※この作品はR-18です。

レインルートR18短編集   作:のあむ

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 構造体で記憶を失くした甲は、部下のレインと同じベッドで眠れぬ夜を過ごす。レインからある提案をされて快く承諾するが、それは思いもよらぬ体験の始まりだった……。
 長すぎて永遠に書き終わらない気がしてきたので、二つに分けました……。今回は原作レインルート2章『記憶遡行』の初日でレインとホテルに泊まった辺りのifストーリーです。
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『魅惑のお誘い 前編』

 頭上で揺れる、ふたつの豊かな果実。その煽情的なシルエットは、枕元の薄汚れた間接照明により、うっすらと照らし出されていた。見事な弾力と重量を見せつけるように、艶めかしい形状の影は、繰り返し上下にゆさゆさと弾んでいく。

 

「んっ……あぁ……うっ……んぅ……!」

 それにあわせて、控えめな喘ぎ声が。ベッドのスプリングが軋む、耳障りな音が。落ち着かない配色を施された、いかがわしいホテルの一室で混ざりあい、響く。……俺と彼女が繋がった箇所から鳴らされる、水音とともに。

 この部屋に入った時は、まさか本当にこんなことをするだなんて、思っていなかったというのに。

 

「あっ……んんっ……甲、さぁん……!」

「うっ……ああっ……!」

 記憶を失った俺にとって、出会ったばかりの女の子と。仮想において、命からがらの脱出劇を繰り広げた後。俺は彼女との――性行為に励んでいた。

 

レインルートR18短編集

#1『魅惑のお誘い 前編』

 

 ……どうにも、目が冴えてしまう。客室中央に置かれたダブルベッドへ寝そべった俺は、タンクトップにボクサーパンツという、下着姿で毛布にくるまっていた。憂鬱な気持ちで、今日の出来事を振り返る。

 あまりにも、色々なことがあった。火炎放射器の、とてつもない熱気。朱槍による、身の毛がよだつ高さへの跳躍。レーザー砲の反動によって引き起こされた、全身への痺れ。

 制限無し(リミッター・オフ)の仮想空間(バーチャル)でのけたたましい銃弾の音は、耳に残ったまま。自らが呼び出した航空機による、無差別な空爆の衝撃が、今もこの身を震わせるような。

 そんな錯覚へ陥りそうになる。身体は疲労を覚え、休息を欲している。だから一刻も早く、睡眠を取らなくてはいけないというのに。気がかりなことが頭を埋め尽くし、俺を眠りから遠ざけてしまう。

 一番気になることは、隣にいる女性――レインのことだった。

 

「……っ」

 身じろぎをするたびに、背中に当たる温もりと心地よい柔らかさが、俺をいたずらに刺激していく。付き合ってもいない女の子と、一緒のベッドで横になるわけにはいかない。そう考えて、自分がソファへ移動することを提案したのだが。見事に反論されてしまい、このありさまというわけだ。

 

「これじゃあ風邪じゃなくて、睡眠不足になっちまう……」

 ビビットピンクのけばけばしいLEDの光が、闇をわずかに照らす中。ぼそっと、ひとりごつ。天井の照明は消されているが、カーテンと窓の隙間から漏れ出る灯が、フロアライトのように壁へ反射している。

 裾の部分が傷み所々が擦り切れ、遮光性が低下したカーテンでは仕方があるまい。心理的要因と外的要因。そのふたつにより、睡眠が阻害されてしまっていた。

 

「まだお休みになられていないのですか、甲さん……?」

 俺を気遣う澄んだ声が、背後から包み込むようにささやかれた。

 

「うわっ」

 まさかひとりごとに返事をされるとは思わず、驚いて振り向いてしまう。レインも起きていたらしく。こちらをじっと、見つめている。

 

「寝つけませんか?」

「ああ……」

 ベッドの上で。こんな至近距離で。女の子と目をあわせるのも、気恥ずかしく。視線を外し、そっけなく言葉を返す。ふと、前方から甘酸っぱくていい香りが漂ってきた。これがレインの匂いなのだろうか……。

 マズいな……。余計に意識をして、胸がドキドキしてきた。

 

「でしたら、心穏やかにお休みになられるよう“いつもどおり”私が中尉をお慰めいたします」

「…………」

 慰めるって、妙な言いかたしてるけど、たぶんマッサージのことだよな……? 俺ってやつは、部下にそんなことをさせてるのかよ。

 

「それじゃあ、いつもみたいに頼むよ」

 ため息をぐっと飲み込んで。気遣いに感謝し、軽く微笑みながら返事をする。頭には自身へ対する批判が浮かびながらも、申し出を快く受けることにした。彼女には少し悪いけど。

 極度の緊張に晒されたことで身体が強張り、落ち着きを失っている今の俺にとって。これは魅力的なお誘いだと、感じられていたから。

 

「はい。それでは失礼いたしますね」

 レインはひとことつぶやくと身を起こし、ヘッドボード上の間接照明のコードを引っ張り、明かりをつけた。……やっぱり、凄く綺麗な人だよな、レインって。整った顔立ちをぼんやりとした淡い灯が照らし、金の髪は光を反射してきらきらと輝き出す。

 なんだか実際の明るさ以上に、目の前がまぶやく見える。毛布を足元のほうまでめくられると、俺の瞳はとんでもないものを映し始めた。

 

「――っ!」

 眼前に現れた、たった一枚の薄布で覆われた、大きな桃のような尻。そういえばレイン、下はパンツしか身につけていないんだった……。寝る時に、いかにも窮屈そうなタイトスカートを穿いてくれなど言えず、そのままにしておいたんだ……。

 直ちに視線を逸らすべきだと思いつつも。正直な俺の眼球は制止したまま、動いてはくれなかった。視界の中心を清楚なショーツに占拠され、思考も同様に侵食されていく。

 マズいな……。受け入れるんじゃなかった……。承諾したというのに、マッサージを頼んだことを後悔してしまった。

 

「服を脱いで、ベッドの縁に座ってください」

「あ、ああ」

 一瞬、裸になるように言われたのかと思っちまった……。バカなことを考えてドキリとしつつ、タンクトップを脇に置いて、マットレスの端へ移動する。こっちはパンツしか穿いてないのに、男の前でそんな格好するなよな……。

 俺の困惑を知ってか知らでか。下着姿を見られているというのに、レインはこちらを向いて澄ました顔のまま、羞恥を覚えることなく。床へ下りて、自前の使い捨てスリッパを履いた。

 ……やっぱり、大きい。はずみで白い膨らみが揺れ、目が奪われると同時に、素直な感想が頭に浮かぶ。まずは足でも揉んでくれるのかな? なんてことを考えていると、レインは俺の足元へしゃがみ込んだ。

 こちらへ見せつけるように、見事な谷間が差し出される。

 

「……っ!」

 うっ……。見下ろす角度になると、どうしても胸に目が行ってしまう。これはちょっとした拷問だろ……。マッサージの間、どうやって気を紛らわそうか……。

 

「脚を開いていただけますか?」

「う、うん」

 この位置はマズい! レインの顔が突如として股間に近づき、ギョッとする。絶対に部下の前で勃起なんかするんじゃないぞ、俺! ドギマギしながら足を広げると、レインは色っぽく耳の横に髪をかけていく。

 

「……失礼いたします」

 丁寧な言葉の後。慣れた様子で、俺のパンツのボタンを外す。

 

「え……?」

 そして、あろうことか――前開きに手を入れ、男性自身を取り出してしまった。

 

「な、なにしてるんだよレインッ!?」

 突然性器を露出させられたことに驚き、慌てて両手で自分のモノを覆う。クソッ……見られた……!? 勃起もしていない男性器を露(あらわ)にされた恥ずかしさから、顔面が瞬時に熱を帯びていく。

 

「なにって、甲さんを“お慰め”するつもりなのですが。そのように隠されてはご奉仕ができませんので、どかしていただけますか?」

 俺の手を解(ほど)こうと、ぴったりと左右の手が触れてきた。

 

「……もしかして、俺たちってそういう関係だったのか?」

 ひんやりとした、男よりも小さく柔らかな手指の感触に、気を取られながらも。自然と顔をしかめ、問いかける。

 

「はい。軍では当たり前のことですから」

「なっ……」

 さっぱりとした表情で言われ、仰天した。……そうだ。兵隊同士のセックスは珍しいことじゃない。明日をも知れぬ身であるがゆえに、兵隊の恋愛は即断即決がスタンダードになっている。

 それに、レインは俺の部下だ。上下関係に厳しい軍隊において、上官の命令には絶対服従。上官に求められたら、身体ですら捧げるのが部下というもの。彼女もそういった日常に慣れ、同衾に対しても、さしたる抵抗はないのだろう。

 なんともクソみたいな、軍の慣習だ。まったく反吐が出る。……ふと、どうでもいい記憶が蘇り、憂鬱になった。大事なことはほとんど覚えてないのに、なんでこんなことはすぐに思い出せるんだよ、俺ってやつは……!

 自らへの憤りで黙りたくなるのをぐっと堪え、口を開いていく。

 

「そんな……。俺、上司だからって君を手籠めにしてたっていうのかよ……」

 脳裏に過ぎる、目を覆いたくなるような光景。畳まれずシワになった女性の軍服と、純白の小さな下着が周囲に散らばる中。涙を流すレインの上で腰を振り、彼女の色香に耽溺(たんでき)した醜悪な自分のイメージが、頭に浮かんでいった。

 尋ねづらいことではあったが、逃げずに聞いておかねばならないだろう。上官として。人として。これ以上過ちを、繰り返さないために。

 

「手籠めだなんて……違います。中尉は常に紳士で、私に荒っぽいことなどなさいませんでした。だいたいいつも私のほうからご奉仕させていただきたいと、お願いしていたんです」

「お願いって……」

 いったい俺と君は、どんな仲だったんだよ……。とりあえず、今わかることは。俺たちは随分と歪(いびつ)な関係だった、ということだけだ。驚きのあまり、ぽかんと開いた口が塞がらない。

 

「それでは甲さん、始めますね」

 呆気に取られ力が抜けた隙に、レインは手を振りほどくと、男性自身へ白く細い指を滑らせていた。グロテスクな男性器に、人形のように整った造形の手指が、するすると這っていく。

 

「ちょっ……ちょっとまっ……」

「“いつものように”胸でされるのがお好みですよね?」

 笑顔で、さも当然のことのように質問される。

 

「い、いつものようにって……うぁあっ!」

 ピクリ。取り出されたモノが、冷たい指先に弄られたことで反応してしまう。レインはいかにも慣れた手つきで、勃起も不完全な陰茎を撫で回し始める。

 

「んっ……ちゅっ……」

「あっ……!?」

 あんな場所に、口づけを、されてしまった。鈴口に当たる、少し濡れていて、柔らかな感触。宿に来てから、まだシャワーも浴びていないというのに。レインは躊躇(ちゅうちょ)なく亀頭へと、可憐な唇をすぼめて、キスの雨を降らせていく。

 

「……っ」

 綺麗な女の子が、俺の男性器を、口で愛撫している。このような行為は、上官として直ちに止めなければいけないというのに。心臓が破裂しそうになるほど熱く、胸が疼いていく。初めて目にする淫らな光景を、固唾を飲んで見守ってしまう。

 

「んっ……んふっ……ちゅぅっ……」

 ふにふにとした口唇が触れ、湿り気を感じるたびに。吐息が当たるたびに。甘い痺れが、現れては、消え。モノが膨張し、硬度を増していく。

 

「レ、レインッ! そんなこと、しなくて……くあっ!」

「んむ……んんっ……んっ……んちゅっ……」

 快楽を我慢し、ようやく紡いだ制止の言葉でさえも、再び封じ込められてしまう。

 

「もう少しお口でご奉仕しましたら、胸で挟みますね」

「こんなこと、俺は……うっ!」

 カリ首の裏を舌でぺろりと舐められ、ぞくりと鋭い快感が走り、うめいてしまう。……なんて、気持ちいいんだ。

 

「ここ、お好きですよね……?」

「あっ……うっ……」

 返事を聞く前に、レインは喜んで同じ場所へとベロを這わせていく。ぺろぺろとねぶられるたびに、体が敏感に反応し、身もだえる。どうしてそんなこと、知っているんだよ……。

 疑問が生じるが、耐えがたい心地よさにより、跡形もなくすぐに消し去られていく。やがて男性自身は、加えられた刺激で完全に勃起してしまった。

 

「まあ……」

 満足そうに頬を緩ませると、レインはさらに激しく愛撫していった。

 

「んうっ……んんっ……あっ……んむっ……」

 楚々とした立ち居振る舞いからは想像もできないほどに、淫らな舌づかいで、血管の浮き出た男性器を舐めている。舌先が描く軌跡は次第に肉茎を覆い尽くし、唾液ですべてを濡らしていく。

 モノ全体が、隙間風の吹く冷えた部屋の空気を、敏感に感じ取れるほどに。

 

「ぅあっ……あっ……くっ……」

 的確に、弱点を責めるような口淫。こんなにオーラルセックスへ慣れるほど、自分の部下に性行為をさせていたっていうのか……? 俺は傭兵になっただけじゃなく、そんな最低の人間になっちまったのかよ……。

 心は自身への深い失望で満たされながら、もたらされた快楽を受け入れ、身を任せてしまう。残酷にも、その証拠に男性自身の先端へじわりと、透明な液体が滲み始めていた。

 

「あっ……もう、垂れてきてる……。やはり“先日の”では足りず、中尉の欲求は溜まってらっしゃったのですね。今日はどうか遠慮なさらず、ご満足されるまで、私を抱いてください……」

 レインはうっとりとした表情で先走りを眺めてつぶやくと、タンクトップの裾に手をかけ、脱いでいく。

 

「…………」

 先日って。つい最近も、君はこんなことをしていたのか……? 驚きに言葉をなくしつつも、眼前の肉感的な肢体へと、視線が釘づけになってしまう。ミルク色の品のいい下着に包まれた、華奢な身体には不釣りあいなほどに豊かな乳房。

 

「……っ……」

 ふたつの膨らみの全容が、徐々に露(あらわ)になっていく。どこを見られているのかわかっているだろうに。レインはためらうことなくホックを外し、目の前でブラジャーを取り去ってしまった。

 

「あ……」

 絵画のように整った女体が視界に入り、思わず間抜けな声が漏れていった。白磁の如き、シミひとつないきめ細やかな肌。ブラを脱いでもだらしなく垂れることのない、ハリのある双丘。いかにも触り心地のよさそうな、桜色の乳輪。

 俺を愛撫したことで興奮したのだろうか。桃色の蕾はわずかに勃起し、尖っていた。あまりに官能的な光景のせいで、モノがさらに怒張し、硬くなっていく。レインは息子がこぼした涎を指に取り、自身の豊かな谷間へと塗りつけて、陰茎をぎゅっと挟みこんだ。

 

「うあっ……!?」

 あまりの柔らかさ。温かさ。包まれる安心感に。情けない声が上がる。

 

「んっ……はあっ……あっ……」

 吐息とともにこぼれていく、レインの甘い声音。先走りを潤滑液にして、滑らかな肌が男性器を撫で回す極上の心地よさに、一瞬で虜にされてしまう。

 

 

「んんっ……あっ……はぁあっ……」

 身体を上下に弾ませ、男性自身を覆うバストへと、徐々に汗が滲んでいく。くにゅくにゅと、俺のモノにあわせて大きな乳房が歪(ゆが)む様はなんとも淫靡(いんび)なもので。

 下腹部に当たるコリコリとした乳頭の感触が、刺激にさらなる彩りをもたらしてくれていた。乳首が擦れることで感じているのか。自分でやると言っておきながら、本当は胸でするのが恥ずかしいのか。

 始めた頃と比べて、レインの頬はバラのように真っ赤に染め上がっている。

 

「ふあぁっ……甲さぁん……」

 乳輪よりも少しだけ紅く色づいた先端は、先ほどよりも硬く屹立していた。……触りたい。男として当然の欲求が、頭を過ぎる。

 

「……っ……お加減は、いかがですか……?」

「うっ……あっ……!」

 パイズリをしている最中とは思えないような、優しい声音と、丁寧な口調。だが乳房による奉仕は激しく、力強く。その顔は、自らも受ける刺激で上気していた。堪えきれず返事の代わりに声が出てしまい、羞恥によって頬が熱くなる。

 ちくしょうっ! デカくて柔らかい胸でパイズリをされて、気持ちいい以外の感想が浮かぶかよっ……!

 

「ふふっ。気持ちよさそうでよかったです。続けますね」

「こ、こんなこと、もうしなくて……うあっ!」

 俺の発言を黙殺するように、豊かなバストが押し上げられた。ぎゅむぎゅむと、陰茎を押しつぶし、包んでいく。圧迫感が増すと同時に、鋭い心地よさが駆け抜けていった。

 

「はあっ……んぁっ……んんっ……」

「あくっ……うぁあっ……!」

 残された記憶に刻まれたこの行為は、快感よりも見た目のいやらしさが勝り、実践的ではない印象だった。やるほうは疲れると聞いていたし、される側もそこまでよくはないと。

 実際のところ、これをひとことで表すなら――癒し。弾力のある温かな乳房にくるまれる安らぎで、心が跡形もなく溶かし尽くされてしまいそうだ。ああ……。俺はこのまま抵抗できず、されるがままになってしまうのだろうか……?

 現在の俺にとって初めて経験する性行為は、慰めという性質によって、なけなしの理性を次々にむしばんでいく。

 

「ああっ……うっ……うあぁっ……」

 血管が浮いて少し不気味にも見えるペニスが、美しい谷間を行き交う、魅惑の光景。生み出された佳景(かけい)と悦楽に魅入られ、なすすべもなく。もはや俺の口から言葉は消え、漏れ続ける声と、吐息しか存在することはなかった。

 

『“いつものように”胸でされるのがお好みですよね?』

『でしたら、心穏やかにお休みになられるよう“いつもどおり”私が中尉をお慰めいたします』

 こんな幸せを与えられたら、男なら惑溺(わくでき)するのも無理はない。きっと記憶を失くす前の俺も、この幸福を日常的にむさぼっていたに違いない。パイズリなんてされたら、そりゃあ穏やかに眠れるよな……。

 心から納得し、安らぎに身を任せてしまう。……ずっと、こうしていたい。だめだとわかっているのに。ぼうっとして、堕落した考えが頭に浮かんできた。

 

「んっ……やはり、この間のようにお口でもご奉仕しますね……。そのほうが甲さんに、ご満足いただけそうですし……」

「へっ……?」

 今、口って言ったのか……? すっかり歓楽に酔い、判断力が低下した脳は、耳に入るワードへの集中力すら失わされていた。

 

「んっ……んむっ……んあっ……うむぅ……」

 あろうことか。レインは真っ白な谷間で竿を圧迫しながら、先っぽを口先で捉え――フェラチオを行ない始めた。

 

「んふっ……んぬぅっ……ちゅぽっ……」

「あっ……あぁっ……!」

 亀頭を咥え舌を使ってしゃぶりながら、ふたつの乳房で器用に陰茎を愛撫してくれる。鈴口に伝わる柔らかな唇の感触や、湿り気と温かさだけでも、果ててしまいそうだ。戦場では澄ました顔をしていた女の子が、こんな風に口淫をするだなんて。

 先刻までの癒しをメインにしたものとは違い、今度は直接的に性欲を刺激する行為。ギャップに戸惑いながらも、魅力的な体験に心を奪われる。

 

「んむっ……んん……んうぅ……」

 口腔内と胸に引き起こされる摩擦で感じているのか。動きの合間に漏れる吐息と喘ぎ声は、ともに燃えるように熱くなっていた。

 

「んぅっ……んふっ……んっ……んむぅ……」

 陰茎を乳房に。亀頭は口腔と、温かな唾液に包まれて。茎幹(けいかん)は穏やかに、鈴口は強く激しい愛撫を受けて。

 

「はあぅ……はあっ……くはっ……」

 二箇所で異なる刺激を与えられ続けたことにより、脳が溶かされ、朦朧としてきた。

 

「ちゅっ……んむっ……んちゅっ……」

 ふにゅっ、ふにゅっ。ちゅっ、ちゅっ。俺を飽きさせないためか、突然リズムが変化し、驚く。レインは胸部と唇の両方で、繰り返しモノへ優しくキスを交わしていく。なんだか癒されるな……。

 湧き起こる性感刺激で、オルガスムスが近づいてきているというのに。丁寧で献身的な奉仕に、心が和んでいく。

 

「はふっ……あむぅっ……んんっ……んうぅっ……」

 だが、それで終わりではないというかの如く。木の枝に巻きつくへびのように舌を動かし、先っぽへ絡めながら舐められると、鋭い電流が走っていった。

 

「んっ……うっ……んふっ……んあむっ……」

「うっ……!?」

 カリ首の裏を、小刻みにベロでねぶられる。背筋が、ゾクゾクしてきた。

 

「んふっ……んんっ……うむぅ……んっ……」

「くっ……うぅ……」

 時折太ももがピクピクと痙攣することに恥ずかしくなるが、手で押さえても堪えられるものではない。舌の上にモノの先端を乗せられ、いやらしい音とともに、裏筋をこねくり回されていく。

 

「んおむ……くふ……んふぅ……んんっ……」

 レインは再びしっかりと男性器を咥えると、強かに吸引した。

 

「んくぅっ……」

 身体の奥底から、沸き立つような脈動を覚える。男性自身が、ビクビクと震え始めている。五感の内の三つ(視覚と聴覚と触覚)をここまで刺激されていて、耐えられるはずもなかった。

 あまりの興奮で怒張し、今にも放ってしまいそうだ。でも、こんな綺麗な女の子の口内に射精するわけには……! さすがにこれ以上はマズい……! なんとか踏ん張り、フェラチオを終わらせようと、必死の思いで手を伸ばす。

 

(甲さん、もう出てしまいそうなのですか……?)

「えっ――!?」

 ありえないことに。男性器で口が塞がっているはずのレインの澄んだ声音が、脳へと直接響いていった。強い動揺のあまり、一気に限界を迎え、レインの口腔へ激流を生じさせた。

 

「あっ……うぁあっ!」

「んむっ……!? んぐ……んぉおっ……ん、んむっ……んぐぅっ……!」

 驚き苦しそうにしながらも、レインは精液を喉の奥へと、受け入れていく。呆気に取られ、迸りを放ちながら、じっと様子を眺めてしまう。

 

「…………」

 おいおい、ウソだろ……。いきなり吐精したのにもかかわらず、こぼさず嚥下する姿からは、高い熟練度がうかがい知れた。

 

「んぐっ……んっ……んくっ……んむっ……」

 さらにレインは俺のザーメンを、最後の一滴まで、綺麗に飲み干してしまったのだから。

 

「んんっ……ぢゅうぅっ……」

「うおっ……!?」

 もう終わりと思って安心していたら、予想外の吸引をされた。尿道へ残ったものまで見事に吸われ、舌を巻いてしまう。

 

「んはぁ……」

 レインがモノを口の中から抜くと、先端からこぼれた白い液体が唇から糸を引き、垂れ下がっていく。

 

「はあ……はぁ……」

 今までの行為で感じていたのか。太ももを擦りあわせながら、涙の浮かんだトロンとした目つきで、物欲しそうに男性自身を見つめている。しかし、それもわずかな時間だけで。

 

「……ふう」

 呼吸を整えながら立ち上がり、ヘッドボード上にあったティッシュを手に取り、口元を拭う優雅な振る舞い。コース料理を食し終えた、貴婦人のような上品さを帯びていた。俺はパチパチと、瞬きを繰り返す。

 今しがた行なわれた性行為が、夢か幻のように思えてしまったから。

 

「レ、レイン……今のはなんだったんだ……? ごめん……。急にレインの声が頭に聞こえてきて、驚いて出しちまった……」

 先刻の不思議な出来事を発生させた張本人へと、問いかけを試みる。

 

「……甲さん。もしかして、直接通話(チャント)をお忘れなのですか……?」

 首を傾けるレインの声音は、戸惑いに満ちていた。

 

「……聖歌(チャント)って、なんだよ?」

 それを覚えていないことが、そんなにもおかしいのだろうか。

 

(私の声が聞こえますか?)

 透き通った穏やかな声音が、心地よく響いていく。レインの口は閉じられたまま、なんの動きも見せていないというのに。脳に直接話しかけられてるってことなのか……?

 

(たった今ネットを経由して、暗号化(スクランブル)されたメッセージを直接甲さんに送っています。これが直接通話(チャント)です)

 その発言に刺激されたのか。頭にかかったもやが、少しだけ晴れていく。

 

「思い出せそうなんだけど、なんか……」

(唇を動かさず、神経挿入子(ニューロジャック)でささやくように。話したいワードを頭に思い浮かべるんです)

 あたふたしながら指示通りに、言葉をイメージしてみる。

 

(こうかな……? これで他の人間へ聞かれずに、レインと話ができるんだな?)

(そうです……。直接通話(チャント)を使用すれば、まず他人に傍受されることはありません)

 へー。直接通話(チャント)か……。こんな便利なもんがあるんだな。テレパシーみたいで、ちょっと面白い。……って、そんなことより! 先ほどの性行為の映像が、フラッシュバックする。

 苦しそうに目へ涙をたたえながらも、嫌がることなく、上官(俺)の精液を飲み干してみせた部下(レイン)の姿。あの煽情的な光景ですぐさま奮起させられて、血液が集まり、陰茎が膨らんでいく。

 ……だが息子の反応とは裏腹に、俺の心は。

 

「……っ」

 再び硬くなってきたモノが、心理的要因で、徐々に萎えていく。本当に、慣れているんだな……。俺ってやつは、自分の体液を恋人でもない部下に、いつも飲ませてたっていうのかよ……。

 

「……ごめん。君にあんなことをさせていたなんて。俺って、最低の上司だったんだな」

 自然と、拳に籠められていく力。先刻から感じていた自身への失望が、ふつふつと湧き上がる怒りへと。せわしなく、変わり始めていた。

 

「そんな、中尉は最低などではありません。中尉は飲まなくていいとおっしゃっていたのですが、私が好きで飲ませていただいているんです」

「好きで……?」

 おのずと、眉をひそめてしまう。それって、いったいどういう……。あんなものを好んで摂取する趣味があるのだろうか……? 品のある容姿からは想像できない、妙な性的嗜好に戸惑いを隠せない。

 だが、俺を見つめる穏やかな水面のような表情からは、なにも読み取ることはできなかった。

 

「次は“中”でお迎えさせていただきますね。もちろんこれだけで終わりではありませんので、どうかご安心を」

 そう言って口元に笑みをたたえ、レインは小さなショーツに手をかける。まさか、全部脱ぐつもりなのか……!? 動揺しつつも、その手元から視線を外すことができない。

 クロッチの中央は愛液で湿り変色することで、奥の大事な場所を浮かび上がらせている。躊躇(ちゅうちょ)なく、引き下ろされていく、薄く真っ白な布切れ。

 

「……っ!」

 ……金色、だ。うっすらと生えた輝く山吹色の草原の下に、サーモンピンクのスリットが見え、心臓がドクンと強く跳ねた。金髪でも、陰毛は茶色の人もいると知っていたけど、レインは本当にそこも黄金(こがね)色なんだな……。

 高揚し、痛いほどに鼓動が高鳴っていく。あまりにも整った女性自身から、視線が動かせなくなる。以前見た無修正の主観AVでもお目にかかったことのない、驚くほどの造形美。

 前戯をしている間、感じていたのだろうか。秘処から下着へと、きらりと愛液の紡いだ細い糸が、間接照明で照らされ伸びていく。それは太ももの辺りでぶら下がると、ぷつんと千切れ、落ちていった。

 

「……っ……」

 喉が、カラカラに乾いている。初めて生で見た、女性の肉体というものの美しさ、艶めかしさに心を奪われ。言葉はおろか、身動きひとつ、できなくなってしまう。もはや性的な高ぶりを超え、感嘆の衝撃が、俺のすべてを支配していった。

 

「それでは中に入れさせて……あら。これでは挿入に不充分です」

 自己嫌悪により力を失ったモノは、レインの裸体で再び奮起し始めていた。だが引き起こされた官能的な感動よりも、驚きの度合いのほうが、若干上回っていたらしい。

 

「じゃ……じゃあ、もうこんなこと……!」

 唾液の減少により軽く声が裏返りながら、説得を試みる。

 

「……その前に少し、擦らせていただきますね」

 が、無惨にも断ち切られる、制止の言葉。

 

「えっ……」

 そっと、両肩に手が添えられた瞬間。胸板に押しつけられた、豊かな膨らみ。

 

「少し後ろへ下がっていただ……」

「うあぁっ……!?」

 胸の弾力と、乳首の硬さ。ふたつの異なった感触に動揺し、勝手に身体が数歩分後ずさりをして、倒れていった。

 

「……そこで待っていてくださいな」

 レインはベッドに上がり、俺へ近づいて馬乗りになって、腰を落とす。力を失った男性自身を手で起き上がらせると、湿った秘部を当てて前後に動き始めた。

 

「んっ……あっ……ふあっ……んあぁっ……」

「柔らかぁっ……じゃなくて! レ、レイン……もう、こんなの……あっ!」

 これが、女の子の大事な場所の触り心地……。女体というものの神秘に、しみじみとしてしまう。フェラチオとパイズリに続き、今度は素股。またもや初めて経験する性行為。

 数分前まで精神が童貞だった俺は、その悦楽にあっけなく飲み込まれていく。

 

「んふっ……んあっ……ぅっ……あんっ……」

「うっ……くっ……」

 頭上で鮮やかな金髪を躍らせ、淫らに腰を振る美女から、視線を逸らすことができない。恥毛、肉芽、双の花びら。それらが順に、リズムを変えるようにモノを刺激していく。眼前でたぷたぷとバウンドする豊満な胸は、俺の瞳を縛りつけ、動かすことを許さない。

 女性自身から分泌される愛液で、下半身がじっとりと濡らされるのを感じ、蜜壺という言葉を思い出す。淫蜜はとどまることを知らず、次々に湧いていく。潤滑液に塗(まみ)れたスリットで撫でられ、息子はすぐに悦んで硬さを取り戻し、膨れ上がっていった。

 

「んやっ……あんっ……んぁあっ……」

「はあっ……あっ……」

 戦場では聞くことのできなかった、甘い雌(オンナ)の声と、規則的に響く湿った音。辺りに漂う汗の香りと、初めて嗅ぐ“レイン自身”の匂い。目の前でゆさゆさと前後運動をする、メロンのように巨大な乳房。

 そして、擦りあわされ続ける、柔らかなピンク色の花びら。ふと欲するように、舌が上顎を撫でていくのを感じる。……あそこを舐めれば、このまま五感すべてをレインに掌握されてしまいそうだ。

 

「んぅ……んっ……んあぁっ……う、んっ……」

 喘ぎ声へ、抑えきれない切なさが、混じり始めていた。

 

「あんっ……んぁあっ……んやっ……」

 いつの間にか、俺たちの力関係は変化していたのか。嬌声の大きさが増していくのにあわせて、時々びくっと揺れる女体。最初はこちらが押されるように愛撫されていたのが、力比べは次第に拮抗して。

 主導権を握っているはずの秘処は、男性自身に潰され悲鳴を上げるように、クチュクチュと水音を立てていた。

 

「んっ……か、硬い……! あぅんっ……ひうぅっ……!?」

 俺のモノと同じように充血し、コリッとしたクリトリスの感触。一番敏感な場所で強く擦ってしまったらしく、甲高い声と一緒に太ももがびくんと震える。

 

「……んっ……うぅっ……!」

 余程の快感が走ったのだろう。レインは背中を弓なりに反らし、電流を流されたようにビクッビクッと、二度身体を痙攣させた。

 

「あっ……申し訳、ありません……んはあっ……」

 謝罪して呼吸を乱しながらも、すぐに行為を再開した。

 

「んやっ……んあんっ……はあ……はぁっ……んうぅっ……」

 目に見えて、息が荒くなった。血液が集まり硬度の増した男性自身で、同様に屹立した陰核を撫でたことで、完全に余裕がなくなっている。ギシッ、ギシッ。古くなったベッドのスプリングが、伝わる振動の増加で、ささやかながらも音を鳴らしていく。

 見上げた乳輪は極度の勃起により少しシワが寄って、頂点は先刻よりもつんと尖り、そそり立っていた。

 

「んっ……あっ……あんっ……きもち、いいっ……」

 快感で顔はほころび、口から出る声音も、蜂蜜のように甘く蕩けている。なんだか聞かされるこっちまで、口元が緩んでしまいそうだ。いや……もうそうなっているのか……?

 絶え間なく加えられる刺激で、混乱してしまう。

 

「甲さぁん……あんっ……あっ……はうっ……」

 積極的に腰を振り、ぶるんぶるんと、胸が揺れるのもお構いなしに。自身が快楽を得ていることを露(あらわ)にするレイン。俺の名を呼ぶ声で耳朶を叩かれ、奉仕を続けるあられもない姿で奮起されそうになるが、必死に誘惑へ耐えていく。

 ダメだダメだ……。やっぱりこんなことを、これ以上自分の部下にさせるわけにはいかない……。

 

「くっ……うぅ……」

 歯を食いしばり、自分の理性を総動員して、官能の[[rb:誘 > いざな]]いに逆らった。だが俺の意思に背くように、再び息子がタラリと、涎を垂らし始めていた。クソッ、裏切り者ぉ……!

 

「んあぁっ……まだ、ダメですか……? んっ……貴方のたくましさは……あんっ……そんなものでは、ありません……」

「うっ……くあぁ……」

 そんなことは他のだれよりも、俺が一番に知っているに決まっているだろう……!? 叫びたくなるのを堪え、歯を食いしばり、必死に悦楽へと抗う。

 

「あうっ……どうかぁ……ぅん……。私が、イく前に……んんっ……元気になって、ください……中尉ぃ……?」

 湧き起こった情欲で、目尻へかすかに涙を浮かべた、ねだるような視線。聞かされるこちらの耳が溶かされそうなくらいに、甘くささやかれたソプラノの声で導かれ――。

 

「――っ!?」

 ドクンッ。心臓が、信じられないほど強く高鳴り。血流が、一箇所に集中し。

 

「ひゃうっ……!?」

「うぅうっ……!」

 一気に、限界まで勃起した。

 

「はあ……はぁ……」

 自分の下半身から逸らすために、手の平で両目を覆う。見たくない……。でも、見なくてもわかっちまう……。ああクソッ……! あんな風にお願いされて、興奮しない男がいるかよっ……!

 自己嫌悪に陥りながらも、下腹部から湧き上がる性欲で、頭がどうにかなってしまいそうだ。

 

「……ご立派……です……」

 つぶやかれた、消え入るような声音。指と指の間から映し出される、巨大な幹。女性自身だけでなく、レインの身体ごと押し返すほどに雄々しく、そびえ立った俺自身。先刻の口ぶりから、もちろん目にするのも初めてではないだろうに。

 

「……っ……」

 その光景を瞳に焼きつけたいと、指の隙間がひとりでに、大きく開いていく。レインはまるで、処女(バージン)のように。頬を真っ赤に染め、驚きで目を丸くしていた。顔を覆っていた手が、胸の上へと下りていく。

 初心(ウブ)なレインの姿に、ただただ、見とれてしまう。

 

「あうっ……あっ……はあぁっ……」

「うっ……」

 勃起により互いの性器同士が強く密着することで圧迫され、軽く痛みを感じつつも。弾力のある花唇によるついばむようなキスに、心地よさを覚える。

 

「んっ……硬ぁい……」

 唾液をこぼす唇が押し当てられることで、ひくひくと震えが伝わってくる。目的を終えたはずなのに、レインは未だに俺の上から動くことなく、甘えるようにモノへの抱擁を続けていた。

 

◇ ◇ ◇

 

「……これで大丈夫そうですね。それでは、失礼します」

 レインはひとことつぶやき、安心した様子で竿に手を添えて、自身の秘裂へとあてがった。

 

「んっ……」

「うっ……ダ、ダメだって……レイン……!」

 涎を垂らしぐっしょりと濡れそぼった、柔らかな花びらに口づけをされる。そのまま受け入れたくなる気持ちをグッと堪え、制止の声をかけていく。

 

「あんっ……んあっ……」

「そんな……うあぁっ!」

 言葉を聞いてはくれず。レインはひと思いに、男性自身を膣内(中)へと挿入していった。

 

「んっく……ううううぅ……あっ……! ああぁっ……んんぅ……!」

「うぁっ……あっ……くっ……!」

 電流のように走る快感とともに、弾力の強い、でこぼことした膣壁に包まれていく感覚。記憶を失った、今の俺にとって。身目麗しい女性が躊躇(ちゅうちょ)なく腰を落とし、自らの陰茎がずぶずぶと飲み込まれていく光景は。

 この世のものとは思えないほどに甘美で――卑猥だった。

 

「はーっ……はーっ……あっ……はぁあっ……。やっと……繋がれた……」

 欲しかったものをようやく手に入れたかのような、達成感を含ませて、淫らでありつつも。レインは俺に向けて、無邪気に微笑みかけた。

 

「うあぁっ……くぅ……」

 不意に、うめき声が漏れてしまう。先ほどから絶頂を我慢していたことが、内ひだを通して文字どおり、痛いほどに伝わってきたのだから。男性自身をぎゅうぎゅうと締めつけていく、複雑な凹凸が刻まれた肉の洞(ほら)。

 少々の窮屈さを覚えるが、圧迫されることによる快感は、苦しさを遥かに凌駕するほどに魅力的だった。だが、そんな状態に陥りながらも、激しく心が揺さぶられる。

 

「うそだろ……本当に、俺……」

 ひとつに、なってしまった。今の俺にとって、今日会ったばかりの女の子と。童貞喪失はあまりにも突然で。きっと、実際の初体験はもっと違ったんだろうなと。わずかな確信を含ませた感想が頭に思い浮かび、消えていった。

 

「私が動きますので。どうか中尉はそのまま、身を委ねてください……」

 子どもをあやすような、母性に満ちた瞳を向けられる。なだめるように、そっと頬へ添えられる手の平。

 

「んっ……」

 親指で顔を撫でられ、くすぐったさを感じながらも、心地よさを覚えてしまう。最初はひんやりとしていたレインの手も、すっかり体温が上昇し、触れられると心が落ち着く温もりへと変化していたから。

 

「レイン……」

 もう止める言葉など、この口からは出せず。大の男であり、彼女よりも腕力もあるだろうに。細い肢体を振り払うことなく、俺の身体はピクリとも動くことはなかった。だが、肉のひだに覆われた陰茎は、レイン(女)を欲し。

 強く。強く。脈動していた。

 

「んっ……やっ……」

 男性器の震えを素早く感じ取り、収縮する膣内。レインは軽く身悶えして喘ぎ、弾力のあるお尻で俺の下腹部を擦っていく。思わずごくりと、生唾を飲み込んだ。自分の意思とは関係なく、肉体をひとつにされた、俺の本心は。

 

「……っ」

 眼前の豊満な女体に、ありったけの欲望を放ちたいという――邪な想いに染まり切っていたのだから。

 

「あぁ……んっ……うっ……んぅ……!」

 ゆっくりと、レインは腰を上下に揺さぶり始めた。ゆったりとした規則運動に、豊かな乳房が緩やかに追従していく。モノが熱い肉で包まれるうちに、思考力が徐々に低下してしまう。

 なんて、艶めかしい景色なんだろう。スポンジのように柔らかく、ゴムボールのような弾力があるのに。ふるん、ふるんと。皿の上に乗せたプリンを傾けたように、滑らかに移動していくバスト。

 

「…………」

 ぼんやりと、揺れる双丘を眺める。どうやら俺の眼球は、眼前の絶景を映し続けることに夢中で、瞬きの存在を忘れてしまったらしい。

 

「はあ……はあっ……」

 目が乾くこともお構いなしに。息を漏らしながら、レインの艶姿(あですがた)を瞳に焼きつけていく。

 

「あっ……んぁっ……はぁあっ……」

 俺が見つめている間にも、自身の内ひだで男性自身をじっくりと味わっていくような、緩慢な動きが加えられていく。ぽつぽつとした細かな突起が絡みついてモノを咥え込み、ディープキスをされる。

 

「あっ……うぁっ……」

 反射的に、情けない声が口から出ていった。キシッ、キシッ。律動にあわせて、悲鳴を上げる傷んだスプリング。ああ、セックスの時、ベッドって本当にこんな音がするんだな……。

 いかにも初体験を迎えたばかりのようなことを、淫楽に堕した脳内でつぶやく。

 

「はぁあっ……!」

 自分のいい所を突いたのだろうか。レインが一際甲高く叫ぶと、マットレスも強く軋んだ。

 

「んっ……ここ……あ、あんっ……ふぁあああぁっ……!」

 大きく息をつきながら、その箇所をじっくりと、擦りつけていく。同期するようにきゅうぅっと締めつけられ、男性自身へ与えられる快感も増幅されていった。

 

「あっ……んんっ……甲、さぁん……!」

「うっ……ああっ……!」

 女を抱くのって、こんなにも気持ちがいいものなのか……。さっきまで拒んでいたのがバカらしく思えるほどの、性感刺激を覚えてしまう。絶え間なく、体液に塗(まみ)れた肌同士が当たり、水音が鳴っていく。

 次第にぬちゅぬちゅと音が湿り気を増し、より淫らになっていった。

 

「んあっ……ああっ……あんっ……!」

「はあっ……はあっ……!」

 誘うように、目の前でたぷたぷと上下に弾む、汗に濡れた巨乳。……もう、いいよな。最初の抵抗感は、いったいどこへ行ったのやら。当然のように右手を伸ばし、乳房をわしづかみにした。

 ……柔らかい。しっとりとしていて、握った瞬間に伝わる、幸福感のある弾力。

 

「ひうっ……! んあっ……あはぁあっ……!」

 予想外の可愛らしい声とともに身体が震え、モノがきゅっと締めつけられた。少し刺激が強かったか……?

 

「ご、ごめん」

 別に謝るようなことではないというのに、謝罪してしまった。

 

「あ、いえ……どうぞ甲さんのお好きなように、触ってください……」

 穏やかな声音で言われ、引っ込めようとした手をすぐにつかまれる。

 

「甲さんは、私の胸がお気に入りでしたから……」

 レインは目を細め、俺の手を両方とも胸元へと運び、自分の乳房を揉むように促している。そりゃあそうだろう。この感触を好まないやつなんて、いるはずがない。

 

「レインがいやじゃ、ないんなら……」

 せっかくだし、お言葉に甘えることにしよう。もう一度膨らみに触れ、両の手で弱めに力を籠めていく。

 

「あぁっ……! そうですっ……そんな、感じで……ふぁああっ……!」

 本当はもう少し強く揉みしだきたいところだが、我慢だ。レインが痛くないように、優しく……。記憶がなく、女の子の胸をつかむ時の力加減などわからず。おっかなびっくり、握っていく。

 おそらく、パイズリをしたことで感度が上がっているのだろう。

 

「んあっ……ふあぁっ……。あんっ……あぁあんっ……!」

 ただ揉み、揺らしているだけでも、レインは充分によがってくれた。室内へ響く悦びの叫びは、次第に声量を増していく。胸を触りやすいようにするためか、今度は動きを止め、腰をぐりぐり押しつけてきた。

 

「うぅっ……」

「あ、あんっ……中尉ぃ……! んぅっ……んあっ……あ、んんっ……!」

 今までとは異なる刺激を与えられ、思わずうなる。これで乳首を弄ったらどうなるんだ……? 一度射精して余裕があるせいか、責められつつも好奇心が湧いてきた。つんと尖った先端へと指を添え、撫で回してみる。

 

「ひあぁあっ……! んっ、んぁあ……あはぁああっ……!」

 レインは一際甘く喘ぎ、粘膜で根元まで覆われたモノを、きゅんきゅんと締めつけてきた。

 

「あんんっ……! あっ……それ、気持ち……んあぁっ……! いい、ですぅ……!」

 中に芯があり、コリコリとした乳頭をつまみ、弄(もてあそ)んでいく。

 

「んっ……あぅ……! ふうぅ……ううぅぅ……! きもち、いいですっ……!」

 レインは喜んで下半身を揺さぶりながら、同じ言葉を繰り返してくれる。こんな風に、女の子も勃起して硬くなるんだな……。レインが感じてくれていることを素直に嬉しく思った。

 胸を搾るように若干強めに揉みながら、先っぽを指の腹で擦り、時折ぎゅっとつまんでいく。

 

「ひうぅっ……! 甲さぁん……! あっ……あはぁあっ……んぁああっ……!」

 連動して、小刻みに痙攣が走り抜ける中。動きを止めずによがる様から、レインの性行為に対する経験豊富さが読み取れた。いかにも慎み深い女性が、快楽をむさぼる光景はこんなにも官能的なのか。

 記憶を失った俺にとって、これが童貞喪失。

 

「レイン……レイン……!」

 初めての経験に。初めて与えられた悦楽を。無我夢中で、味わっていく。ドクン、ドクン。感情が高ぶり、男性自身が脈動する。……俺とレインって、何回くらいしたことがあるんだ?

 胸を弄っていると、ふと疑問が浮かぶが、これが答えなのだと。

 

「んっ……あんんっ……う、んっ……んぁああっ……!」

 絡みつく内ひだが。緩んだ面貌(めんぼう)が。彼女の代わりに示してくれていた。愚息がこうも馴染むほどに、交わってきたのだと。決して、つらそうではない。むしろ享受して見えるのは、俺の願望などではなく、真実なのだろう。

 豊満な肉体へ性の悦びを教えたのは、他でもない――この俺なのだと。

 

「うぅっ……!?」

 確信した途端。限界を超えて、モノが跳ねた。制御を完全に失って、膣内へと迸りが勢いよく放たれていく。

 

「あっ……くぁあああっ……!?」

「きゃぅっ……!? ふぁああああっ……!」

 突然射精されたことに動揺し、レインは背中を反らす。しかし逃(のが)さぬよう腰をぐっと押しつけ、精汁を受け止め始めた。内部はひくんひくんと、脈打ちとともに収縮していく。

 

「しまったっ……!?」

 避妊具を着けていないのに、中出しはさすがにマズい。今さら気づき、必死の思いで吐精を中断し、男性自身を抜こうと慌ててレインの太ももをつかむ。

 

「やっ……抜かないで……!」

 驚いたことに。コンドームもなく、直に精液を注がれたにもかかわらず。粘膜をひくつかせ、陰茎を締めつけながらレインは懇願していた。持ち上げようとした手は強い力で押さえられ、阻止されてしまう。

 

「んぅっ……このままどうか、私の中へぇ……!」

「――っ!」

 潤んだ瞳で見据えられ、女の子にこんなお願いをされて、断れるはずもなく。

 

「うっ……くううううぅっ……!」

 理性と性欲が乗せられ傾いた天秤は、正反対の方向へ、急激にバランスを崩していった。もう知らないからなっ……! 半ばヤケクソになり、両手を握り返す。いっさいの遠慮なく、膣内へとありったけの子種をぶちまけていく。

 

「あっ……ふあぁああっ……中尉ぃ……!」

 そして俺は手を繋いだまま、ザーメンを最後の一滴まで、レインの子宮へと注ぎ尽くした。

 

「はあ……はあっ……」

 上官として。ひとりの男として。あまりにも無責任な行為。だがしかし、罪悪感を無視した愚行は、至上の性感刺激を引き起こしてくれていた。本当に、気持ちよかった……。

 淫楽にふけり、茫然としながら呼吸を荒げていく。ああ……仮想じゃないのに、女の子の中に、出しちまった……。己の罪を示すように、結合部から体液がこぽこぽと、逆流していた。

 ふつふつと湧き上がる後ろめたさをひとり抱えていると、レインの顔へ視線が移る。

 

「はー……はーっ……んっ……はぁっ……あっ……」

 大きく肩で息をして、俺の両手をつかんだまま、呆けた表情で虚空を見つめている。オルガスムスには達していないようだが、どうやら膣内射精の余韻に浸っているらしい。

 出している間はぴくぴくと、内ももを震わせていたくらいだ。レインの膣内は特に敏感で、中出しですら感じるらしい。繋がれた指はじっとりと、互いの汗に塗(まみ)れているというのに。

 レインは手を解(ほど)くことなく、親指で俺の指をすりすりと、軽い力で撫で始めていた。無意識で愛しい人にじゃれるような、そんな手つきで。

 

「…………」

 呆気に取られつつも、その仕草がなんだか心地よく。頬が緩んで、手を握り返してやった。

 

「あっ……」

 ぴくりと身を震わせて、驚いた声を漏らし、レインが俺のほうを見る。

 

「……っ」

 視線が交わされた途端、花が咲いたように、微笑んでくれた。

 

「ご、ごめん……いきなり中に出しちゃって……」

 先ほどとは打って変わって、部屋が静けさに包まれたせいか。心臓の音が、やけにうるさい。妙に気恥ずかしくなって、目を逸らしながら謝った。やっちまった……。ああ、本当に全部、レインの膣内(中)に出してしまった……。

 マズいことをしたという、自覚はある。あるにはあるが。引き換えに得た享楽と達成感は、今もこの頭を満たし続けるほどに、魅惑的だった。

 

「いえ、私がお願いしたことですし。どうか安心してください。避妊薬を飲むので、妊娠のご心配は不要です」

「あー、あれか……」

 枕元に置かれていた即効避妊薬(ピル)。それか、自分の所持しているものを使うつもりなのだろう。

 

「事前にお伝えしておけば、甲さんはなにも気にされず、行為へ集中されたでしょうに……。配慮が行き届かず、申し訳ありません」

「だからって……」

 あらかじめ教えられていたとして、それで部下に躊躇(ちゅうちょ)せず中出しするほど、俺は考えなしのクズじゃない。向こうにそのつもりはなくても。謝られているというのに、なんだかバカにされているように感じられて、もどかしい。

 

「……それと。中に出していただき、ありがとうございました、中尉」

 はにかみながら。ものを拾ってもらって感謝するような、気安さで。俺の部下(レイン)はとんでもないことを口走った。

 

「…………」

 目線が再びレインへ戻るも、硬直して、言葉が出てこない。避妊するとはいえ。恋人でもない男に、生で出されたっていうのに、礼なんて告げるか……? もしも毎回礼を言うよう、俺に強要されていて、習慣になっていたのだとしたら……?

 彼女との歪んだ関係性に違和感を抱(いだ)き、背筋に薄ら寒いものを感じる。射精で力を失った男性自身と同様に、冷や水を浴びせられたように、興奮が収まっていく。戦場では自分を信じてくれと言っていたが、もしウソだとしたら……。

 戦闘後に沸いた疑問がふつふつと蘇り、心が不安に満ちる。バニラアイスにチョコソースをぶちまけたことで、マーブル模様が作り出されたかのように。後悔と。快楽と。疑念と。

 達成感と。真っ白になった思考へ、様々な感情が入り混じり、前後不覚に陥りそうな危うさを覚える。

 

「……くぅっ……」

「どうかされましたか……?」

 突如として、痺れるような頭痛が起きた。反射的に、繋いだままの手をぎゅっと握りしめる。

 

「はあっ……はあ……」

 心臓の鼓動が高鳴り、呼吸が乱れていく。チーズのように、穴だらけになった記憶だけでなく。今にも俺自身が、どうにかなってしまいそうだ。

 

「あの……大丈夫ですか……?」

「……っ」

 目に留まったのは、雪のように白い手の甲につけられた、真新しい赤い爪痕。自分のせいだと気づき、震える指の力を緩める。痛かっただろうに。レインは不安げな表情をしながらも、なだめるように、そっと手を握り返してくれた。

 いかにも気遣ってくれている仕草。演技ではなく、心から案じてくれているのだと。あんな疑念はただの勘違いなのだと、諭されているように思えてしまう。

 

『記憶を失っても、やはり、中尉は中尉なんですね……』

 ……やっぱり、信じていいんだよな。戦場でのやり取りが頭に浮かび、彼女を疑った己を恥じた。早鐘を打っていた心臓も、徐々に静まっていく。指から伝わるレインの温もりで、手の震えも治まりつつあった。

 

「甲さん……」

 最も価値が高いとされる色をした、蒼く透き通ったサファイアの双眸(ひとみ) が、俺を見据えている。淀んだ俺の心はその尊さを示す輝きで照らされ、瞬く間に迷いは晴れて、消え去った。

 

「…………」

 安心感から、口元がおのずと緩む。

 

「ごめん、なんでもない。……それよりレイン、ひとつ質問してもいいかな?」

「はい、もちろんです」

「レインは今ので……イってない、よな……?」

 気恥ずかしく、ごにょごにょと、歯切れの悪い言いかたになってしまった。だが、尋ねないわけにはいかない。これは男(俺)にとって、重要な問いかけなのだから。

 

「はい。今は私よりも中尉を絶頂に導いて、リラックスしていただくことを優先させたので。私がイかなかったことは、問題ではありません」

 ただ連絡事項を告げるように、レインはきわめて平然とした様子で、残酷な事実を伝えた。

 

「……っ」

 問題……大アリだろ。ピキリ。ガラスにひびが入るような、耳障りな音が聞こえる。男としての尊厳に、若干のひび割れが生じたらしい。

 

「中尉をお慰めすることが目的のご奉仕であって、私が快楽を得るためのものでは……きゃっ」

 射精で萎えたモノが抜けてしまわぬよう、下腹部は密着させたまま、慎重に。ダンスパートナーの背を支えるように手を回し、互いの位置を交換して、ベッドへ寝かせていく。

 はずみでマットレスへ広がったさらさらとした長い金髪は、間接照明でライトアップされて、レインをより魅力的に輝かせる。呼吸とともに上下し、衣服で隠されることなく、全容が露(あらわ)にされた豊かな膨らみ。

 血が巡り赤らんだ肌はところどころに汗をかき、色っぽく張りついた髪とともに、光を反射する。繋がった箇所からは、愛液と精液の混じった淫汁が溢れ出ていく。上気した顔には頬紅のように朱が差し、ノーメイクの彼女を、艶めかしく彩っていた。

 

「……っ……」

 自分でやっておきながら、こんな姿の女の子を押し倒したということに、心が高ぶってしまう。ただ覆いかぶさっているだけじゃない。身体がひとつになったままだという事実で、のぼせてしまいそうだ。

 

「甲さん……?」

 膣内射精をされた後とは思えないような、あどけない少女のような表情。さっきまでされるがままだった俺が上になったことにより、レインは戸惑っているらしく。不思議そうな視線を向けていた。

 それとも、いつもは三回目を行なわなかったのだろうか。……よし。右手で小さくガッツポーズを取る。少しだけ、記憶を失う前の俺に対し、優越感が湧いてきた。同時に、力のみなぎったモノが勇ましく屹立していった。

 

「あっ……もう、そんなに……ふあぁっ……」

 勃起を敏感に感じ、中を収縮させながら、レインは甘い声を漏らす。

 

「今度は、俺が動くぞ」

「でしたら後ろから、なさいますか……?」

「えっ……? うん……じゃあ、バックで……」

 無意識に、返事をしてしまった。

 

「はい、それでは一旦身体を離してください」

「ああ……」

「んっ……」

 言葉を返して背後へ下がると、せっかく準備万端になった男性自身が、するりと抜けていった。その様子が名残惜しく、ぼーっと見つめていく。互いの精液が混ざりあったものが、ぽたぽたとこぼれ、シーツにシミを作る。

 どうせなら、パンツを脱いでおくか。レインの愛液と己のザーメンでぐしょぐしょになった下着を取り、脇に置いていく。

 

「うーん……」

 全裸で座り込みながら、思考する。初めてみたいなものなのに、尋ねられてうっかり後背位を選択してしまった……。でも最初は後ろからのほうがいいって、どこかで聞いたことがあったから……。

 あ、違う。それは相手が処女で、腰が逃げないようにバックがいいってだけで。レインは経験済みだから、まったく関係ないじゃないか!

 

「あのぉ……」

 脳内で自分に対し、ツッコミを入れていると、前方から遠慮がちに声がかけられた。

 

「甲さん……まだ、でしょうか……?」

「あっ……」

 おずおずとした、落ち着かない声音でレインに呼ばれる。頬を染め、臀部を高く上げた四肢動物の交尾体勢で、レインはこちらを振り向いていた。引き締まっていて細いのに、丸くて形のよい、大きなヒップ。

 ひくつく秘処からは愛液と、注ぎ込まれたザーメンがこぼれており、非常に煽情的な光景が作り出されている。その上に鎮座する菊座は、小動物のように愛らしく。視線を感じてひくひくと、誘うように、ゆったりと収縮していた。

 ……アナルセックス、か。アブノーマルセックスに対し関心はなかったが、実際に綺麗なお尻を見てみると、少しだけ興味が湧いてしまう。まさか俺、部下相手にアナル調教なんてしてないよな……?

 

「…………」

 顔をしかめながら、どうか後ろのほうは処女(バージン)であってくれと――身勝手なことを考えた俺なのだった。

 

 

#1『魅惑のお誘い 前編』

終

 

次回『魅惑のお誘い 後編』へと続く

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