もう一度サッカー選手に生まれ変わったなら美女も世界一も掴み取りたい! 作:クズ吉
2014年10月 愛知県
今日は日本代表VSブラジル代表の試合だ。
会場は名古屋アハトのホームスタジアムである豊田スポーツアレナ。
4万人以上収容できるこのスタジアム、もちろん今日も…チケット完売だ!
俺にとっては地元のスタジアムで初めて日本代表のユニフォームを着てサッカーをする大切な試合でもある。
「お〜クラウチ〜タイガ〜♪」
気が早いサポーター達が俺のチャントを歌ってくれている。
思えば今世では家族でこの豊田スポーツアレナに日本代表の試合をよく見に来たものだ。
いつか代表になる事を夢見てたが、こんなにも早く俺が日本代表になってピッチに立つとはな。
感慨深い物がある。
今日の試合は俺の両親を招待した。
彼らはブラジルの地で俺が出る代表戦を既に見ているが、地元で開催される息子の代表戦はまた違った趣があるのではないか。
しかも相手はブラジルだ。
ブラジル相手というだけでその代表戦は見る価値があるという感覚が俺の中にはある。
それだけブラジル代表は格式高く、華があるチームだということだろう。
現在ブラジル代表はウォーミングアップをしている最中。
黄色のユニフォームに身をつつんでいるその姿は俺の少年心に火をつける。
このあとブラジル代表と試合をする。
それだけで恐ろしいようなワクワクするような不思議な感覚だ。
それでも俺は世界一のサッカー選手になる男。
ブラジル代表はラスボス級の敵であるが、今日の試合で倒してしまっても構わないはずだ。
いや、今日倒してみせる!
行くぞ日本!
・・・・・・・
今日の試合も俺はスタメンだ。
作戦会議の後に選手入場を待つため通路に向かう。
今日は日本代表が先に整列し、ブラジル代表を待つようだ。
日本代表スタメンはこんな感じ。
フォーメーションは4-4-2だ。
GK背番号1
右SB背番号3
右CB背番号6
左CB背番号22
左SB背番号5
右SH背番号4
右CH背番号7
左CH背番号15
左SH背番号14
右CF背番号9
左CF背番号19クラウチ
通路で待っていると、数分後ブラジル代表の選手達がやってくる。
俺は背筋が伸びるのを感じた。
…今日のブラジル代表、本気だ。
注目選手を見ていこう。
今日のブラジル代表予想フォーメーションは4-2-3-1だ。
右SB背番号2ダミーノ
現在SCポルト所属だが、前世ではイタリアトリノの白黒ユニフォームでお馴染み、ユビラントFCに所属していた印象が強い。
スピードのある長身SBだ。
CB背番号3ミナンザ
スペインの赤と白のユニフォームでお馴染み、アコラサドマドリード所属の鉄壁の守備力とスピードを持つCBだ。
左SB背番号6フィニテ・ルウィン
今年アコラサドマドリードからSCチェルシーに移籍した、攻守に渡って技術力に優れた選手だ。
右SH背番号19ウィニラン
アフロヘアーが特徴。SCチェルシー所属のスピードドリブラーだ。
トップ下背番号11オクラス
SCチェルシー所属のテクニシャンだ。
前世では全盛期に中国リーグへ行ったことで有名だった。
最後に左SH背番号10ネウィラウルJr
SCバルセロナ所属、圧倒的なドリブル能力を持つ、ブラジルのお騒がせ王子だ。
彼は前世では2014W杯のコロンビア戦で大怪我をした。
しかし今世では俺がいる日本代表がコロンビア代表と対戦したからか、ブラジル対コロンビア戦の流れも変わり、彼は無事に大会を終えている。
それでもブラジル代表は2014W杯では準決勝でドイツに、3位決定戦でアルゼンチンに負けて4位と、前世と変わらない順位であった。
2014年9月時点のブラジル代表の世界フットボールランキングは6位だ。
さてそんなブラジル代表の面々がやって来るのに対して、俺は前を向いて集中してる風を装う。
本当はファンのように彼らをじっと見つめたいが、テレビカメラもあるし、格好悪い所は見せられない。
「やあ!スペイン語喋れるんだって?」
ん?スペイン語で話しかけられた。
誰だろうと横を向くと左SB背番号6のフィニテ・ルウィンだった。
「やあ!クラウチ大雅です。誰から聞いたんですか?」
「フィニテ・ルウィンだ。チームスタッフから聞いたんだよ。今日はよろしく。いい試合になる事を期待してるよ」
「こちらこそよろしくお願いします」
「おお?スペイン語?喋れるの?」
俺がフィニテ・ルウィンと話してるとそのまた横から話しかけられる。
声をかけられた方を見ると…
ネウィラウルJrだった。
「ある程度は喋れます。よろしく、クラウチ大雅です」
「ははっ、そうなんだ。ネウィラウルJrだ。君の事はよく知ってるよ、僕らの国では皆君の事嫌ってるから」
「えっ、そうなんですか?」
「ハハハッ、冗談だよ。まぁでも君はW杯最年少ゴール記録をよりによってブラジルで更新したからね。よく思ってない人は多いかもしれない」
なんと…いつのまにか俺はブラジル国民に嫌われる存在になっていたのか。
もしかしたら今日の試合でボコボコにされる事をブラジル国民には期待されてるかもな。
「そうなんですね。でも全力を尽くした結果ですから。今日の試合も全力であなた達に挑みます」
「あー、さっきのは気にしないでいいよ。少なくとも俺は君の事を評価してる。今日の試合は君の事を絶対に止めて見せるさ」
フィニテ・ルウィンが励ましてくれる。
「だから冗談だってば。もちろん俺も君と日本代表が強い相手だって事はわかってるよ。今日の試合お互い楽しもうぜ」
ネウィラウルJrはそう言って手を差し出す。
ガシッ!
二人と熱い握手を交わし、会話を終える。
その他にもブラジル代表のスタメンには軽く挨拶をした。
選手達は快く応じてくれたが、その風格に俺は内心ビビっていた。
彼らが纏う世界のトップレベルの重圧は、これから行う試合にも影響するだろうことを俺に予見させる。
さぁ、選手入場の時間だ。