もう一度サッカー選手に生まれ変わったなら美女も世界一も掴み取りたい! 作:クズ吉
2015年11月
俺の二股疑惑の記事が9月の上旬に出てから約2ヶ月半が経った。
この2ヶ月半の間に様々な事があった。
まず夕梨さんはいわゆる淫行条例に違反したとして警察の捜査を受けた。
捜査に協力的だったことで逮捕はされなかったものの、書類送検されたことで大きく報道された。
検察の最終的な判断は…不起訴処分。理由は明かされなかった。
俺達が雇った又木弁護士は初犯であること、本人が反省していること、被害者と示談したこと、世間からバッシングを多分に受けたことなどが総合的に考慮されたのではないかと言っていた。
俺は当初今回のスキャンダルに対して、そして捜査機関に対してただひたすら逃げる作戦を計画していた。
だが又木弁護士にその作戦であまりいい結果は得られないだろうと助言を受け、より現実的な作戦へと変更された。
最終的な作戦はこんな感じ。
1.夕梨さんと示談をし、夕梨さんを処罰してほしくない!と示談書に書いて捜査機関に提出する。
2.お願い!不起訴にして!と重ねておねだりする嘆願書を捜査機関に提出する。
3.捜査機関の捜査には素直に応じる。
4.世間に対して夕梨さんと真剣交際している事と妊娠に至る行為をした事をmoutube動画で告げる。
5.さらに動画では女友達が複数おり、家に招いたことがある。誤解を招く行動をして申し訳ないと謝る。
6.神に祈る。
一番大事なのは6番の神に祈ることだった。
正直世論も捜査機関も俺の手には負えない。
特に夕梨さんが書類送検された時の世論の大バッシングは見るに堪えなかった。
「未成年の世界的スター選手を誘惑した悪女」
それが世間の夕梨さんに対する評価だ。
推定無罪の原則バリアは俺が自ら夕梨さんとの関係を公表したため、そして夕梨さんが罪を認めた事を報道されてしまったため、全くと言っていいほど機能しなかった。
又木弁護士は真剣交際していることにすれば少しは批判が減るんじゃないかと言っていたけど、そもそも今回のスキャンダルへの関心の総量が大きすぎて批判が減ったかなんて判断がつかない。
結果的には夕梨さんへの批判の集中砲火だ。
もちろん俺への批判もなくはないが、やはり未成年だということで守られてる感じはする。
俺は絶対にSNSを見ないように夕梨さんに言って、外に出るときは必ず変装するように忠告した。
夕梨さんに向けられた悪意は、それほどまでに凄まじかった。
それにしてもなんで捜査機関は逐一捜査情報を報道機関にリークするのだろうか。
俺は夕梨さんとの関係を明かしたが、いつ会ったかなどの時期は教えてない。
だけどテレビでは夕梨さんが自供した事件の時系列などを報道していた。
俺は憤ったものだが、きっとあれは見せしめなのだろうな。
つまりは夕梨さんは次の犯罪者が出ないための生贄にされたのだ。
俺は夕梨さんに前科がつかない事を期待して今回の作戦を実行した。
不起訴処分になったので、夕梨さんに前科はつかなかった。だけど世間に夕梨さんの罪は認識されている。
これでは実質的に前科がついているようなものだ。
俺はやっぱり当初の作戦で逃げることを選べばよかったかもしれないと後悔した。
でも当初の案は俺の両親にも、夕梨さんのご両親にも受け入れてもらえなかったしな…
元々無理があったのかな。
そんなふうにウジウジ悩んでた俺だった。
だけど夕梨さんが「逃げ続けて生まれてくる子に父親がいない状態より、全部認めて大雅君が父親になってくれる状態の方が何倍も幸せだと思います」と言ってくれた。
その言葉で俺はかなり救われた。
彼女の言うとおりもうすぐ生まれてくる子供のためには良かったのかもしれないな。
さて俺は9月の上旬から1ヶ月間休養を取っていた。
休養期間が明けたら俺のスポンサーであるMIKE、日本サッカー連盟、名古屋アハトに謝罪して回った。
二股疑惑は週刊誌の誤解で、真剣交際をしているのは二山夕梨だけという建前があるため、謝ることはないと皆許してくれた。
精神科には1週間に1回通ったが、双極性障害の疑いは残ったまま。
かといって双極性障害であると診断が下ることもなかった。
ただこれからも経過観察のために、定期的な通院をしなければならないらしい。
俺は病気じゃないと思っているのに、面倒な話だ。
休養期間はもちろん身体が鈍らないよう自主トレはしていたが、クラブの練習場には行ってない。
10月の日本代表戦は辞退した。2018W杯2次予選の試合が1つあったが、俺なしでも無事勝利している。
Nリーグは4試合欠場した。その間の勝敗は2勝1分1敗。
チームの皆はよく耐えてくれたと思う。
1stステージは優勝しているものの、年間勝ち点1位を目指すことは変わってないからな。
ただ俺抜きの名古屋は広島戦でまた負けた。これで昨シーズンと合わせて4連敗だ。
Nリーグカップ、全日本選手権は俺の休養期間と関係なく、俺が9月の代表期間で不在のうちに敗退してしまった。
2014Nリーグ優勝報告会で今シーズンは全冠を目指すって言ったけど、達成できなかったな。
だが希望はある。
アジアCL。
休養期間に2試合分あったのだが、何とか皆が勝ち上がってくれて決勝戦まで残っている。
しかもアジアCLの決勝戦はホーム&アウェイで2試合行うのだが、第1戦アウェイゲームを1-0で勝利したことで、第2戦ホームゲームは有利に戦える状況だ。
第2戦ホームゲームは今から行われる。
決勝戦の相手はUAEのアル・アサドというチーム。
アジアCLでは過去にも何度も本大会に出場しているが、決勝進出は今回が初めてというクラブだ。
さぁアジアCLで優勝すれば、クラブワールドカップへの出場権が得られる。
今年は日本開催なので開催国枠としてNリーグ王者にも出場権が与えられるのだが、先にアジアCLを勝ち取って安心しておきたい。
なお大会規定により俺達名古屋がアジアCLを優勝した場合、開催国枠はアジアCL準優勝のアル・アサドになるそうだ。
そろそろ試合が始まる。