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1か月が過ぎた。
ファニィとの結婚が執り行われるまで2カ月。
その間、ルイズと凜々蝶はオリヌス領に滞在し続けている。
特使と言っても、この街で仕事があるわけではない。
彼女らは数日に一度ダヴィスの居城を訪れる。ダヴィスはその相手をする。遊戯盤をさしたり、詩の解釈を語り合ったり、時には街中や領内を案内したりする。
マナの記憶をもとに作らせた古王国のゲームを、二人とも気に入ってくれたようだ。
ルイズが怒ったり、凜々蝶が悪態をつくのをなだめながら、ダヴィスはそれが彼女らの純粋さの裏返しなのだと思うようになっていった。
樹雷皇とトリステイン女王の狙いは明白だった。
使者という名目で送り込んだ二人を、ダヴィスに接近させようとしているのだ。
若く美しい未婚の少女。どちらもダヴィスよりすこし年上。王国の常識なら、そんな人物を未婚の貴族の領地に滞在させるのは、嫁がせる準備があるという表明である。
ダヴィスはどちらにも惹かれていた。
美しく、賢く……何よりかわいげがある。
マナは包容力に甘えたくなるタイプだが、年上のはずのルイズや凜々蝶は放っておけないように感じる。どちらも危うげで、力になってあげたいと思うのだ。
だが、据え膳食わぬは男の恥……と、簡単にはいかない。
家柄が高すぎるのだ。
白鬼院家は樹雷の位階で従三位。王国でいえば侯爵に相当するとみていいだろう。
ラ・ヴァリエール家は公爵……すなわち、王家に次ぐ家柄である。
これほどの身分の女性が送り込まれたからには、意向を無視すれば隣国との摩擦の原因になりかねない。
さらに、ダヴィスは侯爵令嬢ファニィと婚約している。
凜々蝶やルイズと婚約しようと思えば、ファニィを第二夫人として迎えるのが妥当だろう。
だが外国との婚姻を優先してファニィの扱いを下げたとなれば、クオルデンツェ侯爵家、ひいてはレヴィオス王国への忠誠を疑われる。
ダヴィスが婚約者を増やしても、増やさなくても、いずれにしろ誰かが敵に回ってしまう。
(それにしても、妙だ)
と、ダヴィスは思った。
魔獣を倒した功績があるとはいえ、彼は単なる一地方の伯爵に過ぎない。
なぜそんな相手に対して、国家の重臣に相当する家柄の娘が送られてくるのだろう。
二人はダヴィスが知らないなにかを知っているのだろうか?
彼女らの秘密についても、ダヴィスはそれとなく探っていた。
魔法が使えない主祖。姿を変える主祖。どちらも普通ではない。
多くの課題がダヴィスの前に横たわっている……
樹雷とトリステイン、レヴィオス王国のどれを味方につけるべきか?
彼女たちが持っている秘密をどうにかして聞き出せないか?
何より――
これほどの美少女と日常的に顔を合わせているのに、手を出せないなんて限界だ!
マナの体で女の味を覚えて以来、ダヴィスはすっかりハマっていた。
ルイズと会うたびに彼女がベッドでどんな顔をするのかを考え、凜々蝶と会うたびにその服の下の裸体を想像してしまう。
ダヴィスの体力と精力は超人的で、隷祖であるマナに欲望をすべてぶつけてしまうのは彼女をかなり消耗させてしまう。マナの体力を使い果たすまで相手させた時には、隷祖の少女は一日じゅうぐったりとして過ごしていることも珍しくない。
すでに特別な関係を結んだマナはともかく、他の女を他の女を呼ぶ気にもなれなかった。どうしても、ルイズや凜々蝶と比べて見劣りするように感じてしまうのだ。
(どうすれば……)
いくつもの課題を解決するためにダヴィスは日々、頭を悩ませていた。
そしてある時、すべての課題を解決するための方法を閃いた。
(そうか! ふたりとも、俺の女にしてやろう!)
ものすごく傲慢で強引なその手段を、ダヴィスは実行に移した――