「盗んだ方が悪いに決まってるでしょ!」
スラム街にほど近い下位区画の大通りでユミナの大声が響く。その中には鈍い打撃音も混ざっていた。
ユミナの拳がカツヤの頬に命中し、そのまま数メートル飛ばしたことで発生した音だ。
それを見ていたアイリもルシアも、そしてアキラも固まっていた。
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アキラの最後通告を突きつけられたルシアはどうするべきかと苦悩する。アキラが金の所在を明らかにする公正な方法を挙げたことで、自分のこれからが決定付けられた様なものだ。表情から読み取られたことで、ユミナもアイリもルシアをスリの犯人と気付いてしまった。もう先はない。
カツヤがいなければ即座に答えは出ただろう。
カツヤだけがまだ自分を信じてくれている。ルシアはそう感じた。カツヤの顔には追い詰められているルシアの表情を見てもなお、心配そうな表情が浮かんでいたからだ。
だからこそ、ルシアは決断した。カツヤが口を開く前に。どうしようもなくなる前に。
その背から離れた瞬間殺されるかもしれない。そんな恐怖を振り払ってカツヤの脇を通り、今もなお昏い光を放つ瞳で睨み付けてくるアキラの下へ走り、謝罪と共に10万オーラムを差し出した。
走らなければカツヤに引き戻される。時間を掛ければカツヤが自分の為に一線を越えてしまう。
ハンター同士の殺し合いなどスラムでは時折りある為、ルシアも見たことがあった。結果は凄惨に尽きる。対モンスター用に製造された銃の威力はスラムに転がっている拳銃などとは比較にならない。それで殺し合うのだ。殺された方は四肢が散らばることも良くある。
カツヤが死ぬかもしれない。少なくともルシアの視線の先にいるアキラの雰囲気は、この場のハンター3人を相手にしてなお勝ち得るほどの殺気を放っているのだ。自分の所為で信じてくれた恩人を殺したくはないという感情と共に、ルシアは自首をしたのだった。
カツヤを思って行動した。その一連の流れから、アキラはそう感じた。
カツヤが原因で騒ぎが大きくなったことには目を向けず、カツヤの為に少女が決断を強いられる。そんな状況を見たアキラの心情は、「Web版の描写されてないところでは日常だったんだろうな」というものだ。
気持ちが悪い。「まるで消耗品が勝手に増えていくようだ」と思いつつ、財布の中に金を仕舞った後、ルシアに「着いてこい」と言ってスラムの方へと足を向けた瞬間、カツヤが噛み潰していた奥歯を離れさせ、言葉を発した。
「ふん、盗られたことが本当だとしても、ハンターがそんな油断をしている方が悪い」
その言葉はただのカツヤの不満の表れだ。
自分を認めない者たちに認められる。敬愛している者たちと自分よりも仲がいい。レイナ達を傷付け、自分たちと別れさせる切っ掛けを作った。
そんな奴が今、目の前で自分に助けを乞うてきた少女を奪おうとしている。
金が戻ってきたことの安堵から殺気は霧散し、それを感じ取ったユミナやアイリも面倒事が厄介事に発展することなく終わったと肩の荷を下ろした。その弛緩した空気がカツヤの中に溜まっていた鬱憤を後押ししてしまったのだ。
「………………そうか。──じゃあ死ね」
自分だけならいざ知らず、生活面も含めたハンター稼業をサポートしてくれるアルファまで貶めるような発言に、アキラの殺意は再燃し、黒く燃え上がる。「どうせこいつは今後不幸をばら撒くだけだし、良いだろう」という思いと共に。
脳内に響くアルファの静止の声も無視してアキラがAAH突撃銃へと手を伸ばしながら振り返る。しかし次の瞬間、アキラの殺気は再度霧散した。アキラの視界には殴り飛ばされるカツヤと怒りの形相のユミナが目に映ったからだ。
そして数メートル先へ飛んでいったカツヤを置いて、ユミナが頭を腰と同じ位置になるほどに下げて謝罪し始めた。
「ごめんなさい! 悪気はなくて、……いや悪気が無いからって言って良いことと悪いことは有るんだけど、いや、それよりも本当にごめんなさいっ!!」
急な思考が纏まらないのだろう。それでもここで戦闘を起こさないためにユミナは全力を尽くしていた。可能な限り穏便に済む方法を。
頭を下げているユミナにはアキラの足下がギリギリ視認出来る程度で、表情などは見えない。それでも周囲の警備員が反応しないことから銃を抜いていないことは分かる。「どうかこのまま済んで……」という願いが通じたのか、アキラの舌打ちが耳に響き、そのまま2人分の足音が遠ざかっていった。
前回も今回も落ち度はカツヤにある。しかしアキラは自ら引いてくれた。そのことに感謝しつつ、ユミナは飛んでいったカツヤに元へ怒気を高めながら向かった。
『アキラ。あの子たち、そのままにして良かったの?』
『あの子たちってルシアとナーシャのことか?』
『ええ』
『手を出さなかったのが可笑しいって話か? 10日間ずっと、今日の朝まで食事と寝る時間以外シ続けたんだぞ? 流石にこれで手を出すのは性欲に支配されすぎだろ』
『ふ~ん……、で本音は?』
『高級料理喰いまくった後に安いレトルトで口直しする馬鹿はいない』
『ひっどい例えね。本人が聞いたら泣くわよ?』
『カナエ曰くオレは女泣かせらしいぞ?』
『泣くというより、鳴く、ね』
アキラはルシアを伴ってシェリルの下まで向かった。正直掏られた件も含めて、スラム街に入った瞬間、撃ち殺しても良かったのだが彼女の親友には興味があったのだ。
文字の羅列の上でしか知らない彼女だが、スラムという最低で劣悪な環境下でありながら、
ナーシャという少女は、Web版では途中退場、書籍ではルシアのしたことを濯ぐために徒党に尽力し続けるキャラだった。そしてそれはこの世界であっても変わらない。
アキラがシェリルの執務室へとルシアを連れていく姿を見た徒党員が話していたのを聞いたのだろう。それで察してしまったのだ。いつも通りスリをして、その相手がアキラで、そして捉えられ処罰を受けることになる、と。徒党の後ろ盾に被害を出せばどうなるか。最近徒党の資金繰りは良くなってきている。それだけに他所の徒党から邪魔が入る可能性が高くなってきていた。それを大々的に知らしめるには良い機会でもあったのだ。
顔を蒼白に染めながら、与えられた仕事も放棄してナーシャは走った。
アキラがシェリルに、ルシアにどのような沙汰を下すのかという案を聞いている最中、部屋のドアが勢い良く開けられる。入って来たのはナーシャと彼女を抑え込む武装した子供たち。武力要員に抑え付けられた結果だろう、床に叩きつけられた額から血を流しながらも、ナーシャは助命を嘆願した。
涙を流しながら「何でもするからルシアの命だけはどうか助けて欲しい。たとえ死ぬとしても」とアキラとシェリルに叫び、伝えた。
アキラとしてはルシアからはもう金を返して貰った為、これ以上下手な真似をしないのであれば放置できる。ただ、彼女はスリの常習犯。スラムに放流しておくと、彼女に恨みを持つ人間が殺すだけの可能性も無視できない。
怯え、震え続けるルシアと五月蠅いからと口に布を詰め込まれ涙を流すしか出来なくなったナーシャを見て、アキラは面倒くさくなり、シェリルへと全部投げることにした。
それを聞いたシェリルは少し考えた後、ナーシャを残して他の人間を執務室から追いやる。アキラも含めてだ。
武力要員達は一応仕事でもあるからと、ルシアを逃げないように囲んでいたが彼女にもうそんな気力はない。親友が自分の代わりに殺されるかもしれないという現実に、心が軋んでいたのだ。涙が自然と流れていた。「馬鹿な真似をした」と。大したことないと思っていたそれが、以前から「スリで生活するのは危険だから私の居る徒党に入ろう」と誘ってくれていた親友のナーシャの命を危険に晒したのだ。自分だけが責を負うならともかく、無関係であった親友を、だ。
力無く、ただただ愚かな自分を呪っていた。
しかしそんなルシアの状態などアキラにとっては非常にどうでもいいモノ。実際にナーシャがルシアを助けようとしていた時点で見たいものは見れたとして、そこにいた少年たちに帰ると告げて帰路に着いたのだった。
『あのナーシャっていう奴は幹部候補だって以前シェリルから聞いたしな。多分雑務を増やすか何かして残すんじゃないか? ルシアの方は、……まぁ、シェリルなら上手く使うだろ』
『随分と適当ね』
『そっちに思考リソース割くより別のこと気にした方が良いしな』
『例えば?』
『シオリに強化服貰えるって話になったから、強化服側に回す予定だった金が浮いた。どうするかなって』
『それは難問ね』
アキラはアルファと浮いた残金をどう使うか相談しながら家路を歩いている。スラム街の途中でまたスリに遭ったが、今度は財布を持った腕を掴み返し、ぎょっとした顔をAAH突撃銃で撃ち抜いて事なきを得た。
(生活費を除いて約8000万オーラム。……銃か、バイクか…………どう使ったものかな)
その悩みは家に着いてからもアキラの頭を悩ませる。
悩みを聞いていたアルファはアキラから送られてくる念話にカツヤに対する嫌悪などはあっても、明確な殺意までは乗っていなかったことで安堵していた。
数日後、荒野から帰って来たアキラが強化服を脱いで格納棚の中へと入れる。
白を基調とした薄手のボディースーツ。薄く細かく小さい灰色の装甲板がその全てを覆い隠せるほど随所に取り付けられており、隙間から覗く白は流麗さを物語る。全体に走る細い蒼のラインは機能美だけでなく、見た者に美術的な価値すら思わせる。
単純な性能だけでなく、見た目にも配慮されたその一品こそ、シオリからアキラに譲渡された強化服だった。
商品名、クワイエットバンシィ。
基本価格は本来なら秘密。外部に販売する予定の無い品であるからだ。とある製造企業が提携している企業にだけ卸している一品であり、一般のハンターが手にすることは稀とも言える。だが、稀であるだけであり、その製品を保有している者や企業との伝手さえ確保できれば、入手は可能。
そのため、アキラがこれを着用していても、何ら異常な事ではない。
シオリがこれを保有していた理由は、自分とカナエを含めてなお戦力不足と感じた場合に戦力の追加を図るためだ。自分たちで駄目なら本社から追加の人員を求めればいいのだが、レイナは立場上少し難しい。現地で募集するしかない。
しかしクガマヤマ都市でも有数の実力者となれば数が限られる。とはいえ、それは当人の実力に装備が追い付いていないという状況もありうる。稀な事象ではあるが、シオリは実際にそんな人物と対峙したのだ。あながち間違っていなかったと、地下街攻略後にこの強化服を見た時に感じた。
そしてそれは一応、社の備品。つまりはどうしようも出来る品。シオリはそれをアキラに譲渡したのだった。
アキラがこれを荒野で受け取った際に、シオリから基本構成だけで1億オーラム。装甲板などの拡張部品は高級品を使用している為、そこから5000万は乗ると教えられた。
シオリやカナエ、レイナを喰った挙句、1億5000万オーラムの製品を渡されると、流石にアキラも顔が引き攣る。自分の命を安く捉える気は無いが、それでも貰い過ぎなのではという言葉が脳裏を過ぎるのだ。
しかしその不安をアキラの表情から読み取ったシオリは、先日自分もして貰ったからと、優しくキスをする。舌まで入れてアキラの舌を絡め取り、アキラの不安感をこそぎ落とすかのように奉仕した。
その献身的な態度から、アキラも心配するだけ無駄だと察し、攻めに転じる。されっぱなしもアキラの性分に合わない。自分の口内を磨くシオリの舌を絡め取ってシオリの口内へと押し返し、そのまま何度か甘イキさせた。
ゆっくり落ちるシオリの腰は何時の間にか後ろにあった椅子に辿り着き、視点の高さすら逆転される。ちゅぱっ♡ れろっ♡ と水音を立てながらお互いの唾液を混ぜ合わせ、本来ならば感じない唾液の味を味わい合う。
普段は凛とした表情を取っているシオリでも、今はオスに喰われることを期待して目尻を下げる弱いメス。常に下から舐め上げるような奉仕により、「
ゆっくり唇を放せば少し寂しそうにする。だが、目の前でギラつく瞳が、まだ終わりでは無いことをシオリに気付かせて、唇を自然と開かせた。アキラが口を開けて口内に残っていた全ての涎を落とせば、シオリはそれを溢すことなく口の中で溜め込んでいく。
口の中に溜め込んだ2人分の唾液は空気を多分に含んだ影響か、小さな気泡が沢山見える。アキラはシオリを上から見下ろすようにして確認。シオリは見やすいようにと口の端を指で広げていた。
「良いぞ」
そのアキラの許可の下、シオリは口を閉じ、嚥下を開始。コクコクと鳴る喉は色っぽく、男の劣情を肥大させていく。
長く味わって飲み終えたシオリがそれを証明するように再度口内をアキラに見せ、そして
「アキラ様。とても甘美な一時を────?」
だが、シオリが全てを伝える前にアキラの車が動き出す。シオリもそれに乗っていただけあって、自分が乗ってきた車が離れていく。自動追従によりアキラの車についてくるように設定したシオリが少しばかりの焦りを追い出して、再度アキラに問い掛けようと顔を向けた時、アキラの手がシオリの股座に潜っていた。
防護服としての機能を持ったメイド服。その下には以前よりも高性能な強化インナーを着ている。つまり触覚フィードバック機能も相応に高く、アキラの手の温度や爪の形、撫でられた時の感覚などが本物同様に作用して、シオリの陰核を撫でた。
相手がアキラでなければスカートの中に手を入れようとした時点で腕をへし折られるような行為。だからこそ、シオリは受け入れていた。相手はアキラ。腰を下ろしているおかげでアキラの口が耳元に簡単に届くのだ。
「この後の予定は?」
「……あ、ありません♡」
本来ならばこの後レイナ達と合流する予定だが、その後どうするかなど決めてはいない。レイナ達も防壁の内側に居るため、自分が早々に戻る必要性も低い。
そのままシオリはアキラの家に連れ込まれ、夜を共にした。
ただ無遠慮に閨へ行くだけでなく、健全に。シオリはメイドとしての作法としてアキラへ料理を振る舞い、共に風呂場で全身くまなく洗い合い、まるで新婚の夫婦のような温もりに溢れた一時を過ごす。
ただし、ベッドの上では両者間の上下関係は明確。短針が頂点を示す頃、シオリの腰にはカラフルな肥えたゴムを幾つもぶら下げたスカートが形成されていた。
一つ一つが一回で出されたにしては多過ぎる量を内包するでっぷりとしたゴム。腰全体をぐるっと一周する細い糸に括られて垂れている。シオリの恥裂を隠す配慮もばっちりなそれは、翌日、シオリの荷物と共に防壁の中へと消えていく。
本人よりも先に防壁入りする子種にアキラは僅かに複雑な感情を抱いたのは言うまでもなかった。
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拡張部品を以前よりも組み込んだAAH突撃銃を2挺。そこに威力向上用の拡張部品を組み込んだCWH対物突撃銃。アキラが目の前にある銃をどこまでも丁寧に整備していた。
そこにアキラにも分かり易いようにとマップ生成をしていたアルファが声を掛けてくる。
『それにしてもシズカのオススメだっていう銃を買わなかったけれど、本当に良かったの?』
『DVTSミニガンのことか?』
『ええ。アキラなら悩んだ末に購入しそうだなって思っていたもの』
『あー……、買っても良かったんだけど、シオリから中々に良い強化服を貰ったもんだからさ。
口座にも生活費抜いて8000万オーラムも残ってる。もう少し溜めてもっといい銃の購入に回した方が良いかな? って思って。ダメだったか?』
『いいえ。ちゃんとした考えがあるなら良いのよ。ただの食わず嫌い感覚なら叱っていたわ』
『おー恐い。今後もちゃんと思慮深く行動します』
『そうね。急に10日間も訓練をサボった誰かさんにもキツく言い付けておかないといけないものね?』
『…………』
『あの強化服。本当に良い性能しているわ! 壁や天井に立てる機能があるの! 使えるようにならなくちゃね!!』
『が、頑張ります…………』
シオリとの交渉で急遽10日間もホテルでの滞在が決まったのだ。それは流石にアルファの予定を狂わせたし、その後のスリやカツヤとの厄介事。アキラがアルファの想定を狂わせることが幾つも起きている。それを再度制御下に入れるためにアルファは少し強めの笑みを作り、アキラの顔のすぐ近くで浮いていた。
(笑顔は元々攻撃用の表情ってのは本当だな。……見限られたくないし、予定外の滞在とかは控えよう)
先日、急にシオリを家に招いた挙句翌日の昼前まで動けないようになるまで追い込んだことは頭の隅へと追いやり、銃の整備を終わらせる。
その後、車の荷台に置きっぱなしにしていた遺物の方へと手を付けた。
アキラが強化服をシオリから譲渡して貰ってから数日後、銃や車両も含めてアルファによる制御装置の書き換えも済み、漸くハンター稼業も再開。カツラギから購入した荒野仕様車両は6輪駆動車で、荷台も広い。多くの遺物を確保しても問題無いとして、以前から調査していたリオンズテイル社の端末設置場所で一番怪しい場所へと赴いた。
原作通り廃墟群だけが目立つそこの外周部には地下へ続く階段があり、アキラは強化服に統合されていた情報収集機器で早期に発見。「流石は1億オーラムの強化服だ」と感想を漏らし、『私のサポートもあってのことよ』と苦言を貰いながら瓦礫をどかす。
暗闇へと続く階段を見て僅かに喉が乾くが、原作通りであれば今の内。モンスターはいない。遺物はたっぷり。ただ暗いだけの遺跡なのだ。臆するなと自分に活を入れたアキラはそのまま階段を下りていった。
結果としてアキラの遺物収集は大成功。ヨノズカ駅遺跡の内部はモンスターの影も形も無く、通路に隣接している店舗は埃が積もってはいてもほぼ全ての遺物が完品状態。保存状態の悪い物は無視して十数個のリュックサックの中に詰めたのだ。
カツラギのところで売ることを考えて、その大半が機械系の製品。ただし、今後のことも考慮に入れ、旧世界製の衣類も十二分に持ち帰った。
今後の戦闘は強化服が常人の域を脱した挙動を取る機会が多くなる。その際に自傷のような傷で回復薬の治療用ナノマシンを消費するのは勿体無い。男物の衣類は全て開け、下着の類いは取り敢えず棚へと仕舞い、上着の方はいつか消費する時が来るだろうとして使わない部屋へと纏められた。
「後は……」
アキラの視線の先にあるのは女物の衣服だ。下着や寝間着、上着も幾つかある。
(シズカさんへのプレゼント用と、シェリルに渡す分……、うんまぁ、足りるだろ)
アキラは数についてしか考えていないが、ここに有るものは全て旧世界製の品。現代からしてみれば少々扇情的な意匠の物も多い。アキラはそちらへ意識を向けることなく、明日カツラギのところで幾らぐらいの収入が入るかと考えていた。
怪しまれないために持ち帰った機械系の遺物を半分程度に抑えて、アキラはカツラギのトレーラーを訪れる。
持ち帰って時間を掛けてじっくり鑑定したいという要望を、アキラは飲むこととした。今後もヨノズカ駅遺跡で遺物を回収する目途は付いている。であればカツラギへの信用についてここで分かっておいても損切りが早くて済むという思いから。
カツラギは笑みを溢して遺物をトレーラーの中に入れていったが、ハンターが本職のダリスはアキラの雰囲気から不味い感覚を覚えた。「絶対値段を誤魔化さないようカツラギに納得させなければ」と、ダリスの勘が警鐘を鳴らしていたのだ。もし叶わなければ、その先は考えないようにしていた。
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カツラギに遺物を預けたアキラは、新装備一式を車両も含めて他の徒党への牽制に見せておいた方が良いという思いから、シェリルの拠点へと足を運んだ。
徒党内の子供たちは以前よりも数が多く感じる。碌に関わっていないアキラでもそう感じるほどに所属人数が増えていた。それでも全員の口ぶちが無くなることはない。シェリルがそれだけ徒党内の統制を取っており、手の届かない場所はアリシアが常に補助しているのだ。小規模徒党とすれば金銭的な面では裕福な部類に入るほどに。
徐々に大きくなるシェリルファミリーの規模に従って、仕事の量や幅も広がっていく。当然、幹部の仕事量はそこらの構成員とは質が違う。
アリシアは既に徒党の財務を任されている。それ程の重要な場所を任される程度には信用があり、同時に実力もある。シェリルも仲間だからと言ってその辺をおざなりにはしない。
そしてアリシアがそれだけの地位を得たのならば、追い付こうとする者がいる。エリオだ。彼はシェリルファミリーの武力要員のまとめ役として、1人だけ既に強化服が支給されていた。アキラの使用するような高級品ではないが、500万オーラムはする品。
ただのスラム街の子供では絶対に手が出ない装備を身に纏い、縄張りの警邏や侵入してきたモンスターへの対処。他にはカツラギのトレーラーが他の都市へ行く時の護衛として就くこともある。それだけ信用されているということであり、相応の働きが求められる立場にある。強化服もカツラギからコイツなら問題無いだろうと少しだけ値引きされていたりするほどに。AAH突撃銃も未改造品ながら新品の物を持たされ、ハンターとして荒野に出る準備としては充分過ぎるだろう。
それだけ成果を稼いでなお、アリシアとの徒党への貢献度で言えば少し劣る。それ程までにアリシアの人心掌握術の習熟速度が速いのだ。彼女にシェリルへの反抗心があれば、一大勢力が作れるほどに。
だがそんなモノなど欠片も無い。そんな無駄なことに思考を割くぐらいであれば、仕事を終えたエリオの租チンのいじり方でも考えている方がお得だ。鈴口をトントンするだけで出ちゃうソレの料理法など考えるだけ無駄なのだから。
そんなアリシアが徒党の入口で他の構成員と縄張り内にある露店やゴミの廃棄率、死体が出来る周期などを纏めた書類を受け取っている時、アキラがその近くに車を停めた。
その瞬間、最近一際思考速度の向上したアリシアの脳が今夜のお楽しみを一瞬で結論付けた。エリオは先ほどカツラギに呼び出され、他の武力要員と共に向かって数日帰ってこない。僅かに股下を粘性の高い液体で濡らした。
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シェリルの寝室に隣接するシャワールームから戻ってきたアキラは、ベッドに座ってシェリル達が来るのを待つ。「プレゼントがあるんです」と、シェリルに遺物収集のお土産を渡した後に言われたのだ。多少の気分高揚が自覚出来た。
そしてシャワーによって温められた身体が冷めるより先に、シェリルの寝室のドアが開かれる。ここに入るためには通路にある頑丈なドアを開場する必要があるため、入れる人物は非常に限定的。
使用者であるシェリル。仲間であるアリシア。そして両名を所有しているアキラの3名ぐらいしか知らない。
しかし今日、その数が1人分、増える。
「ぜ、是非……、私を使ってください…………」
薄紫色のネグリジェで飾られ、顔にも薄く化粧の施されたナーシャが、耳まで真っ赤に染めながら願う。
今日までしっかりと覚えさせられた快感は紛い物と化すとシェリルに言われたナーシャの心は、期待と色欲に持ちていた。
カツヤ嫌われすぎやろ。作者も嫌いだけど。
ナーシャ書くか? 無理筋