手の中の呪符を握りしめながら、森の中を歩く。日中だというのに、高い木々によって影に覆われた空間は、生気を感じさせない。
呪術高専東京校の、外れに存在する森。日頃から、高専の大きさは身にしみて感じていたが、こうしてみると、まだまだ知らない土地があったのだな、と実感する。
しばらく歩いていくと、鬱蒼とした森の中に、突然、小屋程度の、人工的なコンクリートの立方体が現れた。何も知らなければ、電気関係の設備や倉庫と思ってしまいそうな程、無骨なコンクリートの塊。
僕の背丈よりいくらか高いその建物は、簡素で小さい。あくまでも"入口"にすぎないのも、納得だった。
コンクリートの立方体、その正面についた、金属製のドアを開ける。中にあるのは、地下へと続く階段。薄暗いその階段を、一段一段、ゆっくりと下りていく。
一階分ほど下ったところで、目の前に木製のドアが現れた。
彼女の生活空間までもが、コンクリートの無機質な部屋ではないようで、少し安心する。
僕は、そのドアに手をかけ、ゆっくりと開いていく。薄暗い洋室の中心に、彼女はいた。呪術高専東京校保健医、家入硝子。
赤いチェアに腰掛けて、こちらを気だるげな瞳で見つめている。
「や。よく来たね。まあ、座りなよ。」
数日ぶりの再会、突然の訪問だというのに、先生に動揺した様子はない。あらかじめ僕が来ることを知っていたのか、あるいは本当になんとも思っていないのか。
勧められた椅子を断って、そのまま入り口に立ち続ける。元々、長居するつもりはない。
「そうか。久しぶりの来客だし、もてなそうと思ったんだけどね。
こんなところに1人でいては、気も滅入る。」
その言葉に、やるせなさを感じて、歯噛みする。彼女の言う通り、ここにいるのは彼女1人だ。
数日前から、ずっと。
───反転術式による治療の戦略的重要性を考慮して、術師家入硝子を、高専内にて保護する。
それが、総監部の決定だった。
保護と言うが、要は体の良い軟禁だ。ここには、特殊な呪符を貸与された人間しか訪れることができない。僕はこれまでの貢献と、弟子というポジションを利用してなんとか呪符を手に入れたが、おそらく事態が収まるまで、二度とここを訪れることはできないだろう。
「煙草、吸わないんですか。」
テーブルの上には、新品の煙草の箱と、灰皿が置かれている。隣の酒瓶も、栓が開いていない。
「吸おうとする度、お前の顔が浮かんだ。酒、健康に悪いからって、気にしていただろう。」
家入先生は、僕が出会った時には煙草をやめていた。だから、僕が咎めるのは酒だけだったのだが、確かに、その時に彼女の健康を引き合いに出した記憶はある。
「先生がやめてくれたことは一度もありませんでしたけどね。」
「今、やめてる。」
普段はあんなに冷静な彼女の、子供のような言い訳に、苦笑する。
一方で、彼女をそうまで追い詰めてしまった原因に、心当たりはあった。
特級術師五条悟の、完全封印。そのニュースは、日本全国で起こっている例のデスゲームと並んで、呪術界のホットトピックだ。
彼女が、五条先生と、高専時代からの親友であることは、双方から何度か聞いていた。その親友が封印され、敵の手に落ちたとなれば、その心中は穏やかではないだろう。おまけに、彼女自身はこの部屋に軟禁され、前線に出ることは決してできない。
もし、五条先生が戻ってこなければ。彼女は、2人目の親友を、失うことになる。
「なあ、やっぱり、座っていかないか。」
「いえ。すぐ、出ますから。」
今の家入先生は、不安定だ。五条先生は、直接の戦闘では確かに最強だろう。しかし、そうではないではない土俵に持ち込まれた今、家入先生は五条先生が帰ってくる確信を、持てていない。親友を失うことを恐れている。
だから、突然酒をやめてまで、僕の気を引こうとするのだろう。この隔絶された部屋の中で、彼女には、他に縋れるものがない。
ならば、弟子として、僕がその心労を払ってやるべきだろう。そう思った。
「僕が、五条先生を、連れ帰ります。」
「───!!」
彼女が、目をわずかに見開いて、驚いた様子を見せる。珍しい顔だ。まだ元気が残っていたようで、少し安心した。
「伝えるべきことは、伝えました。」
踵を返し、部屋を出る。少し、ここに長く居すぎた。元々、これだけを言って帰るつもりだったのだ。
「───待って───お前も───」
ドアが、静かに閉まった。
♦︎
新宿における、両面宿儺討滅戦。一連の戦闘の結果、呪いの王、両面宿儺は討伐され──────特級術師、五条悟は、生還した。
それがあの日の結果であり、それ以上のことはない。呪術界も、日本も失ったものの多い動乱だったが、人々は、再びいくらか平穏な生活を、取り戻した。
そんな、まだ日本全国で復興の動きも活発な今日。僕がしていることは、待ち合わせだった。
首都圏の中でも、かろうじて呪いの被害を免れた地域。そこは今、渋谷や新宿にいた人がなだれ込んできたかのように賑やかで、活気がある。あんなことがあったばかりだというのに、つくづく人間の強かさを実感させられるばかりだ。
待ち合わせの場所に僕が着いてから数分後、予定の時間まで数分となったところで、硝子先生は現れた。
「よ。待たせた?」
一瞬、その姿の美しさに、言葉を失った。
白シャツに、タイトなパンツのシンプルな着こなし。整った顔には、垂れ気味の瞳と、その端には涙ぼくろ。クマが取れたのか、化粧はそれほど濃くはない。
どれもが、初めて見た要素ではないはずなのに、いつもの何倍にも増して魅力的に感じられる。
見慣れたはずの女性が、これからデートをする人になるだけで、いつにも増してこれだけ魅力的に見えるとは。
「おーい。戻ってこーい。」
自分の世界に入りかけた僕を、顔の前で手をひらひらと振って、先生が現実へと引き戻す。
一言謝って、先生に見惚れていたことを、正直に告げた。
「お前はまた......まあ、今日ばかりはいいよ。」
先生が、呆れたように苦笑する。何か、気に触ることを言っただろうか。
ここで、硝子先生の服装について、彼女に感想を述べ続けても良いのだが、それでは今日の予定が進まない。とりあえず、目的地に向かおうかと思ったところで、
「ちょっと待って。」
と、先生に制された。何か、用事があるのだろうか。
おもむろに、先生は、ポケットから一本の煙草を取り出した。それを指で弄びながら、こちらに話しかけてくる。
「私はさ、結局あれからこれまで、一本も吸ってないんだよね。
だから、禁煙記録、更新中。」
それは、良いことだ。僕は、先生が喫煙しているところをそもそも見たことがないが、元はかなり吸う方だったと聞く。折角やめられたのだったら、できればまた吸い始めてほしくはない。
「もう、煙草をやめて長いからさ。今更、どうしようもないほど吸いたくなったりは、しない。本当に疲れた時以外はね。」
先生の仕事は、その、本当に疲れた時、ばかりの仕事だったように思えるが。
だとしたら、強力な自制心だ。
「でも、習慣として、時々口寂しくなることはある。」
それは、聞いたことがある。喫煙というのは、その化学的物質以外にも、習慣や本能として依存する部分があるらしい。
「私は、そりゃ早く死にたいとは思わないけどさ。煙草をどうしてもやめたいとは思ってない。
でも、君は、私に煙草を吸って欲しくない、でしょ?」
それはそうだ。やはり、僕は喫煙者である先生を見たことがないので、実感が薄いのだが、できれば先生には、健康であってほしい。
「ならさ、私の禁煙は、君の要望で行われているわけだよね。」
なるほど。まあ、そう言って言えなくはないかもしれない。少なくとも、禁煙を望んではいるのだから。
「じゃあさ、ちょっとだけ、協力してよ。」
僕は、話の流れが読めなかったが、とりあえず、先生の禁煙に協力することは、吝かではないとして、了承した。
「先生が、煙草を止めるためなら、何でもしますよ。」
「言ったね?もう、取り消すなよ。」
そう言うと、先生は、こちらに近づき、弄んでいた一本の煙草を、僕の胸ポケットへと、スッと差し込む。
そして、そのまま、僕の唇を、奪った。
唇と唇が触れる程度の、軽いキス。だというのに、先生の唇は柔らかで、しっとりとしていて、その快感は、果てしない。
しばらく、自分に何が起こったのか、何をされたのか、全くわからなかった。
「これから、私が口寂しくなったら、またするからな。嫌か?」
僕は、自分が何をされたかもはっきりとわからないまま、首をぶんぶんと横に振って答えた。
そこからのデートでも、先生は、ことあるごとに僕にキスをした。
人の少ない通り、水族館の暗闇、カフェの奥まったテーブル席、路地裏、踏切の手前。
先生を綺麗だと褒めた時、先生の靴の紐が解けた時、何気なく飴の話を振った時。
先生は、突然、僕にその綺麗な顔を近づけて、唇を触れ合わせる。
それらは、一つの例外もなく、短く、唐突だった。先生は、キスをした後、それについて何かを言うことはない。少しだけ、微笑むように笑みをこぼして、何事もなかったかのように話を続ける。
だから、僕の方も、キスに文句を言ったり、制止することができずに、ただなすすべなく、先生の唇を受け入れるしかなかった。
そして、当初の予定とはだいぶ異なる、そんな背徳的な時間も、もう終わりを迎えようとしている。
今歩いているのは、呪術高専東京校の、敷地内。
硝子先生は、総監部からの軟禁が解かれてから2週間がたっても、引っ越しが面倒だからと、未だにここの地下室を棲家としていた。
「水族館なんて、久しぶりに行ったけど、意外に悪くなかったね。」
僕は、繰り返されるキスによって、しばらく前から、悶々とするばかりで、冷静に考えることができていない。先生の言葉には、曖昧な返答を返すことしかできなかった。
「ん。どうした?具合でも悪いか?」
そう言って、こちらに向き直る先生。保険医として、慣れた仕草でこちらの顔を覗き込み───キスをした。
唇だけが触れ、それ以上のことはなく、彼女の顔が遠ざかっていく。
「ほら、行くぞ。」
そう言って、手を引かれる。いつのまにか、あのコンクリートの入り口まで来ていた。先生がドアに手をかざし、開錠する。
「足元、気をつけなよ。」
薄暗い階段を、手を繋いだまま下っていく。やがて、あの木製のドアの前へとたどり着いた。この先には、先生の私室がある。
僕も、デートの後、家へと招かれることの意味を、察しないわけではない。しかし、数十回のキスによって、僕に、抵抗する力はもはや残っていない。
あるいは、気力があったとしても、抵抗することなどなかったかもしれない。硝子先生に部屋に誘われて、それを断る男が、この世にどれだけいることか。
硝子先生が、地下のドアを開く。先に部屋に入るよう誘導され、中に足を踏み入れると、後ろで、低い金属音が鳴った。
鍵が、閉められた。
振り向くと、先生は、ドアの前に立ち、こちらを見つめていた。その目を見て、僕は、なんとなく、彼女が満足するまで、僕はこの部屋から出られないのだろうと、直感した。
先生が、腕を広げ、こちらに呼びかける。
「さて。君が今、一番したいことを、するといい。」
その言葉に、僕は、早足で歩み寄っていく。
彼女に近づき、その後頭部と背中に手を回し、思いっきり、口づけした。
唇が触れるだけのそれではない。口と口を密着させ、硝子先生を貪るように求める。
この1日、溜まったもどかしさを、すべて、解消するように。唇を合わせ、舌を入れ、絡ませるように。彼女を強く抱きしめ、密着して。
ずっと、こうしたかった。一日中、フレンチキスのみを繰り返され、それ以上のことは許されず、唇に柔らかい感触の名残だけが残り続ける。そんな状態で、耐えられるわけがない。
彼女の舌を、唇を、口の中を、噛み、絡め、舐めあげる。硝子先生の口で、僕が知らぬところなど、僕の舌が触れていないところなど、なくなるように。入り込み、蹂躙するかのように味わい尽くす。
彼女も、こちらの動きに応えるかのように、舌と口内を動かしてくれる。こちらを受け入れ、絡め返すように、キスを続けてくれる。そこに、確かな愛情を感じて、嬉しくなった。
やがて、すこし満足して、唇を離した。
目の前には、キスを終えた、硝子先生の顔。目はとろんとして、息は荒く、口の周りには唾液がてらてらと照っている。普段の姿とは似ても似つかない、あられも無い姿だった。
その姿に我慢が出来ず、もう一度唇を奪う。
「んぅっ!?」
キスは深くなり、抱きしめる力は強くなっていく。
ふいに、思いついたことがあった。彼女の背に回していた手を、下へと下ろしていき、その尻を、思いっきり、鷲掴みにした。
ぎゅむううう♡♡
もにゅ♡もにゅ♡もにゅ♡
彼女のタイトなパンツは、あまり厚い生地ではなく、尻の柔らかさが、布越しに伝わってくる。尻を揉み込むたびに、彼女の体がわずかに震えるのが、可愛らしく感じられた。
ぢゅううう♡♡♡
もにゅ♡もにゅ♡
れろれろれろれろ♡♡
ぎゅむ♡ぎゅむ♡
───どれだけ、そうしていただろうか。キスが終われば、キスをし、舌を絡め、体を抱き寄せ、尻を揉む。それを、繰り返し続ける。
やがて、互いにいくらか満足して、口を離した。あるいは、単に息が苦しくなったのかもしれない。
口を離して、抱き合ったまま、しばらく見つめあう。
硝子先生の顔は、その間で、火照りと色気を残しながらも、わずかに落ち着いたものになった。そして、ふっと微笑む。
「満足、した?」
まだいくらでも続けられそうだったが、僕もとりあえずは満足したので、沈黙を以て答えた。
「奥のベッドに座ってて。ちょっと、準備するから。」
そう言うと、硝子先生は、部屋の中のドレッサーへと歩いていく。
僕は、言われる通り、部屋の奥へと向かい、ベッドに腰掛けた。おそらく、普段は先生が眠っているベッド。すこしだけ、女性の、甘い香りがした。
少しして、声がかかった。
「待たせたね。」
硝子先生の声に、顔を上げる。
見れば、僕の前に立つ彼女の唇は、先ほどよりも照りを増していた。さっきまでも十分綺麗な唇だったが、今は薄いピンクのリップが、そこにより艶やかな印象を与えている。
そこで、僕は、昼間、彼女の化粧が薄めだった理由を察した。リップがついていては、あんなに何度もキスをすることはできない。
「別に、塗ったからキスするなってわけじゃないよ。ただ、とりあえず、一通りやってから塗りたかっただけ。」
正直言って、より魅力を増した彼女の唇には、今すぐキスをしたいぐらいだったが、流石に自制した。
「じゃあ、そこで見ててね。」
何が始まるのかと、思った。
彼女が、徐にズボンに手をかける。そのまま腰をかがめ、するするとそれを脱いでいく。白く艶やかな生足が、ゆっくりとあらわになっていく。
やがて脱ぎ終わると、彼女は、それを足元に置いた。
そして、シャツを軽くめくってもう一度、腰に手をかける。シャツの下から現れた黒のショーツが、彼女の足を滑り落ちていく。彼女の下半身が、一糸纏わぬものになっていく。
脱ぎ終えると、彼女は、手に持っていたショーツを、こちらに投げた。思わず、キャッチしてしまう。
「それ、欲しかったら、持ってってもいいよ。要らなかったら、置いといて。」
僕は、手の中のショーツを見つめるばかりで、彼女の言葉など、もう耳に入らない。我慢できなくて、少し、鼻に近づけた。
瞬間、鼻を突き抜ける、濃厚な雌の匂い。あの硝子先生から、こんな匂いがすると言う事実も、興奮の材料だった。
「そこまで許した覚えはないけどね。」
いつのまにか目の前に近づいた先生が、僕の手の中のショーツを奪って、部屋の入り口の方へと投げてしまう。
「ほら、それより、上も、脱がしてよ。インナーはさっき脱いだからさ。」
その誘いに、どきりとする。今彼女が上に着ているのは、白いシャツ。そして、おそらくはその下に、ブラジャー。
その胸元に、手を伸ばす。
ボタンに手をかけ、一つ一つ、ぷつり、ぷつりと外していく。
全てを外し終えると、彼女は、シャツに手をかけ、はだけた。
目に入ってくるのは、たおやかで、美しい乳房。黒のブラジャーに包まれたそれは、おそらく手に収まらないほど、大きい。いつもは、シャツ越しの膨らみとしてしか見ることのなかった、あの乳。
すぐに手を伸ばしたくなるのを我慢して、彼女の言葉を待った。
「背中に手、回して。」
彼女の指示に従って、背中側にある、ブラジャーのホックを、外す。
金具が外れた瞬間、ぶるん♡と、その美しく大きな乳房がまろび出た。触るまでもなく、その柔らかさと弾力をこちらに伝えてくる。
思わず手を伸ばそうとすると、彼女がスッと身を引いた。
「ダメ。君、触らせたら数十分はそのままでしょ。」
自覚があるだけに、言い返せなかった。
「君も、脱いで。そしたら、触らせてあげるから。」
言われるがまま、シャツを脱ぎ、ズボンを脱ぎ、パンツを下ろす。
すでに完全に勃起したペニスは、パンツを脱いだ瞬間、その存在をあらわにした。
「相変わらず、女殺しだね......何度見たかわからないけど、まだ慣れないな。
一応、ゴムは、大きいのを買ってきたから。」
そう言って、彼女はズボンからコンドームを取り出す。20個入り、XLサイズ。中から一枚を指で摘むと、封を破った。
「じゃあ、つけるね。」
彼女の手が、僕のペニスを握る。ペニスを撫でるように、ゆっくりとゴムが被せられていく。張り詰めるほどギリギリではあったが、ペニスは、なんとかコンドームの中に、収まった。
「XLでも、このサイズか......まあ、大丈夫でしょ。
じゃあ、ベッドに、寝てもらえる?」
言われるがまま、裸の僕は、仰向けでベッドに寝転がる。
その上に、彼女が跨った。ペニスとおまんこが擦れ合い、愛液を纏っていく。
いよいよなのだな、と思った。硝子先生と出会い、弟子入りし、呪いを理由に性処理をする関係になってから、しばらく。あの先生と、こうなるとは、思っていなかった。
今から、僕のペニスが、挿入される。あの家入硝子と、セックスができる。
硝子先生が、一度腰を持ち上げ、ペニスの先をあてがった。
「ほら、入るぞ.......」
ぬぷぷぷ〜〜♡♡♡
「んぁっ......♡♡♡ん♡ん〜〜♡♡♡♡♡」
硝子先生が、聞いたことがないほど甲高い声を上げ、背を反らす。その口はつぐまれ、喘ぎ声を抑えようとする努力が見て取れる。
僕のペニスは、半ばほどまで、挿入されていた。それだけでも、彼女の膣が与える快感は、並ではない。ひだの一つ一つが絡みつき、より奥に、より奥にとペニスを引き込んでくる。
彼女は、どうやら、腰を少し浮かせて、襲いくる快感に、耐え忍んでいるようだった。
しかし、快感が大きいとはいえ、半分の挿入では、物足りない。僕は、ゆっくりと、彼女の太ももに手をかけた。
「んぅ.....♡♡♡ちょ、ちょっと♡待つんだ♡これ以上はダメだ♡
んお♡おかしくなってしまう♡先生じゃいられなくなる♡
今入れられたら、保健医じゃなくて、お前の女になってしまう♡」
そう言われて、僕は、硝子先生の体を、思いっきり、引き寄せた。
ぱっっっっっちゅん♡♡♡♡
「んぅぅぅぅ〜〜〜♡♡♡♡♡♡イック♡♡♡♡♡」
彼女と繋がったところから、愛液が吹き出す。彼女は、背をのけ反らせ、舌を晒して、体を震わせている。どうやら、絶頂に達してしまったらしい。
同時に、膣内が強く締まる。入ったばかりのペニスが、うねるように締め付けられ、快感が迸った。
「フゥ〜〜♡♡♡フゥ〜〜♡♡や、やってくれたな♡♡♡
一応、これでも師匠なんだけど♡」
彼女は、僕の上で、恨みがましい視線をこちらに向けてくる。やり返さんと言わんばかりに、その膣がこちらを逃すまいと絡みついてきた。
「今度は、こっちがやらせてもらうから。」
言葉と共に、彼女が腰を動かし始める。一度絶頂して慣れたのか、あるいは自分で調節しているのか、先ほどのようによがる様子はない。
しかし、それでも快感がないわけではないようで、時々甲高い声を響かせながら、こちらを搾らんと腰を振っていた。
ぱん♡ぱん♡ぱん♡ぱん♡
「んっ♡お前のおちんぽは、サイズこそ大きいが、快感にはそれほど強くない。んぅっ♡何度も抜いたからね。わかるよ。」
その言葉に、呪いを受けていた時期や、解呪されてからの性処理を思い出す。手コキ、フェラチオ、パイズリ、足コキ......
硝子先生は、どんな性処理を頼んでも、嫌な顔をすることはあっても、断ることはなかった。それに何度甘えたことか。
否が応でもそれらの快感を思い出してしまい、より興奮が高まっていく。
「ん♡思い出してしまったか?あの時のお前は可愛かったな。舌をべーっと出してやればすぐ勃起するし、ちょっとキスすれば、すぐ『すき♡すき♡』って甘えてくるし。
今みたいに、こんな凶悪なおちんぽで私を困らせることもなかった。」
硝子先生は、こちらを揶揄うような態度を見せる。
その言葉に、ちょっとだけ、イラッとした。決して、怒りや憤りにつながるようなそれではないが、男として、このまま搾り取られて終わるのは、嫌だと思った。
僕の上に乗り、腰を振る、彼女。その上体には、ブラジャーはすでについておらず、シャツがはだけているのみ。そこに、ゆっくりと手を伸ばした。
「なんだ?触りたくなってしまったか?いいぞ。好きにしろ。」
ぐにぃ〜〜♡♡♡
もにゅ♡もにゅ♡
たぽ♡たぽ♡
愛撫によって彼女に快感を与えるつもりが、我慢できず、思いっきり鷲掴みにしてしまう。白磁のような肌に包まれた乳房は、柔らかく滑らかで、揉み込んだ手に心地よい弾力を返してくる。
そのまま揉み続けたい欲望をグッと堪えて、指先を立てた。
力を込めて揉むのではなく、撫でるようにしながら、ゆっくりと、乳房をなぞる。感触を楽しみながら、全体に指を這わせた。
さわさわ♡
するする♡
「ひぅ♡そ、その触り方、やめろ。それされると、声出て───うぅ♡」
普段は聞くことのない、硝子先生の可愛らしい声に、気分を良くする。僕は、乳輪や乳首なども含めて、より愛撫の手を速めていく。乳房に触れ、撫で、抓り、弾く。
「くっ♡お前が、その気なら......」
腰の上に乗りかかって、こちらを見下ろしていた硝子先生が、上体を下げる。その綺麗な顔が、段々とこちらに近づいてきて、不意に、左の頬に柔らかい感触があった。
頬に、キスをされた。そう思う間もなく、今度は、右の頬に、彼女の唇が触れる。子供が"ちゅー"と表現するような、浅い、短いキス。それが、両頬に落とされた。
何を、と問う前に、今度は鼻の頭にキスが落とされる。そこで、僕はようやく硝子先生の意図を理解した。
頬、鼻、おでこ、顎、唇......顔のあらゆる部分にキスが降り注ぐ。硝子先生の顔は、至近距離から離れることなく、ずっと僕のことを見つめ続ける。
鳥が餌となる物を啄むように、少しずつ、少しずつ、僕の顔がキスで侵略されていく。ここも、ここも、ここも。僕の顔が、全て彼女のキスで埋まっていく。
唇にキスが落とされるのは10回に1回程度で、こちらから向こうにキスを迫ることはできない。
「んっ♡んっ♡んっ♡んっ♡」
キスをされた部分には、彼女が先ほど塗ったばかりのピンクのリップと、唾液が混ざった印がつけられている。マーキングのように、それは広がっていく。僕と彼女の関係が、体に刻まれていく。
彼女がキスを落とす度、僕の顔はべたつきを増し、濃厚な雌の匂いが漂い始める。
彼女のとろけた瞳と、てらてらと輝く唇が、近づいてはわずかに離れ、近づいてはわずかに離れる。キスをされる度に、その柔らかさと愛情を感じて、快感が強くなり、精液が上がってくるのを感じる。
「どうだ?私に乗られて、顔中私のキスまみれにされて、リップと唾液でぐちゃぐちゃになるのは。もっと、私の印、つけてやるからな」
繰り返されるキスの感触、手に伝わる生乳の柔らかさ、ペニスを扱き続ける膣の快感に、脳が蕩けていく。
ちゅ♡ちゅ♡
もにゅ♡もにゅ♡
ぱん♡ぱん♡ぱん♡ぱん♡
やがて、僕の顔中が硝子先生のキスの後でいっぱいになり、べたべたに汚されたタイミングで、彼女は言った。
「はあ、はあ♡どうだ?私のこと、好きになってきたか?
───なあ、お前、これから、私のキス係にならないか?弟子として、私の近くにずっと居続けてよ。私が口寂しくなったら、キスするから。それで、お前がムラムラしたら、いつでもシてやるからさ。」
僕には、もはや、硝子先生の提案を熟慮したり、拒否できるような理性は残っていなかった。僕はただ、言葉を知らない赤子のように、首を縦に振ることしかできない。
「そっか。私も、お前のこと好きだぞー。私の愛弟子兼キス係君。
じゃあ、今からふっかいキスするから、一緒にイこうな。」
もう一度、硝子先生の顔が、瞳が、唇が降りてくる。僕の口を目掛けて、ゆっくりと。先ほどまでの浅いキスではなく、深く、ねぶるようなそれをするために、降りてくる。
「ほーら。」
唇が、覆い被された。
ちゅ♡
ぢゅうううう♡♡♡♡♡
びゅっ♡♡♡♡
びゅ〜〜〜♡♡♡♡
びゅるるる〜〜〜♡♡♡
びゅるるるる〜〜〜♡♡♡
びゅ〜〜♡♡♡
どぴゅどぴゅ♡
びゅっ♡
びゅくびゅく♡♡
「ん♡んぅぅ〜〜♡♡♡」
互いが絶頂を迎えている間も、キスは続く。互いに互いの唇をねぶりあい、貪欲に求め合う。キスをし、息をし、キスをする。
絶頂という瞬間に、体のの全てを味わい尽くすように、絡みあう。
互いの絶頂が終わっても、僕たちは、しばらくそうして、一つになっていた。
「もっかい、キスしよ。もっと、深いやつでさ。」
結局、僕らがこの地下室を出たのは、それから、実に32時間後のことだった。