無口な幼馴染の「お店ごっこ」で身も心も搾り取られる話 作:松木ユキ
「カズ、ちょっと立ってて」
「ん」
言われた通りにベッドから立ちあがると、真衣はバッグから手際よくタオルを取り出し、ベッドの上に敷いた。いつも寝ている場所なのに、妙にやらしく見えてくる。
「じゃ、今日も30分コースだから」
「料金は?」
「わ、私の店は……一度払えば買い切りだから」
「そ、そうなんだ」
一回分の料金で何回でもいいってこと? 破産するぞ、そんな風俗店。
「じゃ、座って」
「うん」
指し示された場所に座ると、真衣は俺の右隣に腰かけた。そしてどこからともなく料金表を出してきて、俺に見せてくる。昨日に比べて、何枚かの付箋が剥がされたみたいだ。
「選んで」
「んと……」
高校のときも、こうやって隣に座る真衣から面白い小説を勧められた気がする。あの時は、ベッドで隣同士に座るだけでも心拍数が上がっていたけど……当時と同じ胸の高鳴りを感じている自分がいる。制服というものの魔力は恐ろしいな。
「どれにする?」
急かされてしまった。「ランジェリー姿」と「ぶっかけ」は昨日選んだんだな。それから「コスプレ」と。さてさて、今日解放されているのは……「ハグ」?
「『ハグ』って」
「そのまま。ぎゅってするの」
ぎゅってする、という言い方が可愛らしい。……さっきから妙に真衣が俺の方をちらちら見てくる。まるで反応を窺っているみたいだ。他のオプションは――
「フェっ、フェフェフェ!?」
「な、なにその笑い方」
「おおおおおお前、フェラってなんだよ!?」
「知らないの? へんたいなのに?」
「そうじゃなくて! これって――」
「うん。カズの、舐めてあげる」
フェラ!? オナクラって手だけじゃないの!? そういうオプションもあるもんなの!?
オプションの存在にも驚いたけど、真衣が冷静なことにはもっと驚いている。手でするのとはわけが違うのに。
「い、いいの?」
「どうしてカズが遠慮するの? お客さんなのに」
「そ……そうだけど」
俺の顔を覗き込む真衣。胸に付けられた赤いリボンが揺れて、ジャケットの隙間から見えるシャツにはたしかに膨らみがあった。思わず息を飲んで、間を開けてから吐き出す。
「分かった。じゃあ、『フェラ』をお願いするよ」
「『ハグ』は?」
「えっ?」
「『ハグ』は?」
真衣は真顔でじっと俺の目を見つめる。そういや、「ハグ」もあるんだったな。――ああ、そうか。この料金表に書いてある「オプション」は俺へのサービスだけじゃない。……真衣の望みも込められているんだ。
「うん、『ハグ』もお願いするよ」
「ん、分かった。じゃあ、始めていい?」
真衣は30分にセットされたキッチンタイマーを取り出し、スイッチを押してから、近くに畳んで置いてあったトートバッグの上に載せた。昨日と同じように、真衣との30分が始まりを告げる。
「カズ、ん」
「えっ?」
さっそく、真衣が両手を広げて俺のことを待ち受けている。表情は変えていないが、どことなく嬉しそうな感じもする。けど……料金は?
「俺、まだ何も払ってないけど」
「は……『ハグ』はね、私がカズをぎゅってするオプションでね」
「うん」
「料金は、カズが私をぎゅってしてくれることだから……」
声色が少し和らいで、真衣の頬が薄い赤色に染まった。要するに、私を抱きしめてと言いたいんだな。どうして、どうして俺は……高校の頃に、そうしてあげなかったのだろう。
「真衣……」
「ん……」
背中に手を回して、制服姿の幼馴染を抱き寄せた。真衣は何も言わず、静かに受け入れるだけ。エアコンの効いた部屋の空気と、夏らしからぬ冬服から伝わる体温のギャップが、脳内に幸福感となって出現していた。
「カズ……」
今、真衣は何を思っているのだろう。嬉しいと思ってくれているだろうか。幸せだと思っているだろうか。そうであってほしい、と自分勝手に願う。
シャンプーの匂いと一緒に、防虫剤の匂いがする。きっと箪笥の奥深くに眠っていたのを引っ張り出してくれたのだろう。高校を卒業したのなんてたった四、五か月前のことなのに、随分と昔に感じるなあ。
「ね、カズ」
「ん?」
「高校の頃、私のこと……好きだった?」
答え合わせ、ということだろうか。俺の返事は一つに決まっているから、間違いようもない。
「うん、好きだった」
「……そっか」
なぜか、真衣の言葉には
「カズ、そろそろ」
真衣は俺の背に回していた手をそっと離した。俺も同じようにすると、自由になった真衣がベッドから降りてしまった。
「ま、真衣?」
どうするのかと思えば、ベッドに腰かける俺の股の間に入るようにして、床に座り込んだ。
「言ったでしょ。舐めてあげるって」
「こ、こっちこそ料金は?」
「……」
真衣は何も言わずに、俺のズボンに手をかける。脱がしにくそうにしていたので、そっと腰を浮かせた。
「パンツ、一緒に下ろすね」
昨日は少しためらったのに、今日は何の躊躇もなく脱がされる自分がいた。エロいことを期待しているのか、それとも慣れてしまったのか。そして――さっきのハグでほのかに膨らんだ、俺の肉棒が真衣の眼前に出現する。
「ハグだけで、おっきくなってる……」
「わ、悪いかよ」
「ううん、嬉しい……」
竿の方に温かな感触を覚える。真衣は顔の前にあるちんこに怯むことなく、自らの手中に収めようとしていた。昨日は最初からローションをつけていたから、こうやって触られるのは初めてだな。
制服姿の真衣に肉棒を触られる、という光景はとても不思議に思える。もし、もっと早く真衣との関係が進んでいれば。こんな景色もある意味でありふれたものだったかもしれない。
「カズ、痛くない?」
真衣は右手で竿をしごきながら、上目遣いで俺の顔を見上げる。少しずつ大きくなっていく様を見ていたけれど、呟くように声を発した。
「……もしかして」
「えっ?」
「もしかして、カズとえっちなことばっかりしてる高校生活もあり得たかなって」
俺の考えていたのと同じことを真面目な顔で言うものだから、なんだか面白いなあ。真衣はいたって真剣みたいだけど、それが愛おしくてたまらない。思わず、そっと頭を撫でる。
「ひゃっ! ……なに?」
「真衣は可愛いなって」
「う、うっさいっ! ……制服に欲情する変態に言われても、別に嬉しくない」
その割に、耳たぶまで真っ赤になっているのは気のせいではないと思う。
「……」
真衣はじっと俺の竿を見つめて、ひたすら手を動かす。いけないことをしているような気がして、背徳感すら覚えるけど、それでも股間から断続的に伝わる快感に逆らうことなど出来やしなかった。
「ま、真衣っ……」
「もうだいぶおっきいかな。……カズ、いい?」
「ちょっ、シャワー浴びてない」
ゆっくりとちんこに顔を近づける真衣の額に手を当てて、慌てて制止した。夏だし、この状態で舐めさせるのは申し訳ない。
「なんで止めるの?」
「だって、その……き、汚いよ」
「カズのだから、いい」
「お、おい」
「いいから……」
真衣は俺の手を左手で除けて、右手で竿を掴んだまま、さらに口元を近づけていく。次の瞬間、亀頭に湿った感覚があって――竿先が、真衣の口に包まれた。
「うっ……」
今まで体験したことのない快感に、思わず声を漏らした。真衣はさらに深く深く肉棒を口内に含んでいき、竿全体がぬるりとした唾液に絡めとられる。
「まっ、真衣……!」
「んっ、んんっ……」
真衣の舌先が亀頭を刺激して、心と体がとろけそうになる。真衣がちんこをねぶり、味わい、吸う。全ての動作が快楽として還元されていき、勃起の強化という形で現れる。
「んっ……!」
肉棒が一段と硬くなると、真衣が目を見開いて反応した。奥まで届いて、驚いたのかもしれない。でも竿を口の中から出すことはせず、むしろ舌の動きを激しくしていく。
「んっ、んんっ……!」
まるでピストン運動のように頭を動かし、竿をしごく真衣。まだ不慣れなのか、口から唾が漏れて顎のほうに垂れていき、やがて灰色のチェック柄のスカートに零れ落ちる。真衣の唾液で性器を包まれるというのは、単に快感を覚えること以上に幸福な体験だった。
「ぷはっ! はあっ、はあっ……」
少し息が苦しくなったみたいで、真衣は口からちんこを出した。それでも右手は離さず、唾液でぬるぬるになった竿をしっかりと擦り続けている。まるでローションに包まれているみたいで、とても気持ちが良かった。
「真衣、大丈夫か?」
「……ちょっとしょっぱくて、変な味」
「ご、ごめん」
「い、嫌ってわけじゃない」
初々しい真衣の反応が、より自分の心を駆り立てた。もっと真衣のことが知りたい。もっと、もっと真衣とえっちなことがしたい。
「カズ、玉が好きなんだよね」
「えっ?」
「……そっちも舐めてあげる」
真衣はそっと竿の部分を持ち上げて、俺の金玉を露わにした。そして、下から舐め上げるようにして――舌先をつけた。
「!」
背筋がゾワッとして、肉棒がいきり立った。快感というべきか、電撃というべきか。
「真衣っ、それっ……!」
「やっぱりいいんだ。もっとしてあげる」
「やっ、ヤバっ……」
真衣は手でしごきながら、さらに丹念に玉を舐め始めた。ビリビリとした直接的な感覚と、真衣に包まれる幸せな感覚。ふたつの差がさらに快感を生み、俺の心を溶かし続けた。
「カズ、気持ちいい?」
「うん、気持ちいい……!」
「そっか。……嬉しい」
口数は少なくとも、真衣の気持ちは十分に伝わってくる。本当に嬉しいのだろう。目の前にいる制服姿の幼馴染が、何も厭わずに自分の性器を舐めてくれて、しかも喜びを感じてくれている。……自分がどれだけ幸せか分からない。それを考える余裕すら、いまの快感に奪い取られている気がする。
「なあ、真衣……」
「!」
いてもたってもいられず、俺は真衣のジャケットに手をかけた。探るようにしてボタンを外して、ゆっくりとはだけさせていく。すると、真衣が慌てたように顔を上げた。
「ぬ、脱がしちゃうの?」
「その……あ、暑いかな~って」
「嘘言わないの。それに、制服フェチなら着せたまま最後までするのかなって……」
せっかく制服を着てくれているのに脱がすとは何事か、と(世の制服愛好家に)怒られるかもしれない。けど……残念ながら、俺が好きなのは制服じゃなくて――
「俺、制服フェチじゃないから」
「な、なにそれ――」
「好きなのは、真衣だけだから」
真衣はハッとしたように目を丸くして、後は黙り込んでしまった。何も言えなくなっている、と言うべきかもしれない。ただ、竿をしごく右手を無言で速めたのが――精いっぱいの返事だろう。
「リボン、外すね」
「ん……」
金具を外すのにちょっと苦労したけど、胸元にあるリボンも取ってしまった。シャツに触っても、真衣は恥ずかしそうに目をそらすだけで抵抗しない。胸の方からボタンに手をかけて……ある程度まで外したところで、ゆっくりとはだけさせた。
「やっ……」
嫌ではないけど、恥ずかしい。といった感じで嬌声を漏らす真衣。そこで見えてきたのは、昨日と違って地味な下着。灰色のスポーツブラで、いちおう谷間は見えている。
「だから、脱ぎたくなかったのに……」
「このブラ、高校の時につけてたの?」
「う、うん」
そこまで再現してくれていたのか。たしかに、制服を脱がせてしまうのは勿体ない気もしたけど……むしろ中途半端に着崩している今の方が背徳感が増した気がした。それに、こういう下着の方が高校生っぽくて逆に色気がある。
「なんか、エロい」
「……カズ、やっぱりへんたい」
「真衣、もっかい舐めて……」
「ん……」
居ても立っても居られず、竿を突き出すように腰を浮かせると、真衣は黙って咥えこんでくれた。再びとろんとした唾液に包まれて、脳内に快楽物質が分泌される。
「真衣……!」
「んっ……んっ……」
真衣は目を閉じて、ただひたすらにちんこを舐める。わざとなのか、それとも不慣れなだけか、時々歯が当たって痛い。痛いけど……それすら愛おしくなって、快感のようにも思える。け、決してマゾヒストってわけじゃないぞ。
「あっ、真衣……!」
「んんっ……!」
空いた左手を使って、真衣は俺の金玉を撫でていた。さっき舐められて唾液にまみれていた分、また違った気持ち良さがある。じゅぷじゅぷという真衣が舐める音もあいまって、五感を通じて刺激されている気分だった。
真衣が頭を動かすたび、わずかに胸が揺れる。髪がたなびいて、真っ赤になった耳たぶがちらりと見える。可愛い、美しい、艶めかしい。形容する言葉が思いつかないくらい、幸せな景色だった。
「んっ、んんっ……!」
「真衣っ……!」
真衣がいちだんと舌先を加速させる。じゅぽじゅぽと音を立て、口の中に俺の竿を出入りさせる。唾が真衣の胸に垂れて、ブラジャーを濡らす。
「あっ、ヤバっ……!」
腰が浮きそうになり、股間から衝撃が突き上げてくる。絶頂に達しそうなことが真衣にも伝わったのか、真衣は一度ちんこを口から出して、また右手でしごき始めた。
「ぷはっ。カズ、出そう?」
「う、うん……!」
「あのねカズ、フェラの料金もらってない」
「!?」
そういやそうだったけど……今ここで何を払えというのだろう? この状態で止められたら、寸止めどころか生殺し――
「フェラの料金はね、カズのせーえきだから」
「へっ?」
「私のお口に、出して」
「ちょっ、真衣っ……!?」
真衣は再び俺の竿を咥えこみ、奥深くへと進ませていく。真衣にそんなものを飲ませるなんて、と思ったけれど……料金と言われたら、従うしかない。それに――この状況でその提案をされて、断れるほど理性のある人間じゃない!
「ほ、本当に出るぞっ……!」
「んっ、んんっ……!」
真衣の舌先が、俺の亀頭に絡む。真衣の体温を直に感じて、心の温度も高くなる。本当に幸せだ。
「イくっ……!」
「んっ……!」
そして、幸福感が頂点に達するのと同時に――腰が跳ねあがった。身体の奥深くから精を解き放つようにして、真衣の口内に余すことなく精液を流し込む。
「ごめっ、止まんなっ……!」
「んんっ……!」
気づいたときには、真衣の頭を手で押さえていた。頭が真っ白になって、何も考えられない。ただひたすら、ただひたすらに真衣の中に流し込むことだけを考えていた。
「んっ……!」
真衣は目を閉じて、必死に口内に受け入れてくれていたけど……それでも飲み切れなかったのか、唇の隙間から白濁液が少しだけ漏れた。粘度を持ったその液体は、静かに垂れて……真衣の胸元に落ちる。
「はあっ、はあっ……」
やがて自分の全てを解放してから、静かに真衣の頭を放した。放心状態、と言った方がいいかもしれない。真衣も同じような状態だったけど……俺より先に平常心を取り戻したようだ。
「か、カズに乱暴された」
「えっ?」
「無理やり飲ませた! ……へ、へんたい」
「あっ、ごめん!」
そうだ、強引に頭を押さえてしまったんだった。いくら「飲ませる」のがオプションの料金だとしても、そんなことをしていい道理はないよな。
「い、嫌だったか?」
「ううん、ビックリしただけ。でも……へんたい」
どんだけ言うんだ、それ。……っと、そうだ。ぶっかけたら拭くんだったな。オプションは買い切り……とは言っても、そうするのがマナーだろう。枕元に置いてあった箱ティッシュから何枚か取って、胸元に手を伸ばす。
「真衣、拭くから」
「ん」
柔らかい素肌に触れつつ、紙を動かす。垂れたのは数滴だったので、すぐに綺麗になった。俺が使ったティッシュを受け取り、ポリ袋にしまってから、真衣が立ち上がった。
「まだ時間あるけど、終わりでいい?」
「うん、いいよ」
「じゃ、タイマー止めるね……」
こちらにお尻を向けて立ったまま、置いてあったキッチンタイマーに手を伸ばす真衣。……よく考えたら、まだ時間内だよな? ふと、いたずら心が芽生えて……俺は、真衣のスカートをめくった。
「えいっ」
「きゃっ!?」
いつになく女の子らしい可愛い声が響く。目の前に現れたのは、ブラジャーと同じく灰色のパンツに包まれた綺麗なお尻。けど、前屈のような姿勢になっているせいで……秘部のところも見えてしまった。クロッチの部分に、昨日よりも広く染みが出来ている気がする。
「な、なにするの!?」
「んー? 『ランジェリー姿』なのに、上の方しか見てなかったなって」
「……ば、ばか!」
すぐさまスカートを元に戻して、こちらを向いて抗議する真衣。普段は無口でクールだけど、こうやって騒ぐ姿も可愛らしいな。
「も、もう知らないっ」
「えっ?」
「ぎゅっとして」
「うわっ!?」
次の瞬間――真衣は制服をはだけさせたまま、俺の胸に飛び込んできた。急にそんなことをされたものだから、俺もベッドに倒れこむしかない。
「な、なんだよ!?」
「疲れた」
「へっ?」
「お昼寝する」
もぞもぞと動いて、ベッドに上がり込んでくる真衣。それに従って俺も動くと、二人で添い寝するような格好になった。
「ま、真衣?」
「ぎゅって」
「?」
「だから、ぎゅってして」
俺と向かい合うと、真衣は静かに両手を伸ばしてきた。「お店ごっこ」でなく、幼馴染としてハグを求めているのだろうか。
「うん、ぎゅってするから」
「ん……」
うまく隙間から手を回し、ぎゅっと抱き寄せた。良い抱き心地だな。
「おやすみ、カズ」
目を閉じて、真衣はあっという間に眠り込んでしまう。俺も気がついた時には寝てしまっていて、二人で起きたのはお昼を過ぎてからだった。
寝ているとき、真衣は俺の胸元に顔をうずめていたから、どんな表情かはよく分からなかった。けど……普段と違って、なんだか微笑んでいるように見えた気がした。