もう一度サッカー選手に生まれ変わったなら美女も世界一も掴み取りたい! 作:クズ吉
ハーフタイム
「皆一度冷静になろう。アウェイの浦和の圧力だとかそういう事は一旦考えるな。俺達に必要なのは勝利。今季積み上げてきた19の勝利にあともう一つ積み上げればいいだけなんだ。前回は浦和に勝利した。だからこうして最終節に優勝の可能性を残している!もう一度浦和に勝利することは不可能ではない!ファン、サポーターは俺達が優勝して名古屋に帰ってくるのを待ってるぞ!その期待に応えてみせろ!優勝するのは俺達名古屋アハトだ!いいな!」
「「オウ!!」」
二階堂監督が選手達を励ました。
「行こう!」
「絶対逆転するぞ!」
「しゃあ!」
選手達の気合は十分だ。
「勝ちましょう!」
俺も声を出して気分を高める。
優勝まであとひとつ。
俺が決めてやる!
浦和に絶望を、名古屋に栄光を!
・・・・・・・
ピッチに両チームの選手がそろった。
いよいよ最後の45分間が始まろうとしている。
ピーッ!
主審が笛を鳴らす。
浦和ロートVS名古屋アハト
後半
KICK OFF!
浦和ボールで始まる。
・・・・・
後半10分頃
名古屋の攻撃。
DMFダミスコムから右サイドに張った右WGの俺にパス!
俺は右IH八尾と連携して右サイドを抜け出す!
中央へクロス!
ボンッ!
バシッ!
浦和5番左CB舞子が足を出してクロスを阻む!
「っしゃあ!」
俺に向かって自身の守備を誇示する舞子!
これは…
彼に実際に目の前でやられると、なんだか…
イラッとする。
浦和のDF陣をけちょんけちょんにしてやりたい。
俺は世界一のサッカー選手だ。
ならばそれをピッチで、記録で表現してみせる!
ボンッ!
コーナーエリアの右IH八尾からクロスボールが供給される!
それに合わせるのは…
舞子のマークを外す…
俺しかいないっ!
ドンッ!
ヘディングシュートを放つ!
パサッ!
ゴールネットに吸い込まれるボール。
浦和21番GK新島は1歩も動けない!
GOAL!
浦和1-1名古屋
ウオオオオ! ワアアアア! キャアアア!
アウェイ名古屋サポーターが歓喜に沸く!
よしっ!まずは同点だ!
俺はボールを拾いに行き、自陣への帰り際に舞子選手にガッツポーズをする。
「っしゃあ!」
「やめとけやめとけ!大雅!」
左IH立木選手が俺を止める。
舞子選手の反応は…
ギンギンにギラついた目をして闘志を燃やしていた。
これは右サイドの攻防戦がより激しくなりそうだな。
望むところだ!
逆転まで一気に行くぞ!
・・・・・・・
後半25分頃
浦和の3番左WB瓜生田は26番ルーキー
ちっ、イエローカードを貰ったことを警戒して交代してきたか。
まあしょうがない。
浦和の攻撃。
21番GK新島のゴールキック。
ボンッ!
ボンッ!
名古屋DMFダミスコムが跳ね返す!
浦和4番CB名護がボールを回収、8番右シャドー垣内に楔のパスをつける!
一気に前線にボールを進められた!
垣内から30番CF國雲へ、國雲はポストプレーでためを作る!
國雲は16番ボランチ赤井にボールを預け、赤井は左サイドに張った交代して入ったばかりの26番左WB清田にロングパス!
清田のドリブルには要注意だ!
俺は清田に抜かれないよう守備位置につく。
清田は縦にドリブル!
やらせるか!
バシッ!
俺はスライディングでボールをタッチラインの外に出す。
清田から5番左CB舞子へスローイン。
舞子はCF國雲へロングボールを入れる!
今度もトラップしてボールキープする國雲!
しかし左ボランチ安瀬に出そうとしたパスがズレた!
右IH八尾がインターセプト!
そのまま俺にスルーパスを送る!
俺はドリブルでスピードに乗りぐんぐんと前へ進んでいく。
相対するのは舞子!
俺はペナルティーエリアに差し掛かろうという所でカットイン!
舞子は俺のスピードについてこれない!
CB名護もカバーに入るが…
俺は素早い左足の振りでカーブシュートを放つ!
ボンッ!
パサッ!
浦和GK新島が横っ跳びをするも、シュートコースはゴールの左上隅!
彼の手は届かずゴールネットをボールが大きく揺らした。
GOAL!
浦和1-2名古屋
ウオオオオ! ワアアアア! キャアアア!
埼玉ハイパースタディオンで少数の名古屋サポーターが大きな声で喜びを表現する!
ここは…ベンチに行こう!
俺は走ってベンチに向かう!
「よっしゃー!」
「大雅!よくやったー!」
「ナイスすぎる!」
「ははっ、すげー!すげー!大雅!」
チームメイトに揉みくちゃにされる俺!
そして…
「皆!まだ気を抜くなよ!同点に追いつかれたら優勝出来ないんだからな!」
「監督!絶対に優勝します!勝ちますよ!」
監督はまだ油断してないようだ。
「大雅!お前は本当に…最高のストライカーだ!」
「お父さん!まだ優勝決まってないから!」
父よ、お得意の謙虚さはどこへ行った。一番喜んでないか?
・・・・・・・
後半35分頃
名古屋の攻撃。
右サイドで俺は26番左WB清田とマッチアップ。
カットインを警戒する清田に俺は縦にドリブルをする!
深くドリブルでえぐって…中央にクロスだ!
ボンッ!
バシッ!
またしても5番左CB舞子に阻まれる!
だがコーナーキックを獲得した。
名古屋のセットプレーはゴール期待値が高いぞ!
追加点を決めよう!
ボンッ!
コーナーキックで高いクロスボールがペナルティーエリアに入ってくる!
バシッ!
浦和GK新島がパンチング!
ボールの向かう先は…まずい!
フレッシュな清田にボールが渡った!
ドリブルで駆け上がる清田!
浦和の選手達は物凄いスピードでカウンター攻撃のため走り出している!
清田はサポートに来た他の選手と連携しながらゴール前へボールを運ぶ!
そしてラストパスを放つ清田!
それに対してダイレクトシュートを放つのは8番右シャドー垣内だ!
ゴール左角を狙う!
ボンッ!
ガンッ!
このシュートはゴールポストに直撃!
ボールが向かう先は…
ゴールの外だ!
膝から崩れ落ちる垣内。
危なかった…
同点弾を入れられるかと思った。
まだまだ油断はできない!
・・・・・・・
後半45分頃
浦和の攻撃。
最後のコーナーキックとなりそうだ。
浦和GK新島も上がってきた。
ボンッ!
8番右シャドー垣内が素早いクロスボールを供給!
これは…いける!
ボンッ!
俺はボールをヘディングでクリア!
右IH八尾がペナルティーエリア外でボールを回収、さらに大きくクリア!
そしてその時は来た。
ピッ、ピッ、ピーッ!
試合終了の笛が鳴る。
スコアは…
浦和1-2名古屋
勝利した!
ということは…
「やったあああ!」
「うおおおおお!」
「優勝だあああ!」
名古屋ベンチからスタッフ、選手関係なくピッチになだれこんでくる!
優勝…名古屋アハトの優勝なんだ!
ようやく、ようやくだ…
1年間積み上げてきた俺達は…
Nリーグの頂点に立った!
「大雅!」
「キャプテン!」
「タイガー!」
「ケリー!」
俺は近くにいる選手達と抱きしめあう!
「ありがとう!1年間チームを引っ張ってくれて…今日勝てたのも大雅のおかげだ!」
「キャプテン!守備陣の皆さんも1年間お疲れ様でした!キャプテンがチームを引き締めてくれたおかげで優勝できたんですよ!」
「優勝だああ!俺達が王者だああ!」
「ケリー!俺達最強だよ!」
興奮の渦はしばらく続いた。
そして…
「くるぞ…くるぞぉ…!」
「おぉー?」
今まさにキャプテン高尾選手が優勝杯を持って選手達が並ぶボードの前に立ち…
オォォイエェェェーイ!!
優勝杯を掲げた!
最高の瞬間だ。
その後も俺達は埼玉ハイパースタディオンにわざわざ来てくれた名古屋サポーターと一緒に優勝を喜んだ。
「「カンピオーネ!カンピオーネ!」」
埼玉の地に名古屋サポーターの歌声が響き渡る。
それはある者には虚しく、ある者にはいつまでも心地よい歌声だった。