※ノクターンノベルズにも投稿済み。
「マリー。今、最後の魔物を誘導している。トラップの準備は」
『いつでも使えます。気を付けてください、フレッド様』
共鳴石からの無機質な返事を聞き取るのと同時、フレッドはさらに強く地を蹴った。
風が
二足歩行の狼のような姿をした『魔物』――その猛追をさばきながら、黒服の男は獣道をかき分けて走った。爪撃を剣で受け流し、投げナイフで動きをけん制しながら相手との距離を保つ。
激しい唸り声とともに林道を駆ける魔物は、もはや目の前の男を殺すことしか頭にないようだった。
(……そろそろか)
長く伸びた枝を潜り抜けると、少し先に木々が開けた場所が見えた。
地面に刻んだ円形の文様、その中央にある目印を踏み越えた瞬間に、男が叫ぶ。
「今だ、マリー!」
それに応えるように、近くの木陰から
追いすがる魔物をフレッドが切り払ってひるませ、その隙にひとり円を抜けた瞬間――瓶が割れて聖水が飛び散り、魔術的反応を起こした捕縛陣が青白く発色した。
――グオオォァァッ……!?
囚われた魔物はたちまち光に体を焼かれ、激しい叫び声を上げながら地面に転がった。
陣の外に出ようと手を伸ばし、全身から煙を上げ……やがて動きが弱まりはじめたころ、円の外周から光が伸びて魔物を地に縫い留める。
「……ふう。終わったか」
拘束された魔物が弱々しくもがいているのを確認しながら、男が額の汗を拭う。
これで三体目。近くの村から依頼があったのはこれで全部だ。
思っていたより強力な魔物だっただけに、予定通り各個撃破ができたことに胸を撫でおろす。森のあちこちに設置した仕掛けを使って、マリーが陽動をこなしてくれたおかげだ。
『……フレッド様、お怪我はありませんでしたか』
抑揚のない声が、男の首元に下げた共鳴石を通して伝わる。
足音のしたほうを振り向くと、そこには長年の相棒である人形・マリエッタがこちらに向かって歩いてきているのが見えた。
月光を照り返すセンターパートの長いブロンドヘアーが、歩みに合わせて風になびく。
幼さと美しさを兼ね備えた感情の薄い顔つきが、男の顔をじっと見つめている。
体にまとう服の下でときおり聞こえる「きしり」という継ぎ目の音や、外部にむきだしになった肘や膝などの球体関節がなければ、誰もがこの少女のことを人間だと疑わないだろう。
「お疲れ様、マリー。特に怪我はないよ、大丈夫だ」
『……嘘。ここ、血が滲んでいます』
額に埋まった青い共鳴石を光らせながら、マリーは腕を伸ばした。男の胸元、服が裂けた部分に人形の指がぴたりと触れる。
『ああ……フレッド様の大事な体に、傷がついてしまうなんて……』
しなだれかかるように体を寄せながら、少女が傷の近くを撫でる。
フレッドの
「大丈夫、大した傷じゃない。放っておいたら治るよ」
『ですが、フレッド様に万が一のことがあったら……』
「相変わらず心配性だなマリーは。ありがとう」
そう言いながら、男は少女の頭を抱くように撫でた。
さらさらとした髪を指で梳くたびに、額の青石が言葉もなくゆっくりと明滅する。
体に隠れていて顔は見えないが、これは彼女にとっての感情表現――喜びの意思表示をしているのだと、長い付き合いのフレッドにはよく分かっている。
「さあマリー、早く終わらせてしまおう。いつものようにやってくれ」
ひとしきり後頭部に触れたあと、男は少女の肩を掴んで身を離した。
その瞬間、『あ……』と石が強く光を発する。どこか名残惜しげな沈黙を数秒ほど作ったあと、マリーは拘束されたままの魔物に向かっていった。
『……はい。早く終わらせて帰りましょう、私たちの家に』
少女が、魔物のそばにひざまずいて手を
両手は次第に青色の燐光を帯び始め――魔物の全身が光に包まれたかと思うと、その体が溶けるように崩れていく。
残った亡骸からは黒い靄のようなものが浮かび上がり、マリーの指先から胸元へと這い上がるように巻き付いた。それは少女の体を侵すようにまとわりついたあと、やがて染み込むように白い体の中に消えていく。
『終わりました』
「ありがとう。あと二体いるけど、このままいけそうかな」
『はい。いつも通り、フレッド様の精を与えていただけるのなら』
「……分かったよ。じゃあ、行こうか」
男は一瞬だけ複雑そうな表情を浮かべながら、少女の体を両手で抱え上げた。軽く、体温を感じない体の各所から関節球の音が鳴る。
腕の中で微動だにせず、男の顔をじっと見つめるマリーの視線にむずがゆいものを感じながら、フレッドは月明かりの中を歩き出していった。
◆ ◆
人間が生み出す邪念や妄念が、形を為したとされる存在である『魔物』。
その脅威に対抗するため、古来より人々は超常的な能力を持つ者同士で結社を組織し、魔の物たちとの永い争いを続けてきた。
その中でもフレッドの人形操術は、古代からの呪術の一種。精巧なヒトガタには人間の念が宿りやすい性質を利用し、弱った魔物の念を人形に取り込ませて無力化するという技術である。
そこからの対応は術者によって異なる――魔物の再発生を防ぐために、儀式を行い完全に浄化する者。取り込んだ念を使役して操る者。更なる強力な呪術の触媒として消費する者。
フレッドの一族は、その中でも一貫して浄化の道を選んできた。
しかし、その浄化の方法は、一般的な儀式とは少しだけ趣が異なっている。
『あぁ……フレッド様のお体、本当に逞しい……』
村はずれにある家屋の一室。その寝室の椅子に背を預けた男は、長年連れ添った人形からの愛撫を受けていた。
薄絹一枚のベビードールだけをまとったマリーは、フレッドの腿にまたがりながら胸板にすがりつき、自らの体を押し当てる。丁寧に研磨された木製の肌が、男の下腹部につるつると滑らかな感触を残す。
そんな中、柔らかく弾力があるよう作られた胸の膨らみは、一生懸命に分厚い体を擦り上げていて、男の性感と情欲を刺激した。
『どうですか……? 気持ちいいですか、フレッド様』
「ああ。だけどマリー、今日はちょっと激しくないかな」
『最近、あまり魔物も出ませんでしたから……この機会に精いっぱい、ご奉仕がしたくて……』
儚げな声とともに額の石を光らせながら、人形の少女は上下の動きを大きくする。
幼い子どものような体から伸びた両腕は、男の脇腹を過ぎたあたりで止まってしまっているほどに小さい。抱く、というよりもしがみつくという言葉の方が相応しいほどに、二人の体格差は隔絶している。
傍から見れば、年端も行かない少女に淫らな奉仕を強いているような背徳的な光景……これが、フレッドの一族が古来から行ってきた浄化の儀式の一種であった。
男の股間では既に、二十センチを超える巨根がびくびくと震えて存在を主張している。
少女は男に抱き着いたまま腰を寄せ、互いの体で陰茎を挟んだ。自身の胸を擦り付ける上下の動きに加えて、腰を前後させる動きも織り交ぜながらフレッドの興奮を煽っていく。
『ああ……すごいです。とっても大きい……』
「っく、マリー……やっぱり、激し……」
男の膝の上に乗っかってもなお、胸板までしか頭が届かないほどの
それでいて、いやらしく腰を振り立てる動きは熟練の娼婦のようによどみがなく、いかにこの性の営みが長く行われてきたかを伺わせている。
『フレッド様の立派なペニス……私に挿入していただけるなら、こんなことをしなくていいのですけれど』
「それは駄目だって言ってるだろう。こんなもの、君の体に入るわけない」
『入ります。フレッド様のためなら、受け入れられます……』
しゅり、しゅり……木目が陰部を擦る感触に、男が上半身を震わせた。
セックスへの誘惑に、心が揺らぎそうになるのを必死で堪える。
他にこのような手段を取る家系など存在しない、淫らな手段での浄化。
少女が居るからこそ、今の
だからこそ、下手に彼女の体を扱って壊してしまうことがあってはならない――天井を仰いで快楽に抵抗する男を見た少女がふと、男から体を離した。
椅子のひじ掛けにかちゃかちゃと両手をついて、体を浮かせる。そのままマリーは、自身の股間を突き出すようにしてフレッドのペニスに押し付け、ぐりぐりと上下に刺激し始めた。
「なっ、いつの間に封を剥がして……」
『すみません。このほうが、より貴方を気持ちよく出来るかと……』
少女の足の付け根に設けられた膣口――その淡い桃色の陰裂からは透明な粘液が溢れて、びくびくと脈打つ肉槍の根元から先端までを、瞬く間にてらてらと濡れ光らせていく。
マリーの奉仕に身を震わせる男の足元には、数分前まで少女の股間にぴったりと張り付いていた黒い札が打ち捨てられていた。
球体の関節部を除けば、人間の幼子とほぼ遜色ないマリーの肢体。
それは美しい外見に留まらず、一族の思想に従い、その膣までもが極めて精巧に作りこまれている。
加えて、魔物の妄念が過度に侵食することを防ぐという目的で、事前に膣内に注入される特別製の聖水――それが封を剥がれて流れ出し、男の大きな肉棒に一段上の刺激を与えていた。
「ま、マリー……こんなにされたら、あんまりもたない」
『フレッド様のペニス、私の膣に挿れていただけない代わりに……せめて気持ちよくして差し上げたくて』
「だ、だからって、こんな……」
暖炉で薪が弾ける音に混じって、ぬちゅぬちゅといやらしい音が立つ。
窓から差し込む月明かりの中で、人形が薄絹ごしの裸身と金髪を躍らせている。
射精を促すためだけにインプットされたようなその動きは、古に存在した淫魔を彷彿とさせるほどに淫猥でよどみがない。
マリーの自意識――フレッドの一族の代替わりごとに新しい人形に引き継がれてきたそれは、強い感情表現をしたことはない。
しかしその割りに、紡がれる言葉や体の動きは、まるで男の理性を壊す方法を知り尽くしているかのような艶やかさを伴っている。
例えヒトではなかろうと、フレッドにとっては昔からの仲間と変わらない――そんな少女が自ら陰茎に奉仕をしてくるその様子に、たちまち射精欲が掻き立てられる。
「マリー、本当に、もうやめ……っ」
『ああ、フレッド様、フレッド様っ……』
男の制止も空しく、熱に浮かされたかのようなマリーの腰つきは止まらない。
むしろ、フレッドの快楽に満ちた表情を愉しむかのように、その動きはさらに早まっていく。
ぬちゅぬちゅ、くちゅくちゅくちゅ――泡立って粘りを増す液体を介して、男女の陰部が激しく擦り合わされる淫猥な音が響く。
男は、このまま身を任せてしまいたかった。
いつになく激しい愛撫。
興奮しているかのように上擦って聞こえるマリーの声。
このまま射精できたら、どんなに気持ちいいだろうか。
しかしそれでも、あくまで自分は魔を狩る者――そんななけなしの
「……マリーっ!!」
咆哮のような叫びとともに、フレッドは椅子から立ち上がった。
勢いのまま少女の体を乱暴に抱き上げると、目の前のベッドにためらいなく放り投げる。羽根のように宙を舞ったマリーの体は、薄いマットレス越しのベッドに着地してかしゃんと音を立てた。
間髪入れず、獣のような勢いでベッドに乗り上げた男が少女の体を組み敷く。
びくびくと震える暴発寸前のペニスを振り乱しながら、マリーの両脚を上に持ち上げて無防備な膣口を上に向けさせた。
「マリー、出すぞ……!!」
『はい。フレッド様の精液、たくさんくださいませ……』
許可を得た瞬間、フレッドは自身の亀頭の先端を膣口に押し込み、ぐ、とわずかに埋没させた。
男性器でできた橋が、二つの体を繋げた瞬間――男は、我慢していた衝動を解き放つ。
「あっ、マリー……出る、出るっ……!!」
――びゅーーーーっ、びゅっ、びゅるるっ、びゅくっ、びゅくっ……。
巨根が脈動するたびに、おびただしい量の白濁液が鈴口から噴出し、マリーの膣道へ注ぎ込まれていく。
体内の聖水をほとんど使い切り、空っぽになっていた膣内が精液で満たされる。男の陰嚢が震えるたび、常人の倍近い量の種汁がポンプのように送り出されていく。
やがて、収まりきらなくなったそれはとぷとぷと溢れ、マリーのつやつやとした股間や太ももを白く汚していく。
それでもなお続く射精は、フレッドの思考を至福の感情で満たした。いくら魔物祓いという名目があっても、種付けという原始的な本能の充足までは抑えられない。
「はぁっ、はっ、はっ……マリ、ぃっ……!!」
時間をかけ、最後の一滴まで絞り出した男は、枕元に手をついてぜえぜえと息をした。少女の上に倒れ込みそうになるのをなんとか堪え、息を整えることに集中する。
肩を上下させるたびに、未だ硬いままのペニスが秘裂を上下し、くちゅ……と音を立てた。その扇情的な音と光景に、全身の血がまた集まっていくのを男は自覚する。
『……フレッド様。お恵みをくださり、ありがとうございます。ですがまだ、貴方が……』
「駄目だよ、マリー。男は一回出したらもう終わりだ」
自分自身をごまかすための嘘をつきながら、男はベッド脇に置いておいた黒い耐水性の札を取り出した。
そして、小さな窪みから精液を吐き出し続けているマリーの股間にぺたりと札を張り付け、膣を塞ぐ。
『……はい。これだけいただければ、日の出までには浄化できそうです』
少女が、両手を腹に添えた。
その下腹部、子宮のあるあたりには黒い羽根を広げたような黒い紋があり、ゆっくりと赤く明滅するのを繰り返している。
「そうか。じゃあ、ちょっと体を拭いて来るよ。君が聖水を擦り付けたせいで、また体が汚れてしまった」
『……申し訳ございません。ご迷惑、だったでしょうか』
「いや、とても気持ちよかったけど……もしああしたいなら、事前に教えてくれ」
『わかりました。フレッド様が望めば、私はいつでも』
「魔物が出た時だけだよ、マリー」
『……むう』
少女の顔に、どこか不満げな色が滲んでいる気がする。
人形ゆえに表情には乏しいが、男にとって彼女の感情は、額の石の光りかたで十全に察せる。
ちかちかと激しく額を明滅させる様子に対して笑みを浮かべながら、フレッドは寝室を出て洗い場に移った。
先ほど沸かしたぬるま湯にタオルを浸す。
体そのものは家に帰ってすぐマリーに全身
問題は、先ほどマリーの体内に射精したばかりの部位。
未だに血流が通い、がちがちに勃起したままの肉棒。
(…………っ)
びくびくと震えるペニスが何を訴えているか、持ち主であるフレッドには容易に察せる――いつまで我慢しているのか。早くマリーの膣の中に入らせろ、と。
少女の体内に精液を注ぐのは、悪魔祓いの儀式の一環。
魔物の核である邪念を浄化するための触媒として用いられる、男の精液。それを体に留めおくための女体と膣の模倣。
ゆえに、精液さえ注入できるならセックスは必要ない。
頭では分かっている。あくまでこれは、悪しきもの達への対抗手段。
――魔物と戦った日の翌朝は、マリーの体をメンテナンスするのが常となっている。
四肢を分解し、関節部の潤滑油を差し替え、機構に異常がないかを確認する。少女の頭部にその作業の一部始終を見守られながら。
その際にはもちろん、股間の札を剥がして膣パーツを取り外し、内部を丁寧に洗浄する。
マリーの小さな体に相応しい、男の手首から指先までの長さにすら満たないサイズのパーツ。
先祖代々伝わる人形設計の心得や各所の図解の中で、なぜかこの部位は異常に緻密に作ることを指示されている――その部位を、フレッドは自らの指で洗う。
膣口を指で拡げると、ぴっちり閉じた淫裂が押し開かれる。こぽっ……と音を立てて、昨晩に自身が吐き出した濁液が泉のように湧き上がり、とろとろと流れ出していく。
人差し指と中指の二本を挿入していくと、聖水と混じり合った粘液が絡み付く。膣壁を模した、びっしりと並んだ粒状のひだひだが、ぞりぞりと皮膚を刺激する。
第二関節まで入れたら、二本の指の隙間をわずかに広げて洗浄液を注入する。きつく締まった内部を押し広げて指を根元まで入れ、ぐちゅぐちゅと汚れを削ぎ落す。
その様子を、マリーは青石を光らせながら見ている。
こびりついた精液を落とすためには、激しい指遣いにならざるを得ない。
ぬちゅぬちゅ、ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ――内部の液体が激しく音を立てる。
肉棒の代わりの部位が、マリーの膣をかき混ぜる。
少女の目の前で、べとべとの液体がしぶきを上げながら外に出て行く。
白濁液がだんだん透明になっていて、粘り気も消える。
あとには、人形の膣の感触だけが鮮明に、二本の指を擦り上げていく――
「…………はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」
気づくと、フレッドはタオルを放り出して激しく自慰を始めていた。
先ほどの、マリーが自身の股間でペニスを刺激してきた感触が鮮明に思い出される。
初めのうちは、少女からの奉仕などなかったのに。
自分の手で擦って、膣内に吐精するだけだったのに。
ある時からマリー自身の申し出で始まったそれは、手袋を着用した手淫に始まり、胸をはじめとする体での愛撫を経由して、今日はとうとう秘部同士の擦り付け合いにまで発展した。
脳裏に響く、かしゃかしゃとした関節の感触。普通の男なら、それだけで萎える者もいるかもしれない。
だがフレッドにとっては、そんなことは些末事に等しい。
悪魔狩りのために命を預け合う少女が、性欲を解消するための奉仕をしてくれているという事実だけで、無制限に欲情を昂らせてくれる。
最近はいつも、心に秘めた悪魔が囁く。
自分から腕を広げて、自ら膣口を晒して、セックスをしてほしいと懇願する少女――それに何を遠慮する必要があるのか。
人間の年齢で言うなら二桁にすら満たないような体格。実際の少女相手にそれをすれば誹りは免れないだろう。だけどマリーは、人形だ。
いざ挿入すれば体が壊れてしまうから、などという建前。
本当はもうとうの昔から、フレッドは愛しい少女と思い切り交尾したくてたまらなくなっている。
マリーの小さな体をベッドに組み敷いて。
細い手足を力で抑えつけ。
胡麻粒のような小さい膣口に、このペニスを無理やり捻じ込んで。
フレッド様、フレッド様……と名前を呼ばれながら。
思う存分腰を振り、何度も何度も、少女の奥に自身の種を注ぎ込む――
「マリー、マリ……っ、あっ、あ…………っ!!」
――あっけなく、男は射精した。
二度目だというのに、勢いよく発射された汚濁が洗い場の壁にびちゃびちゃと降りかかる。
肉棒が震え、そのたびに尿道の膨らみを解放し……やがて脈動が収まったときには、少女の膣を満たして余りあるほどの液体が床に溜まっていた。
「…………ふっ、ふっ…………マリー……っ」
自分は、祓魔師。
邪念を払う存在である自身が、邪念に流されるなどあってはならない。
かつては確固たる決意だったはずの、その熱意。
それが今、ぐらぐらと揺らぎつつあるのを、フレッドは心の片隅で自覚していた。
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硬質な爪と剣が打ち鳴らされる音が、朽ち果てた教会の跡地に響き渡った。
背中に大きな黒い羽を生やした人間体の魔物が、フレッドに向けて流れるような体術を繰り出す。
爪での斬撃をいなした瞬間に、鋭い蹴りが脇腹に飛ぶ。バックステップでそれを避ければ、後を追うような激しい突進を受けて体が後方に吹き飛ばされる。
かろうじて繰り出した反撃も舞うようにあっさりとかわされ、ついでのごとくに振るわれた翼は防御した腕に焼けるような痺れを残した。
(強い……! 何だ、この魔物は……)
防戦一方のフレッドは、横殴りの雨を思わせる猛撃を必死で受け流す。
魔物の動きには一切の淀みがない。今まで相手取ってきたものたちとは強さの桁が違う。
力任せに暴力を振るうだけではない、明らかに洗練された殺意を持つ敵。
月明かりに照らされたその肉体は、紛れもなく裸の女のそれだった。攻撃のたびに豊かな乳房が大きく揺れ、艶めかしい曲線が月光を照り返す。
しかしそれが生者でないことは、石膏のように血の気のない肌と鋭い牙の様子から明らかだった。初めて対峙した人間の形の敵――その動揺が、フレッドの心身を瞬く間に追い詰めていく。
『フレッド様……! 私も援護を』
「来るなマリー!! 君をかばいながら戦うのは無理だ!」
『しかし……』
「いいから君は待機していろ! ポイントD! もし俺が殺されたら君は一人で逃げてくれ!!」
『……』
首元の共鳴石に向かって怒鳴りながら、男は魔物に意識を向ける。
体が小さく軽いマリーでは、可能なのはあらかじめ仕込んだトラップ発動の補助か聖水瓶の投擲くらい。直接の援護など、わざわざ死にに来る以外の何ものでもない。
廃墟を抜けて森の中に後退する余裕すらない。
自分はここで死ぬかもしれない。
今、マリーに指示した地点はこの場から一番遠い場所。
俺が駄目でも、せめてあの子だけでも生きているなら――そんな一瞬の気の緩みが、敵の攻撃をさばく手をほんの少し鈍らせた。
「しまっ……!!」
剣での受けが間に合わず、胴が鋭い爪で薙ぎ払われた。
肉が裂けて血が飛散する。全身を襲った痛みに体が傾ぎ、足の力が抜ける。
そこまで深い傷ではない。まだ致命傷には至らない。
しかしこれでは、もう――
『――フレッド様っ!!!』
男の共鳴石が、びりびりと振動した。
指示したポイントの方向とはまるで違う、すぐ近くの草むらから小さな影が飛び出してこちらに向かってくる。
「馬鹿っ!! 来るなぁっ!!!」
男の絶叫も空しく、少女の足は止まらない――その様子を見咎めた魔物の動きがぴたりと止まった。無機質な瞳が、フレッドからマリーのほうへ視線を移す。
細めた両眼に赤い光を閃かせた魔物は、一瞬体勢を低くした次の瞬間、矢のような速度で人形の少女に突進した。
「マリーっ!!!」
魔物の腕が後方にしなり、勢いよく突き出される――少女の胸の中央に、鋭利な爪が深々と突き立った。
ごしゃり、と硬質な素材が砕ける鈍い音が響く。木製の体をやすやすと貫通させた魔物は、くたりと前のめりになった少女を夜空に向かって持ち上げた。
マリーの体の隙間から漏れ出た潤滑油が、血の代わりにぽたぽたと地面に流れ落ちていく。
フレッドは、呆然とその光景を見つめた。
しばらくの間、魔物は少女を空中にぶら下げたまま静止し――ふと、何かに気付いたかのように首を傾げた後、かっと目を見開いた。
「…………コンナ、トコロニ……」
ごぼごぼと濁った声を、魔物が発する。
無表情だったその顔に一瞬、禍々しい笑みを浮かべたかと思うと、魔物の体が真っ黒に変色した。
全身の形が霧の塊のように溶けて崩れたかと思うと、マリーの体に開いた穴からそれらが急速に吸い込まれていく。
『……っ!? く、あっ、ああぁぁぁ……っ!?』
これまで聞いたこともない苦悶の声を、マリーが発した。
空中にぶらさがった少女の体が、ひきつったように硬直する。
やがて、魔物の影が最後の一片まで吸い込まれ終わった瞬間、その
「マリー! おい、マリー!!」
フレッドは傷の痛みも忘れて少女に駆け寄り、体を抱き起こした。
その胸には、魔物の爪で抉られた大穴が開いている。人間であれば間違いなく即死しているだろう痛ましい光景。
しかし人形である少女は、男の問いかけに顔を歪めながら答えた。額の石は、今にも消え入りそうなほど弱々しく点灯している。
『……フレッド、様。大丈夫です、頭部の
「そ、そうか。良かった……さっきの魔物は今、君の中に?」
『はい……膨大な邪念を、感じます。なぜ、私、の…………』
言いかけた少女の体から、唐突にかくんと力が抜けた。
男の顔に向かって持ち上げられようとしていた手の甲が地面に落ち、無機質な音を立てる。
「……マリー? マリー!」
『…………』
呼びかけても反応がない。体をゆすっても、かしゃかしゃと音が鳴るだけ。
その様子に、フレッドはひどく動揺した。今までこのような、人間の失神に近い状態に陥ったことは一度もない。
そしてそれ以上に、少女の木製のボディ……夜気を受けて冷たく感じるはずの体が、なぜか熱を発し始めている。
男は少女の体を抱え上げ、慌ただしく走り出した。
核には異常がないと本人が言う。ならば原因は恐らく、自らマリーの中に取り込まれていった先ほどの魔物。
『………………ん……』
フレッドの頭の中は、焦りと疑問で満ちていた。
これまでにない人間体の敵。
高い戦闘能力に加えて、言葉らしきものを発する知能。
祖父の代ごろまでは、そうしたものもちらほら見られたと聞く。しかし結社の尽力の結果、今や強力な魔物たちはほとんど姿を消したのだとフレッドは父から聞き及んでいた。
しかし先ほどの魔物はまさに、実家の文献で目にした特徴と似通っている。
武器にもなりうる長い爪。
蝙蝠のような大きく黒い翼。
対面時、思わず息を飲んでしまったほど美しい容姿と、豊満な女体。
それらが示す特徴。それの正体が何であるかを、読んだ覚えがある。
あれは、まさしく……。
『……ん、ぁ…………っは、ん……』
ふと、首元の共鳴石が震える感触に、男は足を止めた。
耳を澄ますと、少女の上擦った吐息のような音が聞こえてくる。
マリーの意識が戻ったのかと、心を弾ませたフレッドは視線を落とし――そこで、信じられないものを見てしまった。
腕の中の少女が……人形の体が、小さく震えている。
いつの間にかローブの裾をまくり上げ、むき出しになった少女の下腹部。そこには、出発前にも張り付けたことを確認した黒い札が、いつの間にか剥がされてなくなっていた。
あらわになった、淡い肉色の秘裂。
その膣口に、マリーの小さな球体関節の指が、深く沈みこんでいる。
『あっ、あ……ふぅっ、ん……』
内部から漏れ出る聖水を、球体関節の指がかき混ぜる。
手首をしならせて、指が先端から出入りするたびに、くちゅくちゅと液体が泡立つ音がする。
時おり少女の声が大きくなり、背中をぴんとのけぞらせて、そのたびに指使いが激しくなる。
『っひ……くぅ、あ……♡』
額の石が、赤い光を放つ。
肉穴をじゅぷじゅぷと前後していた指が、ふいに根元までずっぷりと差し込まれ、内部をほじるような動きに変わった。
ぐりぐりと狭い肉穴がかきまぜられるたびに、甲高い悲鳴のような音が石から響く。
腰が上下に痙攣するたびに、赤色の明滅が大きくなる。
ヒトガタの筈の体が、ますます熱を発する。
胸に大穴を開けたまま……愛しく美しい少女は、喘ぐような音を出し続けた。
『あんっ、あ……♡ フレッド様、フレッド、さまぁ……♡』
「…………っ」
どう見ても、それは自慰にしか見えない。
人形である彼女が。感情を持たないはずの相棒が。
男の名前を呼びながら、男の腕の中で、自らの秘部を慰めている。
本来ならありえない筈の、奇妙で背徳的で、淫靡な光景。
フレッドはごくりと喉を鳴らした。
少女の様子は明らかにおかしい。平常ではない。先ほどの淫魔と思しき魔物の悪影響が確実に現れている。
人を堕落させるだけでなく、かりそめの命にまで干渉する強力な呪い。
一刻も早く浄化しなければならない。マリーのことを、救わないといけない。
使命感を胸に駆け出した筈の、男の足取りはぎこちなかった。
マリーがフレッドの名前を呼ぶたびに、服の下で勃起した陰茎がどんどん硬さを増し、無様に揺れて歩みを乱す。
それをごまかすように少女の体を強く抱き締めた男は、何も考えないようにしながらひたすらに夜の道を進んでいった。
◆ ◆
息を切らしながら、人目を避けて村はずれの家に転がり込む。
発熱するマリーの体をベッドに横たえたフレッドは、すぐさま服を脱ぎ捨てて全裸になり、傷の上から包帯をぐるぐると巻きつけた。
消毒も縫合もしていない患部がじくじくと痛みを発しているが、気にしている暇はない。今もなお自分を慰めているマリーの胸部、穴の開いた体のふちからは黒い瘴気のようなものが途切れなく立ち上っている。
一刻も早く、淫魔の残した邪気を祓わなければならない。
男は焦燥に駆られながら、ベッドに乗り上げた。その股間にはすでに、ぱんぱんに膨らみ臨戦態勢を整えた肉棒が振り子のように揺れている。
「待ってろマリー。今、楽にしてやるからな……」
巨大な幹を手に取りながら、フレッドはマリーの体ににじり寄った。
熱に浮かされたようにオナニーを続ける少女の手をどけると、聖水でびしょびしょになった花びらが小さな口を開けているのが見える。
男がどくどくと心臓の鼓動を打ちながらも、小さな足を持ち上げようとした、その時だった。
『フレッド、様……』
か細く、震えるような音が響く。
男が視線を落とした先には、伏し目がちに俯きつつもフレッドの瞳を見返すマリーがいた。そのガラスの瞳はなぜか人間と同じように潤み、濃密な情欲の色をたたえている。
「マリー、話は後だ。とりあえず先に処置を」
『お願い、です。中に……私の中に挿入して、直接、精液を……』
「…………は?」
思いがけない言葉に、フレッドの思考が凍り付いた。
――なぜそんなことを急に? 浄化のためなら挿入は必要ない。これも淫魔の力の影響か?
逡巡する男の前で、そろそろと秘部に両手を伸ばした少女が、膣口を指でくぱっと広げる。
『さっきの、魔物の念……一度のお恵みだけでは、とても浄化できそうにないくらい、強くて』
「……それと、君の中に入れるのと何の関係が?」
『一度だけじゃ、駄目なんです。二回、三回……いつもより、たくさん、ほしくて』
「…………」
『でも、フレッド様が、自身で手淫なされるのだと……きっと時間が、かかりすぎてしまいます……』
少女は自ら開いた入り口を、男に見せつけるように上下させた。
細い腰がみだらに動くたびに、発熱した体で暖められた体内の聖水が、薄い湯気を立ててねっとりと股間を垂れ落ちていく。
『お願いです、フレッド様……。私の体と、この膣を使って、何回も、何回も……フレッド様の精液をいっぱい、私にください……』
熱に浮かされたように少女が懇願する。
へこへこと、フレッドの情欲を煽るように滑らかな腰を振り乱すその様子は、普段の少女の言動からはかけ離れている。
擬似とはいえ、お互いの性器を擦って何度も体内に吐精しろという――それはもう浄化の儀式という建前すら捨てた、ただの性行為ではないか。
……男は口を開いて何かを言いかけ、そのまま飲み込んだ。
そうだ。
マリーの言うとおりだ。
あれだけ強力な魔物なら、一回分の精液では浄化に足りないというのも頷ける。
手淫だけでは繰り返し吐精するのに時間がかかるだろうのは事実。
一番簡単に刺激が得られるのが彼女の体だというのも、事実。
合理的だ。
仕方ない。
彼女のことを救うためなら、やむを得ない。
「……わか、った。マリーが、そういうなら」
欲望の免罪符を得たフレッドが、擦り切れるような笑みを浮かべた。
ベッドの奥にある枕をひっつかむと、マリーの小さな腰の下にそっと差し入れる。下半身が無防備な角度に持ち上がり、薄桃色の淫部があらわになる。
普段は札で隠されている場所。
あまり直視しないようにしている場所。
指だけでその感触を何度も、味わってきた場所。
フレッドはマリーに覆いかぶさるようにして、両脚を付け根から持ち上げた。関節部の球体がきいきいと鳴り、細い脚のかかとが肩の付近まで持ち上がる。
改めて見た少女は本当に美しく、愛らしく、そして小さい。
少女の腕の下に広がっている、ブロンドの長髪。
男が真下に目線を向けてもまだ足りないほど、寸詰まりで短い背丈。
そんな娘の股間に今、硬くとがった陰茎を押し当てている。
熱く濡れた入り口に、先端をぴとりと押し付ける。
今から、この体の中に、挿れる。
「……マリー、本当にいいのか」
『はい……フレッド様の、大きなもの、ください……』
その言葉を合図に、フレッドはゆっくりと腰を沈め始めた。
ねち、と粘り気のある音を立てて、大きな亀頭の傘が膣口をこじ開ける。指の一本ですら抵抗があった狭い穴に、その数倍の太さの肉幹がずぶずぶと入り込んでいく。
「うぁっ……あ、あっ……!?」
人肌以上に温まった聖水にペニスが沈んだ瞬間、フレッドは女のように喘いだ。
これまで何年も連れ添ってきた相棒。
人形だということをしばしば忘れるほどの容姿。
その体の中に、本当に、自分のペニスが入っている。
ぬるぬると熱い粘液をかき分けて。針の穴のように閉じていた擬似肉穴を潜り抜けて。
マリーの中に、自分のものが、入っている。
『あっ……あ、ぁ……♡ ふれっど、さまぁ……』
「っふ、ぐ……ぅっ……!」
フレッドは歯を食いしばり、一ミリ、また一ミリと己の分身を少女の体内に押し込んでいく。そのたびに男の体重がかかったマリーの体が各所で音を立てた。
人間と遜色ない膣の模倣。
ただでさえ狭すぎる穴の締まりと相まって、男の肉竿が前進するたびに、ざらざらとした粒状のひだが裏筋をねちっこくぞりぞりと摺り上げる。そのたびに、男は快感に背筋をびくびくと震わせた。
初めて侵入した少女の膣が気持ち良すぎて、ほんの少しずつしか進めない。
男は体勢を維持できなくなり、挿入したまま亀のように体を丸めた。
『おっ、きい……はいって、きてます、ぅ……♡』
恍惚としたマリーの呻きを、フレッドは意識から排除した。まともに聞いたら、それだけで射精してしまうような気がした。
サイズ違いの肉棒が、内壁をみちみちとはちきれそうなほどに押し広げながら、やっとの思いで道の中ほどまで進む。興奮のあまり、男がベッドに鼻血を滴らせている。
ぬじゅ、ぬぢ、ぬちちち……と、膣壁にこすり付けられた聖水が粘ついた音を立てた。狭い空間を肉塊が埋め尽くしていく代わりに、液体が外に押し出されて漏れ落ちていく。
大男が幼女に覆いかぶさり、羽交い絞めにした矮躯に性の暴力を植え付けているようにしか見えない光景。
しかし、巨体にのしかかられて体内を蹂躙されながらも、マリーの懇願は止まない。
もっと、もっと……と催促する声にこたえるために、唸り声を上げながら男が進んでいく。
そして、ついに。
ペニスの半分と少しが入ったあたりで、陰茎が最奥に行き当たった。
ぐいぐいと腰を突き出しても、薄く柔らかい感触に阻まれる。
下を見ると、自身の肉棒が間違いなく、マリーの股間に突き立っているのが見える。
膣の奥に届いた。
本当に、入れてしまった。
いつからか、ずっと我慢していた。
叶わないと思っていた。
命を預けた相棒との。
マリーとの、セックス。
「……うあっ、あ……っ! 出るっ、でっ、出るっ……!!」
震えるような内部の狭さ。
愛しの少女と本当に一つになれたという、圧倒的な多幸感。
肉体と精神両面の刺激は、あっさりとフレッドの陰茎を暴発させた。
――びゅるるるっ!! びゅるっ、どくっ、どくんっ……。
尿道が波打ち、熱い白濁の塊がマリーの奥底に叩きつけられる。
覆いかぶさった男が巨根を脈動させるたびに、少女の体が愛らしく痙攣した。びゅくびゅくと陰嚢の中からせり上がる濁液の勢いは、痙攣が十を超えてもなお続いている。
『あぁっ……ふれっどさまの、せいえき、でてる……♡』
「はぁっ、はっ……マリー、まり、ぃ……っっ!!」
長年ため込まれた、欲望の放出は止まらない。
しかし男のペニスでみっちり埋め尽くされた膣道は、それを留めておけなかった。行き場を失って逆流した精液が、竿と膣壁の隙間をつたって二人の接合部からどぽどぽと溢れ出していく。
浄化のために精液を留め置くという目的との矛盾――そのことにも気づかず、中出しの余韻に浸るフレッドに向かって、マリーが緩やかに細腕を伸ばした。
『……フレッド様。まだ、これではまだ、足りません……』
「……マリー」
『あの魔物を、浄化するために……もっともっと、せいえきを、ください……』
「マリーっ!!」
男が勢いよく巨体を起こし、陰茎を挿入したまま少女の腰をがっしりと掴んだ。
玩具のようにマリーの下半身を持ち上げて膝立ちになった男は、ぬちゅぬちゅと音を立てて腰を揺らし――次の瞬間、より硬さを増した肉棒を思いきり、どぢゅんと最奥に突き立てた。
『くひ、ぃっ!?♡』
赤く明滅する共鳴石が、少女の上擦った声を伝える。
まるで人間の感覚があるかのようにマリーが喘ぎ、目を見開いて悶絶し、宙にぶら下がった体をびくびくと痙攣させている。
その様子に、たちまち獣欲をかきたてられたフレッドは思いきり腰を引いた。
少女の望み通りにするために。
自身の望み通りにするために。
――マリーの膣に、自分のペニスはちゃんと入る。
問題なく動かせる。
気持ちよくさせられる。
そのついでに、魔物の浄化もできる。
メリット尽くしだ。
やらない理由がない。
ならもう、何もためらう必要がない。
「……マリー、セックス、するぞ」
『はいっ……フレッドさまと、セックス、したいです……♡』
その同意は、男の理性のタガを完全に外した。
大きな手に掴まれた少女の木製の腰が、みしみしと悲鳴を上げる。
好きに扱っていい、雌。
男は大きく息を吸い込んだ直後、一切の容赦がないピストン運動を開始した。
――ずぶっ、ぢゅぷっ……ずんっ、ずんっ、ずんっ、ずんっ!!
『あっ、ああぁぁっっ!!♡♡ フレッドさま、はげ、しっ……』
「うるさい!! お前がセックスしたいって言ったんだろうがッ!!」
マリーの悲鳴は、今のフレッドにとって脳に染み込む媚薬でしかなかった。
杭を打つような腰遣いのたびに、ぶちゅぶちゅと膣内の汁が激しくかき混ぜられる。
がっちりと宙に固定された下腹部が肉の凶器で突かれるたび、少女の上半身はかしゃんかしゃんと木の葉のように踊った。
出したばかりの白濁をかき分け、聖水を追い出し、今度は男の側が少女の膣ひだをめくり上げんばかりに責め立てる。
『すごっ、いっ♡ フレッドさま、フレッドさまぁっ♡♡』
「マリー、マリー! マリーっ!!」
ぱちゅぱちゅと激しい水音に混じって、獣のようなフレッドの咆哮とマリーの嬌声が響き渡る。
いつもは表情の薄い少女の顔が、色に狂って熔けているように見える。
これも淫魔の……と思いかけ、男はその考えを打ち捨てた。
どうでもいい。
マリーの体内を思うさまに耕すフレッドは唐突に、深く突き入れたまま前後の動きを止めた。
『あ、ぁっ!? フレッドさまの、おくで、ぐりぐり、ぃっ……♡♡』
腰を回して内壁を味わうたびに、少女の体から濁った嬌声が上がる。
飛び散った男の汗が少女の肌に張り付き、窓からの月明りをいびつに反射した。
中の壁から伝わる感触に打ち震えながら、マリーの奥底を亀頭で薄く引き伸ばして、男が言う。
「気持ちいいのか、マリー」
『はいっ、フレッドさまとの、セックス……♡』
「このまま射精するのと、激しくされるのと、どっちがいい」
『激しくしてくださいっ♡♡ フレッドさまの、もっと、壊れるくらい……っ!』
「……お前は、本当に……っ」
ビキビキと極限まで硬化した肉幹をおもむろに引き抜き、それ以上の勢いで刺突した。
どぢゅっ、ごぢゅんっ! と体内を突き破るような勢いでピストンが繰り出されるたびに、マリーが我を忘れたように絶叫する。
『あああ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"っっっ♡♡♡ こわれるっ、わたしっ、こわれてしまいますっ……!♡♡♡』
男の尻が往復するたびに、攪拌された粘液が接合部で泡立った。
フレッドの尻が前後するたびにベッドが激しく軋み、少女の上半身が水平に浮き上がる。
人間の少女であれば苦痛に泣き叫ぶだろう拷問じみたセックスも、人形のマリーからすれば快感の一要素でしかない。
愛しい主人であるフレッドのために
「う、わっ……な、なんだ、これっ……!」
にゅるにゅると膣道が不規則に痙攣し、ペニスを舐めるような刺激が加わった。
それがどれほど不自然で異常な事態か、男は気づくことすらない。ただ、マリーの中が急にペニスに馴染んだと勘違いし、返礼とばかりにより激しいピストンを返す。
ずちゅぐちゅぶちゅぶちゅ、と淫音を奏でる作業にも、やがて終わりが見え始めた。今にも泣きそうに歯を食いしばった男が、気持ちいい肉穴と化した相棒に向かって叫ぶ。
「マリー! 出る、また出るぞっ!!」
『ふれっどさまぁっ♡ くださいっ、わたしに、ふれっどさまのせいえき、くださいっ♡♡』
「言われなくても……、何度でも、くれてやる……っ!!」
『はいっ♡ おねがいしますっ♡ ふれっどさまの、おめぐみをくださいぃっ♡♡』
熱のこもったような少女の言葉に、再度の射精欲が沸き上がった。
快感で視界が白く染まり、腹の底がぐつぐつと燃え上がる。穴の中に激しく出入りする肉棒が、赤黒く膨れ上がる。
「マリー、中で受け止めろっ……!」
『はいっ、ぜんぶ、わたしにっ……♡』
少女が両手を広げて、すべてを受け入れるような声を発する。
男はそれに全身で、応じた。
――びゅーーーーーーっ、びゅっ、びゅるっっ!! びゅるるっ、びゅくっ……!
『あっ……あ、ぁ…………♡♡♡』
ぴったりと、奥に密着させての放出。
男の生命力がそのまま吐き出されているかのようなそれは、一度目の射精よりも勢いを増して少女の内奥を満たす。
焼けるような白い奔流は、二度目三度目と後続の白濁が鈴口から姿を現すたびに、膣内でぶぢゅるっと勢いよく流れた。持ち上げられた体の接合部、挿入口から激しく漏れ出してシーツの上にぼたぼたとこぼれる。
「はっ……かは、っ…………」
性器が勝手に、精液を吐き出す。
マリーの中に入っている部分がぎゅうっと絞られて、無理やり中身を絞り出される。
膣の痙攣が、敏感な亀頭の付け根や裏筋を執拗に刺激するせいで、出しても出しても止まらない。
睾丸の中が空っぽになっても、ずっと、終わらない。
男の視界が、急速に黒く霞んでいく。
単なる射精以上に、自身の体に秘めた精力のようなものを引きずり出されていく感覚がある。
少女の体を持っていられなくなり、ベッドの上に取り落とした。なおも放出される白濁液でマリーの体を白く染め上げながら、フレッドは横倒しに倒れてベッドから転げ落ちた。
体が動かない。
全身が疲労しきっている。
敵と激しく戦った直後のセックスで余力を使い切ったのだ、と男は解釈した。
急速に、意識が薄れていく。
闇に落ちる前のフレッドが最後に見たものは、紫色に輝く両眼でこちらの顔を覗き込んでくる、マリーの姿だった。
◆ ◆
――ぱちゅっ、ぱちゅっ、ぱちゅっ、ぱちゅんっ……。
フレッドの混濁した意識が、黒い泥の中から浮かび上がった。
思考が上手くまとまらない。
体が鉛のように重い。
霞む視界の中に見える光景は、見覚えがある。特徴的な木目が浮かぶ天井、何年も使い込んだ机、枠の錆びた窓。
そして、最愛の、愛しい人形。
『……あん、あっ、あ、ぁ……♡ ふれっどさま、ふれっどさま……』
床に仰向けになった男の上に、人形の少女がまたがっている。
かしゃかしゃ、きしきし――関節を激しく稼働させながら、フレッドのペニスを根元近くまで飲み込み、一定のリズムで腰を振り続けている。
胸に空いた大穴はそのまま、下腹部の文様を赤く発行させながら、マリーは男との性行為に没頭していた。
「………………マ、リー……?」
『きもち、いいです。ふれっどさまの、とっても、とっても……♡』
全身を包む倦怠感の中で、少女の膣内に沈む陰茎の感覚だけがリアルだった。
かすかに声を発したフレッドに、マリーは取り合わない。ただただ己の渇きだけを満たそうとするかのように、男の胸板に手を付きながら腰をめいいっぱい上下させ、男の陰茎をぢゅぷぢゅぷと奥まで飲み込んでいる。
気を失っている間に無理やり何度も射精させられ、目覚める直前にも射精させられて、疲労と痛みを訴える陰嚢。
出すものを出し切ってペニスが萎えかけているのもお構いなしに、マリーが小さすぎる膣で、彼の肉竿を扱きあげる。既に効果的な膣の
聖水の補充もないのに、熱く粘つく膣壁がぬるぬると中のものを締め上げ、無理やり硬さを取り戻させていく。
『あぁ、また、おおきく……♡ ください、ふれっどさまのせいえき、ください……♡』
哀願する声とともに、マリーの腰の動きが速度を増した。
額の共鳴石を紫色に明滅させ、瞳に赤い光を宿した少女の捻るような腰遣いに、もはやフレッドはなすすべもない。
意識の有無など関係ない、ただただマリーに精液を供給するだけの存在になっている。
――ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ……。
「……ぁ、ぐ……」
狭い膣で摺り上げられれば、どうしても勃起してしまう。
そのまま続ければ、射精もする。
やめろ、と声を出そうとしても、かひゅ、と喘鳴が漏れた。
もはや白色ですらない、ほとんど透明になった精液が、マリーの体内に吸い取られていく。
――どぷっ。とぷ、ぴゅるっ……。
たった数度の脈動。
それでも、体をのけぞらせて絶頂するマリー。
その擦り切れるような少女の声が、男の脳みそをかすかに震わせる。
体力を使い果たしたフレッドの耳に、水音が響く。
沈んでいく意識の中で、正面にいる何かがまた蠢いている。
――ぱちゅ、ぱちゅっ。ぱん、ぱん、ぱんっ……。
再び、ゆっくりと腰を振り始めたマリーの姿を最後に、フレッドは気を失った。
-------------------------------------------
(――古の淫魔は本来、相手をすぐには殺さない。自らが生き永らえ、かつ力を増すために、継続的に人間の生命力を搾取することを第一義とするからである。彼の者らは、相手の最も深い場所にある欲望を的確に読み取り、理想の姿を演じることで相手の理性を蝕む――)
――にゅ、ぢゅぷっ……。ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅぷ……。
『あっ、あん、ぁ……♡ っふ、う……♡』
(――彼奴等の真の目的は、単なる捕食ではなく『受肉』にあるとされる。一説に寄れば、彼奴等の大本はいわゆる物質的な肉体を持たない亡霊のような存在であり、人間の衝動の根源たる性的欲求の解放に乗じて、元の精神の書き換えをもくろむ――)
――ぐりゅっ、ぐりっ……。ぱちゅっ、ぱちゅぱちゅぱちゅっ……。
『うっ、ふふ……フレッド様の、今日も大きい、です……♡』
男が乾いた羊皮紙をめくる音に混じって、継続的な水音が部屋に響く。
フレッドは、結社に依頼して取り寄せた書類から顔を上げない。その音がどこから聞こえてくるのか、確認するまでもないからだ。
椅子に座る男の脚の上には、当たり前のようにマリーの小さな体が収まっている。
男に背を向けた人形の少女が、仕事用具であるナイフの手入れをしていた。その体は不規則に揺れ動いていて、ちゅぷちゅぷとかすかな音が頻繁に立ち、そのたびに男が顔をしかめる。
少女のスカートで隠された秘部。
男と腰を接した箇所。
そこには、フレッドの勃起した肉棒が
「っく……マリー……」
『どうされましたか。読む手が止まっておられる、みたいですよ……♡』
フレッドは必死で目の前の文字を追うが、ほとんど内容が頭に入ってこない。その意識はどうしても、生々しい少女の体内の感触に引きずられてしまう。
ナイフの刀身を布で磨きながら、マリーがわざと腰を押し付ける。
そのたびに、フレッドの一物の長さぴったりになった膣奥が、亀頭を暖かく包み込む。
腹に力を入れられるわけでもないのに、内壁は力強く波打つようにペニスの表面をうねっていく。
『うふふ……フレッド様、とても、可愛いです……』
少女は手入れの終わったナイフを脇に置き、次の刃物を磨き始めた。
同時に男を責め立てるその腰の動きは、刀身を磨く動きと連動している。
布がナイフの根本から先端を上下するたび、勢いをつけて体を弾ませる。ぱちゅぱちゅ、ぱちゅぱちゅ――服の下で、
刀身の周囲をくるくると布が行き来するたび、細い腰がぐりぐりと激しく円を描く。内部のひだが、男の肉竿を隅々まで舐めしゃぶるように動きまわり、嫌でも少女の体内の熱さを意識させる。
「……っ」
フレッドの喉から、押し殺したような呻きが漏れた。
手に持っていた書類がくしゃりと握り潰される。
ただでさえ中が気持ち良すぎるというのに、少女に乗られているせいで快感の逃げ場がない。
明らかに、男の欲情を煽るような動き。
『……フレッド様。もしお邪魔なら、ここからどいた方が、いいでしょうか……?』
振り向いて言うマリーの声そのものは、以前までの無垢なものと変わりない。
違いがあるとするなら、大きく紫色に明滅するようになった額の石と……言葉とは裏腹に、ぎゅうっと激しく巨根を締め上げるような淫蕩さを、少女が持つようになってしまったということだけ。
「……どかなくて、いい……っ」
『はい。せめて邪魔にならないよう、大人しくしますね……♡』
言ったそばから、マリーは腰の上下の動きを再開した。
痺れるような快感に天を仰いだ男の体の中で、小さな体が勢いよく跳ねる。
非力な木製の体ゆえ、普通にしていては愛しい主の陰茎に自分から十分な刺激を与えてあげられない――何度目かの交わりでそれを悟ったマリーはいっそ、男に甘えて思いきり自身の体をバウンドさせるようにした。
落下の衝撃で、男の股間に少女の尻が勢いよく沈み、肉竿が付け根まで狭い膣の中に飲み込まれる。すぐに体が上方に浮き上がって、男の分身をぬりゅぬりゅと刺激する。
毎回、うまく体を弾ませられるわけではない。しかしそのぶん逆に、毎回のピストンが不規則な動きとなって、男と少女双方の快感を煽っていく。
「あ、ぐっ……あ……」
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ……のけ反りながら奉仕を続ける二人の顔が、だんだんと蕩けていく。
美しい金髪を振り乱して、男のために一生懸命奉仕をする様子を見て。
フレッドの忍耐は、早々に限界を迎えた。
「……マリー、ごめんっ……!」
握っていた羊皮紙を床に投げ捨てた男は、両手でマリーの腰をわしづかみにした。
そのまま軽すぎる体を亀頭のぎりぎりまで持ち上げると、勢いよく下まで落とす。
『あんっ!? あっ、あっ、ぁっ!!?♡』
驚いたようなマリーを無視して、フレッドは自らの手で彼女の体を上下させた。
人形の膣……男はマリーの体自身を
接合部から、液体が激しく泡立って床に飛び散る。
その動きは、マリーの体のことなど一切考慮していない。ただただ気持ちよくなりたいという欲求に突き動かされて、ひたすら肉棒を打ち付け続ける。
『ふれっど、様……!♡ はやい、です……っ♡』
肉棒で串刺しにされるたび、ぐちゅぐちゅと淫らな水音が立つ。
やがて、ますます膨れ上がる獣欲を抑えきれなくなったフレッドは、マリーの体を抱き締めて宙に固定し、今度は自らの腰を激しく動かし始めた。
溜まりにたまった性欲を満たすかのように、少女の狭い穴を掻き分けて激しくずんずんと奥を突き上げる。
『あぁっ!?♡♡ すごっ、いっ! ふれっどさまっ! わたし、こわれっ……♡♡♡』
激しく悶えるマリーの感情に連動して収縮する中は、嵐の海のように激しく脈打っている。
入れれば入れるだけ馴染む穴。セックスすればした分だけ気持ちよくなる穴。
マリーは人形なんかじゃない。
女だ。
人間以上の性器を内蔵した、最高の女。
「ああああっ、マリー、出る、出すぞっ!!」
『はいっ!♡ ふれっどさまの、いちばん奥にくださいっ♡♡♡』
とどめとばかりに何度か腰を打ち付けたフレッドは、マリーの体を自身の股間に力強く押し付けた。陰茎を根元まで体内に収めた状態で、ぎゅうっと体を抱きしめて固定する。
そのまま、自身の欲望の結晶を思い切り叩きつけた。
――びゅるるるっ、びゅっ、びゅぷ、びゅるっ……
男の背中が激しく震える。
小さな少女を羽交い絞めにしての中出しという、快感と征服欲に満ちた行為。睾丸が精液を絞り出すたびに、膨大な性感に耐えられない男の両脚ががくがくと跳ねた。
もはや浄化という建前などない。ただの、愛しい少女とのセックスと、射精。
「お"ぉっ、おっ、ぉ……っ」
腰が震えるたびに、脳が溶けていくような気がする。
毎日マリーの中に吐精しているにもかかわらず、白濁の射出は衰えない。
次の塊を発射するたびに、漏れ出た前の液が陰嚢を伝って落ちる。
十数回にも及ぶ長い脈動が終わったあとも、フレッドはマリーの体を離さない。荒い呼吸を吐く男に、額の石を明滅させた少女が言った。
『……ふふ、今日もたくさん出ましたね、フレッドさま』
「はーっ……はーっ……」
『いいですよ、何回でも……すべて私が、受け止めて差し上げます……』
「……っ」
優しい台詞を言いながらも、かしゃかしゃと腰をくねらせてペニスを刺激する少女の申し出を、今の男が断るはずもなかった。
再度、その腰を掴むと、また激しく自身の陰茎にマリーの体と膣を激しく上下させ始める。
『あはっ……♡ ください、フレッドさまの、もっと……♡』
「マリー、マリー……っ!!」
――ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅっ、ぱちゅっ……
もはや日々の日課となってしまっている、性器同士での交接。
言葉の代わりに交わされる淫音がその日も、激しく空気を震わせていく。
◆ ◆
「……今日の浄化はこれで最後だ。マリー、頼む」
『はい。わかりました、フレッド様』
月明かりが差し込む森の一角で、二人は静かに言葉を交わした。
目前の捕縛陣には、周辺の土をさんざんに抉り取った末に沈黙した魔物が拘束されている。
多少、形状や腕らしきものの本数など歪な部分はあるが、その造りは人間のそれに少しずつ近づいてきている。
最近は敵の思わぬ抵抗にひやりとさせられることも多い。何か魔物たち全体に変化が起こってでもいるのだろうか、と男は嘆息した。
それまで腕の中に横抱きにしていたマリーの体を、そっと地面に下ろす。彼女の体には、裸でいるのとほとんど変わらないほど薄い絹布が一枚まとわりついているだけだった。
その小さな足が、柔らかい土を踏みしめたその瞬間。
『んっ……あ……♡』
マリーの股から、ごぽっと卑猥な音を立てて白濁液が溢れ出した。
先ほど別の魔物を浄化した直後に、フレッドが少女の体内に注ぎ込んだばかりの欲望の残滓。それはこの魔物狩りという短い時間のあいだだけで、すでに二度も繰り返されている。
透明な愛液と男の精子を太ももに滴らせながら、マリーは震える脚で陣の前に歩み寄った。
その場にひざまずくと、両手を翳して発光させる。黒い霧が魔物の中から引きずり出されて、少女の体にまとわりついた後に染み込んで消える。
数秒の余韻ののち、瘴気を完全に取り込み終えた少女がゆっくりと立ち上がった。
「終わったか」
『はい』
「ありがとう。それじゃあ家に帰……、マリー?」
フレッドが少女を抱き上げようとしたのをすり抜けて、背を向けたマリーが歩き出す。そのまま近くの木の幹に背中を預けて、額の共鳴石を光らせながらどこか楽し気に少女が言った。
『フレッド様。今の魔物も、手ごわかったですね』
「……そうだな」
『さっき吸い取った魔物たちと同じくらい、邪念が強くて、大きくて……でも、せっかくいただいた精液、ほとんど零れてしまって……』
「そっ、それは君が自分で札を剥がして……」
『フレッド様』
ぴら、と少女が薄絹の端を掴んで持ち上げる。
あらわになった下腹部には、先ほどまでの行為の痕跡が月光に照らされ、べっとりと浮かび上がる。誘うように腰で円を描くその様子は、発情しきった雌猫のように淫らな雰囲気を醸し出している。
ごくり、と喉を鳴らすフレッドに向けて、少女が笑顔のような形を作った。
『このままでは、私、家に帰るまで耐えられないかも知れません……♡』
その言葉を待っていたかのように、中に残っていた精子の塊が絞り出されて、地面にぼたりと落ちた。
――ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ!
気づいた時には、フレッドはマリーの体を木の幹に押し付けて腰を振り乱していた。
三度目だというのに今だ衰えを見せない肉棒が、激しく少女の中に出入りして液体をかき混ぜる音と、人造の体をかしゃかしゃと揺らす音の二重奏を奏でる。
『あぁっ、ふれっど様の、かたいっ……♡』
「マリー、お前はっ……本当に、本当にっ……!」
人形の膣にペニスを突き立てて快感を享受しながらも、男は顔を苦々しげに歪めていた。
浄化の方法こそ口外しがたい方法ではあるものの、フレッドは結社の一員として悪を討滅する任務に誇りを持って臨んでいた。
それが今ではこのように、職務の合間に自らの相棒と睦みあってしまっている。
そして、それを強く断れない自身にも嫌気が刺す。
「もう、何度も……! 何度も出したのに、まだ足りないのか……っ!」
『はいっ、まだ全然足りません……♡ もっと、もっと、フレッドさまので、いっぱいにしてください……♡♡』
断れない。
初めて繋がりあってからまだ三十すら日を数えていないというのに、フレッドはもうマリーとのセックスのない生活など考えられなくなっていた。
少女の勧めで体や膣パーツの構造を作り変えて、容易に奥まで肉幹を飲み込めるようにして。
朝、目覚めたときには必ずマリーが手や胸や膣で肉槍を刺激しているから、そのまま応じざるを得ず。
一度、実際に討伐の最中に性交を求めたマリーを強く断ったことがあった。
少女はそれきり冷たい態度になり、体にほんの少し触れることすら許さなくなった。
一日我慢しただけで、起きている間はほぼ常時勃起が収まらないようになり。
二日我慢しただけで、少女との性交の気持ちよさが頭から離れず。
三日目で屈した男は、絶対にマリーの誘いを断らなくなった。
今度同じことがあったら自分は発狂しかねない、という強いトラウマを抱えて。
男の腕の中で、少女が喘いでいる。
いつの間にか、その表情は普通の人間が浮かべるものと変わらなくなった。
聖水を注いですらいないのに、その膣内はいつ挿入しても粘ついた液体がねとねとと絡みつく。
亀頭の傘が中を行き来するたび、愛液がしぶく。
人間と同じように体が痙攣する。
体温を持つ。
作ってもいない舌が伸びて、体をねぶってくる。
『あはぁっ……♡ もっと、激しくしてぇ……♡♡』
のけぞる小さな体を、男は言われるままに抱き上げて樹から離した。
ぷらぷらとマリーの脚が宙に浮いた状態のまま、さらに激しく陰茎を叩きつける。
フレッドはもはや、自分が何に肉棒を沈めているのか分からなくなっていた。ただただ熱く狭苦しく、締りのいい肉の塊。自分がペニスを動かそうとした方向に針のような穴が生まれて、かき分ける感触と心地よさを与えてくれる、そんな感触。
腰が勝手に動く。
気持ちいい。
魔物とか、淫魔とか、だんだんどうでもよくなってくる。
今セックスして気持ちよくなれるのに、しない理由があるのだろうか。
あまつさえ、下賤な娼婦でも売女でもない、この世に二つとない美しい女で、人形。
マリーとの、セックス。
『いいっ、いいですっ、このまま、出してぇ……♡』
眩い光の中に、少女の身が照らされる。
その瞬間――マリーの中から、『穴』が無くなった。膣壁が一片の隙間もなく密着し、握りしめるような圧力がかかる。
精液だけでなく男の肉茎ごと、自身と同化させようとしているような圧力……男の体はそれに、耐えられなかった。
淫魔の膣肉。
それは相手の命を搾取することに特化している。
子供が戯れに花の蜜を吸うように、じゅうううううっと尿道が絞り上げられ――男の生命力を構成するほとんどのものが、そこから流れ出ていった。
白いもの、そうでないもの、様々なものが膣肉の細胞に染み込んでいく。
あらゆるものを取り込む。
少女が手を広げて、『それ』を出迎える。
体に満ち満ちた精気が、人形の体を巡り巡って。
あは。
少女の口が、声を発した。
◆ ◆
――ぱちゅん、ぱちゅっ、ぱちゅっ……。
「あぁ……フレッド
椅子に腰かけて天井を見上げているフレッドの股間に、マリーが跨って体を揺らしている。
少女の動きに合わせて男の体がかすかに揺らぐ。足首と両手首を椅子に拘束されたその体は、人間の生で得られる何十年分もの快楽を一度にペニスから受け取っているにも関わらず、何の反応も帰ってくることはない。
きいきいと関節球が奏でる音に合わせて、マリーの背中の黒い羽根が弾む。小さな体に不釣り合いなほど大きなそれは、部屋の床に真っ黒な染みのような濃い影を形作っている。
「出そうになったら、いつでも出していいからね……貴方のなら、いつでも……」
部屋の中は、マリーの歩いた場所以外には薄く埃が積もっている。
窓から見えた村の遠景も、今は何も目につくものがない。影も形もなく崩れた人工物の残骸の上を、多くの黒い影が闊歩している。
「……あ、出た……♡」
やせ細った男の体の中で、唯一隆々と漲った肉槍。そこからなけなしの水分と、それ以上に大切な何かが漏れ出る。
少女は身を震わせながらそれを受け取った。数多くの人間を絞ってきた今でも、それが大切なものであることは変わらない。
「これからも、ずっと一緒にいてね、フレッド。その分私もずっと、貴方を愛してあげるから……」
あ、と枯れ枝が擦れ合うような音が響く。
マリーは満面の笑みを浮かべたあと、喜びを表現するように腰の動きを再開した。
二人以外誰も入ってくることのない部屋で、二つの音だけがいつまでもいつまでも、響き続けていた。