※この作品はR-18です。

俺を好きな【悪霊】が、美少女に【憑依】してくれる話。さっそく【銀髪美少女】を寝取ります。   作:BIBI

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第20話 人は簡単には変われない。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「……二十年しか生きれない呪いって、呪いを伝播されてから二十年ってことでいいのか?」

 

 

 山に張られた透明に近い結界の周りを、俺は歩きながら素朴な疑問を口にした。

 

 

「いえ……、あの呪いは実年齢で寿命が決まります。仮に二十歳以上がヤチヨと交われば、即死でしょうね」

 

 

 アミは霊符をペタペタと木に貼っているリリを遠目に見ていた。どうやらアミはリリの行動が気になって仕方ない様子。

 

 

 先程からずっとリリの行動を注意深く観察する様に目を向けている。

 

 

「こっわぁ……」

 

 

「そもそも……、婚約者も含め二人で結界に入り、命を捧げないといけないので……。どっちみち死は免れないかと……」

 

 

 ドン引きする俺に、アミは振り返り視線を合わせた。

 

 

「あぁ……、だからヤチヨちゃんは、あの時〈心中〉って言葉を使ったのね」

 

 

 トテトテと小走りに駆け寄り、リリは俺の腕を抱き寄せる。

 

 

「修祓院からすれば、好都合よね、この呪い。ヤチヨちゃんが呪いを解いて逃げるリスクがないんだもの。修祓院はただヤチヨちゃんの番を見つけて、押し付ければ良いだけ。簡単な仕事ね」

 

 

 クスクスと小馬鹿にした様に笑うリリ。メスガキというか悪ガキというか、普通に意地が悪すぎる物言いに、ハジメは後ろを振り返る。

 

 

 

 あからさまに悔しそうに歯噛みしたアミと目が合ってしまう。「…………」振り返ったことを後悔しつつ、前に向き直り俺は溜息を吐いた。

 

 

 

「この結界を壊したら、ヤチヨちゃんは助かるのか?」

 

 

「…………ッ‼」

 

 

 俺が手に霊力を集めバチィッと雷の様に音を響かせると、後ろでアミの霊力が僅かに揺れた。振り返ってないので表情は分からないが、恐らく俺の霊力の強さに驚いて警戒した結果、霊力が強張ってしまったのだろう。

 

 

 

「……無理ね。というか逆効果よ。壊したら、ヤチヨちゃんの死が確定してしまうわ。呪いを安全に解くには、結界の条件を破綻させないといけないの。結界自体が無くなれば、条件の変更が不可能になってしまうわ」

 

 

 俺の霊力の強さを多少知っているリリは、霊力の強さに僅かに驚きつつも冷静に説明をしてくれた。

 

 

 当たり前だが結界を壊せば解決みたいな、単純な話ではなかったらしい。そう判断し先のことを考え気が重くなっていた時――。

 

 

 

「そっかぁ。上手く行かねぇな……。…………。ん…………? あれ? リリ……。確かお前言ったよな? 神に食われるリスク込みで結界を成立させてるって。それならさ――」

 

 

 

 俺は気づいてしまった、単純な解決策を。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「私ハ強イ子供ガ欲シイ。オ前ハ、コノ娘ヲ助ケタイ。ナラ協力スルベキダ」

 

 

 ヤチヨに既に憑依して、彼女の姿で話し始める呪難。声音は平坦で人間味があまり感じられない。今はまだヤチヨの演技はせず、呪難の素の態度だった。

 

 

 

「従わないなら、殺すっての……?」

 

 

 神が目の前にいるということで、声や足が震えている。ナギは胃がキリキリして、心臓がバクバクと音を立てている中、できるだけ平静を保ち対話を試みる。

 

 

 

 少し前に神から酷い目に遭った彼女は、既に死を覚悟している。呪難はその気配から、明らかに眠リ猫より遥か格上の神。

 

 

 

 自分やヤチヨ程度の力でどうこうなる領域の相手ではないと、既に戦うことも逃げることも諦めていた。だからこそ――。

 

 

 

 せめてヤチヨだけでも……。

 

 

 ナギは自分の命よりも、親友の命が助かる道があることを内心祈っていた。だがそんなナギの覚悟とは裏腹に――。

 

 

 

「――コノ娘ノ呪イヲ、安全ニ解ク方法ヲ教エテヤル」

 

 

 拍子抜けするほど、呪難なナギやヤチヨに都合のいい話をし始めた。

 

 

 

「…………ッ⁉ アナタなら、呪いを、安全に解けるの……?」

 

 

 思わず体の震えは止まり、ナギは呪難の言葉に食いつく。

 

 

「少シ違ウナ。私デハ結界ヲ壊シテシマウ。ダカラ呪イヲ解クノハ、工藤ハジメニ、ヤッテモラウ」

 

 

 手慣れた手つきで、買い物袋から食材を取り出す。キッチンへ行き、明らかに焼きそばを作る準備を始めていた。

 

 

 

「…………⁉」

 

 

 呪難の発言にも行動にも驚き、ナギは困惑して固まってしまう。

 

 

「私ハ奴ト交ワリ、子供ヲ作ル。工藤ハジメガ結界内ノ神ヲ殺セバ、呪イガ解ケル。……ツマリ、私ト工藤ハジメガ子作リスルノハ、一石二鳥。ウィンウィンッテ事ダ」

 

 

 

「か、神を、殺す……? 彼に、そんなことが出来る訳……」

 

 

 淡々と冷蔵を漁り始める呪難に、ナギは警戒しつつ少し近づく。

 

 

「厳シイ戦イニナルダロウガ、奴ナラ不可能デハナイ。悪クナイ条件ダロ? 無抵抗ニ死ヲ受ケ入レルクライナラ、一カ八カに賭ケルベキダ」

 

 

 

 包丁を探し当て、まな板と一緒に軽く洗い始める呪難。神だというのに、あまりにもシュールというか、見ているだけで気が抜ける様な光景だった。

 

 

 

「…………。修祓院は、当てにならない……。私の時も、あの人達は冷たく突き放してきて助けてくれなかったから……。きっとヤチヨのことだって見捨てるに決まってる……。だったら――私は神様を信じる」

 

 

 

 胸の中心に手を当て、服をギュッと握りながらナギは決心した様に告げた。先程の会話でナギは、修祓院に失望している。

 

 

 

 彼らじゃ、ヤチヨは救えないのだと、だったら神様に頼るしかないのだと、ナギは二度目の神頼みをしてしまう。

 

 

 

 人は簡単に変われないということだろうか。あれだけ酷い目にあったばかりだというのに、ナギは眠リ猫より更にヤバそうな神様の提案に乗っかったのだ。

 

 

 

 だが、それはもしかすると彼女にとっては、途轍もない幸運なのかもしれない。

 

 

 何せ呪難は、ただの色ボケな神。無差別に死や呪いを振り撒く、恐ろしく邪悪な神ではないのだ。

 

 

 あくまで目的は体の貸し出し。大人しくいうことを聞く相手には、それなりに優しくする穏やかな神である。

 

 

「力尽くで言う事を聞かせることだってできる筈なのに、私に判断を委ねてくれているなんて、悪い神様じゃないはず……。ヤチヨ、ごめん……。私は信じたい……。アンタがこのまま無抵抗に死を受け入れるなんて、私は嫌だ……!」

 

 

 

 涙の訴え。呪難が体を動かしているとはいえ、意識があって声は聞こえているだろうと、ナギはヤチヨに向かって語り掛けた。

 

 

 

「ジャア、交渉成立ダナ……。とりま、私がヤチヨを演じて、暫く動くから! ナギは援護して! 私だけじゃ無理そうだったらナギも体で誘惑するように! 分かった⁉」

 

 

 

 唐突な凄まじい呪難の演技。傍から見たら普段通りの明るいヤチヨにしか見えないだろう。これには流石にナギも、「…………ッ⁉」動揺し過ぎて絶句してしまう。

 

 

 

 数秒呆気に取られ、ナギは「…………。分かった……。い、意外と神様も器用なんだ……。凄いノリノリだし……、うん……、優しそうな神様で良かった」と前向きに現実を受け止め始めた。

 

 

 

 

 




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