勇者が旅しているうちに。〜勇者の母親。魔法使いの姉。戦士の妹。〜 作:ユリイカ
仕事を終え、しつこい同僚から逃げるように〈白羽根〉へ。シアも昨日散々ヤった後だからか、穏やかないつもの笑顔で出迎えて、素直に美味い料理を出してくれた。酒を飲みつつ腹を満たし、身体も温まったところで、ふと勇者たちの話題になる。
「そういえばオーウィルが活躍したそうじゃないか。おかげでなんか魔族の偉い奴を倒したって聞いたぞ」
「かなり詳細を省いていますね……。まあ、それもレリオさんらしいですが」
ほろ酔いで仕入れたばかりの情報を口にすると、やはりシアも知っていた。俺の説明はかなり大胆なもので、彼女は苦笑しつつ頷いた。
「アレックスが真顔のなんとかって奴を討ち取ったんだろう。お手柄だな」
「ええ……。私としては、危険なことをしてほしくないんですけどね」
シアがこの話に触れなかったのは、やはり誇らしいという気持ちよりも心配が勝るからだった。母親としては当然だろう。魔族は基本的に人間よりも膂力に勝る。いくら女神の加護と聖剣の力があるとはいえ、アレックスはまだ若いのだ。
「レリオさん、もう一杯いかがですか?」
「ああ、頂こう。――フィオリーネ?」
盃が空になっているのを目敏く見つけ、シアが酒を勧めてくる。それをありがたく受けながら、俺は違和感を抱いてもう一人の店員を探した。
いつもならすかさず酒を注いでくるフィオリーネが、今日はカウンターの側でぼうっと突っ立っている。名前を呼ぶと、はっと我に返るが、どこか心ここに在らずといった様子だ。
「やっぱり、フィオリーネもオーウィルのことが心配なのか?」
「へ?」
「うん? てっきり、オーウィルの事が心配で身が入っていないのかと思ったんだが」
弟の名前を口に出すも、彼女はきょとんとする。シアと同じで家族の身を案じているのかと思ったのだが、そうでもないのだろうか。
「あっ、そ、そうですね。弟のことは、心配です」
慌てて捲し立てるフィオリーネ。やはり心配はあるのだ。それにしてもすぐにまた何か考え込むような顔になり、反応が鈍くなる。
「どうしたんだ、フィオリーネの奴。疲れてるのか?」
「毎日閉店後に施術はしているんですが……」
フィオリーネの散漫とした様子はシアも心当たりがないようだった。憂いを帯びた表情で、頬に手を当てて悩んでいる。彼女はまだ健康とは言い難いフィオリーネを支えるため、毎日細やかな治癒術を施している。おかげで今のところ、体調に問題はないと言うが。
「さっきまでは普通に働いてくれてたんですよ。でも、レリオさんがいらっしゃった途端に、あんな感じになってしまって」
「お、俺のせいか?」
「そうとは言ってませんけど……。何か心当たりでも?」
「ないさ。あったとしたらシアも見てるはずだろ」
とにかく謎は深まるばかりである。ともあれ本人が何もないと言うのであれば、こちらから何かすることもない。結局、俺は首を捻りながらも料理に手を伸ばす。
やっぱりシアの料理は美味い。これでたまに媚薬が入っている可能性がなければ、もっと美味いのだが。
「ところでレリオさん。今日も施術、しましょうか?」
酢漬けのキャベツを摘んでいると、シアのしっとりとした声がする。顔を上げれば、媚薬を入れそうな表情の彼女が妖艶に笑いかけてきた。
施術という単語が誘いの意味を持つようになったのはいつ頃からだろうか。他の客には伝わらないように包み込んだ隠語が、余計に雰囲気を持たせている。
昨日もずいぶんとしっかり"施術"してもらったのだが、シアはもう身体が疼いているようだった。ふくよかな胸を揺らして、俺を誘ってくる。媚香が鼻先をくすぐり、思わず喉が鳴る。
沼に嵌って抜け出せなくなっているのは、俺も人のことを言えたものではない。
時刻はそろそろ店じまいといったところ。客もいつの間にか帰り、店内は閑散としていた。
「……そうだな。頼めるか」
「んふっ♡ はい、喜んで♡」
今更取り繕っても意味はない。素直に頷けば、シアも嬉しそうに震えた。
「フィオちゃん、個室の掃除をしておいてくれる? 今日もレリオさんに施術するから」
「せ、施術!?」
お互いの体液が壁や床に飛び散った事後の部屋は、シアが片付けてくれている。しかし施術が始まる前の部屋の掃除は、フィオリーネに任されていた。しかしシアがいつものように掃除を頼むと、なぜか今日は反応が違った。
フィオリーネは肩を跳ね上げ、頬を赤くする。
「フィオちゃん? 大丈夫?」
「は、はいっ! 大丈夫です。その、お、お部屋の掃除ですよね。がんばりますっ」
ぐっと拳を握りしめて気合いを見せるフィオリーネ。
良家の令嬢に部屋の掃除を、しかもとても本人には明かせないようなことをする部屋の掃除を任せるというのは良心が痛むが、彼女はそうと知らないのだから部屋を隠しているままというのも不自然だ。
「シア、あの子にバレてるわけじゃ……」
「そんなわけないですよ。個室の防音魔法は完璧ですから。たとえエルフでも聞き耳は立てられません」
よっぽどこだわり抜いたのか、シアは部屋の防諜に全幅の信頼を寄せている。たぷんっと盛大に胸を揺らしながら断言し、俺も馬鹿な考えを改める。
そもそもフィオリーネにバレていたら大事だ。きっと彼女も軽蔑しきり、カイシュタリア家の当主である父親に訴え、俺は死ぬ。
「とりあえずお酒でも飲んで身体を暖めておいてください。あとでしっかり動かしてもらうんですから♡」
「ちょっと怖いんだよなぁ、シアのその目……」
些事は捨て置き今は酒、とばかりに注いでくるシア。酔わせて理性を崩そうという魂胆が見え見えで、その素直な欲望に気押される。第一印象は素朴な女性だったのに、どうしてこうなったのか。
勧められるまま酒を飲み、だんだんと酔いも回ってくる。そうこうしているうちに、フィオリーネが掃除を終えて部屋から出てきた。
「お、お掃除終わりました。いつでも使えますよ」
「ありがとう、フィオちゃん。でしたらレリオさん、早速いきましょうか♡」
「おお? おお、そうだな」
身体が火照ってしかたがない。シアめドサクサに紛れて強い酒にすり替えたな。
淫乱な店主は俺の腕を抱き込むようにして胸の谷間に促し、密着したまま部屋へ向かう。
「それじゃあフィオちゃん、お店の掃除もよろしくお願いね」
「は、はいっ」
フィオに一言かけて、室内へ。何も知らないフィオによって綺麗に整頓された個室は、これから盛大に汚されるのだ。その予感だけで、むくむくと勃ち上がるのを感じる。
「さあ、レリオさ――んんっ♡」
シアが鍵を閉めると同時に、彼女の唇にかぶりつく。うなじに手を添えて密着し、乱暴に蹂躙するようにキスをする。突然のことにも拘らずシアは目を細め、むしろ口を開いて応じてきた。
「ぷぁっ♡ レリオさんもやる気十分ですね♡ それじゃあ、こっちに……♡」
スカートがたくし上げられ、しとどに濡れた茂みが見える。今ではすっかり下着を着けずに備えることが常態化してしまった淫らな女が誘っていた。
外界から隔たれた密室のなかで、俺を止める者はいない。俺は欲望のまま服を脱ぎ捨て、シアを抱きしめながらベッドへ押し倒す。
「ああっ♡ レリオさん、きてぇっ♡」
とろける淫肉に、腫れ上がった怒張を挿し込む。お互いの身体を知り尽くし、この動きも慣れたものだ。ずぶりと抵抗なく進み、熱い柔肉に包まれる。仰向けになったシアは大きな胸を揺らし、早速達していた。
ビクビクと震えるシアに合わせるでもなく、早速腰を動かす。
「お゛っ♡ レリオさんの極太おちんぽっ♡ 気持ちいいのっ♡」
ドアを閉めて十秒と経たずに結合し、お互いを貪るように身体を交える。シアは早くもオクターブ高い声を漏らし始め、ぎゅっと膣肉を窄めて絞ろうとしてきた。
「とりあえず駆けつけ一杯だ。全部飲めよ!」
「あんっ♡ はぁっ♡ ありがとうございますっ♡」
仕事終わりで疲れた肉棒に力を込めて叩き込む。込み上げる欲望を止めることなく、そのまま解放する。
今日一発目の精液はシアの深いところに注がれ、彼女は腰を浮かせて再び絶頂を迎える。
「おぉおおお゛っ♡ レリオさんの熱いザーメン♡ お腹にいっぱいキてるのぉっ♡」
吐き出しながら、抽送を続ける。今日こそは彼女を潰すつもりで、強く攻める。だがシアも貪欲に身を捻り、艶やかに対抗してくる。お互い真剣勝負の様相で、激しく身体を打ちつけ合う。
獣のような性行為だ。外では聞かせられない声があがり、淫靡な水音が響き渡る。室内に濃密な香気が充満し、じっとりと汗をかくほどに暑い。
「シア、もう一回だ! 奧に射精すぞ!」
「来てええっ♡ レリオさんの、全部射精してぇええっ♡」
俺の背中にしがみついて懇願するシア。無数の肉襞がうごめき、膣肉が収縮し、蠕動する。その生々しい動きが、抜かずの二発目を誘う。
我慢することはない。俺はそのまま腰を突き上げ、シアの膣奧に――。
「あぅ、あっ? ……あっ、だめ、開いちゃ――!?」
欲望の塊を解き放った、その時。
背後でガチャリと冷たい音がする。昂っていた興奮が急速に冷め、シアも俺を抱きしめながら硬直する。
恐ろしい思いに思考を鈍らせながらゆっくりと振り返れば――。
「あぅ、ち、違うの……。わ、わたし……」
開いた扉の前で膝を突き、スカートの下に手を伸ばしたまま赤面するフィオリーネの姿があった。