※この作品はR-18です。

少年伯爵ハーレム物語   作:五十貝ボタン

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4、魔獣撃破

▶▶▶

 

 魔境から成熟魔獣が出現した!

 

 「魔境」とは、大陸全土に点在する謎に満ちた空間だ。霧がかかり、外からは中の様子がうかがえない。

 霧の中に広がっているのは、たいてい危険な自然環境だ。

 ダヴィスの領地に隣接する魔境は大陸でもっとも大きいものの一つで、レヴィオス王国と樹雷皇国の国境にまたがっている。

 

 その魔境からは海に向かって川が流れている。

 有害なものが流出することに備えて、水質調査官が毎日2回ずつ水質をチェックし、記録している。もっとも、異常が起きるのは十年に一度あるかないかのことだ。

 その水質調査官が成熟魔獣の出現を報告した。

 

 魔獣は魔境に現れる危険な生物のことだ。彼らは魔境内部で互いを食い合い、他を寄せ付けなくなるほど強くなると魔境の外に現れる。

 こうして、魔境の外へ姿を現した魔獣が成熟魔獣と呼ばれる。

 

 出現した魔獣はサンショウウオに似ていたが、大きさが200メートルを超えていた。島が動いているようなものである。(ちなみに川幅は4キロメートル以上ある)

 

 報を受けたダヴィスは一人で川岸へ向かった。供は連れていない。ダヴィスと同じ速さで走れる人間も馬もいないからだ。

 

 はたして、川では一隻の船が魔獣に襲われているところだった。

 船は継ぎ目のない木製で、その偉容には芳醇な魔力が満ちている。

 一目でわかった。樹雷の軍用艦だ。

 

 樹雷皇国は大陸で最も古い国だ。他の国にはない造船技術と海運ネットワークを持ち、莫大な富を得ている。

 中でも1本の大木からしつらえると言われる艦艇は樹雷貴族のみが使う貴重な品だ。

 

 つまり、いま魔獣に立ち向かっているのは樹雷の貴族だ。

 だが見たところ小型艇で、魔獣の体当たりを受ければひとたまりもない。

 ダヴィスは逡巡した。樹雷がすでに討伐に出ているなら、横から魔獣を攻撃するのは手柄の横取りになってしまう。戦いの行方が決まってから行くべきではないだろうか。

 

 魔獣が口を開いた。高圧水流が樹雷艦の側部をすぱっと切り裂いた。バランスを失った樹雷艦は横側から魔法の砲撃をくり返しながら、魔獣が巻き起こす水流に引き込まれていく。

 

(ダメだ、魔獣の攻撃をまともに受ければ沈んでしまう!)

 ダヴィスは飛び出した。

 波打つ水面を蹴って艦艇と魔獣の間に割り込み、魔法の障壁を生み出す。艦の舳先に立って、艦を背にして障壁で魔獣の攻撃を受け止める。

 すると、艦艇にみなぎる魔力がわき上がり、大きな障壁を展開した。

 

(協力してくれるのか)

 誰とも知らない樹雷艦の乗組員に感謝しながら、ダヴィスは魔力を練り上げた。

 魔獣の動きが止まった瞬間を狙って、純粋な魔力の塊を打ち込んだ。野球ボール大に圧縮された魔力の塊は魔獣の口の中に飛び込み、腹の中で魔獣と同じ大きさに膨らんだ。

 風船が破裂するように魔獣は弾け、内臓と妖気を飛びちらせた。

 

 一国を滅ぼしかねないと言われる魔獣を、ダヴィスは一撃で討伐したのだ。

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