※この作品はR-18です。

もう一度サッカー選手に生まれ変わったなら美女も世界一も掴み取りたい!   作:クズ吉

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207話

 2-1でリードした状態で迎えたハーフタイム、全体の作戦会議を終えて先にピッチへ戻る二階堂監督を俺は追った。

 

 「監督!」

 

 「ん?なんだ大雅」

 

 俺は二階堂監督を廊下で呼びとめる。

 

 「なんで前からボールを奪いにいかないんですか?前半は確かに2点入りましたけど、わざわざ自陣に引き込む必要はあるんでしょうか?」

 

 「んー、お前たちに前からボールを奪いにいく快感を覚えさせないためかな」

 

 「それは…どういう意味です?」

 

 「少なくとも今は説明する時じゃない」

 

 珍しく塩対応の監督。彼は何を考えている?

 

 「いつになったら教えてくれます?」

 

 「この試合に勝って、次の試合にも勝ったらだな。今俺が言えるのはそれだけだ」

 

 二階堂監督はそう言って俺に背を向けて先にピッチへ向かってしまった。

 

 この試合に勝って、次の試合にも勝ったら…決勝進出だよな。

 

 決勝の相手はおそらく…いや、ほぼ間違いなくバルセロナ。

 

 そうか、そういうことか。二階堂監督、あなたは……

 

 

 ・・・・・・・・・

 

 

 ピーッ!

 

 主審の笛が鳴り響く。

 

 名古屋アハトVSマデンゼ

 

 後半

 

 KICK OFF!

 

 名古屋ボールで始まった。

 

 

 ・・・・・・・

 

 

 後半15分頃

 

 マデンゼの攻撃。

 

 俺達名古屋は前半に引き続き5-4-1ブロックを敷いている。

 

 マデンゼはボールをピッチの左右に素早く動かして、名古屋に揺さぶりをかけてくる。

 

 名古屋のブロックも素早くスライドして対応する。

 

 しかし右サイド大外に張った相手右SBにボールが渡った時!

 

 右SBは内側に位置する右SHとワン・ツーパスを交わすと強引にドリブル突破!

 

 名古屋左WB成田もついて行くが、クロスを上げられてしまう!

 

 ボンッ!

 

 

 ボンッ!

 

 このクロスは名古屋中央CB高尾がヘディングでクリア!

 

 だが、セカンドボールを相手トップ下がトラップ、ミドルシュートを放つ!

 

 ボンッ!

 

 

 そこへ名古屋右CB種口のシュートブロック!

 

 バシッ!

 

 こぼれ球を右ボランチ大瓦が回収!俺にパスをする。

 

 相手DFがすぐさまプレスをかけに来るが、ドリブルで躱す。

 

 CFのノグァにパスを出し、俺は前線に走り出す。

 

 ノグァはすでに横の位置にいたトップ下妻神にワンタッチではたく。

 

 妻神のドリブルは相手DFを引きつけながら前進していく!

 

 相手DFが妻神に守備でチャレンジした!

 

 しかしそれを見越したように妻神は左の大外を走る左WGハヤブサ成田にスルーパス!

 

 グングンとドリブルで前進する成田。

 

 俺は右サイドから中央に向かって走る!

 

 成田は左サイドからペナルティエリア内に進入!

 

 自分で行くか?

 

 相手DFが成田に追いつこうとしている。

 

 成田はドリブルを突然ストップ!マイナス方向に切り返す!

 

 完全に逆を取られる相手DF!

 

 来る!

 

 トンッ!

 

 成田から俺へのパスは正確だ。

 

 俺はボールに…ジャストミート!

 

 ボンッ!

 

 ゴール左隅を狙うシュートを放つ!

 

 

 

 

 

 

 

 パサッ!

 

 ボールはゴール内に確かに入った。

 

 GOAL!

 

 名古屋3-1マデンゼ

 

 ウオオオオ!ワアアアア!キャアアア!

 

 長居陸上競技場から一斉に歓声が発生する!

 

 ここは…新ゴールパフォーマンス、行こう!

 

 俺は両手を真上に上げる。

 

 その手の形は、バスケットボールのスリーポイントシュートが決まった時の審判がする、指を3本立てる形!

 

 そのままピッチ脇のテレビカメラまで走っていって、顔の横に両手を持っていき…

 

 立てた3本の指を少し曲げる!

 

 そして顔を少し傾け…スマイルがおー!

 

 これは…決まっただろ!

 

 我ながらあざとい!

 

 「ハハッ、なんだそれ大雅新しいゴールパフォーマンスか?」

 

 「ハットトリックタイガーポーズです成田さん」

 

 「おーいいじゃん!」

 

 その後俺はハットトリックを決めたことで、チームメイトから祝福をたくさん受けた。

 

 

 ・・・・・・・・・

 

 

 後半35分頃

 

 マデンゼは後半残り10分ということもあり、パワープレーに切り替えたようだ。

 

 俺と同じくらいの高さの相手CBが前線に上がっていく。

 

 そしてこれは…両SHが内側に入って両SBも前線に上がっている?

 

 もはや6トップじゃないか!?

 

 マデンゼの陣形は…3-1-6のような形だろうか。

 

 マデンゼの攻撃。

 

 右サイド大外の右SBからアーリークロス!

 

 ボンッ!

 

 左WB成田はプレッシャーをかけるも、ボールに触れることは出来ない!

 

 

 

 

 

 

 

 ボンッ!

 

 相手長身CBがクロスに合わせ、ヘディングシュート!

 

 

 

 

 

 パシッ!

 

 名古屋GK長嶋がシュートを手で弾く!

 

 こぼれ球は…

 

 左CB堀井がクリア!

 

 しかし相手DFにボールは渡る。

 

 相手3バックが大きく横に開いてパスを回し…

 

 今度は左サイド大外の左SBにボールをつける!

   

 相手左SBはまたもシンプルに中央へクロスを放り込む!

 

 相手長身CBにボールが向かっている!

 

 彼と競り合う名古屋CB高尾だが…

 

 相手CBの方が高い!

 

 ボンッ!

 

 ヘディングシュートを放たれた!

 

 

 

 

 

 

 

 パサッ!

 

 ボールはゴールの中へ。

 

 GOAL!

 

 名古屋3-2マデンゼ

 

 すぐさまボールを回収して自陣に戻るマデンゼ!

 

 「クロスを上げさせるなよ!相手が俺より高いこと分かってるだろ!?」

 

 高尾キャプテンがキレた。

 

 二階堂監督は相手のパワープレーにどう対処するのだろうか。

 

 そう思ってベンチの方を見ると…

 

 選手の交代のようだ。

 

 11番左WB成田に代えて22番古飯塚。

 

 36番左シャドー妻神に代えて10番岡田。

 

 6番左CB堀井に代えて3番陸奥。

 

 22番古飯塚はスプリント力では成田に劣るかもしれないが、ドリブルのキレでは成田に勝る選手。

 

 成田の疲労を考慮して交代したのだろう。ウチの戦術で一番移動するのは左WBだからな。

 

 10番岡田は名古屋の古株だ。テクニックが高水準でハードワークもでき、色んなポジションをこなせるユーティリティプレイヤーでもある。

 

 3番陸奥は高身長CB。大柄の体格で俊敏性は堀井よりはないが、間違いなく相手のパワープレーをはね返すにはもってこいの選手だ。

 

 ピーッ!

 

 試合再開の笛がなった。

 

 

 ・・・・・・・

 

 

 後半40分頃

 

 現在名古屋の攻撃。

 

 4-2-1-3の形で攻め込む。マデンゼは守備の時はさすがに4-4-2で守るようだ。

 

 右サイド端で右SB八木から俺はボールをもらう。

 

 マデンゼのダブルチーム再び。俺は2人に囲まれている。

 

 今度は右ボランチ大瓦がサポートの位置にいるのでそれを使おうか。

 

 細かいステップで最大限相手DF2人を引きつけて…

 

 大瓦にパス!

 

 大瓦はすぐさま左サイドにサイドチェンジ!

 

 左WG古飯塚にボールが渡る!

 

 古飯塚は中央に切り込むドリブル!ミドルシュートを放つ!

 

 ボンッ!

 

 

       

 

 

 

 

 ガシッ!

 

 このシュートはキーパー正面!

 

 相手GKはボールをキャッチして倒れ込む。

 

 そして立ち上がった頃には俺達名古屋アハトは全員帰陣していた。

 

 5-4-1のリトリート守備の徹底。それはいいが…

 

 本当に、本当にこれで勝てるのだろうか。

 

 またパワープレーの応酬を受けるのは間違いない。

 

 この試合に勝って、次の試合に勝ったら…二階堂監督はそう言った。

 

 だけど決勝にたどり着く前にやられてしまうんじゃないか?

 

 かなり不安になってきたが、俺一人がいきなりハイプレスに切り替えたって意味がない。

 

 今は…

 

 信じよう、二階堂監督を。

 

 信じよう、チームメイトを。

 

 それしかない。俺にできることは。

 

 マデンゼが再びパワープレーの陣形を整えた。

 

 3-1-6、CFの位置には長身CBがいる。

 

 大外の相手右SBにボールが渡った。相対するは…

 

 交代して入ってきた、元気あり余る左WB古飯塚!

 

 絶対にクロス上げさせるなよ!

 

 ボンッ!

 

 相手右SBはシンプルなフェイントを入れてからクロスを上げた!

 

 古飯塚ーっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボンッ!

 

 先にボールに触れるのは…

 

 名古屋左CB陸奥だ!

 

 陸奥のヘディングクリア!

 

 セカンドボールは名古屋ボランチダミスコムと相手MFの奪い合いだ!

 

 ダミスコムが身体を相手DFの前に入れて倒れ込む。

 

 これは…

 

 俺は走り出す準備をする。

 

 ピッ!

 

 主審が笛をならして、判定は…

 

 名古屋ボール!

 

 ダミスコムがすぐさま立ち上がりボールをセット、クイックリスタートで左WB古飯塚にパスを送る!

 

 古飯塚はトップ下の岡田にパス、そして前線に走り出す!

 

 来い…来い!

 

 岡田はターンして…

 

 俺の前のスペースにスルーパス!

 

 トンッ!

 

 俺はパスをトラップして右サイドを駆け上がる!

 

 しかし、今度は相手DFがしっかりついてきている。

 

 それでもペナルティエリア前まで進入出来た。さぁここからは…

 

 カットイン!ミドルシュート!

 

 …と見せかけて古飯塚へのプレゼントパスだ!

 

 DF引きつけたんだから決めろよ!

 

 

 ボンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パサッ!

 

 古飯塚が放ったシュートはゴール右隅へとしっかりと決まった。

 

 GOAL!

 

 名古屋4-2マデンゼ 

 

 ウオオオオ!ワアアアア!キャアアア!

 

 安心するかのように日本人の観客が歓声を上げる!

 

 古飯塚選手はアシストした俺の方へ笑顔で向かって来る!

 

 「大雅!なんで自分で打たなかったんだよ!」 

 

 古飯塚選手が俺に抱きつきながら聞く。

 

 「それは…」

 

 これから先の戦いはサブ組の力も含めた総力戦になる。自信を持って次の試合に挑んで欲しいと思ったから……

 

 なんて偉そうなこと言えるわけないか。でも…

 

 「この試合に勝って、次の試合にも勝ったら教えてあげますよ」

 

 「ハハッ、いきなり勿体ぶってどうした?まぁいいやアシストありがとう大雅!」

 

 俺と古飯塚選手はチームメイトに手荒い祝福を受けて自陣に戻った。

 

 

 ・・・・・・・・・

 

 

 ピッ、ピッ、ピーッ!

 

 試合終了の笛が鳴る。

 

 最終スコアは…

 

 名古屋4-2マデンゼ

 

 なんとか勝てた。

 

 「よっしゃー!」

 

 「アフリカ王者に勝ったぞー!」

 

 「やられるかと思ったわ!」

 

 チームメイト達と勝利の抱擁をする。

 

 そして二階堂監督とも。

 

 「大雅よくやったな!」

 

 「はい!でもやっぱりこの戦術守備の時間が長くて辛いっす!」

 

 俺は正直に監督に伝える。

 

 「ハハッ、それはそうだろうな。でも次の試合はこれ以上かもしれないぞ。そしてそのさらに先は…」

 

 「僕、監督のことを信じます。超攻撃的でも超守備的でもない最強のサッカーで世界一になりましょう!」

 

 「あぁ、そうだな!」

 

 次の試合は準決勝、対戦相手は南米王者リーデルプリメーロだ。

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