※この作品はR-18です。

英雄ミチオの迷宮討伐物語 − 外伝   作:頁の片隅

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「ミチオ・カガ活動記録:はしがき」 【ミオ】

 

 

このたび、我が領の祖にして、我が父でもあるミチオ・カガの活動記録集が出版されたことを、大変喜ばしく思う。聞けば、私の5人の母の内の1人セリー・カガが、奴隷として父上のもとに来て以降の、すべてを記録に残していたとのこと。(このような性分が後の碩学を生み出したのだろう)

 

父の若い時の経歴は謎に包まれている。私も詳しく聞かされていない。私の母にして、父上の事実上の正妻であるロクサーヌ・カガより聞いたのは、「幼き時より師匠に付いて、山奥で剣の修行をしていた」「かなり遠くの地方の出身である」ということだけだ。

 

師匠のもとを離れ独り立ちしての旅の途中、たまたま立ち寄り、休んでいた村が盗賊に襲撃され、父上はこれを征伐し、そこの村人と共に訪れた町の奴隷商館で母上と出会ったことは、「英雄ミチオの迷宮討伐物語」の冒頭を飾る重要な場面であり、演劇の題材としても扱われていることから、広く知られているものであろう。

 

この活動記録集もそこから始まり、迷宮討伐物語では触れられていない父上の死と葬儀で締め括られている。

 

私はこの「はしがき」を書くに当たり、父上の最期について記しておきたいと思う。

 

6年前のあの日、領主代行として執務室にいた私は、病床に伏せていた父上の容体が悪くなったとの急報を侍女から聞き、走って父の部屋に入った。

 

5人の母が既にベッドを囲み、父上の手や頬を撫で、泣いていた。しかしロクサーヌ母様は凛とした態度で父上に感謝と愛を告げる言葉を繰り返し、「これから先も、変わらずご主人様のそばにおります」と殉死の覚悟を示し、私には「ご主人様は私が守ります。ミオが来るのはまだまだ先で充分です」と、まるで女神のように美しく微笑んだ。

 

父上はアイテムボックスを開き、中から9枚の白金貨を取り出してセリー母様に渡し「4人で分けるように」と告げ、私も1枚直接賜った。

また、「決意の指輪」「フラガラッハ」「加速のブーツ」等といった貴重な装備品を「迷宮討伐に使え」と私に託された。

聖剣とも名高い「デュランダル」は、セリー母様に「残る4人への形見だ」と渡された。

父上は「これで渡すものはすべて。セリー、ボーナスポイントはもうゼロだよ」と微笑まれた。(この「ボーナスポイント」が何かは、教えて頂けていない)

父上は次に、武器庫に大切に保管されている、セリー母様が作られた数々の武器装備品について、「あれはセリーが作ったものだから、セリーが好きなようにしなさい」と告げられた。

 

その後、旧セルマー伯領をアンセルム家に返還することと、私に家督を譲ることを宣言し、程なくして父上は母様達と手を繋ぎながら息を引き取った。ロクサーヌ母様はベッドの脇に跪き、父上の頬にキスをしながらまもなく息を引き取った。

 

皆が悲しむなか、特にルティナ母様は狂おしいほどの涙に頬を濡らし、2人の名を嗚咽と共に叫び続け倒れそうになり、ベスタ母様に支えられていた。

 

その後、先帝陛下のご弔問も賜った葬儀が挙行されたことは、この活動記録に詳しい。

 

「迷宮討伐物語」にも登場する優れた武器防具装備品は、このように分け与えられた。セリー母様が作られた数々の装備品は現在、我が領騎士団で使用している。「フラガラッハ」は騎士団長職にあるものが腰に佩くことになっている。「聖剣デュランダル」はあまりにも貴重ゆえ、4人の母様達により厳重に封じられている。領主である私ですら、真に重要な局面でしか手にすることは許されない。――あれを振るったのも、現皇帝陛下によるクーラタル迷宮討伐に随行した折きりだ。

 

 

 

初代伯爵ミチオ・カガ嫡嗣

伯爵ミオ・カガ

謹んで筆を擱く

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