~プロローグ~
命の大樹の核の前でデルカダール王に化けていたウルノーガが姿を現した。
「勇者よ。今こそ我が手中に落ちる時……。そのチカラ、いただくぞ。」
ウルノーガの杖が赤く輝き、勇者イレブンは気を失ったまま宙に浮いた。そしてウルノーガの左手が禍々しい瘴気を纏い――勇者の胸を貫いた。
「う……ぁ……あ……ぁ……」
勇者が苦悶の表情を浮かべ、必死にウルノーガの腕を抜こうと足掻くが果たせない。そして――…
ウルノーガが胸から球形のエネルギーを奪い取ると勇者はどさり、と地に落ちた。ウルノーガの手の甲に勇者の印が浮かび上がる。
「ほう。これが勇者のチカラ……これさえあれば……」
ウルノーガは大樹のコアに向き直り”勇者の力”を掲げると大樹の蔓はコアへの道を開けた。眩く輝くコアへと歩み入ったウルノーガは一振りの美しい剣を手にし、浮かび上がる。
「そしてこれが勇者のつるぎ……。だが我は魔王なり!」
そう宣言すると、勇者の力を粉々に砕いた。次の瞬間、勇者の剣が醜悪な魔王の剣へと変貌する。
「……勇者のお剣が、魔王の剣に……?」
セーニャが驚愕し震える声で呟く。
「生命の根源、大樹の魂……そのチカラ、我がもらった!!」
魔王の高笑いが響く中、大樹がみるみるうちに枯れていく。
「そんな、命の大樹が……」
ベロニカが呆然と呟く。
「このままだと、世界が……」
「ウーーアァ!!」
より邪悪な姿に変わったウルノーガが凄まじい衝撃波を発し――世界は壊れ、大樹は空から落ちた。
~*~*~
肌に感じる空気が湿っていて温かい。ぼんやりとそう意識したカミュは何かに頬をピタピタと叩かれる感覚に沈んでいた意識を浮上させ、ゆっくりと目を開けた。
壁に掛けられた幾つもの燭台が大理石の床や壁を暖かい光で照らし、中央にある床の大きな円形の窪みには白い泡が浮かんだ水が湛えられていて、仄かに湯気を燻らせていた。微かに良い香りがする。どうやら浴室らしい。そう認識したカミュが視線を更に上げると、円形の浴槽の向こう側に置かれたドリフトウッドベージュのベンチに肌触りの良さそうな白いタオルを腰に巻いただけの半裸のイレブンが背をゆったりと凭れて座ってこちらを見ており、彼の両脇には湯あみ着を着たエキゾチックな美女が二人、寄り添っていた。
――イレブンの奴、王様みてえ…って、あれ?そう言えば――… !! イレブン、無事だったのか!?ウルノーガに胸を貫かれて、大樹が枯れて――
起こったことを思い出し、カミュはイレブンの無事を確かめるため、足を踏み出し彼へ近づこうとし、て両腕が何かに引っかかってそれ以上前に進めないことに気づいた。左右に肩の高さまで大きく広げられた自身の腕を見ると手首が緑色の蔦に戒められていて、ふと自身の身体を見下ろしたカミュは全裸であることがわかり、かっと頬を染めた。
「お、おい、イレブン!そこで見てないで戒めを解いてくれよ!」
カミュが思わず叫ぶが。
「僕と結婚してずっと傍にいると誓うのなら、戒めを解いてあげる。」
「はあっ!?何言ってんだよ!他の仲間が無事か確かめなきゃだろ!」
「仲間?」
「ベロニカやセーニャ…」
「誰?」
イレブンは怪訝な貌をした。
「誰、って…覚えてないのか?」
「その女性たちには会ったことはないと思う。」
「………お前、イレブン、だよな?」
「そうだよ?君の幼馴染のイレブンだ。」
「幼馴染?俺はお前と知り合ってから数か月しか経ってないぜ?」
「君こそ何を言っているの?」
「……」
――まだ夢の中にいるのだろうか?
あまりの会話の噛み合わなさにカミュが言葉を失う。この目の前にいるイレブンはカミュの知っているイレブンとは別人なのだとしたら。だがどこをどう見たってイレブン本人だった。手の込んだジョークかとも思ったが、到底冗談を言っているようには見えない。
カミュが答えないのに焦れてイレブンが不機嫌に口を開く。
「エリック、いい加減にして?」
――エリック?
聞き覚えのない名を疑問に思う間もなく、目の前のイレブンが無造作に手を振ったのを合図にか、カミュの背後から10本以上あろうかという、手首を戒めているのと同じ蔦がウネウネと蠢きながら目の前に伸びてきた。
「な、何だこれ…」
――触手!?
カミュが驚いて見守る中、それらは丸くつるんとした先端を一斉にカミュの身体へと伸ばしてきた。カミュはあまりの悍ましさに、逃れようと身を捩ったが、手首を戒められていてはほとんど動くことはできなかった。
「ひっ…」
ヌルついた触手の先端がカミュの身体中を撫で、擦り、蠢く。一本の触手が胸の小さな粒を見つけ、それが何か探るようにそこを何度も擦り、下腹に触れた触手は形を確かめるように絡みついた。
「や…あっ!」
カミュがその悍ましい感触を振り払おうとするかのように頭を振る。だが獲物の反応からそこが弱点だと理解した触手はカミュを更に追い詰めるべく形状を変化させた。乳首を弄っていた触手の先端部分がぱっくりと開き、生物の口を思わせるそれが乳首に取りついてちゅうちゅう吸い、内部にある一回り小さい触手が乳首をクニクニと弄り出す。他の触手もカミュのもう一つの乳首を探り当て、同じように取りついた。性器に絡みついていた触手は一旦離れると先端の口を大きく開けてカミュ自身をすっぽりと包み、内部を覆う襞で余すところなく愛撫し、奥から伸びて来た触手で鈴口を弄る。
「あ…ああーーっ!!」
初めて味わう強い快楽にカミュが苦し気に喘ぐ。そして…
「うひゃっ!?」
腋の窪みを掻かれた時に大きく反応してしまい、そこが弱いことが触手に知れてしまう。
「ああ…ん!や…やめ…ひゃ!」
すぐに左右の腋を集中的に弄られてカミュは激しく身悶えたが、逃れることはできなかった。そして臍を見つけた別の触手が丸い先端で何度もほじくり、脇腹、首に双球も弱い処だと理解した触手はすぐにそれらに群がり、カミュは為すすべなく喘ぎ続けた。
「…いい眺め。その魔物を知ったのはホンの偶然だったけど…こんなところで役に立つとは思わなかったよ。」
イレブンが薄い笑みを浮かべながら目を細める。
「あっ…ああ…ん、あ…ん、や…っ…」
「僕のペットは優秀だろ?獲物の快楽に弱い処を見つけ出して徹底的に責め苛むんだ。…でも君を傷つけることはないから安心して?」
「やっ…ああん、あん、あ…んっ」
「辛い?…僕と結婚するのなら止めさせてあげる。」
「…っ…あっ…人、違い、っ…だっ…!俺はエリックじゃ…」
カミュの必死の訴えにもイレブンは耳を貸さず、カミュが触手に苛まれ気力と体力が尽き果てるのをじっと見つめていた。カミュががっくりと頭を垂れるとイレブンはペットに触手を引き上げさせ、侍らせていた美女二人に目配せをした。美女たちは浴室にあった湯桶に湯を汲み、カミュの元まで来ると彼の身体にかける。カミュはのろのろと顔を上げ、イレブンを見た。
「終わった、のか…?」
「そんなわけないだろ。」
イレブンは冷たく言い、続けて、
「彼をきれいにしてあげて。隅々まで、ね。」
と言った。
美女二人は頷くと湯に浸してソープをたっぷりとかけたスポンジをそれぞれ両手に持ち、戒められたカミュの身体を擦り始めた。
「ちょ、待…!」
二人はカミュの声など聞こえないかのように4つのスポンジを滑らせてカミュの身体を擦っていく。性器や後腔は手で直に洗われ、カミュは羞恥に頬を染めた。頭や顔も丁寧に汚れを落とされ、最後に手桶で代わる代わるお湯を掛けられてすべての泡を洗い流される。
「彼をこちらへ。」
一方的な洗浄が終わった後、イレブンが命じた。美女二人はペットにカミュの戒めを解かせ、疲労で足ががくがくし立っているのもやっとのカミュの腕をそれぞれが抱えて浴槽の中へと連れて行く。カミュは胸の半分まで、両腕を美女二人にYの字に上げさせられた格好でイレブンに背を向け、湯の中に座らされた。こんな状況でも、ぬるめのお湯にカミュが一瞬ほっとする。…が。その時初めてカミュは自身を苛んでいた魔物を見て凍り付いた。三人掛けのソファくらいある巨大な暗緑色のスライムで、数多の触手をウネウネと蠢かせている。アレが自分の身体を弄っていたと思うと怖気で途端に気分が悪くなった。
背後のイレブンがカミュの知らない言語で何かを呟くのが聞こえ、暗緑色のスライムは床に現れた魔法陣に吸い込まれるように消え去った。程なくしてざぶ、ざぶ、と水音が聞こえ、イレブンが湯の中を後ろから近付いて来るのがわかった。彼は真後ろまで来て座るとカミュを背中から抱き締め、耳元で囁いた。
「エリック。…僕と結婚してくれる?」」
「…できるわけ、ねえだろ。俺はエリックじゃない、カミュだ。」
「そんな嘘を吐いてまで僕から逃げ出したいの?」
「嘘じゃねえ!あっ…」
カミュが振り返って言い返そうとした瞬間、イレブンに爪で乳首をカリ、と掻かれる。魔物に散々嬲られたそこからジン、と広がる痛みを伴う快楽が過ぎ去るのを息を詰めて待つ。だが過ぎ去る前にイレブンの指先がそこを押し潰すように強く擦り、カミュは思わず悲鳴を上げた。
「ああ!…ん、ああ…ん…っ…」
強烈な刺激にカミュは喘ぎ、逃れようと身を捩ったが、がっちりと女たちに手首を掴まれているため果たせなかった。
「あっ…あん…や…や…」
執拗に弄られ続けてそこが熱を持ち、ジンジンと痺れるような強すぎる快楽が起こり、カミュは切なげに喘いだ。
「…もう一度訊くよ?僕と結婚してくれる?」
「う…あ…ん…だ、めだ…」
「……」
イレブンは再び爪でそこを引っ掻いたが、頭を振ったカミュの頬に伝う涙に手を止め、溜息を吐いて立ち上がった。
「寝室で待ってるね。お前たち、‘準備’して。」
とカミュの両脇の美女へと命じ、イレブンは泡を洗い流して浴室を出て行った。
彼女らはカミュの手首を引っ張り上げて彼を立たせると、湯から出てイレブンが座っていたベンチへと彼を仰向けに寝かせる。一人がカミュの両脚を持ち上げ、腿が腹に付くほど押し付けると、もう一人がカミュの後腔にぬるぬるしたものを塗り付け始めた。周囲を解した後に指が一本体内に侵入してきて、そこを拓き始める。カミュは異物感と羞恥に懸命に耐えた。指は二本、三本と増えて行き、十分解れた頃に抜かれた。そして泡を洗い流されるとカミュは二人に浴室の外、脱衣室へと導かれる。身体を拭かれている間もカミュは自分はエリックじゃない、と懸命に訴えたが、彼女たちは何も聞こえていないかのように自身の務めを機械的に果たすだけだった。身体を拭かれた後、バスローブを着せられ、寝室へと導かれる。高級そうな絨毯が敷かれた広い部屋の奥には天蓋付きの大きなベッドがあり、ベッドの足元の端に同じバスローブを纏ったイレブンがこちらを向いて座っていた。
――なんて豪華な部屋だ…。まるで国王か王子の部屋みてえだ。
素足で触れても上質な絨毯はまるで雲の上を歩いているかのように現実味がなかった。女たちはカミュをイレブンの前まで導くと素早く彼の腰帯を解き、バスローブを滑り落とした。突然のことで反応の遅れた裸のカミュを立ち上がったイレブンが抱き締め、すぐさま抱き上げるとベッドへと降ろした。そしてカミュを見下ろし、口を開く。
「…水が飲みたい?」
「……」
一度に多くのことが起こり過ぎて一瞬、放心状態になったカミュは彼の言ったことを頭が理解するまで数瞬かかったが、理解した途端にカミュは自身がひどく喉が渇いていることに気づき、
「…ああ、飲みたい。」
と答えた。
「いいよ。飲ませてあげる。」
イレブンは身を起こしベッドサイドテーブルの上にある水差しからグラスに水を注ぐと、カミュに渡さずに自身の口に水を含み、グラスを置く。
「え…ぁ」
イレブンが覆い被さってカミュの口を塞ぎ、僅かに開いた隙間から水が流れ込んできた。身体が水分を欲している本能でカミュがより大きく口を開くと更に水が流れ込む。カミュはただコクコクと水を飲んだ。水を口移しで与えられること自体異常だが、疲れ果てていたカミュには異議を唱える気力もなかった。
「…ふっ…」
水の口移しが終わって、イレブンが顔を離す。
「…もっと要る?」
「ああ、欲しい。」
イレブンが再び水を口に含み、カミュに与える。何度かそれを繰り返した後、
「もう十分だ。」
とカミュが言った。イレブンが僅かに微笑んで、咬みつくようなキスをする。咥内を味わい尽くすような激しく濃厚なキス。
漸くキスが終わり顔を離したイレブンを、人生初めてのキスに呆然としたカミュが見上げる。
「イレ――」
見下ろすイレブンの双眸に揺れる昏い欲情にはっとして逃げようとしたが、いち早く肩をベッドに押し付けられてしまう。
「エリック。優しくするから、逃げようとなんてしないで?」
イレブンの残酷な甘い声が響く。
「お前たち、エリックを押さえて。」
「「はい、マスター。」」
「マ、スター?」
「僕が魔力で使役している使い魔だよ。人の姿をしているけど、人じゃない。」
二人の美女は両側からカミュの左右の手首を押さえつけた。カミュが驚き息をのむ間、イレブンはバスローブを脱ぎ捨て、鍛えられた美しい裸身を露わにすると、彼の両脚を折り曲げて上体へと押し当て、‘後ろ’に自身の怒張を当てがう。
「あ…あ…ああーーっ!!」
浴室で女たちに解されたそこは、さしたる抵抗もなくイレブン自身を飲み込んだ。カミュはあまりのショックで頭が真っ白になる。だが現実はカミュに放心する時間さえ与えてはくれなかった。
「お前たち、彼を気持ちよくしてあげて?」
「「畏まりました。」」
イレブンが彼女たちに命じると二人は空いた手でカミュの腫れた乳首を愛撫し出す。ほとんど痛みしかない僅かな快楽にカミュは激しく首を振った。
「や…あっ…!あ…ん…や…ぁ…」
「う…ふふ、エリック、乳首弄られるのが好きなの?ココ、すごく締め付けてくる…」
「ちが…んっ…」
イレブンが満足そうに微笑みながら抽挿を開始したことでカミュの声が喉に痞えた。そして激しく腰を打ち付ける最中、更にイレブンがカミュのモノを握り込み、扱き出したことでカミュは泣き叫んだ。
「あぁ、あぁ、やめ……!ぁ……っ…ああーーっ!!」
三人がかりで責め苛まれて、ついにカミュは果てた。イレブンはカミュがイッても構わず衝き続け、ほどなくしてカミュの中で達した。
「……終わったなら、抜いてくれ…」
漸く律動が終わり、二人の息遣いだけが響く中でカミュが弱々しく言うが。
「これで終わりのわけ、ないでしょ?僕がどんなに君を好きか、身をもってわからせてあげる。」
イレブンの残酷な応えが返る。
「ちょ…、もう、無理…っ……」
抗議しようとしたが、イレブンがカミュの口を自身のそれで塞いだことで叶わなかった。深く激しいキスと三人の手による愛撫にカミュは何も考えられなくなるまで溶かされ、いつしか硬度を取り戻したイレブン自身に再び衝かれていた。
そして……疲労と、過ぎた快楽でカミュはとうとう意識を手放した――