毒親に虐げられた青年は宝籤で大金を手に入れたので母親に復讐する話 作:葛轍偲刳
バチン。バチン。
それは鞭で殴られる音か。それはある。それもある。
バチン、バチン、と。
あるいは、配線が半ば切れかけている家電製品が、動いたり動かなかったりする音にも似ていたかもしれない。今の自分の頭のように。どうにも頭が回らない。今や壊れかけている。
「あぎゃっ!!」
悲鳴を上げる。スタンガン? 電気鞭? とにかく、体に電流が流れる。痛い。筋肉が痙攣する。痛い。体が跳ねる。痛い。
「無様ね。でも、いい気味だわ。ほら、もっと鳴きなさい」
冷酷に妹が告げる。スイッチを入れる。切る。スイッチを入れる。切る。何度も、何度も。
「ぎゃぁっ!!」
「どうしたの? そんなに涙を流して。許して欲しいの?」
お願いします、もうやめて下さい。
違う!
妹が。姉よりも劣った妹が。姉に逆らってはならないはずの妹が!
「人にお願いする態度じゃないわね」
「ぎゃああああっ!!」
股間に何かが押しつけられる。尿が垂れ流しになっている股間に、電流が流れる。尿とは塩水だ。それだけ電気が流れやすい。何より敏感だ。電流が股間から頭にまで、物理的に流れていく。痛い。痛くて苦しい。
「物覚えの悪い豚だ。まあ、前からだが」
息子が立っている。その息子の股間には香織と呼ばれる女がむしゃぶりついている。それだけなら、よくあるとまでは言わないが理解できる。だが――
「香織、飲みたいか?」
「飲みたいです。御主人様、どうか飲ませてください」
口を大きく開けた女が喘ぐ。卑しく甘える。媚びる。
「いいだろう。くれてやる」
息子が放尿する。アンモニアの刺激臭が鼻を刺す。そして、それを香織が飲む。喜んで飲んでいる。喉を鳴らして、嬉しそうに。
「ああ、美味しい……とても美味しいです、御主人様」
顔面を、体を、汚されて。それでも嗤う女が気持ち悪い。まるで、近い将来に自分もこうなってしまうのかと――違う、違う違う違う!!
「香織、満足したなら豚にも馳走してやれ」
「はい、御主人様」
女が自分の顔に跨がる。尿の臭いがかかる。女の体から放尿されたばかりの息子の小便が自分の顔に滴り落ちる。
「ほら、飲みなさい。豚に相応しい餌の時間よ」
飲みたくない。
やめろ。やめて。お願――
顔に、轡で開けられたままの口に、女の小便がかけられる。
喉にまで流れ込んでくる。飲みたくないのに、飲んでしまう。喉は渇いているし、体は塩気を欲している。なんで自分が他人の小便を。でも美味しい。生温かい尿が乾いた体に染み渡る。
「んぐっ、ふぐぅっ……!」
飲みたくない。飲みたくないのに!
飲んでしまう。喉を鳴らして飲み込んでしまう。惨めだった。なんで自分が。
「次は、尿で浣腸をしてやるか。美和子の小便で体の内側を洗ってやろう」
「んぎいいいぃっ!」
次から次へと。この男は、自分の尊厳をこれでもかとばかりに踏み躙る新しい責めを思いつく。いや、それも違う。ずっと前から考え続けてきたのか。こんなことばかりを。
異常だ。頭がおかしい。
「宗ちゃん。こっちの腐れマンコには手を出さないの?」
「わざわざ悦ばせてやる義理は無いからな。最後の最後までお預けにしてやるつもりだ」
「さすが宗ちゃんね」
妹と息子が嗤う。
「香織、水をぶっかけてやれ。このアバズレの頭の中身が麦粥になるまで」
「はい、御主人様」
大量の水が頭からぶっかけられる。汚れた体が洗い流される。だが、何も変わらない。吐き気がする。気持ち悪い。なんだ、これは。こんな扱いがずっと続くのか。これからも続くのか。死ぬまで続くのか。
「あ゛ーーーっっ!!」
泣き喚く。絶叫する。もうやめて。違う。私にこんなことを。こんなことは許されない。私を誰だと思っている。私は、私は私は私は――!!!
――…………私は、誰だったっけ?