勇者が旅しているうちに。〜勇者の母親。魔法使いの姉。戦士の妹。〜 作:ユリイカ
俺にしがみついて喘いでいたシアも呼吸を止めて硬直していた。俺とシアと、フィオリーネ。三人の時間が凍りついていた。
「あぅ。そんな、じゃ、邪魔するつもり、なくて……」
膝立ちになったオフィーリアは、銀髪を垂らして狼狽していた。しかしどれだけ取り繕おうとも、開いたドアは閉まらない。俺もこの絶望的な状況で何か言わなければと思うが、舌が乾き切って動かなかった。
そんな矢先、男根がぎゅるりと締め付けられる。驚いて見れば、シアが顔を羞恥で真っ赤に染めながら震えていた。
「だめっ♡ 見ないでぇ♡ ああっ♡ ど、どうしてっ」
「ぐぉ、シア……締め付けるなっ!」
「違うのっ。あんっ♡ 見られたくないのに、身体が勝手にっ♡」
決して見られてはならないはずのフィオリーネに醜態を晒し、あろうことかシアは興奮を覚えている。声に反して膣肉は雄弁にうごめき、快楽を伝えてくる。俺の背中に爪を立てるようにしてしがみつき、艶かしく腰を動かしていた。
開け放たれたドアから流れこむ新鮮な空気と、下半身を包み込む艶肉の柔らかな感触。突き刺さる視線と、絡みつく肉襞。前後の落差が強烈に俺を刺激する。
「んおぉっ♡ れ、レリオさんのオチンポ♡ 私の中でまた大きくぅううんっ♡」
「クソッ! この、淫乱め! フィオリーネに見られてるんだぞ!」
「だってぇ♡ も、もう手遅れじゃないですか♡ だったら、お゛っ♡ 続けた方が、ああんっ♡」
離れようとしても、太い足がしがみついて離れない。俺は肉の海に沈むように、シアの身体に引き寄せられてしまう。悲しい男の本能が、理性を上塗りしていく。
「だ、大丈夫……ですから……。わ、わたし、お構いなくっ!」
「ほらっ、フィオちゃんも言ってるし♡ レリオさん、続けてぇっ♡」
吹っ切れたシアに感化されたのか、フィアまで突拍子もないことを言う。彼女は、深く繋がった俺とシアをまじまじと見つめながら、ぎこちなくスカートの下の手を動かしていた。
勇者や魔法使いよりは年上とはいえ、長くベッドの上で過ごしてきた純粋な少女が、鮮烈な性の交わりを目の当たりにして開花していく。未知の光景、それでいて本能に刻まれた情欲を掻き立てる営みだ。フィオリーネは頭の奧を直接揺らされたような衝撃を受けていた。
無垢に育った彼女にとって、刺激が強すぎる。理性ある大人としての自分が、今すぐ止めろと叫ぶ。だが、下半身に吸い付く女陰の感触が、それを張り倒した。
「お゛っ♡ すっごっ♡ フィオちゃんに見られながら本気のセックス♡
これまでの尊厳全部なくなっちゃう♡ なのに辞められないっ♡ 気持ちよすぎるっ♡」
「はっ、はっ! このっ、状況分かってるのか!」
「あぅっ、うぅっ! ああ、シアさん、レリオさん……気持ちよさそう……」
ばちゅんっばちゅんっと激しく乳房が揺れる。腰を打ちつけるたび飛沫が飛び散り、それは口を半開きにして惚けるフィオリーネの下まで飛んでいく。
止まることのできない抽送を続けながら、俺ははたと気付く。フィオリーネはスカートの奧に手を伸ばし、もう片方の手で自分の胸の先端も弄っている。膝立ちになったその姿勢は、閉じたドアに寄りかかるような形だ。
「うっ、くっ……! シア、射精すぞっ!」
「来てっ! フィオちゃんに見られながら、膣奥深イキ射精決めてぇっ♡」
全身が震え、全てを吐き出す。一瞬にして思考は白く塗りつぶされ、ただ目の前の女を抑えることだけしか考えられなくなる。組み伏せたシアにぐいぐいと腰を突きつけ、ぶにっとした感触が亀頭に当たる最奥に全てをぶちまける。
ぶぴゅっ、と下品な音を立てて、陰唇から白濁液が漏れ出した。シアは息も絶え絶えになり、大股を開いた仰向けのまま脱力していた。
「あぁ、すごい……。なんて、太い……」
ずぶりと男根を引き抜けば、抑えられていた体液が逆流して膣口から溢れる。ドロドロと流れ出して床に広がる粘液が淫靡に艶めく。
立て続けに三度の吐精を果たした男根は、ぐったりと垂れている。だが、まだ残った血流が膨らみを維持していた。シアの愛液に濡れて汚れたそれを、フィオリーネはじっと見つめて目を逸らさない。
「フィオリーネ。……いつから見てたんだ?」
吐き出し、冷静な思考を取り戻す。尋ねれば、少女はかすかに肩を跳ね上げた。
やはりフィオリーネが俺とシアの情事を覗いていたのは、今回が初めてのことではない。突発的に見てしまったわりには、彼女の行動はどこか手慣れているように思えたのだ。
「あぅ……。その、制服を貰った日の……」
一週間以上も前のことだ。思わず俺は額に手を当てて天を仰ぐ。
あれから今日まで、何度シアと身体を重ねたことだろう。連日のように施療という名目でこの部屋にこもっていた。その間、シアは客の応対をし、閉店の準備をし、店の掃除までやっていた、はずだ。
だがそう思ってセックスに明け暮れていたのは俺たちを、彼女は密かに覗いていた。
「防音魔法は……。ああ、そうか」
そうだった。フィオリーネは弟のオーウィルさえ凌ぐ才能と魔力の持ち主なのだ。防音結界に穴を開けるくらい、なんということはないのだろう。
「ちょっとした出来心だったんです。いつも施術の後、レリオさんもシアさんも疲れた様子で、でも満足そうで。どんなことをしてるのか、気になって」
客たちが帰り、店の片付けも終わっても、俺たちはなかなか出てこない。勝手に帰るというわけにもいかず、フィオリーネも時間を持て余していた。密室は防音も完璧で、内部の様子を窺うことはできない。それが余計に、彼女の好奇心を掻き立てた。
フィオリーネはドアに近づき、そこに張られた結界に魔力を通す。複雑な回路を瞬く間に解き明かし、わずかな綻びを作った。そこから見たものは――。
「私、知らなくて。やめようと思ったんですけど、目が離せなくて……。気が付いたら、お、お股が……」
性というものを知る機会を経なかった彼女にとって、衝撃的すぎる光景だった。
何食わぬ顔で出てきた俺たちを、どんな気持ちで迎えたのだろう。その後も毎晩のように"施術"を行うのを、その部屋を掃除するのを、どんな心持ちで。
ここ最近、フィオリーネの様子がおかしかった理由が分かる。理解すると同時に、強い罪悪感に襲われる。
「すまない、フィオリーネ。ひどいことを」
「ち、違うんです!」
今更、遅すぎる。そう痛感しながらも謝罪しなければならないと思った。
しかし頭を下げて謝ると、フィオリーネは強く否定した。
「最初は驚きましたけど、私、羨ましかったんです。いつも優しくて穏やかなシアさんがあんなに気持ちよさそうにしてるのを見て」
秘めていた感情を吐露する少女に、驚きを隠せない。軽蔑されるのはもちろん、死すら覚悟していたというのに。彼女は頬を赤く染め、膝を擦って部屋の中へ入ってくる。
俺の膝に手を置き、間近に顔が迫る。汚れを知らない純粋無垢の少女は、どこか艶っぽい女の片鱗を覗かせていた。
「お願いします、レリオさん。――私にも、気持ちいいこと、してください」
なんという悲しい業か。見目麗しい令嬢の直接的な懇願は、男の弱いところを貫いた。頭と共に項垂れていたはずの愚息が、意思に反して勃ち上がる。彼女もすぐにそれを見つけ、悦びに目を細めた。
「私みたいな貧相な身体、お嫌いかと思ったんですが」
「そ、そんなことはない。フィオリーネも、魅力的な女性だ」
「それならば尚更、愛してほしいんです。シアさんみたいに上手くはできないかも、しれないけど……」
女性というのは、生まれた時から妖艶さを宿しているのだろうか。潤んだ瞳に視線が吸い寄せられる。彼女はシュルシュルと制服を脱ぎ、スレンダーな肢体をあらわにした。
伏せた椀を二つ並べたような、シアと比べれば慎ましやかなな胸が見える。薄く生え始めたばかりのような茂みが、しっとりと濡れている。
「レリオさん、抱いてあげてください」
「シア!?」
いつの間にか起き上がったシアが、俺の背中に胸を押し当てながら囁く。
しかし相手は上級貴族の令嬢だ。そうでなくとも、体の弱い少女なのだ。それに手を出すなど、できるはずもない。
「私は治癒術師ですよ。ちゃんと、サポートしますから♡」
シアの濡れた言葉が、理性の枷を溶かしていく。
「女の子の告白を断るなんて、失礼ですよ♡」
「ほら、緊張しながら待ってます♡」
「愛してあげて♡」
思考が流され、決意は揺らぐ。
気が付けば、俺はフィオリーネの華奢な肩を掴んでしまっていた。
「フィオリーネ……」
「フィオと呼んでください。レリオさん。……んっ」
目と鼻の先まで寄ったフィオの顔は、目が覚めるほど美しい。長い睫毛がかすかに震え、頬は火照っている。思わず見つめていると、彼女は薄く目を閉じて唇を突き出してきた。
シアのそれと比べると可憐で儚げな、薄い唇。
俺は意を決して、そこに近づいていった。