ローグが目を開くと目の前には荒野が広がる。見た限り魔大陸では無いようで、遠くには森がみえていた。
「取り敢えず、人を探して現在地の確認だな…皆は大丈夫かな。」
「ロディ?」
ローグはあり得ないと思ったが確かに聞こえた、この場には居ないはずの必ず助けると決めたあの人の声
「母様?」
「さっきのアレ、何だったのかしら?それに此処は キャッ!どっ、どうしたのロディ」
「あっ、アァァ嗚呼」
原作では迷宮の奥に転移し、廃人となったゼニスが一緒にいた。夢のような事実に驚きローグは彼女の存在を確かめるように力一杯抱きしめ涙を流しす。
「ロディ、大丈夫よ。」ギュウ
「母様、母様!」
それから暫くローグはゼニスを抱きしめていたが落ち着き冷静になると急に恥ずかしくなりゼニスから離れた。
「///」
「フフ、もっとくっついても良かったのよロディ♡」
「ッッッ!とっ、取り敢えず此処が何処か調べるのが先だよね母様」
「そうねロディ…これって転移みたいね。昔、迷宮とかでもあったけど、まさかさっきの雲が?」
「…何らかの災害に遭ったみたいだね。ブエナ村にいた俺達が転移したなら多分、フィットア領全体に影響があってもおかしくない。」
「!他の皆も」
「見た限り、俺と母様だけみたいだね。確かノルンはパウロ師匠がアイシャはリー姉が抱いていたから一緒に居ると思う。」
「…そうね、それにシルフィちゃんも捜さないと。」
シルフィは原作通りアスラ王国に転移していれば安全な筈だ。今の実力なら護衛としてもやっていける。
「そうだね、でも先ずはフィットア領に帰れなきゃ始まらない。」
幸い持ち物は全部揃っており水や食料も1日なら大丈夫そうだ。辺りを見渡し散策していると村のような集落を見つけた。
「母様、これって」
「だいぶ前に亡くなったみたいね。」
その村は既に人の気配はなく辺りには白骨の死体が転がっていた。村を見て回ったが人は居らず日も落ちてきたので空き家で夜を過ごす事になった。
「母様、寒くないですか?」
「大丈夫よロディ、でもロディの荷物に外套があって助かったわ。食べ物も多少だけどあるけど…出来るだけ早く人里にでないと。」
「だね、でも何処まで飛ばされたんだろう?」
「はっきりした事は分からないけど魔大陸やミリス大陸ではない筈よ。空き家を見て回って本があったわ、人族の文字で書かれた物だったわ。」
「…成る程、母様はミリス大陸出身でしたね。じゃあある程度、土地勘があるから此処はミリスじゃないと」
「そう、運良く此処が何処かの国なら馬車で移動してアスラまで帰れるけど…」
ゼニスの顔は少し曇り言葉は続かなかった。体が震えに気がつきゼニスの手を握る。すると震えは止まりローグを見つめてキスをしてきた。
(母様、不安だよね。俺が確りしないと!)
(アアア、安心するわ、ロディと一緒ならきっと大丈夫よね。)
その日は2人で寄り添い眠りにつく。
「ギャハハハ!」
朝日が昇り始めるとローグ達は騒がしい声に目が覚めた。部屋の窓から外を確認すると6人の男達が騒ぎながら村の入り口から入ってきていた。
「ロディ、どうしたの?」
「人、でもお世辞にも柄が良さそうとは言えないよ。それに全員武装しているし、もう少し様子を見ていよう。」
暫く確認しているとどうやら奴等は傭兵のようで近くで戦闘を終えて帰りの途中で立ち寄ったらしい。
「それにしてもよ!そろそろ今の国からは手を引いた方が良さそうだな。旗色が悪くなって負けが増えてやがる。」
「だな、次はどの国にするよ!幸い紛争地帯だからな傭兵を必要としてる国は幾らでもある。」
(!紛争地帯、まじかよ作中でもあまり情報がなかった地域だ。クソ!近くの国はシーローン王国だったな。)
引き続き聞き耳を立てていると男達の会話の中に聞き逃がせない言葉が出てきた。
「それにしても、あの赤毛の親子、特に母親は美人だったな。」
「ああ!乳もデカくて最高だよなあ」
「なぁ、今からでも戻って俺達もあっちの傭兵団に入らないか?実入りは少なくなるが安全も確保できるしよぉ、それにああいう女も回してもらえるだろ」
「ギャハハハ!それゃ良いな!」
(赤毛の親子?!リー姉にアイシャ)
自分の大切な人達がいるかも知れない、まだ確実ではないが目の前のクズ達の言葉でキレたローグの判断は決まった。
「ギャハハハ バッパー」バシュ
馬鹿笑いしていた仲間の首が地面に転がり残った胴体からは血が噴水のように噴き出していた。
「「「「「!!!」」」」」
「質問に答えろ、そうすれば殺さない。」
「なっ!何だーーガキーー」
1人が剣を抜き斬りかかるが今のローグには遅すぎた。
「カヒュ」バシュ
「へっ?今何が」
「まっ魔術?」
一瞬で首が飛ぶ光景に残った奴等は固まるが流石に傭兵、1人が弓で牽制してもう1人が突っ込む。
「援護は任せろ!詠唱の暇は与えねえ!」
「うおおーー!剣神りゅっ」シュバ
だが無駄だった。ローグは冷静に弓を躱すと同時に男の体は十字に裂かれた。此処まで来て男達はようやく理解した、目の前のガキは怪物だと。
「アアアアアア」
「ひっ、ヒィィィ殺さないでくれ」
「なっ何でも答えるから!!!」
「最初からそうしろ。」
奴等がいうには傭兵団の野営地に突然現れ捕まったということだ。
「お前達は仲間か。」
「ちっ違う、彼奴等はこの辺りで一番規模の大きい連中で俺達は関係ないんだ。」
「奴等は死剣団って言って50人規模の剣士で構成された傭兵団で最低でも中級で上級が15人に聖級が5人もいる」
それを聞いたローグは眉をしかめた。中々面倒な数と戦力だが諦めるなど出来ず傭兵団の場所と地形、辺りの町の情報を聞き出した。
「ロディ、行くのね!」
「ああ、リー姉とアイシャかも知れない絶対に助ける。」
残った傭兵達は解放して殺した奴等の荷物から食料や地図を拝借して村を出ようとしたローグは残った奴等に釘を差した。
「無いとは思うがもし俺達を後から襲ったら3人ともああなるから」
無惨な首無し死体を前に彼等に反抗の意思はなく壊れた人形のように首を振り続けた。
その後、生き残った彼等は拠点の街に帰るなり悪魔に襲われたと怯えた様子で話す姿に他の傭兵達は笑い飛ばしたが、その後の事件により紛争地帯の金髪の悪魔伝説が語られる。
ローグとゼニスは情報と地図を頼りに傭兵団の野営地に向かっていた。
「母様、その装備大丈夫ですか?」
「決して良い装備ではないけど、今は贅沢いってられないわ!早く助けに向かわないと」
殺した傭兵から剥ぎ取った装備と武装をゼニスが使うことになった。革鎧に胸当て、護身用に剣を持っていた。
「私はヒーラーだけどロディのお荷物にはならないから、自分の身は自分で守る。ロディは助ける事に専念して。」
ゼニスの言葉を受けて気持ちを入れ直すと野営地が見えてきた。ローグ達は近くの森に身を潜め敵の動向を伺う。
「チッ!面倒だな、廃墟の小城か。」
「幸い、門は無いけど入り口には5人、見張り台には3人、残りは城の中ね。」
暫くゼニスとの作戦を立てていたが中々案は浮かばずにいたがゼニスが切り出した。
「やっぱりあの城に侵入するのは難しいわね。…ロディ中に入る手段あるにはあるけど危険な作戦になる。」
ゼニスの作戦は旅の親子に扮して保護を求め入り込むらしい。多分武装も取られるし下手したらゼニスまで危険にさらされる、暫く考えたローグは作戦の実行を決めた。
「分かった、その作戦で行こう!」
「なら直ぐに「ただし!行くのは俺1人だ」なっ!危険よ1人でなんて」
「勿論、母様にただ残れって言ってるんじゃないよ、もし俺が戻らない時は地図に書いてある街に行って傭兵に救出依頼を出して欲しい」
ローグはゼニスに手持ちの金を全て渡し頼むと告げた。ゼニスも自分の力では救出に向かないのは分かっているのでローグの言葉に頷くしかなかった。
「信じていいのよねロディ」
「あくまで保険の意味だから信じてほしい。絶対に帰るから」
真っ直ぐな瞳にゼニスは頷きローグは小城に向かった。
「それでよ、んっ?誰だアレ」
「あん?誰か近づいてるな」
見張りの2人が気づくと残りの見張りも武器を構えて警戒する。だが彼等の前に現れたのは10代そこそこのガキだった。
「止まれ!何もんだ、此処は俺達、死剣団の野営地だ!来る場所間違えてねえか?」
だがローグは静止を無視して進み遂に相手の剣が届く寸前まで来た。
「何だテメェは、命知らずの馬鹿か」
「それとも入団希望か?」
「こっちに赤毛の親子がいるだろ、返してくれないか。アレは俺が手に入れた奴隷だ。」
見張り達は顔を見合わせ何か話し、1人が城の中に入っていった。
「テメェのいうことが本当の事だと証明出来るのか」
「生憎と戦闘に巻き込まれて荷物や馬車もダメになってあの親子にも逃げられたんだ。証拠になるものはない。」
「チッ!なら交渉はお頭達とするんだな。中に入れ」
それだけ言われローグは中に通された。中は中央が広場の形になっており周りには部下と思われる連中が囲んでいた。そして、高所にはボスと見られる男と4人の部下がいた。
(アレが聖級の剣士だな、周りの奴等とは雰囲気や立ち姿が違うな)
「お前さんがあの2人の飼い主か」
「ああ、それで返してくれるのか?」
「焦んなよ、仮にお前の言う事が事実だとして逃がしたのはお前のミスだろ、それを俺達が拾った!なら俺達のもんだろ」
「…つまり返さないって事か」
「だから焦んなって、返さないとは言ってないだろ。俺達にも利益があれば直ぐにでも返してやるよ。」
「利益?…つまり金か」
「話が早くて助かる。取り敢えずアスラ金貨で払ってくれよ値段は…そうだな、2人セットで金貨10枚だ。値下げはしない、嫌なら帰るんだな」
ローグは考えたが周りを見ると帰す気は端からないようだ。現に入り口には10人が陣取り他の奴等も少しずつ距離を詰めてくる。
「悪いが払えん」
「そうか、じゃあお前から奪うだけだ!殺れ」
ボスが叫ぶと一斉に斬りかかる。
「死ねえぇぇぇぇッッッ?えっ」ザン
だがローグの剣がアッサリと首を飛ばした、だが流石に経験が違う周りの奴等は背後や利き手とは逆の左から斬りかかる。その後ろからもタイミングをずらし襲いかかる。
「シン陰流・簡易領域、斬空領域」
風魔術と剣術による斬撃が領域内に降り注ぎ一瞬で10人を肉片に変える。辺りは静まり返るがボスの怒声が響く
「何を驚いてやがる!魔術師なんざ敵じゃねえだろ上級を前衛にして他は後から攻めろ!圧殺だ。」
闘気による防御で耐えて数で押し潰す作戦でローグを襲うがローグは領域内に入った敵を両断していく。
普通なら耐えられる魔術も領域内で出力が上げ、聖級の剣を振るうローグ相手では闘気の強さも段違いであった。
「もういい!下がれ」
結局、中央にいた部下は30人が肉片に変わっていた。
とうとう痺れを切らしボスを含めた5人の聖級剣士が降りてきた。
「チッ!ただのガキじゃなさそうだな。行くぞ」
「その構え、北神流か」
「ああ、そうだぜ!だが俺達の得意はこれだ」
ボスが叫ぶと4つの剣が迫るが全てを躱せず一太刀を足に受ける。更にボスが死角から突きを見舞い脇腹を掠める。
「チッ!連携か」
「そうだぜ!俺達は北神聖級剣士になり連携を軸に鍛え上げた。例え格上相手でもこの連携と部下を使った物量攻撃で勝利を重ねてきた。」
再び連携による攻撃で肩や腕に受ける。闘気により深手にはならないが何時までも受けると流石にヤバい
「ガキ、お前の実力は聖級だろ、その歳で聖級なら大した才能だが世の中には才能があってもどうにもならない現実があるんだよ!悔しいか、一対一なら負けないと思うか?コレが現実だ。テメェは死ぬんだよ」
ボスがトドメにやって来た連携の狭間に放たれた一撃がローグの心臓目掛けて飛ぶ
「剣神流・光返し」
だがボスの一撃はローグにより手を斬り落とされ不発に終わる。勝負ではトドメの一撃は最もスキがデカくなる、ローグはそのスキを逃さず最速の一撃を放った。
「ぎゃあああ!!!」
「ボス!」 ザン 「馬鹿、目をはな」ザン
「クッ、お前ら」
「極星十字拳」
「うぎゃああああ!」
「しゃああ!」
「水神流・流」ザン
一点を崩され動揺した隙にボス以外の聖級剣士を始末して崩れ落ちるボスの首に刃を振り上げる。
「まっ!待て」ザン
驚愕に染まったボスの首は地面に転がり辺りは流血に染まる。周りの部下達は固まっていたが1人が叫びを上げてローグを襲う。
「うおおおおお!」
「馬鹿が、北神流・一文字」
一刀で斬り伏せ、迫る部下達を返り討ちにして肉片に変えていく。やがて時間が過ぎて残るは5人になったが
相手は完全に戦意を喪失していた。
「おい、死にたくなかったら赤毛の親子の所まで案内しろ。」
「ひっ、わっ分かりました。」
「一応聞くが、何もしてないだろうな。」
「…いや、あの」
「…何だ!何をした」ギリギリ
「ヒィィィ!殺さないでくれ、俺達じゃない。お頭が煩い子供の腕を折ったんだよ えっ」ブシャー
「うわああ!」
「早く案内しろ!俺がお前らを斬らないうちにな」
1人に案内を頼むと他は逃げていった。だがローグはそんな奴らを気にする余裕はなく急ぎリーリャ達を助ける事しか頭になかった。
「こっこの牢になります。」
「さっさと消えろ」
男はローグの殺気に当てられ一目散に逃げて行った。ローグが牢のカギを壊し中に入ると確かに赤毛の親子がいたがそれはローグの探してる人達ではなかった。
「あっ!あなた達は」
「ルーデウス」
「リュウレウシュ?」
そこに居たのは原作で死んでいたヒルダ・ボレアス・グレイラットと本来此処に居ないはずのエリス・ボレアス・グレイラットがであった。
はい、遂に突入しました。ロディの転移先は紛争地帯になりゼニスはロディと一緒になりました。廃人ルート回避です。更にヒルダとエリスがパーティー加入します。次回はルーデウス視点を入れていきます。
ですがロディは化け物とぶつかります。
今回出てきた剣神流・光返しは本来光の太刀へのカウンター技ですが普通に他の技にも使えます。最速の奥義を発動前に潰すので大抵の技へカウンターを入れられます。