※この作品はR-18です。

Re:ビルドハレム   作:たっぷり

6 / 22
 アキラ(アリシアって作中で唯一と言っていいほどに欠点の無い女だよな……。そんな女を彼女にしてるとかエリオやるなぁ! 返してやった方が良いだろうけど今裸だし外に出るのは……、1人で戻ってもらうか)「深呼吸でもしたらどうだ」


・006 ぬるぽ

──◆──

 

 朝日がシェリルの拠点の一室を照らしていく。まだまだ暗さの残るなか、シェリルが目を覚ました。自分の両腕の中に何もない辺りからアキラは既に起きていることを察する。抱き付いていたはずの最愛の人が寝起きにいないことへ少しばかりの不満を心の内に溜めつつも、二度寝はどうかと思い上半身を起こした。

 

 少しずつ鮮明になってきた思考から、意識も微睡(まどろみ)から出てき始めた辺りで耳に水の音が響く。周囲を見渡して状況を把握したシェリルは、アキラがシャワーを浴びているのだろうと察し、今の内に隣で眠っているアリシアをどうするかと思案する。

 

 正直な感想としては邪魔なだけだ。誰であろうと自分とアキラの間に入って来て欲(ほ)しくなどない。アキラには自分だけを見て欲(ほ)しいという独占欲だ。自分とだけして欲しいと願っている。

 

 しかし問題もある。

 

 シェリルがアキラの精力と性欲に全くというほどに耐えられないという点だ。ハンターとして鍛え始めたアキラだが、元々持っていた素養が開花したという訳ではなく、素養を基盤とした場所に鍛えられた分だけ上乗せされていってるのだ。

 

 つまり今後もアキラがハンター稼業に精を出せば出す程、アキラの性欲は増大していくであろう。出している筈なのに。

 

 シェリルは今でも耐えられていない。このままではアキラの性欲発散の途中で死んでしまう可能性があると考えた。であればどうするか。シェリルが思い付いたのは2つ。

 

 1つ目は、シェリル自身が肉体改造で耐えられるようになること。

 

 しかしこれは現実的ではない。筋トレに没頭する時間など無いし、かと言って身体機能拡張手術を受けられるような資金もない。であれば却下だ。

 

 そして2つ目、負荷に耐えられないのであれば分散させればいい。

 

 要はアキラが使える女を増やすということになる。非常に業腹ではあるが、アキラとの行為が原因で早世しましたなど笑い話にもならない。シェリルは自分を大切にする考えを持っているが、それはアキラに醜い自分を抱かせるのは我慢ならないからだ。思考の中心は常にアキラがいる。それが今のシェリルだった。

 

 アキラに無駄な物を背負わせたくなどない。それが自分であれば尚更。これらを考慮に入れて、シェリルは溜め息を吐いた。

 

 視界に映るアリシアをよく見る。顔から足先まで、全体的な容姿は悪くない。スラムで暮らしている割には良い方で磨けば更に輝くだろう。髪質も今までの生活の所為で劣化しているが、これからどうにかすればいい。肉付きの良い肢体に、何よりその成長途中でありながら随分と立派な双丘に目が行き、シェリルが内心舌打ちをする。

 

(アキラがベッドに連れてきた時はちょっとイラついて弄りすぎちゃったわね……。まぁ良い思いもしたでしょうし相殺ってことで)

 

 自分が眠りこけていた間にアキラが別の女で愉(たの)しんでいたのは許せないが、内心に溜まった鬱憤は行為中のアリシアの胸を弄(いじ)って晴らしたので今は特に思うことはない。アキラにはそもそも不満など持たないので何をされても「許せ」と言われれば二つ返事でシェリルは許す。シェリル自身がそう感じているため、もはやどうしようもない。

 

 それはそれとして、と考えたシェリルがアリシアを軽く揺すって起こす。昨日までであれば強めに揺すって起こしていた。それで起きなければ叩き起こしたりしただろうが、今のシェリルの中ではアリシアは仲間だ。徒党の、ではなくアキラの所有物としての一面で。

 

 そのため、徒党の幹部などの肩書を抜きに、シェリルの中にあったアキラを頂点としたピラミッドでアリシアは他の徒党員とは隔絶した位置にまで浮上している。シェリルが上を見ればアキラは高く遠く、下を見れば人がゴミに見えるほどの位置。アリシアは自分の近くにいた。比較的人の形を保っているからこその対応の違いだ。

 

 ──

 ────

 

 シェリルに揺すられて起きたアリシアは段々とハッキリしてくる意識と共に昨日の記憶を思い出す。アキラの苛立った陰茎の臭(にお)いを嗅いで蕩け切った脳みそでは真面な判断など出来ず、停止したアリシアを放置しとくかと踵を返したアキラのあとをよく調教されたペットのように四つ足で付いて行ったのだ。

 

 床にはシェリルの体液とアキラの体液がブレンドされた一種のミルクロードが形成されていた。かつて似たようなイントネーションの道を通って人材が運ばれたように、アリシアは導かれるようにしてベッドへと辿り着く。

 

 そして雌の本能に従うようにしてアキラを軽く誘惑してしまった。放置しておこうと考えた女が事もあろうに情事中の男を誘うのだ。どうなるかはお察しであり、自分から誘っておいて強姦だ! などとは言えない。

 

 アリシアはエリオにどう言い訳すれば良いのかと罪悪感と行為中に与えられ続けた多幸感の板挟みになっていた。

 

 そこへシェリルが優しく抱きしめる。確かに悩みはあるだろう。しかしそれは今後を考えれば妙策だったのだとアリシアの中にある後悔の論点をずらしていく。

 

 アキラは貴重な遺物を自分にプレゼントしてくれた。今後もそれはあるかもしれない。それが続けば、いずれシェリルだけでは消費し切れない量になるだろう。そうなった時、アキラは優しいから売って金に換えても良いというかもしれない。その場合自由に使えるようになった衣服を部下に渡す機会があるだろう。そしてそれを真っ先に受け取るのは幹部になる。つまりはアリシアだ。それを着てエリオを喜ばせてあげればいい。ただの投資であり、仕事でしかないのだからそう悩む必要は無い。

 

 そうやってシェリルは言葉巧みにアリシアの中にある悔恨を和らげていく。下手な同情は入れない。アリシアの行動に理解を示し、肯定する。泣きたいのなら泣かせてやればいい。

 

 数分後、どこか吹っ切れたアリシアが顔を上げた。

 

「ありがとうシェリル」

 

「いいのよ、仲間なんだから♪」

 

 妖しい笑みに惑わされつつも、アリシアの笑みは明るくなっていく。そして思い出したかのように顔を赤くする。

 

「……ええと、それで、アキラさんは結構な頻度で来る、感じ……?」

 

「いいえ。アキラはハンターだからね。そう時間を取れないの。でも暇なときは立ち寄ってくれるみたいよ」

 

「そ、そうなんだ……!」

 

 ぱぁ、と更に明るくなったアリシアを見て、シェリルが心の中で嗤(わら)う。これなら問題は無いだろう、と。

 

 その後、アキラが浴室から戻ってきたあと、アリシアと共にシャワーを浴びる。今後はアリシアも見た目には特に気を付けてもらう必要が出たため、カツラギから貰った試供品の石鹸や化粧品を使っていく。

 

 エリオには今後の布石だと伝え、他の構成員には幹部への特別待遇だと言っておけば問題は起こらない。少々功名心の強い者が功に焦って馬鹿な真似をするかもしれないが、それで死ぬような間抜けをシェリルは容易く見捨てる。

 

 その冷徹さが、更にこの徒党を一つの組織として纏める要素だった。

 

 なお、アキラと共に居る時だけは天使のように華やかな笑みを浮かべるため、徒党の男連中は密かにアキラが来ることを願いつつも、それをアキラだけが向けられていることに嫉妬と敗北感を覚えていた。

 

──◆──

 

 クズスハラ街遺跡の廃ビルに挟まれた通りをアキラが歩いている。背にはリュックサックを背負い、両手で銃を握っていた。そして僅かな煙を吐いていた銃口を下におろす。視線の先には生物系モンスターの亡骸が転がっている。アキラが今作ったものだった。

 

 それを見てアキラが溜め息を吐く。

 

『さっきから襲って来てる奴ら、この前までは一切見なかったような……』

 

『それはあれね。少し前にカツラギが東から大量にモンスターを連れて来たせいで、その群れの一部が住み着いたか、隠れ潜んでた個体があの量の死体を食べて急増殖したか……。色々考察の余地はあるわね』

 

『周辺にはいないのか?』

 

『いないわ。やっぱり遺跡の奥部方面に生息していた種類なのかもしれないわ。血の臭いに釣られて此処まで来たのでしょうね』

 

 アキラが振り返ってクズスハラ街遺跡の奥部へと目をやる。遠方には微かに見える程度の高層ビルが建ち並んでおり、ここからでははっきりしないが、少なくともすぐ近くにある廃ビルよりもずっと綺麗な状態だろうと感じた。

 

『いずれ……』

 

『ええ、いずれアキラにはあの程度の場所ラクラク行って帰られるようになってもらうわ。覚悟しててね?』

 

『問題無いな。覚悟はオレの担当だ。アルファの度肝だって抜いてやる』

 

『期待してるわ。さ、帰りましょうか』

 

 アキラは決意を新たに地面を踏みしめる。背に掛かる重量と共に、襲い掛かるモンスターを的確に撃ち抜きながら。

 

 ──

 ────

 

 カツラギのトレーラーに立ち寄ったアキラを、カツラギが笑顔で出迎える。商人の金の匂いを感じ取った笑みだ。アキラはリュックサックの中を出しながら考える。

 

(オレと原作アキラの違いは知識の差だ。原作は関係なく物価とか金の価値に対する認識の差。アキラはそれをスラムから出たばかりだから知らず、アルファの言うようにしていた。対してオレは意見も出して擦り合わせをした結果結構な量の遺物を2ヶ月もの長期間に渡って換金し続けた。

 そのおかげで今のオレは結構な貯蓄があり、強化服を手に入れた。対する原作アキラはこの時点で強化服を購入する為の資金を手にした……。多分もう少し前にカツラギのところで換金してるかな? 3週間もあったらエリオ死んでそうだし)

 

 アキラはここ3週間を非常に密度の高い訓練期間としていた。先日の、同じ日に2度もモンスターの群れによる襲撃に会うようなアキラの運をアルファが憂慮しての決断だ。それに対してアキラもとやかく言う気は無い。今後の不運を考えれば、アキラ本人の実力向上は必須事項であり、原作では勉強に費やさなければならなかった時間の大半を訓練に持ち入れるならば願ったりだった。

 

 そしてそれに安易に乗ったアキラはこの3週間で「これ死ぬのでは?」と何度か思う羽目になったが、それが功を奏して、銃撃精度の向上や近接戦闘技術の向上が叶っている。

 

 本来技術の習得には時間が掛かるもの。それは知識としての認識を身体の認識に教えるという過程が挟まるからだ。

 

 脳が理解したとしても、身体がそれをそっくりそのまま行えないように。身体が火傷したからといって脳が何℃で火傷したかと答えを出せないように。

 

 脳と身体では認識し合わせなければならず、そこに時間が非常に掛かるのだ。

 

 しかし強化服を着ているアキラは、アルファに強化服を操作してもらうことで正しい動作を身体に、銃口の向きとそこから伸びる拡張現実の弾道予測線を視覚情報で正しい知識を脳が得ていくことで、その擦り合わせが非常に速く済む。

 

 その恩恵は、ただ先人に師事するだけでは得られない効率としてアキラに反映されていた。

 

(まぁ、おかげで回復薬が凄い速さで消えていったから今日、取りに行くついでに遺物収集をしてきたんだけどな……)

 

 目の前に広げた遺物の数々。カツラギがそれを一つ一つ鑑定していく。そこに出さずに仕舞ったままの回復薬の数を数える。

 

 数は20個ほど。今後のことを考えれば少々心許無いが、かと言って別の回復薬を使おうとは思わない。安物は本当にちょっとしか効果しかなく、高価なものを考え無しに買った結果体内で競合が起きて不調に陥るということも避けたい事案だからだ。

 

 カツラギは遺物の査定を終えると、頭の中で買い取り額を算出し、アキラに商売人としての笑顔を向ける。

 

「……ふぅむ、これなら全部で、……300万オーラムでどうだ?」

 

 カツラギの表情には誠実な商売人の誠意に溢れていた。ただしその誠意には支払う必要のない授業料も含まれており、アキラはそれを見抜いて同じく笑顔を向ける。

 

「ハンターオフィスに持っていくからどいてくれ」

 

「待て待て待て待て! そこは、なぁ? 値段交渉とかしようじゃないか。いきなり切り上げるなよ」

 

「そう言った駆け引きは面倒なんだ。商売人同士でやってるならまだしも、今度も似たようなのして来たらその場でハンターオフィスに持っていく」

 

「……分かったよ! 500万だ! どうだ!?」

 

『私は良いと思うわ』

 

「よし、商談成立だな」

 

 ホッと胸を撫で下ろすカツラギの横でダリスが苦笑しつつ、遺物をトレーラーの中へ運んでいく。いずれアキラがカツラギに売った値段の数倍になって他の販売業者に卸される。尤(もっと)もそれはカツラギ達の経営努力の賜物だ。鑑定や品質保持に同じく金が飛んでいく。しかし最終的には黒字になる。付加価値分の値上げとは信頼を買っているようなもので、高くとも文句は出ないのだ。

 

 カツラギは良い取引が出来て御機嫌だった。

 

「支払いは口座振り込みで良いよな?」

 

 アキラはそれに注文を付けた。

 

「半分は現金にしてくれ」

 

 それを聞いたカツラギは少し訝しんだが、シェリルへの入れ込み様から納得し、現金も用意した。

 

 現金を受け取り、口座の入金も確認したアキラだったが、そこへシェリルから連絡が入る。内容は今すぐ徒党の拠点に来て欲しいというものだった。

 

『どうするの?』

 

 アルファの問いかけにアキラは苦笑しつつ返す。

 

『まぁ、行くさ。変に何でも無い時に呼んで反感も買いたくないだろうしな』

 

『それはそうでしょうけど、それは面倒事をアキラに押し付けてるってことよ?』

 

『こっちも押し付けてる感あるからな。……それにここからなら近いし、別に良いんじゃないか?』

 

 その気楽な様子にアルファはシェリルへの警戒度を上げる。だが同時にアキラの念話に乗ったどこか納得している様子から向こう側で何が起きているのか知っているような様子もあり、この点について要注意だと判断した。

 

 少なくとも不都合があるかもしれない、と。

 

──◆──

 

 シェリルがシジマと交渉している。シジマの後ろには10人近くの武装した構成員が、シェリルの横にはアキラが座っていた。

 

 近くにはワタバという男の死体が転がっている。先程までシェリルの拠点に乗り込み、縄張りを寄越せと恐喝していた人物だ。その大きな声と横柄な態度にビビって徒党の子供たちは委縮していたのだが、それを面と向かって受けていたシェリルはどこ吹く風と言わんばかりに受け流していた。

 

 シェリルは「渡せるわけないじゃないですか」と、どこか相手を馬鹿にしたような態度を取っていたが、別段馬鹿にしていた訳ではない。相手にしてなかっただけだ。アキラには既に連絡を入れている状況であったため、心の底まで安心しきっていた。それは例え銃口を眉間に突き付けられようと続いただろう。

 

 そこへアキラがやって来て、ワタバの標的がアキラへと切り替わる。先程からシェリルへと恫喝していたが、一向に思っていた通りに進まなかったことでイラついていたこともあり、アキラに数度要求を突っぱねられ、恐喝も軽く流されたことで逆ギレし、ワタバは銃を抜いた。

 

 瞬間、部屋の中に子供たちの悲鳴が鳴ったが、次の瞬間にはワタバの身体が床に伏せて血の池を作り始めていた。アキラがワタバの喉を掴み、引きちぎった結果だ。銃を抜く仕草の時点で動き出したアキラは、ワタバが真面に狙いを定めるどころか、引き金に指を添える前に懐へ入り、事を終わらせた。

 

 その様子を見ていたワタバの仲間が即座に反応して銃をアキラに向けようとしたのだが、顔にワタバの喉ぼとけを投げつけられ一瞬怯む。そしてその間に強化服の力で接近したアキラに腕を折られ蹴り飛ばされて気絶した。

 

 1人無事だった男は残っていた多少の理性で即座に銃を落とし壁へと蹴って降参のポーズを取る。でなければ次は自分だと予感したからだ。必死の懇願によりアキラは臨戦態勢を解いた。

 

 そこからアキラは原作通りシェリルを連れてワタバたちのボスの下(もと)へ、シジマの下(もと)へと向かう。

 

 ──

 ────

 

 そこからワタバの件で人死にが出た分を100万オーラム支払えという要求に、恫喝に対しては死を払ったというアキラなりの説得をした。要は強制するなら今から殺し合いだと遠回しに伝えたのだ。

 

 シェリルが居ようと関係はない。護って勝てばいいだけだと。シジマに目を向けられたシェリルは「交渉に来ただけですので問題はありませんよね?」と返した。能天気というわけではない。アキラが決めたのなら仕方ないと受け入れているのだ。

 

 シジマは奥歯を噛みしめながら交渉に応じることにした。

 

 それにより、シジマ側へはシェリル側が構成員を殺した件で50万オーラムを支払い、そこからシェリルは自身の徒党の縄張りから管理し切れない範囲を200万オーラムでシジマへ売り払った。

 

 結果としてはシジマもシェリルもウィンウィンの内容ではあったが、面目が保(たも)つかどうかは別だ。

 

 今後もどうか仲良くしましょうと伝え、シェリルはアキラと共にシジマの拠点から帰っていった。

 

「……クソがッ!」

 

 シジマがワタバの死体を蹴り付ける。即死した影響でその顔にはニヤついた笑みが乗っており、それが更にシジマの神経を逆撫でる。

 

「本気で殺し合いを前提にしてんじゃねぇっ! イカれてんじゃねぇのかっ!?」

 

 顔を踏みつぶしにやけ面を消す。

 

「こいつも! あのアキラってやつも! そしてシェリルって女も! 全部シベアの所為だ! あいつがアキラを襲った所為で徒党の経営にも穴が出来た! 要(い)らん不安材料まで抱えちまった!! ふざけやがれっ!!」

 

 怒りのあまりに蹴り、踏み潰した結果、ワタバの死体は凄惨なことになっている。その様子にようやく落ち着いてきたシジマが部下に指示を出す。

 

「おいっ! このゴミを今すぐ捨ててこい! それとシベアのとこに居た奴らにアキラやシェリルに手を出すなってキツく言(い)いつけとけ! 良いな!!」

 

 そうして部屋の中にいた男たちが忙(せわ)しなく動き出す。その内の1人、幹部の男がシジマに話し掛ける。

 

「良いんですか? あのシェリルとかいうガキと仲良くするって言っちまって」

 

「良くはねぇ……。良くはねぇが、あのイカれたアキラとかいうガキが消えるまでは手を出すな。火傷じゃ済(す)まねぇだろうからな……」

 

 シジマの苦々しい表情に幹部の男がそこまで警戒する程かと思うが、ボスの指示である以上守るのが義務だ。部下にも伝えるべく動き出した。

 

 清掃も済み、血臭の消えた部屋でシジマが舌打ちをした。

 

──◆──

 

 シジマの徒党との戦争が起きるのではと危惧した子供たちがさっそうと消えてしまったシェリルの徒党では、それでも大半は残っている。行く当てが無いので当然だが、それでも不安を抱いていた中で、アリシアは大丈夫だろうと信じて自分の仕事を熟(こな)していた。

 

 心の拠(よ)り所(どころ)を得た女は強いモノで、この状況下で自分たちの役目を全うしてない方が後で怖いと皆を説得し、少数ではあるがそれを成功する。残っている人数が今のアリシアの人心掌握術の拙さの証拠でもあり、精進しようと奮起する材料にもなる。

 

 シェリル達が帰って来たあとは、シェリルの一喝により大半が元の持ち場へ、エリオを筆頭とした今後の武力要員は徒党の物資を持ち出した者たちを捕まえに出ていった。

 

 拠点の中は少人数しか残っていない。

 

 シェリルもアリシアもそうなるように仕向け、そして成功した。

 

 せいこうした。

 




 (しました)


 なんか時折りランキングに乗ってますね…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。