ゴミ捨て場に捨てられていたエッチなフィギュア直したら、女神様にチート能力もろた 作:パコール・レオンハート
残業帰りの蒸し暑い夜だった。
俺はしがないサラリーマンだ。満員電車に揺られ家に帰って寝るだけ。そんなくたびれた日常を歩いていた。だがアパートのゴミ捨て場の前を通りかかった時視界の隅に異質な色彩が映った。
「ん? あれは……フィギュアか?」
不燃ゴミの山の中にそいつはいた。スケールは六分の一くらい。きわどい制服を着崩した女子高生風のキャラクター。いわゆるエロフィギュアだ。
だがその姿は無残だった。
右腕が肩の付け根からごっそりない。左足は膝から下がありえない方向にポッキリ折れている。全体的に薄汚れていた。
「ひでえことしやがるな……」
俺はフィギュア収集家ではない。だがこれを見てなんだか無性に不憫になった。ボロボロになってもなおこちらを見つめる瞳。このままゴミ収集車に砕かれるのは忍びない。
気づけば俺はフィギュアを拾い上げていた。
「よし。お前は俺が完璧に直してやる」
幸い、俺は唯一といっても良い趣味がプラモの造形なので、やってやれないことはないかもしれない。
こうして俺の修復作業が始まった。
家に持ち帰りまずは洗浄だ。中性洗剤とぬるま湯で優しく洗う。汚れを丁寧に落としていくと元々の美しい肌色が蘇ってきた。
「うん、いいね」
さて問題は修理だ。道具はある程度は揃っている。
「こりゃ大手術だな。まずは足からだ」
折れた左足の断面をデザインナイフで綺麗に整える。そしてピンバイスで穴を開け真鍮線で軸を打つ。角度を慎重に決めてから瞬間接着剤で固定。ここまでは順調だった。
最大の問題は右腕だ。完全に欠損している。
「マジかよ。フルスクラッチなんてやったことねーぞ」
俺は腹を括った。右腕の芯材をプラ棒で作りエポキシパテを盛り付ける。硬化したらデザインナイフとヤスリでひたすら削り出す。
これが想像を絶する苦行だった。人体の自然なライン特に女性的なしなやかさを再現するのは難しい。そして何より指先だ。五本の指を一本一本丁寧に造形していく。
「ああもう! なんでこんな形になるんだよ! 指が六本になったぞ!」
何度もパテを盛っては削りを繰り返した。
仕事から帰ってきて夜な夜な作業に没頭する。平日はあまり時間が取れない。週末は秋葉原へ塗料や工具の買い出しに出かけた。
塗装も難航した。肌の色を合わせるのが一番難しい。サーフェイサーで下地を整え何度もテストピースに吹き付けては色味を確認する。
「赤みが強すぎるか……いや今度は黄色すぎる」
試行錯誤の連続だった。部品の取り寄せや塗装の乾燥も含め結局修理には一か月ほどかかった。
そして一か月後。ついにその日が来た。
肌のグラデーションも完璧に決まった。最後に艶消しのトップコートを吹く。
「できた……完璧だ!」
俺のデスクの上にはどこに出しても恥ずかしくない完璧なエロフィギュアが鎮座していた。はだけた制服から覗く豊満な胸。少し上目遣いの表情がたまらない。我ながら惚れ惚れする出来栄えだった。
「長かったな。これで満足か?」
俺は深い満足感に浸りながらその夜は眠りについた。
……その夜奇妙な夢を見た。
§
真っ白な空間に俺はいた。そして目の前には全裸の女が立っていた。とんでもない美人だ。この世のものとは思えない完璧なプロポーションをしている。
「ちょっ……!? だ、誰だあんた! っていうか服着ろよ!」
思わず叫ぶ俺。すると女はクスクスと笑った。
『驚かせてごめんなさい。でもこれが私の正装なのですよ』
服を着ていないのに正装……? 頭がおかしいのか……?
そんなイカれた女はゆっくりと俺に近づいてきた。
『あなたは素晴らしいことをしました。壊れ打ち捨てられたものに情けをかけ完璧な姿に戻してあげた。その行為は多大なる徳を積むことにつながりました』
「徳? なんの話だ? フィギュア直しただけだぞ」
女は俺の疑問をスルーして話を続けた。
『あなたが積み上げた徳に報いるためえっちな世界への転移能力をあげましょう』
えっちな世界への転移能力? なんだそりゃ。ラノベの主人公みたいじゃないか。
『能力は何度でもつかえます。ただし一つだけ条件があります』
女は人差し指を立てていたずらっぽく笑った。
『一度使えばこの世界に戻ってくることだけはできません。片道切符です』
「は? 戻ってこれないってマジかよ」
『退屈な日常とえっちな異世界。どちらを選びますか? もし後者ならば──あなたは元の世界での人生を捨て新しい世界で生きていくことになります』
正直この世界に未練はあまりない。ブラック企業に勤め彼女もおらず趣味といえばプラモくらいだ。それ以上に俺の好奇心が勝った。
「……選びます! えっちな異世界を選びます! 使わせてください!」
俺は食い気味に即答した。
『賢明な判断です。では新たな人生を楽しんでください』
女が手をかざすと俺の体は光に包まれた。意識が遠のいていく。
◆
次に目を覚ました時俺は自室のベッドの上にいた。時刻は朝の七時。
「なんだやっぱり夢だったのか」
だが何かが変だ。……何が変なのだろう、うむむ……。
そうだ、夢の事をくっきり覚えているのだ。
これってちょっとおかしくないか? 夢って大抵、起きてから凄い勢いで忘れていくだろ?
なのに俺はあの女の乳首の色までくっきり思い出せる。
「まさか、な」
俺は試しに能力を使ってみることにした。心の中で「転移」と念じてみる。
すると視界がぐにゃりと歪んだ。体が浮遊するような感覚。そして次の瞬間俺は──
自分の部屋にいた。
「なんだよ、気のせいか? というか眩暈だったのか? わからんなぁ……」
そんな風にぶつくさいっていると──不意に頭の中にこの世界の名前が浮かんできた。
──『ここは異世界、フェラ・チ・オール』
俺が狂ったわけでなければ、ここは異世界らしい。だがなんてふざけた名前の世界だ……
「フェラチオール? なんだそりゃ……」
まあとりあえず情報収集だ。スマホを確認すると、それは見慣れたものだった。どうやら異世界に転移したからといって、働かずに済むというわけではないらしい。
「異世界でも仕事があるのかよ。異世界転移しても社畜は変わらないってか」
ため息をつきながらスーツに着替える。
そして出勤中──俺は見てしまった。この世界の狂った光景を。
道行く人々の様子がおかしい。あちこちで男女が立ち止まっている。そして女が男の前に跪きズボンのチャックを下ろして……。
「はああああ!?」
思わず叫んでしまった。そう道端でフェラチオが行われているのだ。それも一組や二組じゃない。至る所でだ。通勤途中のサラリーマンや学生が当たり前のようにフェラされている。
「な、なんだこの世界は!? 頭おかしいだろ!」
俺は混乱しながらも駅に向かって歩き出した。すれ違う人々は俺のことなど気にも留めない。
駅前の広場に着くとさらに衝撃的な光景が広がっていた。ベンチに座った男たちに女たちが群がっている。そして一斉にフェラチオを始めているのだ。まるで鳩の餌やりだ。
「お、おいおい……公衆猥褻罪とかないのかよ」
呆然と立ち尽くす俺。すると一人の女子大生が俺に気づき近づいてきた。茶髪のロングヘアに清楚なワンピース。可愛らしい顔立ちだがその目は獲物を狙う肉食獣のようだ。
「あのすみませんお兄さん」
「え? あ、はい!?」
俺は動揺して裏返った声を出した。
「ちょっと喉が渇いちゃって。少しだけ飲ませてもらえませんか?」
彼女は上目遣いで俺の股間をじっと見つめた。
「え? 飲み物ならあそこの自販機で……」
「いえそういうのじゃなくて。水じゃだめなんです。ザーメンじゃないと潤わなくて」
「ザーメン!?」
何を言っているんだこの女は。
「お願いです。朝から何も飲んでなくて。もうカラカラなんです。お兄さんの美味しそうだから」
「美味しいとかあるのかよ!」
可愛い子に頼まれたら断れないのが男の性だ。だが理性も叫んでいる。こんな往来でと。
「いやでもこんなところで……」
「大丈夫です。すぐ終わりますから。ゴックンさせてください」
「ゴックン!?」
彼女はそう言うと強引に俺の手を引き路地裏に連れ込んだ。そして俺の前に跪くと迷うことなくズボンのチャックを下ろした。手つきが妙に慣れている。
「ちょ、ちょっと待て!」
慌てて止めようとするがもう遅かった。女子大生は俺のそれを口に含み激しく吸い始めた。
「んっ……! ああっ……!」
経験したことのない快感に俺は腰を砕かれた。女子大生のテクニックは凄まじかった。舌を巧みに使い的確に性感帯を刺激してくる。温かくて柔らかい感触が俺の息子を包み込む。
「んちゅっくちゅ……れろっ……」
彼女は夢中になって俺の息子を貪っている。これはまずい。ものの数分で俺は限界を迎えた。
「ああっもうダメだ……出る!」
女子大生の口の中に熱いものが放出される。
「ごくっ……ごくっ……ぷはぁ!」
女子大生は俺の精液をすべて飲み干すと満足そうに口元を拭った。
「あー生き返った! お兄さんのすごく濃厚で美味しかったです! ごちそうさまでした!」
「え、あ、どういたしまして……?」
俺は放心状態で答えた。女子大生は笑顔で手を振り去っていった。
「なんなんだよ一体……」
俺は急いでズボンのチャックを上げた。心臓がバクバクいっている。
どうやらこの世界は女は喉が渇いたら男の精液を飲む世界らしい。そんな馬鹿な話があるか。
俺は半信半疑のまま会社に向かった。オフィスの中も異様な光景だった。デスクで仕事をしている男の足元に女性社員が潜り込んでいる。そして時折ごくりと喉を鳴らす音が聞こえてくる。
俺の上司である課長も秘書にフェラされながら電話対応をしていた。
「ええそうです。はい承知いたしました。……んっ! 失礼少々お待ちください」
課長は電話を保留にすると秘書に向かって言った。
「おい今は大事な取引中だ。静かにしろ」
「すみません課長。でも課長の、とっても美味しいんですもの」
「馬鹿野郎。後でたっぷり飲ませてやるから今は我慢しろ」
なんだこの会話は。頭がおかしくなりそうだ。
昼休みになり俺は会社のパソコンでこの世界について調べてみることにした。検索エンジンに「喉が渇いた 飲み物」と入力すると驚くべき記事が次々とヒットした。
『【必見】美味しい精液が飲める男性の特徴トップ10! 食生活から見抜く方法』
『イケメンよりも精液が美味しい男がモテる! 女性の本音を大調査』
『今日のランチはどこの精液? 人気ザーメンスタンドランキング』
「ザーメンスタンドってなんだよ!」
気が狂いそうな記事ばかりだ。どうやらこの世界では精液は栄養ドリンクのような扱いらしい。
さらに俺はとある掲示板サイトを見つけた。『4545ch』という名前のそのサイトは、この世界の住人たちの本音が書き込まれていた。
【朗報】駅前の佐藤さんマジで神ザーメンだった件【濃厚パイナップル風味】
1 名前:名無しのオナゴ
昨日駅前で佐藤さんの飲ませてもらったんだけどマジでやばい。
濃厚でクリーミーでほんのり甘いの! リピ確定。
23 名前:名無しのオナゴ
>>1
まじかー! 佐藤さん人気だからいつも行列できてるよね。
私なんてこの前ハズレ引いちゃって最悪だった。酸っぱくて水っぽいの。
45 名前:名無しのオナゴ
わかる。ハズレ引いた時の絶望感半端ないよね。
どの書き込みもこの異常な世界について平然と語られている。俺の方がおかしいのかと錯覚してしまうほどだ。
冷や汗が流れる。俺はそっとパソコンを閉じた。もうこれ以上見ていたら頭がおかしくなってしまう。
それから数日俺はこの世界で過ごした。通勤中や仕事中何度も女性に声をかけられそのたびに精液を搾り取られた。家に帰る頃にはもうヘロヘロだった。
「はぁ……なんなんだこの世界は」
ベッドに倒れ込み天井を見上げる。
確かにえっちな世界だ。男にとっては天国かもしれない。だが何かが違う。
俺は考えた。もしこの世界で暮らすとしたら恋人なりができるかもしれない。そして結婚をしたりするかもしれない。
そんな時恋人や妻が他の男にフェラチオしていたらどう思うだろうか。
「ちょっと喉が渇いたから隣の旦那さんに飲ませてもらうわね」
そんな会話が日常になるのだ。
「……無理だ」
想像しただけで吐き気がした。いくらこの世界の常識だとしても俺には耐えられない。これは一種のNTRではないか。
俺はこの世界に来てまだ数日だがもう限界だった。こんな頭のおかしいエロ世界にはこれ以上いたくない。
「決めた。次の世界に行こう」
俺は再び能力を使った。心の中で「転移」と念じる。
視界が歪み体が光に包まれる。
さようならフェラ・チ・オール。次の世界はもっとまともな世界でありますように──