もう一度サッカー選手に生まれ変わったなら美女も世界一も掴み取りたい! 作:クズ吉
2014年11月 静岡県
今日はNリーグ第32節清水ランゲルス戦だ。
会場はアウェイ日本平サッカー競技場。
オレンジ色に染まったスタジアムで俺たちは試合をしている。
現在後半15分頃。スコアは…
名古屋0-1清水
負けている。前半30分頃にセットプレーで失点した。
この状況は非常にまずい。
もしこのまま敗戦したら優勝は確実に遠のく。
「大雅!出るぞ!」
ウォーミングアップをしていると、わざわざコーチである父さんが俺を呼びに来た。
二階堂監督が気を使ったんだろうか。
そんな余裕があるとは思えない状況だが、まあいいか。
「大雅、お母さんに優勝するって約束したんだって?」
父さんが交代に向かう俺に並走して言う。
「うん、そうだよ」
「そうか。大雅、ゴールすることだけに集中すればいい。そうすれば自ずと勝利を手に出来るはず。大雅は世界一のストライカーだからな」
「ああ、分かってる」
ふっ、世界一のストライカー…か。
断定してそう言われると、まだそうではないと否定する自分が生まれそうになるが、俺はもう世界一になることを先延ばしにはしない。
アルゼンチン代表にも、ブラジル代表にも俺のプレーは通用した。
世界一のストライカーならば、このくらいの逆境はひっくり返さないとな!
選手交代ボードに「39」という俺の背番号が表示される。
ざわ…ざわ…
ホーム清水サポーターからはどよめき、アウェイ名古屋サポーターからは歓声が上がる!
俺はジャンプしたり、ステップを踏んだりして改めて足の感覚を確認する。
うん、万全な状態だ。いこう!
俺はベンチに下がる選手と入れ替わりピッチへ駆け出した。
・・・・・・・
後半20分頃
名古屋の攻撃。フォーメーションは4-3-3だ。
清水の守備陣形は4-1-4-1のようだ。
右SB八木から右サイドに張った右WGの俺にボールが渡る。
ここまでの試合は清水の守備に名古屋の攻撃は攻めあぐねる状態だった。
今俺がしなければならないのは攻撃の活性化!
まずはカットイン!
ポストプレーをするCFケリーにパスする。
ケリーがためを作って中央に走り込んだ俺に再びボールを送る!
ボンッ!
俺はミドルシュートを放つ!
パシッ!
このシュートは相手GKに指先で触れられて、ゴールの枠から外れた。
名古屋ボールのコーナーキックに移行する。
ぞろぞろと名古屋の高身長組がゴール前に集まる。
清水はCB2人とGK、FWが1人ずつ高身長だが、名古屋の高身長選手の多さには敵わない。
今ペナルティエリアに入っている名古屋の選手のうち6人が185cm以上の身長だ。
その6人のうち2人は190cm超えでもある。
この高さをもってすれば怖いものなど何もない。
ボンッ!
コーナーエリアからIH立木のクロスが供給される!
クロスが向かう先は…
この俺だ!
ボンッ!
マークについた相手DFよりも高く飛びヘディングシュートを放つ!
パサッ!
ゴール右隅にボールが突き刺さる!
GOAL!
清水1-1名古屋
アァ… キャァ…
ホーム清水サポーターから悲鳴が聞こえる。
ウオオオオ!
アウェイ名古屋サポーターは同点弾に歓喜する!
俺はゴールの中にあるボールを回収して自陣に戻る!
その途中でチームメンバーからゴールを祝福される!
「おかえり!大雅!待ってたぞ!」
「やっぱりスゲーわ大雅は!」
「よくやった!この調子で逆転しよう!」
チームの雰囲気は最高だ!
「ただいま!一気に逆転まで持っていきましょう!」
・・・・・・・
後半40分頃
清水の攻撃。
清水は長身FWへ素早いクロスを入れる!
ボンッ!
ボンッ!
このボールは名古屋左CB高尾がヘディングで弾き返す!
ボールの行く先は、左IH立木!
立木はボールをキープして中央を駆け上がるDMFダミスコムにパス!
ダミスコムはドリブルした後に右WGの俺にスルーパスを送る!
俺はボールを受け取ってぐんぐんと前進していく!
そしてペナルティエリアに差し掛かる所で相手DFとの駆け引き勝負!
縦、縦、とボディフェイントを入れながら…やっぱり縦にドリブル!
ペナルティエリアに進入して高いクロスを中央へ!
ボンッ!
ボンッ!
それに合わせるのは…
CFケリーだ!
ボールの軌道をゴール左隅にずらすヘディングシュートを放った!
パサッ!
シュートは相手GKの取れない場所へ行き、ゴールネットが揺れる。
GOAL!
清水1-2名古屋
アァ…
悲鳴をあげて静まり返るホーム清水サポーター。
ワアアアア!ウオオオオ!
大盛り上がりのアウェイ名古屋サポーター!
「うおー!」
「タイガー!最高だ!」
俺はケリーに抱きつき、ケリーも強く俺を抱きしめ返す!
チームの皆もケリーのゴールを祝福する!
結局この2点目が決勝点となり、名古屋アハトは貴重な勝ち点3を得た。
優勝への望みはまだ消えてない!