航海士兼船大工のマキが仲間に加わり、俺達は東の海に入った。
マキは仲間になってすぐの海賊との戦闘で手に入れた悪魔の実でオトオトの実を食べ音人間になった。能力は大きい音から小さい音まで自らが発生させるあらゆる音を増幅させること。能力をうまく使いこなせるように体術を教え込んだおかげで足を引っ張ることは無くなった。
東の海は賞金首のレベルが低いため刺客が現れても問題なく乗り切り現在はアスーラン王国に来ていた。この国は東の海で指折りの美食の国らしくあちこちから客が来ている。かくいう俺達も最後の人員のコック探しの為ここを訪れている。
「こちら龍鮭の特性寿司でございます。どうぞご堪能下さい」
「美味い!!」
「流石美食の国ね。腕も一級品だわ」
「炙りトロ美味いっす!!」
今回はさすがに上品な場所なのでしっかりした格好で俺達は食事を楽しんだ。
「コックになってくれそうな人はいるのかしら…?」
「まぁなるようになれだ。見つからなければ次の島に行けばいいだけの話だし今はまず食事を楽しもう」
一頻り堪能した後宿で一休みした日の真夜中。ふと通りの向こうの王城を眺めていると不穏な人影が城からこっそり出ているのが見えた。
「んうん♡♡♡♡♡♡♡♡だれか…、誰か私の体を見てほしいですわ~♡♡♡♡♡♡♡♡」
人影を付けてみるとスタイルの良い女性がガニ股ポーズでオナニーをしていた。
「へぇ~面白いねぇ~」
「っつ!?」
「大丈夫だって。別に誰かにチクるつもりなんてないから」
「ほ、ほんとうにですわ・・・?」
「あぁ。同じムジナのよしみだからな」
俺は着ていた服を脱いで裸になった。
「まさかあなたも露出狂でしたの!?」
「まさかとは思ったがこの国の王女様がこんなことしてもいいのかよ?」
「わ、私も自分がどうかしているのは分かっていますわ。でも…、風が胸を直接伝わるときに、股が濡れるのをじかに感じた時に味わった快楽が忘れられなくて…」
「でも、もっといいのは誰かに大ぴらに見られることだと思うけどな~」
「っつ!?私はどうしたらいいのでしょうか…?」
「簡単だよ。自由になればいい。責務だ義務だを追求してても真に自由とは決して言わない。任せても大丈夫な人がいるなら自由を求めて一歩踏み出せばいい。俺はそう思うぞ」
「…。以前新聞で拝見しましたが海賊の方ですよね。実は頼みたいことがあるのです」
私の国は美食の国として栄えている。でも、それは表向きの話。数年前、海賊が秘密裏に島に侵入。国王である父を殺した。だが、海賊達は悪魔の実の能力で父にそっくりな人を影武者として作り国の中枢に海賊団のメンバーを据え国を秘密裏に乗っ取ったのだ。
それを知ったのは一年前だった。父に話があるため部屋を訪れようとした時変わった物音がいたので覗くと宰相が手をかざした瞬間、父が面戸細工のように崩れ落ちたのだ。
「フフフ。さすがドロドロの実の能力だ。王を殺してから早数年。全くバレずにやってこられた。国をブクブク太らせたまった金をまとめていただく作戦。長かったが目標金まであと少しだ。もうすぐ…、もうすぐだ・・・!」
いつもは穏やかな宰相がおぞましい表情で笑っている姿を見て戦慄した。今まで過ごしてきた父は偽物だったのだ。王族として父親として深く尊敬していたのに…。
それからだった、周りの全てが窮屈に感じるようになったのは。宰相と同時期に城で働いている人たちへの目線や内心が恐ろしくなり誰にも相談できない現状。日に日に胸が苦しくなり何もかもが嫌になってきた。そしてある日、父が教えてくれた秘密の出口からこっそり城を抜け出した。どうやら宰相もこの通路を知らないようだった。
森の奥に入ると着ていた服を脱ぎ捨てて裸になった。その瞬間だった、自分を雁字搦めにしていたしがらみから解放されたと感じられるようになったのは。
それからというもの、定期的に城を抜け出し裸になるようになっていた。
分かっている、これは単なる現実逃避。今もこの国は海賊が裏で国の財産を奪おうとするべく暗躍しているのは。そんなある日だった、自分と同じムジナを持った変態の海賊が目の前に現れたのだ。彼女はここ数年新聞で拝見した略奪行為が確認されていない海賊だったのだ。
もしかしたら、この人たちなら…。私は大きな賭けに出ることにした。大好きだった父が残したこの国を取り戻すために…。