俺を好きな【悪霊】が、美少女に【憑依】してくれる話。さっそく【銀髪美少女】を寝取ります。 作:BIBI
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曇り空。少しずつ雪が多くなっていた。時間帯が時間帯なので、学生の姿は少ない。大人達がチラホラといる商店街。
黒髪フツメンな、見るからに平凡そうな少年――ケイタは、学生服を着て暗い表情を浮かべながら歩いていた。
彼は今日がどういう日なのか知っている。普段通りという訳にもいかなかった。婚約者であるヤチヨが、もしかしたら助かるかも知れない。
そんな淡い希望を抱き、信じるしかない。だが、アミの連れて来た凄腕の霊媒師でさえ神を退治できないというならば、それはもう――……。
自分でも馬鹿だとは思っている……けど、どうしても嫌なんだ、ヤチヨが他の男と結ばれるだなんて。
幼い頃からずっと一緒に居て、憧れていた。それなのに、ぽっと出の野郎にヤチヨを渡したくない……。
たとえ呪いで死ぬんだとしても、俺はヤチヨと結ばれるなら……、悔いはないから。
「…………」
気づくとヤチヨが住んでいるマンションに辿り着いていた。田舎町にしては高層で、周囲の雰囲気も落ち着いている。
雪が積もり始め、周囲に人が少なく、静けさが辺りを支配していた。
「――ケイタ……」
曲がり角から、暗い表情のヤチヨが姿を現す。それを見て、「…………ッ」ケイタは察してしまう、良くない知らせを。
「ヤチヨ……。俺は好きで婚約者に名乗り上げたんだ。今でも気持ちは変わってないよ」
こういう暗い話をしたくはなかった。だけど、ここはハッキリさせないと、婚約破棄を考えているけど言い出せずソワソワしている、という風に思われかねない。
だからケイタはヤチヨの目を見て、真剣に自分の気持ちを伝えたのだ。
しかし彼の言葉は、その真剣さ故に――。
「…………ッ」
ヤチヨは重く受け止めてしまう。泣きそうな顔を隠す様に目を伏せ、ケイタを無視してマンションの方へ向かう。
「ヤチヨ……!」
ケイタは何か気に障ったのかと、少し驚いて近づこうと一歩踏み込んだ。すると「――帰って」と一言。冷たい声音。それはヤチヨから発せられたものだった。
「え……?」
ケイタは戸惑い、立ち止まる。
「正直、ケイタは嫌いじゃないよ……。ただ、そういう気持ちじゃないから。婚約破棄は私の方から伝えた。もう関わらないで」
本当はこんな冷たい言葉、口が裂けても言いたくなかった。だけど言わないきゃいけないと拳を固めた。ヤチヨはずっと幼い頃からケイタのことが好きだからこそ、ここで突き放さなきゃいけないんだと自分に言い聞かせていた。
「…………」
ナギは隣でただ見ていることしかできなかった。幼馴染ではない彼女は、二人の関係を良く知らない。余計な口出しは出来なかった。
「……だったら! 何で今なんだよ!」
「…………ッ」
ケイタの核心を突く言葉に、ヤチヨは何も言い返せない。
「本当に嫌だったら、今さら婚約破棄なんてしなくたっていいじゃないか……! 俺に、気を遣ってるんじゃないか⁉ そんな余計な気遣いはいらない……! 俺はずっとヤチヨが好きなんだ!」
飾らず気持ちを伝える。その誠実な態度はケイタの長所なのかもしれない。実際ヤチヨの心は揺らいでいた。
好きでもない相手に体を許すなんて、彼女は想像するのも嫌だった。ケイタ以外と子供を作るなんて、嫌だと思い続けていた。
だからこそ――。
「何か勘違いさせちゃったみたいだね……。ごめんね……? 修祓院の意向で誰かとは婚約しなきゃいけなくて。とりあえずケイタを婚約者にしてただけ……」
ヤチヨは、ハッキリと突き放すと決めた。好きだから。誰より、好きだから――死んで欲しくないって思ったのだ。
「……だ、だからって見ず知らずの他人を選ぶのか? 俺じゃダメなのか?」
簡単には引き下がれず、悔しさで拳を固める。ケイタとしてもヤチヨが自分に好意を持ってくれているのは察していた。
お互いに気持ちを確かめたことはない。だけど、一緒に居れば何となく伝わるのだと確信を持っている。
「…………。友達として好きだよ? でも、結婚したいとか、そういうのじゃないから」
「…………ッ」
少し振り返り悲し気な表情を浮かべたヤチヨに、ケイタの胸は苦しくなった。言いたくない事を言わせてしまっていると、彼は自責の念に駆られている。
「気にすんな! 女は星の数ほどいるんだから! その内、良い人見つかるよ!」
困った様な笑顔で、無理して大袈裟に振る舞うヤチヨ。見ているだけでも無理していることが伝わる程に演技が下手で、彼女自身が苦しんでいるのは他人の目からも明らか。
「…………。だから…………、私のことは忘れて」
自分の演技には無理があるのは自覚しているのだろう。肩を落とし、自虐的な笑みを浮かべて再度ヤチヨは彼に背を向け、歩みを再開する。
「…………ッ。ヤチヨ……! 俺は……!」
ヤチヨとナギがマンションに入った様子を呆然と眺めるしかなく、ケイタは涙を浮かべて自分の無力に打ち震える。
両想いだからこそ、突き放された。好きだから生きて欲しい。その願いを知って、ケイタは簡単に否定する気にはなれなかったのだ。
自分以外の男と結ばれてほしくない。その気持ちは当然残り続けるが、彼女が望むなら生きるべきなんじゃないかと、踏み止まってしまう。
どうすればいいのか。答えが出せないまま、彼の前から二人の姿は消えてしまった。
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