ライザムとの戦闘を終えて本営に戻ったローグにジルドスは驚き敵の話を聞くと
「それ程の実力でしたか…ですが単独で行動を許されるなら死神を除けば最大の戦力を削れた事になります。なら残るは死神だけ…ならば」
「はい、それに弟子を殺されたなら必ず仕掛けてくるかと…それに確認された手勢の大半を撃破しましたが死神が出てくるならまだ安心とはいきません!」
その後は護衛の数を増やしジルドスが守り、ローグが迎え撃つ形となった。
「…すみません、今の報告は確かですか?」
「はい、自分でも未だに信じられませんが…私を除いた隊員7人が死亡、襲撃は失敗に終わりました。」
「報告にはジルドス以外に腕の立つ輩がいたと」
「今まで、一切の情報がなかった相手で…恐らくは正規兵ではなく雇われた傭兵ではないかと」
ランドルフは状況を整理しながら今後の立て直しを考える。現状なら自身以外で最強の戦力のライザムが敵本営をマークしており彼からの連絡を待つことにした。
「ライザムからの報告を待ちましょう…それで敵はどのような人物で戦い方等を詳しく聞かせてください」
連絡役の話を聞く限り歳は若く金髪の美少年で戦い方は同郷の北神流で戦い方は奇抜派のようだと
「相手の武装は?」
「それがあれ程の腕が有りながら武装はやたらと貧弱で格好も真新しく、最近戦場に出てきたような…何ともチグハグしていて」
「ふ〜む…そういえば?最近、野党や傭兵団が壊滅した話を聞きましたね…金髪の悪魔と言われていたはず」
「その情報なら、掴んでおりますが…あまり関係はないと見過ごしておりました。ではあの少年が」
ランドルフが地図を広げ、壊滅した傭兵団や野党のいた地域を探りそこから近く、この戦場からも近い街を見つけると連絡役に指示を出した。
「申し訳ありませんが…この街を調べて来て下さい。」
「街を?」
「この金髪の悪魔は美しい女性達を連れていると聞きました…もし彼がそうなら弱みになるはずです、交渉するにしろ始末するにしろコチラが有利に動く為には必要になります。」
「人質ですか?戦場外での殺しは気が乗りませんが…致し方なしですか」
「まぁ、私も…好き好んで殺りたくはないですが…それにあくまでも念を入れてですよ、相手が悪魔と決まったわけでもないですし、その街に居るかもわかりませんから…何も無ければ撤退して下さい」
それから1日が経ったがライザムからの定期連絡は来なかった。ランドルフはライザムが死亡したと判断して自分が動く事にしたが確実に仕留めるべく作戦を練り直し始めた。
「勝鬨だーーー!」
ローグがライザムを倒してから1週間が過ぎ、戦場にランドルフの影はなくジャラトワ軍との戦は邪魔が入らずラグサラ軍は戦線を押し戻し遂にジャラトワ軍を国境より撤退させる事に成功した。
「ローグさん、ありがとうございます。貴方のお陰で立て直しが出来ました。」
ジルドスが礼を言いに来たがまだ戦争は終わらず、これから国境に軍を置いてジャラトワに睨みを効かせるらしい。
「まだ油断は出来ませんが、一定の安全は確保出来ました。明日に本国から追加の兵と指揮官が来ます。そうなれば奴らの裏工作があっても対処出来ます。」
ジャラトワ軍も損害を受けて予想以上の兵力を失ったようで、それにより多数の傭兵が離反しているらしい。
「逆にコチラが有利になれば加勢に来る傭兵も増えます!これでジャラトワとの戦争も縮小すれば鉱石の採掘を進めて利益が出れば他国とも協力出来るでしょう」
「…出て来ませんでしたね死神は」
「ええ、私も気にはなってましたが…国境まで押し戻しても一切動きがないのを見るに引き上げたのか、あるいは別の狙いが」
結局、答えは見つからず明日の追加の軍が来ればローグは依頼完了で街に帰れるので今日を乗り切る事に集中していると1人の兵士がローグに手紙を持ってきた。
「ローグレス様、此方を」
(手紙?…!!!)
『ローグレス・クレイブスタッド殿、貴方と話がしたい、この手紙の事は誰にも告げないでくれ…その者に案内をさせるのでついて行って貰いたい。断るなら街にいる3人の命は保証出来ない。
死神ランドルフ・マリーアン』
手紙を読み終えた瞬間、ローグは怒りのあまり目の前の敵を殺そうと剣に手をかけるが冷静になり敵を睨みつけるが男は構わず話出した。
「…賢明な判断だ、ついてきてくれ」
ジルドスには警戒の為の見回りと告げて本営を離れた。暫く歩いていくと廃墟となった建物についた。
「この中だ…俺はここまでだ、後は中にいる方と話をしてくれ」
建物の中に入り一本道を進むと開けた場所に、死神が立っていた。
「初めましてローグレス君、私は…いや、君は早く本題に入りたいようだね」
ランドルフは自らを前にしても一切の恐れも感じさせず、今にも襲いかからんとするローグの眼力に無駄口は叩かず話を続ける。
「単刀直入に言おう…今すぐに街に帰り今後の事には関わらないでくれ、そうすれば君や君の大切な人達には何もしない…金が欲しいのなら少し待ってもらえばそれなりの額を用意出来る。」
金や安全を貰えるローグ1人なら話に乗っていた、だがランドルフは最初から選択を誤っていた。3人を狙う選択をした時点でローグは殺すと決めていた。
「…言いたい事はそれだけか?」
「ふぅ~、交渉は決裂か」
言い終わるより速くローグはランドルフの間合いに入っていた。殺ったと思われたランドルフへの一刀は流により肩口を裂かれた。
「チッ!」
「フッ、怒りに飲まれるのは未熟な証拠!」
ランドルフの流れる連撃の突きが飛ぶ、ローグは難なく捌いてみせるが、突如としてスピードが上がる。
「クッ!(はえー!流石に単純な剣技も格上、魔法も籠手に仕込まれた吸魔石で使えない…だがコイツは確実に此処で始末する)」
何度目かの攻防でローグはランドルフの連撃の速さになれ反撃のタイミングを謀る。だがランドルフも1流、次の技を放ってきた。
(ほう!私の本気の速さに徐々に慣れ始めている…恐ろしい才能だ…あの人ではないが将来が楽しみだ、でも仕事である以上、生かす訳にはいかない)
ランドルフの連撃にカウンターを入れようとすると速さは変わらないが重い突きがローグ剣を弾いた。
「なっ!クソがああ」
突きはローグの心臓を突きぬこうとしたが後ろに飛ぶ事で狙いをずらし肩を突き抜ける。バックステップで飛び体勢を整えようとするがランドルフはスキを与えず斬り込んでくる。
スピードのある突きの中に紛れるパワーのある突きが反撃を許さず勝負の流れはランドルフに傾いてきた。
ローグは体に無数の傷を刻まれる。
「フフフ、その傷では長くは持たないでしょう」
深手にはならないギリギリで回避していたが最初に与えられた方への傷は深く左手は上がらず、時間も限れている。
ローグは煙玉で視界を潰しナイフを投擲する。だがナイフは見事に打ち返されローグに迫るが撃ち落とし再びナイフを投擲する。
ローグはナイフをおとりに背後に周りランドルフの背中を取った。気配を消した逆転の一撃がランドルフの腕を斬り落とした。
「グオオォォ!」
ランドルフの叫びと同時にトドメの一撃を見舞う
(頭を落としてから吸魔石を破壊する。体は魔術で粉微塵にして無力化した頭はジルドスさん達に引き渡す。)
いかに不死魔族の血を引いていても体が再生出来ないようにすれば無力化出来ると考え首を斬りにかかる。
だが
「やはりそう来ますよね」
何とランドルフはローグの考えを読み切り腰にある予備の剣を居合のように引き抜いていた。
「しまっ!!!がっはあああ!(幻惑剣)」
逆転の一撃を見舞った筈が逆にカウンターを食らってしまう、ローグの薄れる意識の中で頭にあった情報を思い出していた。ランドルフの得意技・幻惑剣、攻め時と見せかけカウンターを入れる誘剣・逆に攻めさせず相手を誘導する迷剣。
(知っていた筈なのに…見事に引っ掛けられた…コレが死神)
焦りはあった、だが油断はしていなかった筈がランドルフの罠にかかってしまった。ランドルフは端から無傷の勝利など考えていなかった、自らの腕をフェイクに使い見事にローグを誘い込んだ。
死神ランドルフの最も恐ろしいのは剣の腕や魔眼、吸魔石のような武器ではなく相手の精神までも手段の一つとした天才的な戦術と思考戦にこそあった。
ローグはこの世界で初めて文句のつけようのない敗北を喫した。
ローグ初めての圧倒的敗北です。
作者のイメージするランドルフの強さは確かに神級の剣士に負けるが純粋な剣に限った勝負だと思います。作中でもランドルフの本気は見られませんが様々な物を使った戦い方と戦術があれば神級とも戦えると思います。
正直に言うと剣一辺倒のガル・ファリオンとかレイダも人族なので身体能力や再生力を活かした戦法で攻めればランドルフが勝つと思います。正面から挑まずゲリラ戦法の殺し合いなら勝てると思います。
ぶっちゃけ北神流事態がそんな感じです。剣と言うより生き残り方、現代の軍事サバイバルや軍隊格闘に近いと感じています。