任務の疲れで重くなった体を引きずって、保健室への道を歩く。
時刻は早朝。いくら常在戦場の呪術師といえど、流石にまだ暗い高専内は静かだった。
程なくして保健室の前へと辿り着く。ノックをすると、中から眠たげな声が返ってきた。通常なら非常識なこの時間の訪問だが、あの人なら起きているだろうと確信があった。
周囲の静けさになんとなく遠慮しながら、ドアを開ける。
「や、こんばんは。それとも、おはようかな?」
呪術高専東京校保健医、家入硝子先生が、濃い隈のできた顔で笑っていた。
「まあ、座りなよ。それで、今日はどうしたの?」
差し出された椅子に、ぎこちなく腰を下ろす。恥ずかしさを誤魔化すように、僕は早口で言った。
「任務で、呪いをもらっちゃったかもしれなくて。」
「呪い、ね。もらっちゃったなんて、随分軽く言うね。」
厳しい言葉に、乾いた笑いで答える。危機感がない自覚はあったが、症状が症状なだけに、あまり真剣にはなれない。
「さっきまで任務だったんでしょ?今日はどこに行ってきたの?」
今日こなしたのは、コンビニが8件、ビルが7件、学校が6件、病院が3件の24件だったはずだ。一晩中気が張っていたので、安心した今は体全体に強い疲労を感じる。
「一晩で24件か...まあ、上に言われてるんじゃしょうがないけど、もう少し体を大事にするんだよ。私も、弟子に先に死なれちゃ寝覚が悪いからさ。」
「それは...すみません。」
真っ黒な隈を作っている人の台詞なので、些か説得力に欠ける所はあったが、とりあえずは頷いておく。少なくとも、彼女の心配する気持ちは本当なのだ。
「でも、どんな怪我でも、先生なら治してくれるって思うと、連戦も気分が楽です。」
「君は、全く...それ以外に何か変わったことはあった?」
僕は、5件目の病院で祓った呪霊のことを話した。産婦人科に棲みついていたあいつは、成体の呪霊でありながら、まるで呪胎のような見た目をしていた。最初はその姿に油断してしまい、一瞬だが相手の領域へと引き込まれてしまったのだ。
「なるほど、産婦人科ね。ま、問診はこんなところか。じゃあ、患部を見せてくれる?患部って言っても、頭が痛いとか呪力が練れないとかだったら、話が変わってくるけど。」
「は、はい。」
言われた通りに患部を見せようとズボンに手をかけるも、恥ずかしさが勝ってしまって、手が止まった。
すると、その様子から何かを察した先生が言う。
「あー...仕事柄、そういうのは見慣れてるからさ。緊張しなくてもいいよ。入ってくる時の君の動きとさっきの問診で、なんとなくの予想はついてるから。」
そう気を遣われると一層恥ずかしい思いもあったが、これ以上家入先生を待たせるわけにもいかず、僕は観念してズボンとパンツを下ろした。
股間が露出される。そこにある僕の陰茎は、完全に怒張しきっていた。
「ここまでの大きさは、予想外かな...」
完全に勃起した僕のペニスの表面には血管が浮き出ており、そのサイズは普段の勃起時と比べて不自然な程大きかった。
それを見て、先生は動揺したような表情を見せ、頬を赤くする、流石に、この大きさを気持ち悪がったのかもしれない。
「その、任務を終えてから、ずっとこんな感じで...おさめようとしたんですけど...」
「なるほど、こういうタイプの呪いか。ちょっとよく見せてもらえる?」
そう言って先生は、椅子を降り、床に膝をついて僕のペニスをまじまじと観察し始めた。僕はできるだけ緊張を抑えようと努力したが、美人に見つめられて、反応しないよう保つというのは、困難だった。
既に完全に大きくなったと思っていたそれが、一層膨張するような感覚があった。
「ちょっと触るね。」
硝子先生が、手袋をすることもなく、素手でペニスをそっと握る。血が集まって熱くなっているからか、わずかにひんやりとして、気持ちよかった。
こういう場合、衛生的にゴム手袋等をつけるのではないか、と思う一方で、僕の中に先生が躊躇いなく僕の陰部に触れてくれたことを喜ぶ、仄暗い気持ちが生まれた。
もちろん、それは呪いへの興味や分析効率ゆえの躊躇いのなさである事は分かっていたけれど。
「よし、こんなところかな。悪いけど、陰茎はそのままにしておいてくれる?」
気恥ずかしいが、そう言われてしまっては仕方がない。僕は、ズボンを下ろしたまま診察結果を聞く。
「結論から言うと、君は確かに呪われている。しかし、治療も十分に可能だ。」
穏やかな結論に、ひとまずは胸を撫で下ろす。
「正確に言えば、呪われているのは君の陰茎と陰嚢、陰部全体だね。呪いが陰嚢を蝕み、それに君自身の体が抵抗した結果、陰茎が肥大化している。免疫反応のようなものだね。
そして、放っておけば、君は完全に生殖能力を失ってしまうだろう。」
気を緩めたのも束の間、先生の語る最悪の未来予想図に、背筋が冷える思いがした。
「安心して。さっきも言ったけど、治療法はちゃんとある。要は呪力が陰嚢に溜まっているんだから、それを打ち消しながら、吐き出してやればいい。君は縛りの関係で自分に反転術式を施すことができないけれど、私が君にやってあげることはできる。」
いまいち、先生の言わんとするところがわからない。呪力を打ち消しながら吐き出すとは、どういうことなのか。
「つまりね、君の陰嚢に対して正の呪力を流しながら......」
先生は、まるでそれが注射や投薬のような、なんでもない、当然の医療行為であるかのような自然さで、
「私が、君の精液を抜いてあげればいい。」
と言った。
その突然の提案に驚いて、体を震わせてしまう。僕の内心の動揺を感じ取っていないのか、先生は語り続ける。
「別に、方法がそれしかないというわけじゃないよ。でも、これが最も簡単なのは、間違いない。そうじゃなくても、君も任務続きで色々溜まっているだろう。」
先生が、冗談やからかいでなく、真剣にその提案をしているのは口ぶりから明らかだったが、僕はまだ、その魅力的で都合の良すぎる提案に乗ることを、躊躇していた。先生は、僕が迷っていることを悟ったのか、加えて言った。
「別に、私も誰にでもこういう事を言うわけじゃない。治療法は他にもあるからね。それとも、私じゃ嫌かな?」
そう言われて、断ることなど、出来るはずもなかった。
慌てて、了承の意を示す。
先生が、わずかに微笑んだ。
「おーけー。わかった。じゃあ、君のそれ、握るね。」
先生は、床を蹴って椅子を転がし、僕の横につけた。先生が口を僕の耳に近づけて、息がかかるほど密着する。
左から伸びてきた先生の手が、そのたおやかな指でペニスを握り、しこ♡しこ♡と扱き始める。決して激しくはないが、繊細な手つきと滑らかな掌は、大きな快感をもたらす。
「せっかくだから、君が興奮できるよう、このまま囁いてあげようか。」
そう言って、先生は僕の耳元で口を動かす。
「それにしても、君の陰茎、いや、おちんぽ、と言った方が君は興奮するかな?」
しこ♡しこ♡しこ♡しこ♡
「これは、本当に大きいね。私が仕事で見る陰茎はほとんどが勃起していないものだが、あれらもこのおちんぽ程大きくはならないと思うよ。今も、扱くだけで大変だ。」
確かに、扱きの間隔が、いつものオナニーよりも長く感じる。手の往復させる距離が伸びているからだろう。
「さっきも言ったけれど、ここまで大きくなっているのは、呪いではなくて、君自身の生命力と、呪術師としての素養によるものだ。だから、案外治療が終わっても、これはこのままかもしれないね。」
自分のペニスのサイズが、恒久的に大きくなる。使い所があるとは限らないのに、それでも、男として少々高揚してしまうのは避けられない。
「これほどあれば、女の人を鳴かせるのには困らないだろうね。人によっては、おちんぽを見せただけで、君とそういう関係になってくれるかもしれないよ。」
「ほら、想像して。学生だからと君を侮っている女の人に、おちんぽを見せて、屈服させる様を。さっきまで自分を見下していた相手が、『ごめんなさい♡私は二度とこのおちんぽ様に逆らいません♡』と息をはあはあ合わせて君にへりくだるのは、とても興奮するだろう。」
先生は、あくまで誰でもない人を想像しているのだろうが、声を当てているのが先生なので、どうしても彼女の痴態を想像してしまう。
中腰になり、僕のペニスに顔を近づけ、息を荒げる硝子先生のイメージ。通常であれば現実感のない空想に過ぎないそれが、先生がペニスを扱きながら耳元で囁いている今では、妙な説得力と共に僕の脳を支配した。
「え、私?私はそんなに性欲が強いほうじゃないから、そんなにはならないよ。残念だったかな。」
先生が、驚いて顔を離す。息のかかって熱くなった耳に、名残惜しさを感じる。
「まあでも、この分じゃ呪いも一日じゃ治らないだろうし...君がかっこいいところを見せてくれたら、そういうプレイをするくらいだったら、やってあげてもいいよ。」
その魅力的すぎる提案と、予想外の2回目の約束に、邪な想像はどんどんと加速していく。
「ん...おちんぽすごい反応してるね。そんなによかったかい?もしかして、私のことを囁いた方が、君は興奮するのかな。」
隠し立てしていたわけではないが、先生への好意がバレてしまったかのようで、少し気恥ずかしくなる。
硝子先生は、再び僕の耳元に口を近づける。こう話している間も、手は変わらずしこ♡しこ♡とペニスを扱いていて、快楽は止まらない。
「ちょっと恥ずかしいけれど、君がそんなに私を想ってくれているのは、悪い気分じゃないよ。じゃあ、その想いに少しだけ応えてあげようかな。特別サービスだよ。」
『特別サービス』。その言葉の響きは柔らかく、甘い。
「私は、珍しい反転術式の使い手でありながら、出身は一般人だからね。関係を作ろうとする呪術師も結構多いんだ。大抵は知らないうちに高専やらが弾いてくれるんだが、それでもたまに、私の所まで話が来てしまうこともある。」
先生はまるで、男達が近づいてくるのは立場のためかのように話すが、きっとその理由には、先生自身の見目も多分に含まれているだろう。
「彼らの目は、凄いぞ。絶対に目の前の雌をものにしてやるんだ、こいつと絶対性行為をするんだという、欲望の目だ。大抵は、学長の名前を出して追い返してしまうがな。彼らにとっても、学長の怒りを買うことは仕事を失うことだ。」
「さて、君はそんな何人もの男が求める女に、囁きながらの手淫をさせている訳だが、気分はどうかな?ほら、彼らが握ろうとしても指一本触れられなかった手が、君のおちんぽを握っているんだ。」
優越感を煽るようなその口調に、自分が置かれている幸福を改めて実感する。僕は今、あの家入硝子に、手コキをされているのだ。それはきっと、その辺の女とのセックスよりも、数倍幸福で、気持ち良い事だった。
恐らく、彼女は自尊心があまり高い方ではないと思う。自分の戦術的、政治的価値を理解しながらも、その身を削ることを厭わない。先生は、そういう人だ。
そんな彼女が、僕を興奮させるためだけに、自分をマドンナのように話してくれるのが、一層僕の気持ちを煽った。
「ん...おちんぽがピクピクしているね。そろそろ射精しそうかな?じゃあ、少しペースを上げようか。ほら、しこしこ。しこしこ。」
ペニスを扱く速度が速くなり、身体中に快楽が走る。
「ほら、君の射精次第では、イメージプレイと言わず、今この場で、君のおちんぽに服従してしまうかもしれないよ。そしたら、なんでもし放題だ。この胸も、脚も、口も、子宮も、全部君のものになる。」
「さあ、私に、弟子のかっこいい射精を見せてくれ。」
しこしこしこしこ♡しこしこしこしこ♡
硝子先生の扱くペースが、より速くなる。思わず手に力が入り、先生の腰を、ぐっと抱き寄せてしまう。
「んっ...その調子だ。私の手コキでイけ。濃いザーメン出せ。憧れてた師匠の手の中に精液をぶちまけろ。」
そう言われて、僕はついに限界に達した。
「ほら、びゅー♡♡」
びゅるるるるるる♡♡♡びゅくびゅく♡♡びゅ〜〜〜♡♡♡どぴゅどびゅ♡とぷとぷとぷ〜〜♡♡♡
「ふふ。これは、凄い量だね。通常じゃあ、ちょっと考えられない量が出ている。私の手も、真っ白にされてしまった。」
そう言って、先生はその精液まみれの手を見つめる。
「すんすん...臭いも強烈だ。十中八九健康的な精液だろうが、念のため、後で検査させてもらうよ。これは容器にとっておこう。」
「ともあれ、射精お疲れ様。疲れたろう、保健室のベッドを使っても構わないよ。2回目の話は、また起きた後で、ね。」
そう言って、家入硝子は微笑った。治療は、まだ終わらない。