毒親に虐げられた青年は宝籤で大金を手に入れたので母親に復讐する話 作:葛轍偲刳
「前に一緒に入ったのって、いつだっけ?」
「うーん、詳しくは覚えてないかも。まだ4つとか5つとか、それぐらい?」
二人で裸になって、お湯を体にかけて、石鹸を泡立てて、体を擦りつけ合う。
誠ちゃんがあぐらをかいて座って、私は背中に回って、体を押しつける。誠ちゃんの背中は大きくて広い。背中に抱きつくと、安心する。
「確か、すっげえ妹が泣いたのを覚えてるなぁ。ギャーギャー泣いて、俺と真由で必死にあやしたの」
「あー、うん、そうだったそうだった。なかなか泣き止まなくて、結局誠ちゃんのお母さんが来るまで二人で代わりばんこに抱いてたよね」
妹さんの名前は出さない。私も誠ちゃんも。名前を出しちゃったら、誠ちゃんが泣きたくなるだろうから。
「――…宗一郎が、さ」
私が誠ちゃんの背中に石鹸の泡を体で擦りつけていると、ポツリと呟く声が聞こえた。
「どうしたの?」
「いや、子供は何人作るんだ、って。子供が一人一部屋を使えるような家を見繕っておく、って」
「……」
それは、幾ら何でも気が早すぎると思うけど。
「真由は? 子供は何人欲しい?」
「うーん……」
少し考える。誠ちゃんの首に後ろから腕を回して、頬ずりする。
「まずは、3人かな。それでも生活がちゃんと回るようなら、5人とか」
本当は、もし9人も子供がいたら、家族で野球が出来るかな、とか思ったけど。冗談でもそれは言っちゃいけないような気がした。あんなに野球が好きだった誠ちゃんの心の傷を抉りたくない。
「……」
「誠ちゃん」
「……俺、さ」
「うん」
「真由と結婚して子供が生まれたら、いつか野球を教えてやりたいな」
思わず息が詰まる。
「別に3人でも5人でもいいけど。そのうちの1人でも、野球が好きになってくれたらいい」
ああ、たまらなかった。胸が一杯になる。
野球のことをそんな風に言えるようになるまで、どれほど誠ちゃんが苦しんできたか、私は知ってる。それを全部、誠ちゃんの傍で見てきたんだから。
「――…ねえ、誠ちゃん、見て」
私は前に回り込むと、浴槽に腰掛けて脚を開いた。見られてる。誠ちゃんに、全部見られてる。お尻の穴まで、全部。
「ほら、ここ。ここから誠ちゃんの子供が生まれるんだよ」
膣孔に人差し指を触れさせて、ゆっくりと指先を上に滑らせる。
「そして、ここで子供が大きくなるの。誠ちゃんと、私の子供。大切な子供が、ここに出来るの」
下腹部の、子宮のある辺りで指を止めて。
「ねえ、誠ちゃん。もう、私のココは誠ちゃんのものだよ。一生、誠ちゃんだけのもの。もう予約済み。他の誰にも使わせない」
私は腰を前に出す。
「ほら、だから、ね? ここに、予約済みって誠ちゃんのスタンプを押して?」
「……真由」
誠ちゃんが私の足下に体を寄せてくる。私のお腹にキスをする。キスマークをつける。幾つも、幾つも。
「愛してる」
「うん、大好きだよ」
ただお腹にキスされているだけなのに、もう子宮が疼いてる。誠ちゃんの子供が欲しいって叫んでる。でも、待って。もう少し、待って。
まだ私は大学を卒業してない。卒業するまでにしなくちゃいけないこともある。卒論とかもだし、育休とかの福利厚生が手厚い就職先も探さなきゃだし。
お母さんも、まだ誠ちゃんとの結婚に反対してる。このまま子供を産んだら、その子に向かって酷いことを言うかもしれない。いや、きっと言う。せっかく生まれてきた誠ちゃんの子供を、そんな酷い目に遭わせたくない。
だから、今はまだ、ダメ。すごく欲しいけど、我慢する。不幸になりたくない。誠ちゃんを苦しませたくない。2人で幸せになるために。
「誠ちゃん、もっと、して?」
「ああ、真由の体に俺の印をつけるの、すごく興奮する」
私の股間にもキスをする。舌で舐められる。誠ちゃんの唾液が体に染み込んでくるような感覚。
すごく気持ちいい。すごく幸せ。フワフワする。天使の羽が背中に生えて、空の彼方まで飛んで行けそう。
でも、誠ちゃんの腕が私を捕まえてくれる。私の腰や脚に腕を回して、しっかり抱えてくれるから。私は誠ちゃんの頭に手を置いて、甘えるように髪を撫でる。
「美味しい?」
「砂糖たっぷりのミルクセーキより甘い」
「嘘ばっかり」
「じゃあ、俺の舌が真由の体を欲しがってる、とかで」
2人の笑い声が浴室に響く。すっごく嬉しい。
「ねえ、誠ちゃん。このままイキたい。誠ちゃんの舌でイカせて?」
「俺、あんまり上手くねぇけど」
「また、嘘。宗一郎君からこっそり色々習ってるの、知ってるよ」
「んぐっ」
思わず私を上目遣いに見上げてくる誠ちゃんは、まるで怒られるのを怖がってる子供みたい。
「私を悦ばせたいって思ってくれてるのは嬉しいけど、私が気持ちいいのは上手とか下手とかじゃなくて、誠ちゃんがシてくれてるから、なんだからね」
「……」
黙って私の股間に顔を埋める誠ちゃん。照れてる。そこも可愛い。
「はぁ……っ」
ゆっくり、ゆっくり、誠ちゃんの舌が私のクリを愛してくれる。ピリピリする。むず痒いような、痺れるような気持ち良さ。
包皮の上から舐められているだけでもこれだ。それでも自分で触るより何倍も気持ちいい。
「いいよ、誠ちゃん。気持ちいい」
誠ちゃんが私を愛してくれてる。気持ち良くしてくれてる。好き。大好き。
私のクリを口の中に含んで、舌の腹で包み込むように全体を優しく舐る。包皮が少しずつ剥かれていく、じれったいような、ちょっとだけ怖いような気分。もうちょっと。あともうちょっとのところで足踏みさせられているような感じ。
「あぁ、あっ、あぁあぁっ……」
首を反らした。浴室の天井を見上げた。でも何も見えない。目の前は真っ白。誠ちゃんの大きな手と、逞しい腕と、優しい舌と、温かい口だけを感じる。
「ん、ああぁあああっ……!」
浴室に私の声が反響する。脳天から何かが突き抜けていくような感覚と共に、私は誠ちゃんの舌でイッた。イカせてもらえた。
「……はぁ、あ、はぁ……」
「大丈夫か?」
「……ん、平気」
余韻を楽しんでいる私は、誠ちゃんの頭を繰り返し撫でる。
「そろそろ上がるか」
「ダメ」
「え?」
逃げようとする誠ちゃんに私は抱きつく。誠ちゃんの股間に手を伸ばす。
「真由、おい、よせって」
「ダメ。誠ちゃん、どうせ後でこっそり自分でするんでしょ? 私の裸を思い出しながら」
「……」
「だったら、目の前に私がいる時に出しちゃえばスッキリするじゃない」
誠ちゃんは手で顔を覆ってしまう。
私は誠ちゃんを手で握って、上下に動かす。
「私の手、気持ちいい?」
「ば、ばっかやろう……」
声が萎む。私が先っちょを優しく撫でただけで声に勢いが無くなる。
「真由、もう出ちまうって。さっきからヤバいんだから」
「興奮してるんでしょ? 私のクリちゃんを舐めて、甘い蜜をペロペロしたから」
私は誠ちゃんの頬にキスする。
「いいよ。出して。我慢なんかしないで」
「~~~~っ」
それでも奥歯を噛んで堪えようとする誠ちゃんの顔を見つめる。可愛い。大好き。
「誠ちゃんがイクところ、ちゃんと見ててあげるから。いっぱい出して」
男の人が気持ちいい場所だって、こっそり私も調べてるんだから。誠ちゃんが私を気持ち良くしたいって思うのと同じくらい、私だって誠ちゃんを気持ち良くしてあげたいんだから。
「ね、誠ちゃん。誠ちゃんの熱くてドロドロの赤ちゃんの素、私にちょうだい」
私の唇と誠ちゃんの唇が重なる。誠ちゃんが私の背中に手を回す。私は誠ちゃんを握る手に力を入れて、上下に何度も動かした。ああ、もう出そうなんだってわかった。手の中でビクビクしてる。
「真由……俺、もう……っ!」
私の手の中で、誠ちゃんが爆発するように射精した。私の頬にまで白い点々が飛ぶほどの勢いだった。肩に、腕に、誠ちゃんの熱い雫がいっぱいかかる。
「いっぱい出たね」
「あぁ、……こんなに出たの、俺、初めてかも」
「いっぱい食べたウナギのおかげかもね」
私が囁くと、誠ちゃんは急に俯いて肩を震わせた。どうやらツボに入ったみたい。誠ちゃんが笑ってくれてるから、私は気分が良かった。それから2人で汗を流して、少し湯船に浸かって、ちょっとだけイチャイチャした。誠ちゃんと何度もキスをしていると、唇が本当にミルクセーキよりも甘くなったような気がした。
お風呂から上がると、スマホの通知ランプが点滅してた。
見ると、お母さんからの着信とメッセージ。わざわざ既読をつける気にもなれない。見なくてもわかる。どうせいつもと同じ『早く帰ってきなさい』だろう。
「どうした?」
「お母さんが待ってる。帰らなきゃ」
誠ちゃんに、なるべくうんざりとした今の感情を見せないように気をつける。
大切な家族を喪ってしまった誠ちゃんにしてみれば、まだお母さんが健在な私があれこれ言うのは贅沢な話に感じられるに違いないのだから。
「そっか。気をつけてな。途中まで送るか?」
「いいよ。タクシー呼ぶし」
「宗一郎には俺からも礼を言わないとな」
タクシーチケットは決して安いものじゃない。少なくとも、まだ大学生でしかない私や誠ちゃんの給料だけでは気軽に買えるものではないし、こうも簡単に使えるものでもない。
でも、女性の夜道の一人歩きは危ないと言って、宗一郎君は聞かない。実際に強盗に襲われたこともある彼の言葉は重いし、もし本当に何かあったら誰よりも誠ちゃんが悲しむし、苦しむ。だから私も遠慮無く使わせてもらっている。
「またね、誠ちゃん」
「ああ」
「愛してる」
「俺も」
帰り際にも軽いキスをして、バイバイする。アプリで呼び出したタクシーに乗る。窓から見ると、やっぱり誠ちゃんが外まで見送りにきてくれていた。嬉しかった。手を振って貰えたので、私も手を振り返す。
「駅までお願いします」
「はいよ。今の、恋人さんかい?」
「婚約者です」
「お熱いねえ」
「大切な幼馴染みです」
ハンドルを握る年配のドライバーさんが笑う。私も笑う。時間を確認する。これなら門限にも間に合う。私は後部座席の背もたれに体を預けて、静かに息を吐いた。