もう一度サッカー選手に生まれ変わったなら美女も世界一も掴み取りたい! 作:クズ吉
選手入場前にリーデルプリメーロの選手らとスペイン語で挨拶を交わした。
友好的な雰囲気を感じたが、試合になったら豹変したりしないだろうかと心配になる。
〜♪
今日も世界フットボール機構のアンセムと共に選手入場。
やっぱりこのアンセムで入場するのは良いな。
サッカー選手としての誇りを持ってピッチに立てる。
視界が開けて俺達選手を待っているのは…
声援飛び交う満員の長居陸上競技場!
あぁ…この人たちのために俺は、俺達は戦うんだ。
絶対に勝ってみせるさ!
そして行こう!決勝へ!
待ってろ…いや先に行くぞバルセロナ!
・・・・・・・・・・
ピーッ!
試合開始の笛が鳴る。
クラブワールドカップ
準決勝
名古屋アハトVSリーデルプリメーロ
KICK OFF!
名古屋ボールで始まる。
左CB高尾にボールが渡り、陣形を広げていく。
名古屋のフォーメーション、システム、スタメンはマデンゼ戦と同じ。
守備時5-4-1リトリート、攻撃時4-2-1-3のロングカウンター狙いだ。
・・・・・・・・・・・
前半10分頃
ここまでボールはどっちつかずの膠着状態。
リーデルプリメーロのフォーメーションは4-4-2のようだ。
現在名古屋の攻撃。
右サイド、俺に寄ってきた妻神とワン・ツーパスを交わし、俺は左サイドに張った左WG成田にサイドチェンジ!
成田は胸トラップで足元にボールを落とす。
相手DFと相対し、フェイントをかけてから…
ボールを前方に大きく蹴り出し、ヨーイドン!で走り出す!
そして中央エリアにクロスボールを上げた!
その先で待っていたのは……
CFノグァロディッチ!ヘディングシュートを放つ!
ボンッ!
パシッ!
シュートが相手GKの正面に飛んでしまった!
相手GKがボールをクロスバーの上に掻き出す!
名古屋ボールのコーナーキックだ。
今日のリーデルプリメーロ戦、勝利の鍵となるのはセットプレーだろう。
実は相手があまり大きくないのだ。
大きい選手で名古屋の高尾キャプテンと同じくらいの185cmほどだろう。
ノグァ、俺、ダミスコム、八木、高尾の高身長組がペナルティエリア内に入り、俺はノグァにある指示を出す。
大瓦がコーナーエリアでボールをセットし、中央にクロスを送った!
ボンッ!
俺とノグァはニアサイドに走り出す!名古屋最高身長の二人に釣られて相手DFもついてくる!
しかしクロスボールは頭上を越え…
キャプテン高尾の下へ!
ドンッ!
高尾のヘディングシュート!
パサッ!
ボールはゴール右下へと吸い込まれていった。
GOAL!
名古屋アハト1-0リーデルプリメーロ
ワアアアア!
歓喜に沸く長居陸上競技場!
俺達名古屋のメンバーはキャプテン高尾の下へ!
「「キャプテン!」」
「よし、今日はセットプレーで点を取りまくるぞ!」
皆が高尾キャプテンに抱きつくと彼は調子のいいことを言う。
だけどCBながら驚異の得点率を誇る高尾キャプテンが言うことだ。
むしろ頼もしいか。
・・・・・・・・・・・
前半25分頃
リーデルプリメーロの攻撃。
名古屋の守備ブロックを左右に大きく動かして…
相手左SBが左SHにパス!それと同時に左SBはオーバーラップを仕掛ける!
左SHは中央に切り込むドリブル!
左SHは左FWにパス!そして左FWのポストプレーからもう一度左SHにボールが渡る!
ボンッ!
左SHのミドルシュート!
パシッ!
このシュートはゴール右端に向かっていったが、名古屋GK長嶋が横っ飛びでゴール外に弾き出した!
リーデルプリメーロボールのコーナーキックだ。
ペナルティエリア内にぞろぞろと両チームの選手が集まる。
ショートコーナーで来るようだ。
コーナーエリアのキッカーからもう一人の選手にボールを素早く入れた!
その選手もすぐさまボールスピードの速いクロスを入れる!
ボンッ!
ボンッ!
このボールを名古屋中央CB高尾が頭ではじき返す!
はじき返した先には相手選手!
ミドルシュートを…放つように見せかけて、ペナルティエリア内の味方選手にパスをつける!
「まずい!」
相手選手によるゴール至近距離でのシュート!
ボンッ!
ガシッ!
なんと!レジェンドGK長嶋、シュートコースを読み切ってボールをキャッチ!
長嶋は倒れ込んでボールを死守する。
・・・・・・・・・
前半35分頃
リーデルプリメーロの攻撃。
ゴール正面40mほどの位置からフリーキックだ。
ペナルティエリア内では主審が笛を吹く前から、選手同士が掴んだりそれを剥がしたり。
ここらへんはさすが南米のチーム、中々にダーティーだ。
ピピッ!
興奮状態の両軍を審判が注意する。
そして…
ピーッ!
場が整ったようだ。
リーデルプリメーロのキッカーがペナルティエリア左にボールを送る!
ボンッ!
俺はそのボールをヘディングクリア!
セカンドボールは…
相手選手が走り込んでボレーシュートを放つ!
ボンッ!
パシッ!
GK長嶋が横っ飛びでゴール右端へのシュートを止めた!
またしても名古屋守護神のビッグセーブだ!
さぁリーデルプリメーロボールのコーナーキック。
今度は直接中央へボールを送り込んできた!
ボンッ!
ボンッ!
今度はノグァがヘディングクリア!
ボールは相手に回収され、右サイドに張った選手に展開される。
その選手がクロスを上げる!
ボンッ!
ガシッ!
このクロスボールはGK長嶋がしっかりキャッチ!
よし!南米王者相手にもちゃんと守れてる!この調子だ!
・・・・・・・・・
前半40分頃
ここまで先制はしたものの、押し込まれる展開が続く。
それは当然だ。5-4-1リトリート、自陣内に引きこもる戦略を取っているのだから。
二階堂監督を信じると決めたが、相手に攻め込まれ続けるサッカーをあえてするのは、まるでゲームの縛りプレイをしてるような感覚だ。
それともこれは筋トレのように自分に負荷をかけて成長する下地を作る作業なのだろうか。
バルセロナ戦に向けて相手にボールを握られる事を想定した守備の構築、恐らく二階堂監督はそれを主目的としてこの試合を戦っている。
これで準決勝で負けたら、二階堂監督は相当叩かれるだろうな。
二階堂監督もそれを分かっていて、この戦術がバルセロナ対策であることを俺に明かさなかったのだろう。
さぁリーデルプリメーロの攻撃。
DF陣のパス交換からFWが中盤に降りてきて楔のパスを受け取る!
ガツンッ!
迎撃に出たのは名古屋ボランチダミスコム。
コロンビア人フィジカルモンスターは、今日もその身体能力を活かした守備を見せてくれている。
しかし相手FWはボールをキープして右SHに渡す!
右SHの細かなタッチからオーバーラップした右SBにスルーパス!
右SBはボールを持ち運ぶ。相対するのは名古屋左WB成田。
彼とスピード勝負はできないぞ。
相手右SBもそう思ったのか、右SHにボールを戻す。
右SHは自身に近寄ってきたFWとワン・ツーパスで中央に切り込む!
しかし中央は名古屋ボランチダミスコムと大瓦によって封鎖されている。
しかたなく左ボランチにボールを渡す相手右SH。
相手左ボランチは左SBへパス、左SBは左SHとワン・ツーパスでインナーラップを仕掛けようとする!
やらせるか!
俺は相手左SBがボールを持つ前にスライディングでボールをつつく!
回収するのは名古屋右CB種口!すぐさまCFノグァロディッチにロングパスを送る!
ノグァは胸トラップをしてからボールをキープ!
その間に名古屋FW陣は走り出している!
トップ下妻神がノグァからボールを受け取り、ドリブルを開始!
相手DFを最大限引きつけてから…
左WG成田にスルーパス!いつものパターンだ!
ハヤブサ成田はグングンと左サイドを走る。中央を確認してから…
クロスを上げる!そのクロスに合わせたのは…
俺だ!ダイビングヘッドシュート!
ボンッ!
パサッ!
ボールが勢いよくゴールネットを内側から揺らす!
GOAL!
名古屋アハト2-0リーデルプリメーロ
ワアアアア! キャアアア! ウオオオオ!
喜ぶ日本人サポーター達!
今日もスライディングタイガーポーズでご挨拶!
それにしても南米王者相手に2点リードか!
これは幸先いいぞ!
「ナイスー!」
「良いカウンターだ!」
「大雅お前得点王狙えるんじゃないか?」
名古屋アハトのメンバーが続々と俺の周りに集まってくる。
「2点リードしましたけど、油断せずにいきましょう!相手は南米王者ですからね!」
「オウ!もちろんだ!」
「鉄壁の守備で守り切るぞ!今日はクリーンシート狙おう!」
さすがにこの1年勝ち続けたチームだ。
アジアCLとNリーグで培った勝者のメンタリティは、名古屋の皆に備わっているようだ。
・・・・・・・・・
前半を無失点で終え、後半、2点差を追うリーデルプリメーロはなりふり構わず怒涛の猛攻を仕掛けてきた。
荒々しいラフプレーとファン・サポーターから怒号が飛び交う殺伐とした展開になったが、俺達は集中を切らさずブロックを敷き続けた。
そして…
ピッ、ピッ、ピーッ!
試合終了の笛が鳴った。
スコアは…
名古屋アハト2-0リーデルプリメーロ
なんと南米王者を相手に90分間無失点で守り切ったぞ!
「クリーンシートだぁ!」
「後半の守備よく耐えたな!」
「いやーもうちょい点を取りたかったなぁ」
「十分十分!南米王者相手だぞ!よくやったわ俺ら!」
試合後チームメイトたちと喜びあって、口々に試合の感想を言い合う。
そして…
「大雅、今日もよく決めてくれたな」
「監督…」
二階堂監督と熱く抱擁をする。
「俺達決勝に進めるんだぞ。もっと喜べ」
「監督こそ。2008年のときはピエルナ大阪で3位でしたよね」
「あぁ、俺にとっても初めての決勝だ。難しい戦いになるぞ」
「もう準備は万端じゃないですか?決勝の相手はまだ分からないですけどね」
俺がそう言うと監督はシーッと人差し指を顔の前に当てた。
「その通り相手が確定するまでは俺は下手なこと言えない。だけどもう分かってるみたいだなこの間の質問の答えは」
「はい!バル…」
「だからシーッ!」
「ハハッ冗談です」
俺達名古屋アハトは決勝戦横浜の地へ向かう。
来るよなバルセロナ?き、来てくれよ?