※この作品はR-18です。

もう一度サッカー選手に生まれ変わったなら美女も世界一も掴み取りたい!   作:クズ吉

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77話

 ピーッ!

 

 主審が笛を鳴らし試合が始まった。

 

 Nリーグ2014第20節

 

 ピエルナ大阪VS名古屋アハト

 

 KICK OFF!

 

 名古屋ボールから始まる。

 

 俺がちょんとボールを蹴ってケリーが後ろにボールを回していく。

 

 

 ・・・・・

 

 

 前半5分頃

 

 ピエルナ大阪の攻撃。

 

 バックラインのパス交換から右サイドにいるボランチ榎本にボールが渡った時!

 

 榎本は左SH草野にロングパスを送りサイドチェンジを成功させる!

 

 左SH草野は縦に少しドリブルすると横に来たFW卯尾田にパスをする。

 

 パスを受けた卯尾田はターンをした後にゴールに向かって斜めにドリブルすると、右から左斜めに走ってきたもう一人のFWパロミップにスルーパスを送った!

 

 パロミップはスルーパスをダイレクトでシュートへ持っていく!

 

 ボンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バッ!

 

 そこへ足を出したのは名古屋キャプテン高尾だ!

 

 懸命なブロックでボールをゴールラインの外にかきだした!

 

 ピエルナ大阪ボールのコーナーキックとなる。

 

 コーナーエリアに向かうのはピエルナ大阪榎本。

 

 ピエルナ大阪にはDFに一人、FWに一人高身長の選手がいる。それらの選手がペナルティエリアに入ってきた。

 

 気をつけなければならない。

 

 一方で名古屋アハトは左SH成田と俺でカウンターを狙ういつもの作戦。

 

 ボンッ!

 

 榎本からペナルティエリアにクロスボールが供給される!

 

 

 ボールは長身FWパロミップの下へ正確に向かっている!

 

 

 

 ボンッ!

 

 しかし彼の下へ届く前にこのボールは名古屋CB陸奥がクリアする!

 

 クリアボールの先には…

 

 名古屋ボランチ立木とピエルナ大阪ボランチ小森が我先にボールに触れようと、体をぶつけ合っている!

 

 体を上手く入れ替えてボールをトラップして前を向いたのは…

 

 名古屋立木の方だ!

 

 立木は右サイドにいる俺にパスする。

 

 ピエルナ大阪は俺達のカウンターを警戒してか守備に人数を割いていた。

 

 俺の前には二人のDFがいる。

 

 だがそんなのは俺には関係ない。

 

 ここを突破すれば一気にチャンスになる!

 

 俺は細かいタッチのドリブルで相手に対峙すると今にもドリブルで抜く姿勢を見せる!

 

 「タイガー!」

 

 が、名古屋CHダミスコムが俺を呼び横に走り込む姿が見えた。

 

 そこだ!

 

 俺はダミスコムにパスを出す。

 

 ダミスコムはボールを受け取ると、左サイドから中央へとダイアゴナルランをする左SH成田にスルーパス!

 

 しかしこのボールは少し長い!

 

 ピエルナ大阪GK平林が飛び出してきてボールを足でクリアした!

 

 

 ・・・・・

 

 

 前半20分頃

 

 名古屋の攻撃。バックラインのパス交換から左SB堀井にボールが入った時!

 

 俺は堀井からバイタルエリアにボールを呼び込みすぐさまターンして前を向く!

 

 そして左SH成田にパスをし、パス&ゴーでペナルティエリア内左に進入する。

 

 成田は中央に切り込むドリブルを少し見せた後に俺が走り込む先にスルーパス!

 

 パスを受けた俺には相手DFが付いている。

 

 ここは…腕で相手DFをけん制しながら相手ゴールへの方向とは逆にドリブルし、味方にパスして攻撃のやり直しだ…

 

 と見せかけて俺は反転してもう一度ゴール方向にすばやくドリブルをする!

 

 そしてグラウンダーのクロスを中央に送った!

 

 ボンッ!

 

 相手DFはボールに触れない!

 

 

 

 

 

 

 

 ボンッ!

 

 ボールに触ったのは名古屋FWケリーだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかしシュートは大きく浮いてクロスバーの上を越えていった。

 

 

 パンッ!パンッ!

 

 「このまま続けましょう!」

 

 俺は手を叩いて味方を鼓舞する。

 

 

 ・・・・・

 

 

 ピッ、ピー!

 

 前半終了の笛が鳴る。前半を終えてスコアは大阪0-0名古屋。

 

 両チーム互いによく攻めてよく守った前半戦だった。

 

 「守備陣はよくやってる!後半もこのまま無失点でいこう!攻撃陣は左右に広くピッチを使うことと、特に大雅はもっとドリブルで積極的にしかけてセットプレーを貰いにいこう。高さならこっちが勝ってるんだから」

 

 監督陣から後半の方針を聞いてロッカールームを後にする。

 

 するとピッチへ戻る道中、ダミスコム選手がスペイン語で話しかけてきた。

 

 「タイガー、自分でイケると思ったら自分で行ったほうがいいよ。タイガーの判断が駄目なときってそうないから」

 

 「うん?前半のカウンターの話?」

 

 「そう。俺にパスしたけど、あれくらいならタイガー二人とも抜けただろ?抜けなくても相手にイエローカードは与えていただろうに」

 

 「あれ?あなたが俺のこと呼んだんじゃなかったっけ?」

 

 「ハハッいや、そうなんだけどさ。タイガーがそのままドリブルしてたらどうだったんだろうって…」

 

 「監督からも積極的にドリブルしてけって言われたし、後半はそうするよ。ありがとう」

 

 ダミスコム選手とはプレシーズンに俺からスペイン語で話しかけてから仲良くしている。

 

 俺はスペイン語を小4の頃から学んでいるものの、サッカー用語に関してはあまり知らなかったので、彼から多くを教えてもらった。

 

 俺の大切なスペイン語の先生だ。でもサッカーでは遠慮しない。

 

 よしっ!後半は積極的にドリブルで仕掛けていくか!

 

 俺達はピッチに戻る。今日のピッチは雨水を多く含んでおりスリッピーだ。 

 

 怪我をしないように気をつけなければ。

 

 時間がしばらく経ちもう一度22人がピッチに立った。

 

 ピエルナ大阪VS名古屋アハト

 

 後半

 

 KICK OFF! 

 

 ピエルナ大阪ボールから始まる。

 

 

 ・・・・・

 

 

 後半10分頃  

 

 名古屋の攻撃。右CB陸奥から俺へ浮き球のロングパスが送られる。

 

 ボンッ

 

 俺はヘディングで左SH成田へとパスする。

 

 左SH成田は中央へ切り込むドリブルから再び俺にパス。

 

 俺はオーバーラップした左SB堀井にスルーパスを送る。

 

 堀井は敵陣左サイド深くまで侵入するとクロス!は上げずにペナルティエリア外の彼より低い位置にいた俺にボールを戻す。

 

 俺はそのボールを受け取ると中央へカットイン、ミドルシュートを放った!

 

 ボンッ!

 

 

 

 

 

 カーブがかかった勢いのあるボールはゴール右隅に向かっている!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バシッ!

 

 ピエルナ大阪GK平林の横っ跳びセーブ!

 

 俺のシュートは阻まれコーナーキックとなった。      

 

 DF陣も含め名古屋の高身長組がペナルティエリアに入ってくる。

 

 (これでいいはずだ。名古屋のセットプレーは火力抜群だからな)

 

 ボンッ! 

 

 コーナーキック、蹴ったのはCH立木だ。

 

 ニアサイドに走った俺に合わせたボールを俺は後ろにそらす!

 

 これでボールの軌道が変わったはずだ。

 

 ボールの行く先には…

 

 CB陸奥がヘディングで合わせようとしている!

 

 陸奥のヘディングシュート!

 

 ボンッ!

 

 

 

 

 

 

 バシッ!

 

 このボールもピエルナ大阪GK平林によってクロスバーの上に掻き出された。

 

 もう一度コーナーキックだ。

   

 CH立木がボールをコーナーエリアにセットしキックを放つ!

 

 ボンッ!

 

 

 

 このボールはGK平林が直接キャッチした。

 

 俺は急いでGK平林の前に向かって彼がボールを放つのを妨害する。

 

 …とりあえずカウンターを防ぐことができた。

 

 4バックの4分の3が参加する名古屋アハトのセットプレーは、カウンターを受けるとひとたまりもないのだ。   

 

 

 ・・・・・

 

 

 後半25分頃

 

 ピエルナ大阪の攻撃。

 

 ボランチ榎本は前線から下りてきたFW卯尾田へパス。卯尾田はボランチ小森にダイレクトパス。

 

 小森は左SH草野へパスし、草野は中央に切り込むドリブルから右サイドを抜け出したFWパロミップへパスを送る!

 

 ボンッ!

 

 パロミップはそのボールにヘディングで合わせる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガシッ!

 

 このシュートは名古屋GK長嶋の正面だ。長嶋は勢いそのままに左SB堀井にオーバースローでパスする。

 

 堀井はドリブルで前線に向かって駆け上がると、センターサークル辺りにいた俺にパス!

 

 俺は相手DFのプレッシャーを受けながら、右サイドを駆け上がる右SHにスルーパスすると自身も前線に向かう!

 

 右SHは敵陣深くまでドリブルで持ち込むと、山なりのクロスをあげた!

 

 ボンッ!

 

 それに合わせたのは…

 

 

 

 俺だぁぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかしヘディングシュートはジャストミートせず…

 

 GK平林に簡単にキャッチされた。

 

 

・・・・・

 

 

 後半43分頃  

 

 名古屋の攻撃。

 

 GK長嶋のゴールキック。

 

 ボンッ!

 

 

 

 

 FWケリーが競り合って…

 

 ボンッ

 

 俺にボールが渡る!

 

 俺は中央をドリブル突破!細かいタッチで相手DFを抜きさ…

 

 

 

 ズザァ!

 

 (イテッ!)

 

 俺は突如横から相手のスライディングタックルを食らう!

 

 ボールを奪われた!すぐさま立ち上がり相手の方を見ると…ピエルナ大阪ボランチの小森だった。

 

 小森は左SH草野にボールを展開。草野は卯尾田とワン・ツーパスで中央のバイタルエリアに侵入し、もう一度卯尾田にパスを送る!  

  

 卯尾田は細かいタッチのドリブルで名古屋DFをスルスルッと抜いて最後にゴール右隅を狙いすまし…

 

 ボンッ!

 

 シュートを放った!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パサッ! 

 

 ボールは名古屋ゴールに吸い込まれていった。

 

 GOAL!

 

 大阪1-0名古屋

 

 ウオオオオオオ! ワアアアアア! ウキャアアアア!

 

 ついに生まれたこの試合最初の得点に会場の歓声は爆発した。

 

 そしてピエルナ大阪のメンバーも喜びを爆発させた!

 

 「よっしゃあああ!」   

 

 「このまま6連勝いくぞぉ!」

 

 「もう1点いこうぜ!」

 

 そうだ。ピエルナ大阪はここまで5連勝だった。勢いに乗らせたらまずい。

 

 「まだ時間あります!取り返しましょう!」

 

 ボールを奪われた俺が言うのもなんだかなと思うが、そういう時にこそ言うべきだとも思う。 

 

 皆に嫌われたっていい。ゴールさえ出来ればそれで…

 

 

・・・・・

 ピッ、ピッ、ピー!   

 

 試合終了の笛が鳴る。

 

 ワアアアアア!

 

 会場に響く歓声。 

 

 試合結果は…

 

 大阪1-0名古屋

 

 負けてしまった。これで名古屋アハトは3戦勝ちなし。

 

 ピエルナ大阪は一番勢いに乗らせてはいけない相手だと分かっていたのに…

 

 今回は守備陣は悪くない。寧ろよく耐えていた。

 

 後半最後らへんで俺が致命的なボール奪取を受けなければ…

 

 いや違うな。それでも勝利出来ていたかは怪しい。

 

 もっとシュートを打たなければならかったし、シュートを決めなければいけなかった。

 

 俺がゴールもアシストも出来なかったのはいつぶりだろうか。

 

 雨水を含んだ悪いピッチコンディションのせいにすることも出来るが、それは相手も同じ条件だ。

 

 一人で黙々と反省会をしてると…

 

 小森選手が近づいてきた。

 

 「大雅、大丈夫だった?」   

 

 「え?」

 

 「俺のスライディング受けたろ?」

 

 「あぁはい。怪我はなさそうです」

  

 どうやら俺のことを心配してくれたようだ。

 

 「ならよかった。ボールにはちゃんといってたからな。恨みっこなしだぞ」

 

 「ええ、完全にやられました。個人としても、チームとしても」

 

 「いやいや一応勝ったけど、こっちは大雅のドリブル怖すぎたよ。こんな滑りやすい中平気でガンガンくるもんだから」

 

 「いや俺も足滑らせないか内心怖かったですけどね」

 

 小森選手と話していると…

 

 「いやー大雅はやっぱり敵になると怖い怖い」

 

 榎本選手が会話に混ざってきた。

 

 「榎本さんのセットプレーも毎回ヒヤッとしますよ」

 

 俺、小森選手、榎本選手の3人は2014W杯を一緒に戦った仲だ。

 

 「まぁまたお互い代表に選ばれたらいいね」

 

 俺達は少し話し合ったあとそんな事を言って別れた。

 

 しまった。

 

 敗戦したのに相手チームの選手と談笑してしまった。

 

 「大雅、サポーターに挨拶しにいくぞ!」

 

 「はい!」

 

 高尾キャプテンに呼ばれ返事をする。彼はまだ厳しい表情を崩していなかった。

 

 気まずい雰囲気の中わざわざ大阪の会場に駆けつけてくれたサポーターに挨拶をする。

 

 「クラウチ〜!失敗気にせず次ももっとドリブルしていけよ〜!」

 

 そんな声がサポーターの中から聞こえた。

 

 今日の敗戦の要因の一つは間違いなく俺のドリブルミスにある。  

 

 自分が応援してるチームが勝てなくて残念だろうに。

 

 それにも関わらず励ましてくれるサポーターがいることに俺は感謝の念を抱いた。

 

 そうだ。俺には応援してくれる人達がいる。その人達をがっかりさせていい試合なんて一つもないのだ。

 

 次は…次こそは必ず勝つ!

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