにする。とりあえず今は2人を起こさないようにしなければいけない。そっと扉を開けて廊下に出ると静かに閉める。念の為鍵をかけたことを確認してからリビングにむかい、朝食の準備開始。料理を並べ終えるころに起きてきた2人も加わり、3人で食卓につく。いただきますと言いながら食べ始める3人。特に会話もなく淡々と箸を進めている最中、不意に声を上げたのはマリアだった。
「今日は土曜よね?せっかくだしいっしょに出かけない?」
「それは構いませんけど、どこにですか?」
尋ねるとマリアは頷き、理由を話してくれる。なんでも城下町にあるゲームセンターに新しいシューティングゲームが出たらしく、銃の扱いに慣れている陽月に付き合って欲しいとのことだった。……というのは口実で、本当は単純にデートに行きたいのが本音だ。
「なるほど。なら3人で行きましょうか」
ということで、陽月たちはゲームセンターへ。だが、目的のゲームもとい筐体は新作ということもあって、多くの人であふれかえっていた。3人はほかのゲームで時間をつぶしながら、筐体が空くのを待った。ざっと1時間くらいだったろうか。筐体が空いたので早速プレイするが、銃が2つあることから最大でプレイできるのは2人まで。銃の扱いに慣れている陽月で1人目は確定。あとはマリアとセレナ、どちらからプレイするか話し合った結果、マリアからプレイすることになった。
「じゃあ、始めますか」
筐体に100Croを投入すると、画面はタイトルコールとともにアーケートモードに移行。このゲームは迫りくるミュータントを倒しつつ、スコアを稼いでいく王道のゾンビゲー。ライフは最大5で、ダメージを負うと1減り、全てなくなればゲームオーバーというルールだ。
「これが、ミュータント……」
画面を埋め尽くすように現れたミュータント。彼らは身体こそ人型ではあるものの、肌は青白くかつ白目をむいていて、人ではないことが一目でわかる見た目をしていた。高画質でリアリティのある彼らに驚きながらも、マリアはトリガーを引く。発射された弾丸は標的の頭部に命中し、血しぶきをあげながら倒れていく。その威力に感心しつつも、画面に映るミュータントを陽月とともに一掃していくマリア。この調子なら簡単そうだ。そう思った矢先のことだった。突如として鳴り響く警告音とともに表示される“WARNING”の文字。直後に出現した巨漢は自身の存在を示すように咆哮をあげた。身の丈は少なくとも5mはあるだろう。こいつもおそらくミュータントだろうが、この存在感と威圧感はこれまで葬ってきたミュータントとは明らかに違っていた。だが、それもそのはず。このミュータントはボスキャラなのだから。
「いよいよ親玉の登場ってわけね。陽月、気を引き締めていくわよ」
「……」
ボスミュータントを見据えながら言うマリアだったが、陽月は別のものを見ていた。ボスミュータントは背後にいる科学者によって召喚されたものだが、その容姿が昨日見たフェイク映像の男にそっくりだったのだ。徐々に蘇ってくるフェイク映像のシーン。男に犯されるマリア。巨根を挿入されて気持ちよさそうに嬌声をあげるセレナ。あとからアレが偽物というのは聞いたものの、それでも自分以外の男に恋人が犯されているのを見るとイライラが募る。やがてそれは収まりがきかなくなり、陽月は発砲。その男めがけて何度も、何度も。
「陽月!?ちょっとどこ撃ってるの!?」
「マリアさんはデカブツを。僕はこの男を始末します」
一瞥せずに担当を割り振る陽月だが、彼の担当はあってないようなもの。なぜなら彼が標的にしている男は背景に過ぎず、当たり判定など存在しないからだ。
「こいつ中々タフだな……全然怯まない」
「そりゃそうよ!当たり判定ないんだから!」
「キミはあと何発撃てば死ぬのかな?ねぇ、教えてよ」
「姉さん、多分私たちの声届いてないと思う……」
「ウソでしょ……」
銃弾の1発1発に彼の殺意が乗っているのだろう。だが、それが相手に届くことは決してない。それはそうだ。相手はただの背景なのだから。その間にもマリア側にボスミュータントが寄っていく。ボスミュータントの攻撃を弱点を撃ちながら回避している彼女に対し、陽月はカメラ目線で銃を撃っている。そんな異様な光景を目にした客たちはざわつき始め、中にはスマホを取り出して撮影する者まで出てきた。だが人だかりを作った本人はそんなの気にも留めず、男めがけて銃を撃ち続けていた。
「セレナ、これって……」
「多分アレのせいだと思う。昨日見せた……」
「……やっぱりね」
男の顔を見てマリアもそんな気はしていた。端的に言えば陽月は独占欲が強い。だからこそ今回はわざと男を作って見せたのだが、ここまで怒り狂うとは正直思わなかった。戦いながらしばらくどうするか考えた結果、マリアが選んだのは放置。今邪魔をすればこちらに飛び火しかねない。だが撃ち続ければ怒りはそのうち収まるだろう。そう考えたマリアは1人で戦い続けることに。敵のHPは半分近くまで削られているが、それでも1人で戦うにしてはかなりの量だ。2人で攻略することを前提としているため、1発のダメージ量も少なめに設定されているためだ。だがこれはこれでやりごたえを感じつつ、ボスミュータントを撃破。ゲームクリアとなり、エンディングムービーが流れる。このあとほかの人に譲ろうとしたが、もっと自分たちのプレイが見たいということで、マリアはそのままセレナと交代。セレナは陽月と違い冷静な分、敵を処理する速度は速かった。それから彼女もゲームクリアすると、2人は筐体から離れた。セレナは無表情でプレイしていたのに対し、陽月のほうは途中から男への攻撃に集中しすぎてまったく周りが見えていない状態だった。最終的にセレナのほうが上位だったので、彼女が勝利。罰ゲームとして陽月が昼ご飯を奢ることになった。理由は聞くまでもなく、ボスミュータント戦で足を引っ張ったからだ。
「まさか、あそこまでキレるなんてね……」
レストランでコーヒーを片手にマリアが苦笑する。だが同時にうれしくもあった。相手が架空の人物とは言え、嫉妬してくれたことに。相手が架空の人物とは言え、嫉妬してくれたことに。嫉妬は愛のある証拠。それほどまでに陽月が自分たちを好いてくれていることをあらためて2人は認識した。
「すみません。あの男が昨日見た寝取り野郎にそっくりだったもので、冷静さを欠いてしまいました」
「結局最後まで背景撃ちっぱなしでしたもんね……。それで1回目も2回目も1人プレイをやることになりましたし……」
だがハードになった分、クリアしたときの達成感はハンパなかった。あのゲームは最後にプレイヤーのスコアはランキング形式で表示されるのだが、2人のスコアはほぼカンスト。この記録を抜かす者はしばらくは現れないだろう。
「……僕は意外と器が小さいのかもしれませんね」
「え?」
「自分はほかの人と恋人関係を作っているのに、相手がほかの人にああいうことをされると嫉妬するなんて……身勝手なヤツですよ」
故に陽月は自分の恋人がほかの人と恋仲になっていたとしても文句が言える立場ではない。それは本人が一番理解している。だが、いざシてるところを見るとムカムカしてしまう。自分勝手だとしても、これが陽月の本心なのだ。こんなことを吐露すれば、2人は本当にそうだと呆れるだろう。だが、それもしかたない。彼はそう思っていたが、実際は違った。その証拠にマリアもセレナもほほ笑んでいたからだ。2人は付き合う前から知っていたのだ。陽月がそういう人間だということを。なので、彼がそういう人間だとしても問題はない。むしろそれすらもプラスに変換されるほどマリアとセレナ―――もとい陽月と恋人関係の女性たちは彼を愛しているのだ。
「そんなことであなたが自分を卑下することはないわ。こっちはそんなの承知のうえなんだから」
「そうですよ。もしそれに嫌気を感じているなら、今の関係を続けていないどころか、作ることすらしてないですし」
「……本当に?」
「信じられないなら今からあなたの彼女全員に同じ質問をしてみたら?多分同じ答えが返ってくると思うわよ?」
ということで、試しにグループチャットで聞いてみることに。そしたらマリアの言ったとおり、全員から同じ答えが返ってきた。中にはそういう一面を好きになったという人までいた。これまで自分のこの一面は短所的なものと認識していた陽月。だが、彼女らは逆の認識だったようだ。
「だからあなたはそのままでいてください。私たちはあなたに望むのはそれだけです」
恋人たちの願いに陽月は頷いた。そして後日、セレナとマリアはふたたび紅魔館の図書館へ。寝取り報告を実践した結果と約束したシュークリームを届けるためだ。
「……そう。あのときチャットでした質問はそういうことだったのね」
「はい。私たちが思っていた以上に嫉妬してくれました。ただ……もうやることはないと思いますが……」
「今回は初回だったからよかったけど、何度もやるようなプレイじゃないものね。アレは……」
「賢明な判断ね。ヘタしたら無関係の人間が殺されかねないし」
「でも、したおかげで陽月くんが私たちを愛していることを再認識できたのも事実です。ありがとうございます。これ、この前言っていたシュークリームです」
そう言って、シュークリームが入った白い箱を差し出す。
「これ、何個入っているの?」
「キャンペーンで複数買うとお得だったので、3つですね」
「ならいっしょに食べない?陽月が1人よりみんなで食べたほうが美味しいって言っていたから」
意外なことを言われてセレナもマリアも目を見開く。だがすぐに笑顔になり、頷いた。
「そうですね。では遠慮なく」
こうして3つのシュークリームを分け合い、彼女らは分け合うことで生まれる美味しさを嚙み締めるのだった。