影山晶はホテルの窓から眼下に広がる無機質な街並みを眺めながら余韻に浸っていた。
山梨のキャンプ場で完遂した人間の根源的な尊厳を破壊する試み。
それは間違いなく傑作だったが、同じ主題を繰り返すのは陳腐な模倣に過ぎない。
彼は己の美学を追求するため新たな趣向を模索する。
彼の内なる衝動は既に次なる表現の地平へと向かっていた。
「出す」苦しみの次はその対極、「出せない」地獄を与えるべきではないか。
新たなインスピレーションに身を委ね、影山は行動を開始した。
彼の最初のステップは、常にキャンバスの選定から始まる。
今回の主題にふさわしいのは、汚れを知らぬ純粋な素材。
男性経験が乏しく、疑うことを知らない、そんな雛鳥のような女がいい。
彼はノートパソコンを開くと、いくつかの大学生向けコミュニティサイトや掲示板を巡回し始めた。
彼の指は澱みなくキーボードを叩き、極めて魅力的でありながら、どこか胡散臭さの漂う求人広告を瞬く間に作成していく。
『【急募・単発OK】新作プロモーション動画のモデル募集! 撮影2時間、報酬5万円! 服装・髪型自由、経験不問。都内近郊での簡単な撮影です』
ありえない好条件。
冷静に考えれば詐欺だと分かりそうなものだが、世の中には金に困り、藁にもすがりたい人間がいくらでもいる。
特に、社会の仕組みをまだ知らない若者ほど、この種の甘い罠にたやすくかかる。
影山の強運はここでも発揮され、広告を投稿してからわずか数時間で、複数の応募メッセージが届いた。
その中から彼が選び出したのは、一人の女子大生だった。
プロフィール写真に写る彼女は黒髪で化粧も薄く、いかにも真面目そうな雰囲気を漂わせている。
メッセージのやり取りも丁寧で、こちらの指示に素直に従う様子が窺えた。
間違いない、こいつは極上の素材だ。
影山は口元に微かな笑みを浮かべ、彼女──―ヒマリ、と名乗った──―と会う約束を取り付けた。
数日後、影山は指定した駅の改札前でヒマリを待っていた。やがて、きょろきょろと周囲を見回しながら、一人の若い女が近づいてくる。
写真で見た通りの、地味だが清潔感のある女子大生だ。
「あの、バイトの件で……鈴木(偽名)さん、ですか?」
「ええ、そうです。あなたがヒマリさんですね。はじめまして」
影山は人好きのする笑みを浮かべ、穏やかな口調で話しかけた。
警戒心を解くための完璧な第一印象。
彼は簡単な挨拶を済ませると、さっそく本題に入った。
「今日は簡単なポージングのテスト撮影をしたいと思っています。場所は少し移動しますが、よろしいですか?」
「は、はい。よろしくお願いします」
ヒマリは緊張した面持ちで
時給に換算すれば2万5千円。この怪しいほど美味しい話に、不安と期待が入り混じった表情をしていた。
影山はそんな彼女の心理を見透かしながら、タクシーを拾って郊外へと向かった。
車内で当たり障りのない会話を交わし、彼女が一人暮らしであること、奨学金の返済のためにアルバイトを探していたことなどを巧みに聞き出す。
彼の頭の中では獲物の情報が着々とインプットされていく。
タクシーを降りたのは、平日の昼間ということもあり、ほとんど人の気配がない広々とした公園だった。
遊具もまばらで、木々が鬱蒼と茂る一角は、大通りからも死角になっている。撮影には絶好のロケーションだ。
「ここで撮ります。コンセプトは『都会の中の孤独』みたいな感じでして。なので、ちょっと物悲しい雰囲気のポーズをお願いしたいんです」
「はあ……」
ヒマリはよく分からないといった顔をしたが、言われるがまま影山の後をついていく。
やがて彼は公園の隅に立つ一本のコンクリート製の電柱の前で立ち止まった。
「じゃあ、まずこの電柱に抱きつくような感じで、両手を前に回してもらえますか? そう、しがみつくみたいに」
「こ、こうですか?」
ヒマリは戸惑いながらも、言われた通りに電柱を抱きしめるようなポーズをとった。
彼女の華奢な体が、無骨な電柱を包み込む。
その無防備な背中を見ながら、影山は静かにアタッシュケースから冷たい金属の塊を取り出した。
「うん、いい感じですね。じゃあ、そのまま動かないでくださいね」
影山は彼女の前に回り込み、電柱の向こう側で合わさった彼女の両手首を素早く一つの手錠で固定した。
カチリ、という硬質な金属音が静かな公園に響く。
「え……?」
ヒマリが驚いて身じろぎをしたが、既に両手は完全に拘束されていた。
電柱を抱きかかえたまま、身動き一つ取れない。
状況が理解できず、彼女の顔に困惑と恐怖が広がっていく。
「な、なんですか、これ……? 撮影の小道具……?」
「ああ、そうだ。これも撮影の一環だよ」
影山は平然と嘘をつきながら、彼女のスカートを乱暴にめくり上げた。
抵抗しようにも、両手は塞がれ、体は電柱に密着している。
為す術もなく、彼女の白いパンツが露わになった。
「やっ……! やめてください! なにするんですか!」
「静かにしろよ。これからが本番なんだから」
影山は震える彼女のパンツを足首まで一気に引きずり下ろした。
冷たい外気が無防備になった肌を撫でる。
彼は少しも躊躇することなく、硬くなった自らの欲望を潤滑剤もなしに彼女の抵抗する尻の穴へと突き立てた。
「ひっ……! い、いやああああああっ!」
悲鳴が上がるが、公園の奥深くでは誰の耳にも届かない。
経験のない場所に無理やり押し入ってくる異物の激痛に、ヒマリの体は弓なりに強張った。
影山はそんな彼女の反応を楽しみながら、執拗に腰を突き上げる。
痛みと屈辱に涙を流す彼女の耳元で、彼は満足げに息を吐き、やがて熱い奔流をその内部に注ぎ込んだ。
一仕事終えた影山は、ぐったりと電柱にもたれかかるヒマリから離れると、アタッシュケースから次の「道具」を取り出した。
市販の浣腸器と、薬液の入ったボトルだ。
「さて、第二幕といこうか」
彼は手際よく薬液を浣腸器に充填すると、再びヒマリの背後に屈み込み、その先端を先程まで欲望が満たしていた場所に押し当てた。
「な、に……? それ、何を……?」
「すぐに分かるさ。お前の体に新しい感覚が芽生えるんだ」
影山は冷酷に告げると、ゆっくりと薬液を彼女の体内に注入していく。
冷たい液体が腸壁を伝い、内部へと侵入してくる奇妙な感覚。
浣腸など一度も経験したことのないヒマリは、何が起きているのか理解できないまま、ただ未知の恐怖に身を固くするしかなかった。
薬液を全て注ぎ終えると、影山はさらに別の道具を取り出した。
滑らかなシリコンでできた、手動ポンプ付きのエア式アナルプラグだ。
彼はそれを薬液で濡れたばかりの場所に躊躇なくねじ込んだ。
「んんっ……!」
ヒマリの喉からくぐもった声が漏れる。
そして影山はプラグから伸びたチューブの先にあるポンプを無慈悲に数回握りしめた。
彼女の体内でプラグが静かに、しかし確実に膨張していく。
出口は完全に塞がれた。
もう、どれだけ強く息んでも、中にあるものを外に出すことは不可能だ。
「これで準備は完了だ」
影山は満足げに呟いた。
数分もすると、浣腸液がその効果を発揮し始めた。
ヒマリの腹の底から、ゴポゴポという不穏な音が聞こえ始め、やがてそれは猛烈な痛みと、抗いがたい便意へと変わっていった。
「あ……う、ぅ……お腹、痛い……っ」
内側から腸を無理やりこじ開けようとするような強烈な圧迫感。
今すぐ全てを排泄してしまいたいのに、出口は異物によって固く閉ざされている。
その絶望的な状況が彼女の理性を少しずつ蝕んでいく。
「お、お願い……します……トイレに……行かせてください……!」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で、ヒマリは必死に懇願した。
だが、影山はそれを楽しむように、にやにやと笑いながら眺めているだけだ。
「我慢することないじゃないか。そこで出しちゃえばいいだろ? 誰も見てないさ、俺以外はな」
その悪魔のようなからかいが、ヒマリの最後の理性の糸を断ち切った。
彼女はもう、羞恥心など考える余裕もなかった。
「んんん────っ! うぐぅぅぅぅっ!」
ヒマリは必死にいきみ始めた。
顔を真っ赤にし、全身の筋肉を収縮させて、体内の異物を排出しようと試みる。
しかし、膨らんだプラグは鉄壁の栓となり、どんなに力を込めても便は一ミリたりとも動かない。
内圧だけが際限なく高まっていく。
「で、でない……なんで……? うううっ、痛い、痛いぃぃぃっ!」
出せない。この単純な事実が彼女をパニックに陥れた。
腹の中では嵐が吹き荒れ、腸がねじ切れるような激痛が何度も彼女を襲う。
痛みと便意と、そして出せないことへの困惑が混じり合い、彼女の精神は狂乱の淵へと突き落とされていった。
その無様で美しい苦悶の表情を十分に堪能した後、影山は「褒美だ」と言って、彼女の手錠を外した。
解放されたヒマリは電柱から崩れ落ちるようにその場にへたり込むと、すぐさま尻に突き刺さったままの異物に手を伸ばし、それを必死に引き抜こうとした。
「ぬ、抜けない……! なんで!?」
だが、一度内部で膨らんだプラグは空気を抜かない限り、息んだところで抜けることはない。
影山はそんな彼女の虚しい努力を嘲笑うかのように、ポケットから小さな金属製のバルブを取り出して見せびらかした。
「そいつは、このエア抜きがないと外れない仕組みになってるんだよ。まあ、外してやってもいいけどな。俺の言うことを一つ聞いたら、だ」
「な、なんでも……しますから……だから、早く……!」
「そうか? じゃあ言ってみろよ。『私の処女をもらってください』ってな」
影山の口から紡がれた、あまりにもふざけた、そして残酷な要求。
ヒマリは息を呑んだ。
腹の痛みは既に限界を超えている。今にも意識が飛びそうだ。しかし、その言葉だけは、どうしても口にすることができなかった。
それは人間としての最後の尊厳に関わる問題だった。
「……いや……」
か細い、しかし明確な拒絶。
その言葉を聞いた瞬間、影山の目の色が変わった。
獲物が、土壇場で見せた予想外の抵抗。
それは彼の歪んだ支配欲を最高潮にまで掻き立てた。
「……面白い。その気概、気に入ったよ」
影山はそう言うと、地面に蹲るヒマリの体を乱暴に引き起こし、抵抗する彼女の足をこじ開けた。
「言わないなら、こっちから無理やりもらうまでだ!」
ヒマリの悲痛な叫び声が、再び人気のない公園に木霊した。
それは、彼女の処女が、そして最後のプライドが無慈悲に踏みにじられる音だった。
全てが終わった後、影山は虚ろな目で宙を見つめるヒマリを見下ろし、冷たく言い放った。
「結局、あのセリフを言わなかったな。約束だから、プラグは抜いてやらない。せいぜい苦しむといい」
彼はアタッシュケースを手に取ると、一切の躊躇なくその場を立ち去った。
公園には、腹部に爆弾を抱え、心も体もずたずたにされた女学生が、一人残された。
どれほどの時間が経っただろうか。
遠のく意識の中で、ヒマリは最後の力を振り絞り、脱ぎ捨てられた自分のスカートのポケットからスマートフォンを取り出し、震える指で119番を押した。
やがて、遠くからサイレンの音が近づいてくる。
到着した救急隊員たちは、異様な姿で倒れている彼女を発見し、絶句した。
病院に搬送され、事態を把握した医師によって、ようやく尻のプラグは取り除かれた。
空気が抜ける音と共に栓がしぼむと、ダムが決壊したかのように、彼女が必死に堪えていたもの全てが診察台の上に溢れ出した。
それは公衆の面前で、見知らぬ男たちの前で晒された、あまりにも惨めで救いのない便失禁だった。
ヒマリは、もう何も感じることができなかった。
ただ、白衣の男たちが憐れむような、あるいは困惑したような目で自分を見下ろしている光景だけが、スローモーションのように彼女の目に焼き付いていた。