※この作品はR-18です。

プレリガのR-18系短編   作:タニシカレー

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恋愛感情を抱えてしまったプレセアが寝ているリーガルにお触りしたり、結果的に本番まで行ってしまう話
■リーガルがプレセアに襲われる形になります。だいたい非合意で話が進みますのでご注意ください
■本番行為がありますが、両想いになりません


恋と行為は苦くて甘い

 彼の私に対する感情が、恋と呼ばれるものではないことはわかっている。私が人として生活できるよう手を差し伸べてくれたのも、レザレノの嘱託社員となっても手厚く、でも甘やかさずにサポートしてくれるのも。アルタミラに通うようになってから知るアリシアの姿に戸惑ったとき、私の戸惑いに不器用ながらも向き合い寄り添ってくれたのも。全ては彼の善性と、誠実さと、そして贖罪意識の重なった無私の愛がそうしているからで、そこに恋愛は入っていない。恋愛が入っていないのは、彼の心が今でもアリシアに捧げられているからだ。

 それでも、たとえ彼が私を見ていなくても、私は彼を見てしまう。一緒に前を向いて歩く人として、アリシアが遺してくれた繋がりを持つ人として、そして……私に一番近い男の人として。彼が変わらない限り叶わない想いとわかっていても、彼を追う目を止めることはできない。身体の時計が再び動きだしたように、私の心も動きだし、そして変化していく心と身体が、彼を目で追うようになった。

 目で追うだけでは足りなくなるのに、そう時間はかからなかった。見れば見るほど視界に入る彼の表情に、身体に、目以外で感じる彼に、あらゆるもので触りたくなってしまったのだ。

 身体のラインを視線でなぞったのをきっかけにして、私は意識的に彼に「触って」いった。指先でスーツの袖を引いて、耳で彼の声が震わせる空気を拾って、言葉で彼の興味を探って、体重を感じさせるように寄りかかることさえしてみた。私が触る度に彼はためらい、私が想像するような反応は返してくれないけれど、それでも最後には私が触ることを許してくれた。

 心の奥はすれ違うのに、触ることは許されてしまう。重ねられない想いだとわかっていても、触ることですこしだけ重なった気になってしまう。心と身体がバラバラな状態で築かれた関係の上で、何もかもがバラバラな私達が二人きりになったとき、私は決して触ったことのなかった場所に手を伸ばしてしまった。

 

 オゼットのはずれにひっそりと立つ、村を滅ぼす厄災を奇跡的に逃れた民家。その民家……私の家の、私のベッドの上で、リーガルさんは目を閉じ寝息を立てていた。

「……」

 静かで規則正しい呼吸をしているけれど、表情には疲れが見えていて、彼にしては珍しく目の下にうっすらクマもできている。仕事でとても忙しくしているのに、無理をしてまで私の様子を見に来てくれたことに申し訳なさと、ほんのすこしの嬉しさを感じた。

 一時間くらい前、リーガルさんは仕事の企画書とお土産を持って私の家を訪れた。企画書に書かれた新作グッズの話が思った以上に早く済んで、せっかくだからと料理まで振る舞ってくれた。そこまではよかったけれど、食事を始めてからの彼はいつもと比べて明らかに様子が違っていた。うつらうつらとしてははっとした顔になったり、軽い雑談なのに聞き漏らしをしたり、食事中に握っていたスプーンを落としたりもしていた。そして食事が終わって片付けをしようとした瞬間、糸が切れたようにテーブルの上に伏せてしまった。

「リーガルさん?」

 呼びかけても返事がなくて、もしかして悪い病気なのかもと心配になって彼に近づくと、静かな寝息が聞こえた。そっと髪を掻き上げると、彼は眉間に皺を寄せず目を閉じていた。本当に疲れていて、体力と集中力に限界が来てしまったんだ。そう考えた私は彼を抱え、ベッドの上に大きな身体を横たえて、そして今に至っている。

(本当に、大きい身体)

 私のベッドはパパやアリシアが使っていたベッドと同じ大きさだけど、リーガルさんの身体はベッドいっぱいに納まっていた。パパですら普通に寝られていた大きさのベッドも、彼にとってはすこし小さいらしい。大人の身体と、まだ大人になれない身体以上の差を、こんなにはっきり感じられるのは本当に珍しいことだ。そして、こんなにも無防備な彼を見るのも、本当に珍しい。

(触っても、起きない?)

 試しに頬を触ったり、スーツの袖を引いてみたけれど、リーガルさんの顔はぴくりとも動かない。そっとネクタイを緩めてみても、寝息が全然乱れない。本当に起きる気配のない彼を前にして、いけない考えが頭に浮かんでしまった。

(今なら、触れなかったところにも触れるの?)

 一度浮かんでしまった考えは、何度頭を振っても離れてくれなかった。疲れて寝ている人に、よりにもよってリーガルさんにそんなことをしてはいけないとわかっているのに、胸の鼓動は高鳴って、身体がすこしずつ熱を持ってしまう。いけないこと、大切なものを壊すこと、裏切ること、だけど、してしまいたい。触って、しまいたい。私はゆるく閉じられた唇に目を向けて、ゆっくりと顔を寄せて、そしてとうとう、今まで触ることの許されなかったところに唇で触った。

「ん……」

 ほんの一瞬の、軽く触るだけの行為。だけど唇からは甘くしびれるような感覚がして、身体の奥底から全身に熱が広がるような気さえして、頭がぼうっとするようなふわふわとした心地よさに私は自分がしたことを改めて思い知った。

(これが、キスの感覚……)

 彼とのキスがどういう意味を持つか、わかっていた。だけどそれ以上にキスで感じたことの方が衝撃的で、私の心と身体を大きく揺り動かしていく。もっと触りたい、触ってしまいたい。彼の色んなところを、私の色んなところで。

(ここを触ったら、どうなってしまうの……?)

 スーツに覆われた胸を、手のひらでそっと掴む。硬い布越しでも確かな筋肉の感触がして、手のひらでは足りない大きさの胸に指がすこし沈む。初めて触る男の人の胸に、無意識に溜め息が漏れた。

 キスをして、胸を触って、それから私は思うままに、彼の身体を触っていった。髪に指を絡めてキスをして、二の腕を撫でて、太ももに頬を寄せて。彼が起きる気配がないのをいいことに、触りたかったところに触っていく。そして指先が彼のズボンのベルトを触ったとき、私は初めて「触った先のこと」を意識した。

(ここに触ったら、もう言い訳はできない。たとえリーガルさんが気づかないまま起きても、私自身をごまかすことはできない。だけど、それでも……触ってみたい)

 この感情を言葉に表せないほど、私は子供ではない。今していることと、したいことが何を意味するかわからないほど、私は子供にはなれない。彼が眠ってから私がしたことは、これからすることは、確実に彼の心を傷つけて、彼の中にいる妹を裏切っている。それでも私は、身勝手にこの感情をさらけ出してしまいたい。目で追うだけでは、足りなくなってしまったのだと伝えたい。たとえ拒絶されたとしても、知ってほしい。そしてあわよくば、心からでなくてもいいから許してほしい。

 まだ眠っている彼に触るのをやめて、今度は私自身の服に手を掛ける。服を一枚ずつ脱いで、下着も脱いで、床に落としていく。そして今朝洗って取り替えたばかりのシーツをパパのベッドから取って、裸の身体にまとう。これからすることで、リーガルさんは絶対に目を覚ます。だから最後に、私の抱えた感情を表す言葉を、再確認するように口に出した。

「ごめんなさい、リーガルさん。私は……あなたのことが、好きになってしまいました」

 その言葉を言い終えると深呼吸をして、シーツをまとった裸の身体でリーガルさんの身体の上に横たわる。そして彼の鼓動を聞くように大きな身体を抱きしめたそのとき、頭の上から小さな声が漏れた。

 視線を上げたその先で、リーガルさんがゆっくりとまぶたを開ける。何度かまばたきをした後、その目は信じられないようなものを見る目に変わった。

「こ、これは……⁉︎」

「リーガルさん」

「プレセア、一体何をしている」

「リーガルさん、疲れて眠ってしまったんです。だからベッドに運んで、私も一緒に」

「そうではない!なぜお前は何も着ていないのだ、私の身体に何をした⁉︎」

 抱きしめる力を強めて、大きな身体が起き上がらないようにする。彼の表情に浮かぶのは困惑や不安ばかりで、怒りは浮かんでいないことに勝手に安堵しながら、私は顔を近づけた。

「あなたが寝ている間に、色んなところに触りました。決して許されないようなところにも」

「……!」

「そして、触るうちに私の心も身体も見せてしまいたいと、触る以上のことがしたいと思いました」

「そんな、馬鹿な」

「少なくとも、今は受け入れられないのはわかってます。拒絶されるかもしれないことも。それでも、触りたいです。触ってほしい、です」

 掠れたような声でなぜ、とつぶやいた彼に、ようやく本心を伝える。不安がないわけではない、臆して元に戻りたい気がないとも言えない。それでも私は彼に触った、そして彼に伝えないわけにはいかなかった。

「私の心と身体に、触ってください。どんな感情でもいいです、あなたがいいです……お願い、ですから」

「で、できぬ、私には……っ」

 首筋に顔を寄せると、彼は拒否する言葉を詰まらせた。彼の拒否する意思は本物、だけど抵抗にためらいがある。抵抗をためらうのはきっと彼が優しく、そして贖罪意識を抱えているからで、私を受け入れたいからではない。そうわかっていても、そうわかっているからこそ、私は彼に触ることをやめなかった。

「んっ、ん、リーガル、さん」

「く、うぅ、っ」

「私を、見てください」

「……っ!」

 音を立てて、彼の首筋にキスを落としていく。首筋から顎へ、顎から頬へ、そして逃げ続ける顔を捕まえて、もう一度唇へ。彼は唇へのキスを最後の最後まで拒否して、そしてとうとう唇が触れあった瞬間に、抵抗をやめた。私とキスをした彼が目を閉じる直前に見せたのは、絶望に満ちたような表情だった。

「ん……っ、ふぅ……」

「……」

 重なるだけで応えてくれない唇に、角度を変えて何度も唇を重ねる。薄くても硬すぎない唇の感触、渋味の残る紅茶の味、大人のたしなみとしてかすかにつけられた香水の香り、素肌に感じる布越しの体温。大人のキスはまだ知らない、だけど彼とキスをするだけで、大人に追いつこうとしている身体は甘い熱を持つ。

 唇を離すと、リーガルさんはすこしだけ息を乱して、私を見つめていた。そして独り言のように、何かに耐えるような声でつぶやいた。

「アリシアとも、したことがなかったのに……」

「えっ」

 その言葉に、キスをしたときの彼の表情の意味に気づかされた。私以上に大人である彼が、アリシアとキスもしていなかったなんて思いもしなかったのだ。

「そんな、リーガルさんとアリシアは愛しあっていたって」

「愛していたからこそ、できなかった。手の甲にキスを落とし、彼女を抱きしめる以上のことは身分の違いが許さなかった。彼女も、それをわかっていた」

「本当、ですか?あなたとあの子は恋人で、きっとこういうことだって……これ以上のことだって、そう思って」

「当主と使用人の関係だ。婚前交渉など以ての外だ」

 彼の弱々しい声に細く宿る芯が、何かを諦めてしまった表情が、彼の言葉が嘘ではないことを物語っていた。私は彼が本当に守っていたかったものを、私の想いで傷つけてしまったんだ。あまりに苦い現実に、罪悪感が押し寄せてくる。

 それなのに、身体の火照りは冷めてくれなかった。人としていけないことだとわかっていながら、目の前の傷ついた人を見て想いは膨らんでいく。あの子ともできなかったことを、私としてほしい。触ってほしい、触らせてほしい。苦くて甘い願望を持って、私はまた彼を抱きしめた。

「ごめんなさい……私、リーガルさんをひどく傷つけて、また傷つけたいと思ってます」

「プレセア……?」

「キス以上のことも、してほしいと思っています。もちろんあの子の代わりとしてでなく、私自身として」

「!わ、私は、できない……お前に、心を捧げることも、お前の身体に、触れることも」

「わかっています。ただ私を見てください、私を受け入れて、それでもだめなら全部私のせいにして……」

 スーツのボタンを外して、ネクタイを完全に緩める。シャツのボタンを、上からひとつずつ外していく。まとったシーツの中で開かれていく身体に彼は目を背け、それでも脱がされることを受け入れる。露わになった逞しい胸に頬を寄せて、今度は肌の感触と一緒に筋肉のついた両胸をゆっくりと掴んだ。

 

「あの服を着ていた頃から思っていましたけど、やっぱり大きいですね」

「っ、く」

 撫でて、掴んで、頬を寄せて。まじまじと見たことのなかった胸に身体を委ねながら、何度も見た腹筋のラインも撫でる。腹筋を撫でるとリーガルさんが一瞬身体をこわばらせたけど、そのうち触ることに耐えるのは表情だけになっていった。

「すごく触り心地がよくて、どきどきします。こんなにどきどきする身体だって、気づいてましたか?」

「し、知らぬ、っ、ぅ」

 触られることに興奮はしていない、私の大切な場所を微妙に掠めるそこは、本で読んだ通りに硬くなる気配はない。だけど私の身体はもっと熱を持って、彼の身体に触ろうとしていた。

「触れて嬉しいのに、もっと触りたくなります。胸も、ここも……」

「……!駄目だ、そこは、っ!」

「ごめんなさい。でも、触りたい……それに、リーガルさんのズボンを汚したらだめですから」

「それはどういう、っ⁉︎」

 彼が制止するよりも早く、私はズボンのバックルに手をかけてベルトを緩める。そして最低限の場所までズボンと下着を下ろしたとき、私はまとっていたシーツを身体の背中に落とした。

「私を、見てください。そして肌で感じるものから、どうか目を背けないでください。私の心は、身体は、こんなに……」

「い、言うな、そんなことない、私は、私の身体は、っ!」

「二人の身体で、触りあいたい」

「ぐ、ううぅ……っ!」

 擦り合わせるように、割れ目を大きなものに沿わせるように触りあう。私の身体から溢れてしまうものが、彼の身体を汚してしまう。ズボンと下着を下ろさなければいけなかったのは、このどうしようもない反応に抑えが効かないからだ。

「あ、ぁ、すごい、です……擦れて、ぬるぬるして、んっ、気持ちいい……」

「っ、や、やめ、ろ、っ!プレ、セア」

 まだ硬くならないそれと、濡れた場所が擦れる快感に、普段は出せない甘い声が出る。触りあうことで鳴るいやらしい音に、頭の中が酔っていく。分厚い腰を掴んで、迫るような体勢で擦ると、身体がより敏感に快感を拾った。

「だめ、です、んっ、私には、あっ……止められない、です……っ!ぁ、あなたと、触りあって、いたい……!」

「で、できない、こんな……こんなことは、っ」

「でも、あなたは、ぁ、抵抗しない……ん、それは、どうしてですか?」

 私の言葉に、彼は言葉を返さず荒く呼吸をするだけだった。だけど、私には返さない答えが何かわかっていた。できれば彼の口から聞きたかったけど、私達の触れあいはそんなに甘くはなってくれない。

「私だから、ですよね?」

「……」

「私はあの子じゃない、あの子の代わりでもない。だけど、あなたの優しさと贖罪意識が、私への抵抗を許してくれない」

「わ、私は」

「本当に、ずるい人です。だからこそ、もっと触りたくなるんです」

「そ、そんな……っ!」

 擦り合わせて、私に汚されて、それでも硬くならなかったものに、そっと指を絡める。芯もなく柔らかいそれを右手で握って、先端に左手の手のひらを添えて、私はゆっくりと右手を上下に動かした。

「っぁ、く、ううっ!」

「すこしだけ、大きくなりました」

 まだ柔らかいけれど芯を持った根本を太ももと脚の間で挟んで、さらに右手を上下に動かし続ける。左手で先端を撫でると、リーガルさんは歯を食いしばって必死に耐えながら、それでも身体をビクビクと動かしている。誰も触れなかった彼の身体、誰も見られなかった彼の表情。硬く大きく、とはいかないけれどすこし形を変えたそれから手を離して、私は「この先」を考える。

 この先にする触れあいは、既に奪った彼の貞操と尊厳を完全に奪い尽くしてしまうことだ。彼が抵抗できないことを知っていてやることの中では、最悪の行為だ。それでもしたいと、彼と身体の中から触りあいたいという気持ちは、ここまできて抑えられるはずもなかった。

 私は彼と、ひとつになりたかった。大人の身体を追いかける大人として、一人の女性として、そして私自身として。人としての無私の愛情はもらっている、だから心まではもらえなくていい。それでもせめて、もらった愛の中で変わっていった私を一度でも受け入れてほしかった。

 体勢を変えて、脚を大きく開いて、すぐにでも芯がなくなりそうなそれの先端を身体の入り口に合わせる。これから何をするのかを察した彼は何かを言おうとして、そして声に出すのをやめた。

「挿入れますね」

 辛うじて挿入りそうなそれを、ナカへと押しこむように挿入していく。時間をかけながらも、彼の身体を汚すほど濡れていたそこは確実に待ちわびていたものを迎え入れていく。鈍く感じる初めての痛みは、痛みに慣れきってしまった身体にとっては無いようなものだった。

「ぁ、あ、挿入って、きてます……あぁ、っ!」

「うっ、ううっ……!」

 彼はぎゅっと目を閉じて、私を受け入れていた。心も捧げず、自分から触ることもせず、だけど抵抗もできないまま、私の一方的な想いだけを受け止めようとしていた。そんな誠実さが、そんな不誠実さが私を強く惹きつけて、暗い悦びを与えていた。

 すこしずつ挿入していたものの根本に、とうとう辿り着く。最後にすこしだけ勢いをつけて腰を落とすと、奥にぶつかる感覚で全身がぶるりと震えた。

「全部、挿入りました……っ」

「ぅ、あ……っ」

 お腹の中でぴったりとくっついて、ひとつになる感覚。すこしでも動けば鳴ってしまう、二人がねっとりと繋がる音。目の前の逞しいお腹に両手を乗せると、彼のものがすこしだけ形を変えたことを身体の内側から感じられた。

「んっ、ぁ、すごい、です……熱くて、お腹の中がいっぱいで、っ!私達……いっ、一番大事なところで、触りあってます……っ!」

「っ……こ、こんな、形で……」

 その先の言葉は声にはならなかったけど、彼が何を言いたかったのかは口の動きでわかる。声にならなかった言葉は私の身体に、心に、苦くて甘い幸福と欲求を呼び起こす。私は自分から動かない彼の身体にまたがりながら、ゆっくりと腰を上下に動かした。

「あ、ぁ、んんっ!はぁ、大きい、あつい……んっ、ぁっ、初めて、気持ち、いい、です……!」

「ん、ぐっ……」

「我慢、しないでっ、ください……あっ、んっ、硬く、なるのは、っ、悪くないこと、ですっ」

 目を固く閉じて、歯を食いしばって、必死に興奮しないようにしている姿がいじらしくて、それでも身体が反応してしまっているのがわかって、身体は刺激以上の快感に浸っていく。彼と一線を越えた悦び、初めて覚える感覚、後には引けない衝動、彼を傷つけてでも伝えたかった感情。全てが私の身体の熱源になって、もっとほしいと言ってしまいそうなくらい、彼と触りあうことに夢中になっていく。

 投げ出されていた両手に私の両手を重ねて、指を絡めて離れないように繋ぐ。そして繋がる場所が見えやすい体勢に変えると、ナカに挿入っているものが抜ける寸前まで腰を上げた。

「もっと深いところで、キスしましょう」

「なっ……⁉︎」

 彼が閉じていた目をようやく開いたその瞬間、私は上げていた腰を思い切り落とした。

「あああっ!」

「うぁ、あっ!」

 一気にナカを突いた衝撃に、身体が大きくのけ反った。快感で一瞬上がった視線を下げると、リーガルさんは再び目を閉じてしまっている。本当は私の身体を見てほしいと思いながらも、私はさっきよりも激しく腰を動かした。

「ぁ、あぁ!あっ!リーガルさ、んんっ!あぁ、きもち、きもちいい、ですっ!」

「ぅ、うっ、ぐ」

「あ、ぁ、いっ、いいっ!お、おくまでっ、はげしいのが、ぁっ、きてっ!私、わたし、ぃっ、も、もっと、したい、です……っ!」

 肌と肌でぶつかりあう音が、私達が繋がるいやらしい音が、薄暗い家の中で響く。音を立てて揺れるベッドに合わせて、私達の身体も揺さぶられる。ナカですこしずつ硬く大きくなるそれを感じながら、もっとお腹を熱いものでいっぱいにしてほしいと思いながら、私は熱に浮かされた言葉と繋がる刺激を叩きつけていた。

「はぁ、ぁ、んっ!もっと、ん、もっとっ、おおきくてっ!か、かたくて、っあ、あついっ!あついの、くださいっ、あなたのっ、ほしいっ!」

「っ!ぅ、あっ……!」

「あなたとっ、き、きもちよくっ、なりたいっ!ここでいっぱい、キス、んっ!したいです、っ!わっ、私、あっ、あなたが……っ!」

 辛うじて挿入できていたものは激しい行為の中で硬く大きくなって、私が腰を打ちつける度に熱く突き上げる。私のナカは腰を上げると彼にしがみつくように吸いついて、奥まで満たされると隙間なく彼を包む。

 私の身体が、心が、彼を欲しがってたまらなくなっていた。二人とも初めて経験する、お腹の中でキスをする幸福を感じながら、最後まで昇りつめてしまいたかった。

「はぁ、あっ、きもちいい、しあわせ、です……っ!このまま、あっ、最後まで、したい、ですっ!」

「ぅ、待て、駄目だ、このまま、では、っ!」

「んっ、あっ!わ、わたしっ、ぁ、も、もう、限界、きそうです……!ひぁ、あっ、リーガルさん、もっ、な、ナカに、あっ!き、きて、くださ……」

 身体の底からこみ上げてくる何かに動かされるように、より激しく腰を動かす。絶頂に向かう身体に、悦びと期待でいっぱいになる。彼をナカに感じながら絶頂できたら、彼が私と昇りつめる感覚を分かちあってくれたら。そう思って勢いよく腰を落とそうとした瞬間、彼は私の両手を振り払い、私の腰をしっかりと掴んだ。

「ぁ、あっ!ああああっ!」

「ぐっ……!」

 頭のてっぺんから足の先まで駆ける一際強い快感に、全身がびくびくと震えた。初めて男の人と繋がりあって、初めて絶頂した。そんな甘い悦びの余韻に浸っていると、胸からお腹にかけて何かがかかる感覚がした。その感覚を確かめようと視線を下ろしたそのとき、目の前には私が想像していなかった光景が広がっていた。

「あ、あっ……」

「はぁっ、は……っ」

 私の胸からお腹にかけて、白くて粘り気のある液体がかかっていた。リーガルさんは私から目を逸らしながらも、両手は腰を落とさないようしっかり掴んだままだ。リーガルさんと深く繋がっていたはずの私の身体は、繋がりを外れて彼の腰から浮いていた。

 彼が私の腰を掴んだのは熱を私に注ぐためではなく、最初で最後の抵抗をするためだった。私が絶頂を迎えたそのとき、絶頂を迎える直前だった彼は私の腰を掴んで、深く繋がるそれを私の身体から抜いたのだ。彼の熱は私のナカに注がれることなく、外へと出ていってしまった。

「どうして」

「たとえ私が、貞操を失っても……お前が心の底から望んでいても、それだけはできぬ」

「そう、ですね。そう、ですよね。リーガルさんの心は私に向いていないのに、欲しがりすぎました」

「そうではない、私自身のエゴなのだ。ただお前を、私のもとに……縛りつけたくないと、それ、だけの……」

「あっ」

 言葉を伝えきれないまま、リーガルさんは私の腰から手を離し、倒れこむように眠ってしまった。元々疲労が重なっていたうえに、激しい行為をしてしまったから、本当に体力が切れてしまったんだろう。私は背中に落としていたシーツでとりあえず身体を拭くと、脱がしていた彼の下着とズボンを上げて、彼の上に横たわる。そしてもう一度だけ唇に軽く触れるようなキスをして、彼が起きるまで大きくて温かい身体を抱きしめていた。

 

 こうして彼と肌を重ねてからだいたい二ヶ月、今のところ私達の関係はほとんど変わっていない。アルタミラへ行けばビジネスパートナーとして仕事の話をして、時間が合えば近況報告をしながら穏やかに食事やお茶をする。彼からのサポートは変わらず、私の自由と個人としての自立を最優先にした無私の愛でできている。

 だけど彼がオゼットへ、私の家へ様子を見に来るときの関係は変わった。仕事の話では真面目に言葉を交わすけれど、その後のプライベートな時間では、私達が身体の色んな場所で「触りあう」ことが常態化していた。

「私のここ……触ってもらう前からドキドキしてます」

「……」

 私のベッドの上では、リーガルさんが裸で横たわっている。今でも彼から私に触ることはなく、行為そのものにはとても消極的だ。だけど抵抗もしないで私を受け入れてくれて、今では私の言葉ひとつで自分から服を脱いで、こうしてベッドに横たわってくれる。私達の行為は、一方的な想いのまま甘くなっている。

「私のここに、リーガルさんの口で触ってください」

「ぁ……」

 彼の顔の上にまたがって、彼の唇と私の敏感な場所を合わせる。彼はおずおずと口を開けて、割れ目の周りや間を舌で優しくなぞりはじめた。

「あっ、ぁっ、そこ、気持ちいいです……んん……」

「ん……っ、ぅ……」

「今日も、ぁ、いっぱい、触りあって、あっ、わ、私のぉっ、お腹の中で……キス、んっ、しましょうね……」

 私の言葉に彼は目を閉じ、肯定のまばたきすら返してくれない。私は今日も苦い想いを抱えたまま、彼との甘い行為に耽っていくのだった。

 

終

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