勇者が旅しているうちに。〜勇者の母親。魔法使いの姉。戦士の妹。〜 作:ユリイカ
戸口に立ち尽くすパニーの足元にカゴが転がる。彼女は困惑しきった顔で狼狽えていた。
閉店の札をかけていたとはいえ、鍵をしていなかった。
シアは一糸纏わぬ姿で、俺もまた下半身を曝け出している。俺たちは繋がったままの姿を、パニーに見られていた。
いくら彼女が、性というものに鈍くとも、この光景がどういうものなのか分からないほどではない。その証左に、パニーは耳まで真っ赤にしながら、しかし視線を外すことなくマジマジと見つめていた。
「はぅっ、んっ♡ ち、違うの、パニーちゃん」
見られている。
そんな事態に興奮を覚えたのか、シアが膣肉を締める。それでいて、なんとか体裁を保とうと遅すぎる弁明を始める。
「だ、大丈夫です。――その、知ってます、から」
「え?」
そんなシアの声を遮ったのは、他ならぬパニーだった。
彼女の言葉に、シアも俺も驚きを隠せない。揃って鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする。そんな俺たちを見つめたまま、パニーは店内へと踏み込んできた。
「わたし、鼻がよくて。レリオさんから、女の人の匂いがしてて不思議だったんです。でも今日シアさんと出会って、おんなじ匂いがして……」
すん、と鼻を鳴らすパニー。
にわかには信じられないが、彼女の声には自信があった。
「か、カゴを返しにきたのは本当ですけど、もしかしたら、って思いもあったんです」
丸い瞳に怪しい光が宿ったような気がした。言いようのない危機感を抱き、思わず身体を動かす。しかし、シアの身体に押さえつけられ、逃げることはできなかった。むしろ僅かに身を捩ったことで挿入したままの肉棒が動き、彼女を刺激してしまう。
「あっ♡ ま、まってレリオさん。動かないで、ぇっ♡」
「シア、こんな時に……っ」
パニーの視線に晒されながらも敏感に震えるシア。それを諌めようとするが、勃起の収まらない俺も同罪だろう。
そうこうしている間にも、パニーは目前まで迫ってきた。小柄な少女が、今は壁のように大きく感じる。彼女は俺たちをじっと見つめて、口元にゆるい笑みさえ浮かべていた。
「レリオさん、わたしにも同じことをしてください」
「パニー!? な、何を言って――」
突拍子もない言葉だった。蔑まれ、非難されるかと思ったが、パニーの口から飛び出したのは耳を疑うような言葉だった。
彼女は真剣な表情をしていて、とても冗談で言っている様子はない。それどころか、彼女は身を包んでいた道着の帯に手を伸ばし、シュルシュルと脱ぎ始めたのだ。
「わたしを大人にしてほしいんです」
「ちょ、ちょっと待て。ビゴルたちがパニーを避けてるのは、そういう理由じゃないと思うぞ」
自分が若く、頼りないからビゴルたち門下生に認められない。パニーはそんなふうに思っているのかもしれない。だが、それは大いなる誤解だ。
彼ら年頃の青年たちは、肉体が成長してゆく彼女を意識して手を出せないだけだ。
「それでも、お願いします。わたし、レリオさんに大人にしてもらいたいんです」
説得も虚しく、パニーはついに生まれたままの姿になる。
健康的に日に焼けた小麦色の肌は露出している部分だけで、道着の下に隠れていたのは意外なほど白くシミ一つない肌だった。若さ特有の瑞々しい張りのある肌。年不相応の大きく実った乳房。引き締まった肉体にはしっかりと筋肉がつき、薄く少女らしい脂肪に包まれている。
「あんっ♡ レリオさん、パニーちゃんの裸を見て大きくなってる。うぅ……」
曝け出された少女の肢体に、否応なく雄が反応する。思わずむくりと膨らんでしまい、シアの切ない声がした。
「えへ。レリオさんもわたしの身体に興奮してくれてるんですね」
パニーは満足げな顔をして、また一歩こちらへ近づいてくる。
「待て、パニー。考え直すんだ。自分の体は大切にした方がいい。一時の感情に流されるんじゃない!」
自分の体裁も気にせず、懸命に説得する。シアとフィオはもう止められないが、パニーはまだ踏み留まれる。それに彼女は、まだ若い。俺のような男に純潔を捧げることはない。
だが、それを聞いたパニーは猫のような瞳をすっと細める。輝きが消え、ぞくりと背筋が凍るような冷たさを帯びる。これまでの天真爛漫な少女とはかけ離れた冷徹な顔に、思わず喉が詰まった。
「いいですよ。レリオさんに選ばせてあげます。これからわたしを抱くか、それともわたしをこのまま外に放り出すか」
「ぐぇっ!?」
あまりにも強烈な二択だった。
「服を剥ぎ取られて夜の町に、ひとり。この辺りは治安がいいですから、すぐに襲われるってことはないかもしれません。でも警邏に保護されたら……このお店はどうなりますかね?」
「お、脅すつもりか……」
「いいえ? ただわたしはこのまま外に出るだけ。何も言いません」
全裸の少女が店の外に飛び出して、保護しても何も言わない。どう考えても事件性しかない。店は捜査の対象になるだろうし、俺は捕縛される。いくら衛士とはいえ、むしろ衛士だからこそ、厳しい追及を受けることになるだろう。
真面目で純粋、天衣無縫な少女。そんなパニーのイメージがガラガラと音を立てて崩れていく。目の前に立ち、己の恥部も曝け出している少女は、武道家らしからぬ謀略を巡らせる軍師のようだ。
「だめ、レリオさん! あの子にまで手を出すなんて……」
シアが危うい表情をして抱きついてくる。俺を止めようとしている、というよりは自分以外の女に注目が向くのを恐れているようだ。
「どうしますか、レリオさん?」
シアが抱きついてくる。パニーが真っ直ぐに見つめてくる。
信じられないような状況にもかかわらず、俺は興奮を隠せないでいた。シアに深々と突き刺さる肉槍が、硬く膨張する。
「レリオさん! レリオさん、私が好きなのよね? だったら、パニーちゃんより私と」
「レリオさん。外はちょっと寒いかもしれませんね。えへへ」
「レリオさん!」
「レリオさん」
左右から声を。名前を呼ばれ続ける。沸騰する感情と、渦巻く状況。理性が崩れ、本能が動き出す。冷静な思考など、できそうにない。
「どっちも、満足するまで抱き潰してやる」
「ああっ♡ レリオさんっ!」
「えへ♡ 信じてましたよ、レリオさん♡」
シアの背中に腕を回しながら、パニーの方にも手を伸ばす。
熟れた雌と、若い雌。両者を共に抱き込んで、密着する。二者択一ではない。どちらも、俺のものだ。
パニーは笑みを深めて身を委ねてくる。シアは嬉しそうで、残念そうな、複雑な声を漏らす。
客のいない店内で、全裸の女たちが俺に身を寄せてきた。