※この作品はR-18です。

俺を好きな【悪霊】が、美少女に【憑依】してくれる話。さっそく【銀髪美少女】を寝取ります。   作:BIBI

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第8話 再会した姉がビッチになっていた件。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 折戸高校の昇降口。

 

 

 橙色に近い短髪で高身長の男――レンジは、幽霊だった。

 

 

 服装は生前着ていた物と同じ、ジーンズにノースリーブのシャツ。

 

 

 霊は地に残る記憶を読み取り再現できる。魂を持たない事や、大き過ぎる物体は無理など制限はあるが、衣服などは簡単に再現できる。

 

 

 だが彼は拘りがない性格なので、生前と同じ衣服で活動していた。

 

 

「…………ふぅ」

 

 

 現在は校舎全体に結界を張り、効率よく霊力を奪っていた。

 

 

「――――流石に早過ぎないか?」

 

 

 呆れた様に顔を引き攣らせ、レンジは昇降口の方を見た。

 

 

 その視線の先にはアミが立っており、霊符を指で挟んでいた。実力は自分の方が上だと自覚しつつも、彼女の表情に余裕は感じられない。

 

 

 

 何故なら――。

 

 

「追って来ても構わないぜ? ただし校舎が吹き飛ぶだろうがな」

 

 

 レンジが溜息交じりに踵を返した瞬間。壁、床、天井、ガラスに至る校舎全体に光の線が浮かび上がる。

 

 

 

「――またな、天才」

 

 

 

 チラリと後ろを見て笑う彼の顔には、使者の証――鈍く光る赤い文様が刻まれていた。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 折戸高校が使者の襲撃に遭って数時間が経つ。もう夕暮れも過ぎ、辺りは暗くて月が見えている。

 

 

 此処は――〈眠りの森〉。

 

 

 もう修祓院によって神霊は封印された故に、大きな脅威はなくなっている。だがクオンにとってはトラウマの場所。

 

 

 

 歩くだけでも彼女の顔色は悪くなり、息をするだけでも胸が苦しい。

 

 

「…………ッ」

 

 

 何となく自分に近しい気配を辿り、目を閉じて集中した。

 

 

 修祓院が禁忌に定めた霊の使役。犯せば死罪。

 

 

 だが、また妹に会える希望がそこにあるなら――。

 

 

 クオンに迷いなんてあるはずもなく。

 

 

 

「……リリ」

 

 

 小さく声を零し、そっと目を開けた。魂が淡い光として認識できる。すぐそば、目の前に強く自分に近しい気配の魂が光として見えた。

 

 

 

「――遅れて、ごめんなさい」

 

 

 幽霊化で重要なのは量より――質。ただ強いだけの霊力では意味がない。肉親、それも姉妹だからこそ魂は近く、適しているはず。

 

 

 

 霊力を注ぎ込む。最初は拒んでいたが、段々と諦めたのか受け入れ始めた。

 

 

 すると数秒後、眩い発光が辺りを照らした。

 

 

 

「――――全くもう……。強引なんだから、お姉ちゃんは」

 

 

 何処か嬉々として、何処か呆れた様な、諦めた様な声。

 

 

 昔と変わらない、リリの声だった。

 

 

 死んだ時の同じブラウスに短いスカートという軽装で、髪は肩までの長さ。容姿も格好も死に別れた時と殆ど同じ――。違うのは、碧眼が桜色に染まっているという点くらいだろう。

 

 

「……お姉ちゃん、これからどうするの?」

 

 

 困った様に微笑む彼女は、死んだ年齢にそぐわない妖艶さを持っている。吸血鬼の様な鋭い犬歯(けんし)故か、小悪魔的な印象。

 

 

 

 身長は135センチ程度で、胸も尻も小さく細い体なのに、クオンより妙に大人びた雰囲気を漂わせていた。

 

 

 

 

「…………リリ、ごめんなさい。あの時、私が――」

 

 

 土で汚れる事を気にせず、クオンは両膝を突き、目を伏せた。再会の喜びと共に湧き出るどくどくとした罪悪感で心臓が潰れそうで、大粒の涙をポロポロと流す。

 

 

 

「もう、そういうの良いから! 過去はどうでもいいのよ! これからの話をして! 私を幽霊化して何をしたかったの⁉ ただ謝罪をしたいだけ⁉」

 

 

 

 腕組みして、呆れ半分で怒るリリ。そして冷静に、「知っていると思うけど、お姉ちゃん一人で霊力を補給し続けるなんて不可能だからね?」と指摘する。

 

 

「勿論、ちゃんと、考えてる……。霊力には、困らないと思う……」

 

 

 腕でゴシゴシと涙を拭き、立ち上がるクオン。目の前で揺れる大きな乳房から腹に視線を移し、「…………ッ! お姉ちゃん、妊娠してる……? それに封切も治って……」リリは気配が複数重なっている事に気づいたらしい。

 

 

 

「そ、それは……、まぁ、帰りながら、言える範囲で説明する……」

 

 

 急激に顔を真っ赤に染め、どう説明したものかと焦りながら、クオンは目を逸らす。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 呪難の存在を隠して話した所為で、自分をとんでもないビッチとして語ってしまい、クオンはリリにドン引きされてしまった。

 

 

 

 だが、そのドン引きした妹の顔がおかしくて、彼女の気分は悪くなかった。いつも揶揄われ悪戯される側だったクオンからすれば、リリの反応が楽しくて仕方がない。

 

 

 

 何より久しぶりに姉妹で笑い合えた事が心から嬉しかった。

 

 

 

 その所為だろう、呪難に憑依されて無理やり嫌いな男と子作りさせられたというのに、恨みが殆どない。

 

 

 

 当然、ハジメや呪難に嫌悪感や恨みはゼロじゃない。今でもカケルへの未練や罪悪感もあるし、意識すると凄く悲しくなる。

 

 

 

 しかし、クオンは幼い頃から望まない人と結婚し子作りしなければならないと、半ば諦めて生きていたのだ。

 

 

 ハジメに初めてを捧げてしまった事。彼の子供を孕んでしまった事。それ自体に大した精神的苦痛はなかった。

 

 

 

 少なくとも受けた恩恵に比べたら、安い代償と言える。

 

 

 先天性の障害である封切の治癒。そして妹との再会。それは呪難やハジメが居なければ有り得なかった出来事。

 

 

 

 だからどうしてもクオンの中で恨みや悲しみより、感謝と喜びが勝ってしまった。

 

 

 それこそが呪難の思惑(おもわく)だと推測(すいそく)しつつも――。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 折戸(おりと)高校の襲撃事件。霊力吸収の対象外となったカケルは、霊的才能を認められ修祓院に入る事になった。

 

 

 自衛の為。周囲の人を巻き込まない為。理由は幾つかある。その中で主体となるのが、クオンへの恋慕(れんぼ)だ。

 

 

 霊力に乏しく修祓院(しゅうばついん)に属さない以上、ハジメはクオンと結婚できない。だから修祓院で才能や実力を認められたら自分にもチャンスがあるはずだと、カケルは考えている。

 

 

 

「……ってか、何でお前まで居んだよ」

 

 

「私も霊力が高いんだってさぁ」

 

 

 ジト目のカケルと、軽く流すヒヨリ。

 

 

 今は車の後部座席で並んで座っている。最初乗り込む時は黒塗りの高級車だったので緊張した彼だが、妹が先に座っていた所為で気が抜けてしまったらしい。

 

 

 

「一応確認しておきますが、何故修祓院に入ろうと思ったんですか? 一度入ったら簡単に辞められず、結構面倒ですし……、巨大な権力を笠に着て生きれるくらいしかメリットないんですけど……」

 

 

 

 助手席から話し掛けるアミ。人材不足の今、彼女があえて修祓院が不利になる様な発言をする理由は、決して善意からではない。

 

 

 

 後から話が違うとひっくり返されない様にする為。信頼を損なわない為。それが最善だと判断したからだ。

 

 

 

 協力して事件を解決する霊媒師にとって、信頼関係は重要だ。宗教の様に騙して無理やり仲間に引き込んでも無意味。

 

 

 

 寧ろ敵意を持たれる有害な行為であり、特にアミは忌避している。

 

 

「どーせ、お兄ちゃんの目的はクオンちゃんなんでしょ?」

 

 

 見透かした様に横目で笑うヒヨリ。「…………」顔を真っ赤にして、カケルは窓ガラスの方に顔を逸らした。

 

 

 

「やっぱりそうなんじゃん! 何が人助けだよ! ただの性欲じゃん!」

 

 

「性欲とかいうんじゃねぇよ……。これは――恋だよ、恋」

 

 

「なーにが恋だよ! 胸と尻ばっか見て喋ってた癖に!」

 

 

「男なんて皆そんなもんだろ! 目が勝手に動くんだから仕方ないでしょーが! 見られたくねぇならデカくたわわに育てるなよ!」

 

 

 

 顔を合わせず言い合うヒヨリとカケル。それを助手席に座っているアミは聞き、「――もしかして、クオンが好きなんですか?」と、体を逸らして後ろの二人を見る。

 

 

 

「……コイツ、めちゃくちゃクオンちゃんの事を好きです。何なら両想いだとか妄想していた不審者です」

 

 

 カケルを指差し、ヒヨリは真面目な顔で答えた。「不審者ではない……」と疑惑を否定する彼の声は小さい。少し自信なさ気だった。

 

 

 

「あー……。なるほど……。いえ……、どうでしょう……。うーん。伝えないのは不義理……。いや、クオンのプライバシーを守らないと駄目ですし……」

 

 

 

 妊娠の件について聞いていたので、アミはある程度は状況を理解している。これを伝えるべきかどうか思い悩む。

 

 

 

 プライバシーの問題も勿論。ただ生まれた子の才能によっては、クオンは死罪。この事実を告げるには、カケルやヒヨリの立場は低すぎる。簡単に上層部の意向を伝える訳にはいかない。

 

 

 

「――知ってますよ。ハジメ先輩と付き合ってるんですよね?」

 

 

 何かを察し、少し暗い表情でカケルは苦笑した。

 

 

「…………ッ! 知っていたんですか!」

 

 

 素直に驚いたという表情。それならクオンから相手にされない可能性を考慮しているだろうと、アミも考える。

 

 

「でも、別に関係ないでしょ。修祓院にハジメ先輩は属していない。だったら結婚なんてできないはず……。俺が優秀だって証明できれば婚姻は認められるんですよね?」

 

 

 

 カケルの考えは正しい。修祓院は基本的に一般人と結婚できない。

 

 

「それは、まぁ……。クオンの意思次第ですが……。修祓院は邪魔しませんよ」

 

 

 というか第一子が優秀なら、後は看過しないのが修祓院の方針だ。アミとしても他人の恋路を邪魔する気など毛頭ない。

 

 

 

 そして一応、クオンから相手にされない可能性を提示し、釘を刺す。これで後から話が違うと言われても正当さを主張できるだろう。

 

 

 

「お兄ちゃん、まだクオンちゃんと両想いなの前提なんだぁ~。きっしょ~。お兄ちゃんの事を好きだったらハジメ先輩と付き合ってないと思いま~す!」

 

 

 

「…………ッ! あれは多分、何か弱み握られてんだろ! だっておかしくないか⁉ お前だって知ってるだろ!? クオンが大の男嫌いで、軽薄なタイプが特に嫌いだって!」

 

 

 

「お兄ちゃんは女が分かってないなぁ……。そんなんキャラ作りだよ。いつも女は本心を喋る振りしてキャラ作りしてんの。チャラい男が好きでも、嫌いって口で言っとけば周りが勝手に真面目で清楚な人なんだって思ってくれるでしょ?」

 

 

 

「く……、クオンはそんなんじゃねぇよ! 本当に真面目な奴なんだって! 長く話していれば分かる!」

 

 

「真面目な人が真面目な人好きとか限らないでしょーが! お兄ちゃんだってビッチ系のエッチな動画観てるんだし⁉」

 

 

 

「そりゃ見るよ! 男だから! でも男と女って違うだろ!? 男は遊び相手と付き合いたい相手が違うというか!」

 

 

「女だって同じじゃい!」

 

 

「うっそだろ……。てか……、何で俺がビッチ系観ているのを知ってんだ、お前」

 

 

 それからもギャーギャーとヒヨリとカケルは口喧嘩を続けた。

 

 

 

 クオンは死んだ妹を幽霊化させ、使役している時点で禁忌を犯した大罪人。つまり修祓院の敵である。

 

 

 この事実を彼が知るのは、少し先の未来。

 

 

 今はただ浮かれ、クオンと結婚するという都合の良い未来を信じていた――――。

 

 

 

 

 

 

 




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 という訳で、一章は終わり!

 全三章で完結予定です!



「面白かった!」「続きが気になる!」

そう思ってくれた方は【評価】してくれると嬉しいです!!



―――――――――――――

【おまけ】

 ――ハジメの住むマンション。

クオン「な、何でここにシャーロットが……!?」

ハジメ「な、何で霊を連れてるの……?」

シャーロット「こんばんは……(今……、霊力使えないから怖い……。殺されちゃうかも……)」

リリ「(浮気現場かしら? 修羅場ってやつ?)」


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