王の広間での激戦は佳境に入っていた。アスーラン王国の兵たちはロビンと協力しつつ再生し続ける泥人形を相手にし、ラル達は他の海賊を倒しあとは宰相だけとなっていた。
「無駄だ!!周囲の土と水分がある限り攻防一体!!部下を倒せたとしても俺様は倒せない!!!」
「共闘するとは言ったがこのままでは拉致があかないぞ!!どうするのだ!?」
『考えろ。どんな能力にだって必ずデメリットがあるはずだ。泥。不定形で鋭くはできないが大きくすれば守りにも攻撃にも転じられる。周囲の石材から土、大気中の水分からいくらでも泥を生成できる。待てよ・・・!!』
「なるほど。見えてきたぞお前の攻略法!!」
「何…」
「本当か!?」
「ああ、こうするんだ!!」
俺は周囲にあった酒樽を宰相にぶつけた。樽が盛大に壊れ酒まみれになった。
「酒で酔わせるつもりか!?」
「違う。こうするのさ!!」
俺は持っていたマッチを点けて飛び散った酒に落とした。
ボオオオオオオオオオ!!!!
「泥の防壁!!!」
「火攻めであの壁が何処うなると思っているのか!?」
「ああ。泥は鋭いものは作れないが量が多ければ攻防一体。なら、泥を火であぶれば…」
ドカン!!
「ぐふあああああああ!!!」
「乾燥して土になる。しかもひび割れたな」
「そうか!!泥があったところは乾燥すればひび割れた土になる!!」
「泥ももとをただせばただの土。あいつが操れるのはあくまで泥。燃やせば水分も蒸発する。生成できる泥の量も必然的に減る!!」
「貴様ら…。はぁ、はぁ。貴様らなんぞに俺様が負けるかぁああああああ!!!!」
ぶっ飛ばされた宰相は完全にキレて全身に泥を纏った。
「泥の巨神!!!」
「なるほどねぇ。全身を泥で覆へば乾燥しても替えをすぐ生成できる」
「往生際の悪い奴め!!」
「焦るな!!酒はまだある。行くぞ!!!」
近くにあった樽を抱えて俺達は宰相に向かっていった。
「死ねええええええええ!!!!!!」
「「そっちが死ね!!」」
周囲にばらまいた酒を引火させ泥を乾燥させた。
「「今だ!!!」」
「まずい!!」
「二刀流 天翔乱舞斬!!」
「剛派飛翔閃・嵐!!!」
俺とアンナの連撃は乾燥土と生成された泥を描き分け宰相の肉体を斬り裂いた。
「俺…、様が…」
「自分の能力をもっと知ろうとしなかった。それがお前の敗因だ」
「さらばだ」
アンナが首を刎ねようやく宰相が生成した泥人形は動きを止めた。
「やったな!!」
「フン!まぁいい」
パシン!!
俺とアンナはハイタッチをして勝利を喜んだのだった。
アスーラン王国の宰相が海賊だったという事実は瞬く間に王国中を駆け巡った。王女のエリーゼが無事だった女王と共に国民を落ち着かせ少しづつ平和を取り戻していった。
主犯の宰相が死に残りの海賊は海軍に捕まった。もっともこの一件に俺達がかかわっていることも海軍に知られているので早めに出発することになった。
「まさかお礼にこんなに食料をもらえるなんてね」
「釣り道具とか調達に使えるものも手に入ったっす!!」
「私たちは海賊だぞ。いいのかそれで」
「まぁいいんじゃない。僕たち、そこまであくどいことしてこなかったし。これぐらいもらっても罰は当たらないよ」
船の倉庫いっぱいに積み込まれた食料と道具類に驚きつつも国に感謝をする俺達の前にエリーゼが見送りに来た。
「ありがとうございます。あなた達のお陰でこの国を取り戻すことができました」
「こっちはムカつくやつを倒しただけだ。こちらこそ食料ありがとう」
「あなたに言われたことをよく考えました。それで、答えが決まりました!」
「どうしたいんだ?」
「私はやっぱり、自由がいいですわ!!!」
エリーゼは着ていたドレスを脱ぎ捨てて全裸になった。それを見ていた国民は驚きの声と悲鳴を上げた。
「ごめんなさいませ皆様~。私は露出が、他人に恥ずかしい姿を見られるのが大好きなのですわ~~~!!」
「いいのかよ?せっかくこの国取り戻したのに」
「国は母様に任せられるから大丈夫ですわ。さぁ、行きましょう!!」
「お転婆な姫だよホントに・・・」
俺はそんなエリーゼに呆れつつも船に乗り込んだ。
「それでは皆様、御機嫌よう~~~!!!!」
国民たちが半場呆然としている中素っ裸で満面の笑みを浮かべて手を振るエリーゼ。
そんな中、出港する船を追いかける人影があった。
「姫様あああああああ!!!!!!」
「アンナ!?」
「姫様お待ちください!!!言ってはなりません!!!!!」
「なら飛び乗れ!説得は船でやれ」
俺の呼びかけにアンナは憤怒の形相で船に飛び乗った。
「姫様!!隊長!!旅の荷物です!!」
アンナが飛び乗った直後、兵士の一人が大型のカバンを二つ船に投げ込んだ。
「隊長~~~!!!姫様を頼みます!!!姫様~~~!!!ご達者で~~~!!!!」
カバンを投げ込んだ兵士が国民を代表するかのように大声で二人の出発を見送ったのだった。