毒親に虐げられた青年は宝籤で大金を手に入れたので母親に復讐する話 作:葛轍偲刳
私は泣いていた。啜り泣き続けていた。女は黙っていた。その私の手足の拘束が、不意に緩んだ。
「?」
何の前触れもなく、いきなりだ。私は拘束台から外された。冷たい床に下ろされる。身震いするほど冷え切ったコンクリートの床。しかし、動けない。ずっと拘束され、血流を阻害されていた手足は痺れ切っている。手も動かないから目隠しも外せない。目の前に誰がいるのかもわからない。轡を止めていた革ひもが外される。しかし、ずっと開きっ放しだった口は顎の筋力も落ちているのか、動かせない。
「な、にを――?」
涙に掠れきった呻き声しか出ない。
誰かの手が私の頭を掴む。
明らかに、女の手ではない。男の手が。私の頭を押さえて、そして――
「ん、ぐっ」
大きな、男の勃起が開きっ放しの口の中に入ってくる。
大きい。私が過去に関係を持った男たちの中でも、これほどの大きさの男はいただろうか。
考える間もなく、男の勃起が喉にまで入ってくる。
「んぐ、えっ」
思わず噎せ返りそうになる。しかし、体は動かせない。口も閉じられない。
勃起を飲み込んだまま、私は男の股間に顔を埋める。
牡の臭い。久々に嗅いだ。濃厚な牡の臭い。雌の匂いも混じってはいるが、確かに牡の臭いを感じる。
舌で味わう。もう飽き飽きしていたエナジーゼリーの人工甘味料のくどい甘さとは違う。えぐいほどの強烈な苦みが舌を刺す。男の精液だ。濃厚な牡の味だ。私は、反射的に男の股間に吸い付いていた。
決して美味ではない。絶対に美味ではないはずなのに、たまらないほど美味に感じた。
「んぐっ、んんんんっ……!」
頭を振る。牡の味が頭を熱くする。亀頭から滲み出る先走りを舌で掬い取る。塩気だ。微かな塩気を舌が感じる。美味い。こんなにも美味なものがあったのか。
牡の精液がこれほど美味だと知らなかった。私は飢えていた。飢えに飢えていた。この男の精液をもっと味わいたい。もっとたくさん欲しい。もっと濃厚に味わいたい。私の口で吸い上げて、新鮮な男の精液を飲み干したい。今ここで。
「んぐっ! ぐっ!」
涎が溢れる。男の勃起と精液の臭いを味わうたびに唾液が口内に溢れ出す。このままだと涎が零れ落ちてしまう。私は慌てて顎を引く。
だが、すぐに頭を抑えられる。
「んぐっ!」
再び勃起が口内に突き込まれる。喉の奥まで届く。嘔吐感が込み上げる。だが、吐けない。私の頭を抑えている男の力は強すぎる。そして何より私の心は今や男の精液を求めて止まない。
男の手が私の頭を撫でる。優しく、愛おしむように撫でる。男の手は大きく暖かい。指先まで熱を持っている。
「んぐっ! ぐっ! ぐっ……!」
頭を上下させる。男の勃起が上下に動く。私の口内で上下に動き回る。
私の舌が勃起に絡みつく。舌の先端で亀頭を突く。カリ首を舐め回す。
男の精液をもっと味わいたい。もっと濃厚に味わいたい。
「んんんっ……!!」
頭がおかしくなりそうだった。すぐに何もかもがどうでも良くなった。
私は今、男のものをしゃぶっている。ただそれだけだ。ただそれだけしか考えられない。それだけが私にとっての真実だった。
舌を絡める。私の口内が牡で満たされる。
張り詰めた亀頭が脈打つ。ああ、もうすぐだ、もうすぐ味わえる。私は期待と興奮で浅ましく喉を鳴らした。待ち焦がれる。
「んぐっ!! ぐっ……!!」
ああ、来る。絶対に来る。間違いない。確実に来る。
私は覚悟する。準備する。男の精液を味わう準備をする。
男の手に力が籠もる。亀頭が膨張する。射精直前の合図だ。
私は精一杯に口を開ける。男の精液を受け止めるために舌を広げる。
「んんっ……!!」
喉奥に迸る白濁の奔流を受け止める。熱い。粘つく液体が食道を流れていく。咽せそうになるのを必死に堪える。
舌に絡む精液の濃厚さに恍惚となる。何よりも甘美で芳醇な味わいだった。
久しぶりに味わう本物の牡の味。こんなにも美味なものがあっただろうか。
私は口内に溢れた精液を何度も味わう。
舌の上で転がし、喉で嚥下し、また飲み込む。
最後の一滴までも逃さぬように舌を這わせる。
私は目隠しの下で目を閉じた。まるで長い乾季が終わってようやく雨を待ち望んだ砂漠のような私の体が男の精液で潤っていく。私の体も心も満たされていく。
「んぐっ……んっ……んんっ……!!」
私は呻いた。絶頂を迎えていた。ただ口で男の精液を飲んだだけなのに。たったそれだけで私の体は昇り詰めていた。
膣孔が脈打つ。膣壁が収縮する。
頭を振る。腰をくねらせる。股間を擦り付ける。
膣孔が疼く。バイブでずっと犯されてきた膣孔が欲情する。
私は男の勃起を咥えたまま絶頂を迎えた。
膣孔から潮を噴く。タイルの上に撒き散らす。
「あ……あぁ……!」
私は仰け反った。絶頂を迎えてなお昂ぶりが鎮まらない。もっと欲しい。もっと欲しくてたまらない。もっとこの男の精液が欲しい。
「口を開けろ。大きく」
その時、声が聞こえた。私は何も考えられなかった。ただ、言われるがままに口を開けた。顎が外れるほどに開いた。
ジョロロロッと何かを流し込まれる。温かい液体が喉を灼く。
これは精液ではない。違う。違う。これは――男の尿だ。
「ごくっ、ごくっ……」
だが私は飲み干した。もちろん誰かの尿を飲んだのは生まれて初めてだ。だが精液を味わうよりも美味に感じた。
塩だ。塩気だ。体が塩を求めている。何でも良かった。男の尿を飲まされているという事実すらどうでも良かった。
「ごくっ」
飲み干す。美味だ。これは美味なものなのだと体が、脳が認識する。とんでもないと反論するべき理性と自尊心を支えるべきナニカは既に失われていた。先ほど、私の心は砕けていたからだ。
「ごくっ」
喉を鳴らす。口の端から尿が零れ、私の体を濡らす。口の周りは精液と尿と涎でベタベタのドロドロ。悍ましいほどに私は汚れ果てている。
「んぐっ」
舌を出して舐める。いまだ力の入らない、震える手と指で精液と尿を口の中に押し込んで飲み込む。
「んくっ……」
私は再び喉を鳴らす。私は笑みを浮かべた。心の底から笑った。