俺を好きな【悪霊】が、美少女に【憑依】してくれる話。さっそく【銀髪美少女】を寝取ります。 作:BIBI
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――工藤ハジメ。
彼の家に、結婚を控えていたクオンが入り浸っている。それを聞いたミキはクオンの母親として、身辺調査を独自に行った。
その結果分かった事は、彼が謎の『失踪』や『病死』を振り撒く存在だという事。両親は他界しており、殆どの親戚からも見放されている。
祖母の厚意でマンション住みで、両親の遺産を毎月貰っているらしい。
その祖母を含め、親戚一同が口を揃えていうのは――『祟り』。
曰く、工藤ハジメは神の逆鱗に触れてしまった。その祟りで身内が巻き込まれてしまっているのだと。
ミキは修祓院の霊媒師として、あくまで偶然かも知れないと考え、神の祟りだと決めつけるつもりはなかった。
だが――工藤ハジメという男はどうにもキナ臭く感じていた。
こんな男に何故、自分の娘が執着してしまったのか、ずっと不思議だった。
だが今は――。
「…………ッ⁉」
一通のメール。アミから送られたもの。ミキの視線の先にあるのは、一枚の写真。そこの映っているのは、アミと工藤ハジメという男……、そしてミキの実の娘――三堂リリの姿であった。
三人はファミレスの様な場所で、仲良さげに写真を撮っている。正確に言うとリリとハジメがノリノリの笑顔で、アミは気不味そうな表情だが。
生きているなら、何故会いに来なかったの?
その疑問の答えはアミのメールに書いていた。
『リリは生きていましたが……、まだ信用できません』
信用できない……? まさか――使者?
その表現はアミの使う隠語であり、使者を匂わせるもの。
これによりミキの中で様々な辻褄が合ってしまう。
気にはなっていた。何故、クオンは突然好みではないであろう男の家に入り浸り始めたのか。それは工藤ハジメがリリと一緒に居たから。
何故、ハジメの周囲では失踪や病死が多いのか。何故、リリは生きているなら自分に会いに来なかったのか。
それはリリが使者として、周囲に災いを振り撒く存在となってしまったから。
他にも疑問に思っていた事が幾つかあったが、リリが使者という情報で全ての辻褄が合ってしまう。
「――僕が火神の
和風建築の屋敷。いつの間にか大広間に入っていた中年の男――
無精ひげを伸ばし、シャツ一枚、七分丈のズボン。夏場の様な服装をしているおかしな男だが、顔が整っている所為だろうか、妙な貫禄が感じられる。
スカした態度で彼は立ったまま、その場で煙草を吸い始める。
「知っているんですか?」
座卓を前にミキは正座したまま。背筋を伸ばし、いつもの何も変わらない凛々しい態度だが、機嫌が良くて僅かに口元が緩んでいる。
「今日、ついさっき知った事だよ。本当に偶然。正直、驚いたよ。姿がまるで変化していない。五年前。あの頃のままだった」
天草は数時間前に買い出しに出掛けたリリの姿を見ていた。
「……今のリリは使者らしいです」
「あぁ……、やっぱり。そうだと思ったよ。いやはや、何というか末恐ろしいね。並みの使者にすら、僕らは手を焼いているというのに……。リリちゃんの才能が合わさるとなると……。正直考えたくもない」
「……かつてはアミさんを越えた才能と言われていた逸材ですからね」
普段の仏頂面を崩し、少し気分よさげに微笑むミキ。
「ドヤ顔なんてしている場合かい? 意外と親ばかというか、何というか……。修祓院の危機だというのに、呑気なものだ」
煙草を吸いながら、天草は肩を落とした。因みに煙草の吸い殻は、出る度に霊力で消しているので床に落ちる事はない。
「三堂リリの目覚めた特殊能力は、恐らく――不老不死だ。これなら遺体の骨や姿が変わらない事に説明が付く」
結果的に的外れな訳だが、天草の推論が間違うことは仕方がないだろう。幽霊が実体化しているだけだなんて、予想しろと言われても難しい。
何せ優秀な霊媒師は死んでも幽霊化しないのが、この世界の常識なのだから。
「近々、ハジメ君に声を掛けてみようと思う」
「――貴方は彼が何者か知っているんですか?」
「彼については本当に何も分からなかった。分かったのは、チャラくてナンパばかりしていているわりに交際経験はクオンちゃんが初めてという事くらい。本当に大した事は分からなかったよ」
「……彼は恐らく使者では有りませんね」
ミキに大した根拠はなかった。ただ、アミから送られてきたメールだと、ハジメの事については触れられていない。
ハジメも使者と判別できたなら、二人の名をメールの内容に含めるはず……。
「…………。使者ではないにせよ……、只者じゃないよ」
ミキに背を向け、庭園に視線を向けて天草は断言した。
「僕と目が合ったのは、ハジメ君も同じだったよ。いや――力を上手く隠している分、リリちゃんより彼の方がよっぽど恐ろしいね。どうにも不気味だ」
天草は赤茶色の髪を人差し指で掻き上げ、ふぅーっと疲れた様子で煙を吐く。先が思いやられる。そんな気持ちで一杯なのかも知れない。
「調査によると霊力は皆無という話でしたが……」
「そこらの霊媒師には分からないだろうね。だけど、ここは僕の目を信用して欲しい。というか三堂リリの隣にいて、シャーロット=ヒルにも気に入られた人物が……、本当に何の変哲もない一般人だと思うのかい?」
吸い終わった煙草を霊力で消し、二本目を口にする。ライターで火を付けながら、天草は苦笑した。
「……彼を、どうするつもりですか?」
天草の見解に、ミキは異論を挟まない。彼女は真剣な眼差しを横に向け、天草の背を見て返事を待った。
「…………。勿論、リリちゃんが使者である以上、掟に基づき仲間を含めて処罰するよ」
振り返り、堂々と答える。いつになく真剣な表情の天草は、飄々とした印象は薄れ少し圧がある。これにはミキも「…………ッ」少しだけ緊張が走った。
「――って言いたいけど、あくまで最終手段だ」
すぐに普段の緩い態度に戻って、不敵な笑みを浮かべた。天草は今の所は建前抜きに、抗争に発展する様な真似は控えたいようだ。
「…………? 何故ですか? 貴方は掟を重んじていたはずでは?」
「君がどう思っているか分からないけど、僕はわりと柔軟な人間だよ。掟通りに行動すれば丸く収まるなら、それでいいと今までは思っていた。でも――今回は違う」
違和感を口にするミキに、天草は真っ直ぐ視線を向ける。
「神の力を得た三堂リリに加え、あっちにはシャーロット=メイアーまでいるわけで。イギリスは日本と違って霊媒師の権力が強い。抗争に発展すれば、イギリスという国自体が敵に回るだろうし、必ず禍根が残る。今は手出しできない」
天草は政府と修祓院の中立というか、妥協案を考える立場だ。その立場から、シャーロットを敵に回すなんてあまりにも愚かだと判断している。
実際、今の日本とイギリスは、政治的に良好な関係を上手く築けている。それを修祓院の独断で台無しにすれば、国民を敵に回す事となってしまうだろう。
「とにかく――話を聞かない事には、何も始まらないさ。アミちゃんの帰りを待とうじゃないか」
様々な場所で暗躍し、広い情報網を持つ天草としても、今回の一件は不明な点が多すぎるのだ。
何をどうするにしても、アミの話を聞いた後でなければ怖い。それが彼の本音であった。