※この作品はR-18です。

彼はウィッチ達と世界を救う契約を悪魔と結ぶ カールスラント脱出編   作:ゼロラグ

3 / 4
八葉

 「あっと、ごめんね。吃驚させたかな?」

 蒼い彼女はそう言うと帽子わ脱いで頭を下げた。気にしてないと手で伝えるとホッと息を吐いて帽子を被る。

 「シェルターに向かっている最中だったかな?」

 「はい。」

 「今は中に入れて貰えないかも。主にボクのせいだけど。」

 どう言う事かと尋ねると蒼い彼女は自虐気味に笑いながら語りだした。

 「双子の姉とね。避難の最中に逸れたんだ。姉はちょっと運動が苦手でさ。人の波に呑まれていつの間にか。で、ボクだけが先にシェルターに着いたんだけど中々姉が来なくて。だから一緒に姉を探してくれないかってお願いして回ったんだ。まぁ、にべもなく断られた挙げ句周りに迷惑だって追い出されたんだよね。」

 「それでシェルターに入れないと?」

 「中に相当口の上手い人が居て今中にいる人員以外入れる気は無さそうだよ。ゴメンね。」

 「問題ないです。今の所は。それよりもお姉さんを探すのを手伝いますよ。どの道、何処かに避難しないと危ないですし。」

 「いいの?初めて会ったばっかりなのに。」

 「何となく、嘘じゃないと思うので。」

 「そっか。君は優しいんだね。ボクは蒼星石。変な名前だろ?父が石好きで娘にもこんな名前つけてるんだよ。姉の名前は翠星石。翠色の服を着ているから見たら判ると思う。」

 「あー。スイマセン、記憶喪失で自分の名前もわからなくて。好きに呼んでください。」

 困った顔をする蒼星石さんを横目に辺りを見渡す。無事そうな建物は何軒かある。シェルターに向かえなかったならそこに隠れている可能性が高いか?

 思考を巡らせていると蒼星石さんが声をかけてきた。

 「よし、今日の夜は三日月だから君を三日月って呼ぶよ。本当の名前を思い出したら教えてね。」

 三日月か。何となくしっくりくるな。そう考えながら蒼星石さんと歩き出そうとしたとき、女性の悲鳴にも金属の擦り合わせる音にも聞こえる甲高い音が聞こえた。隣の蒼星石さんを見ると顔が真っ青になっていた。今にも倒れそうだ。そこから察するにこの音は『ネウロイ』が来た合図なのだろう。

 「蒼星石さん。直ぐにあそこの雑貨店に。」

 「う、うん。って君は?」

 「僕が刀を持っているから現れたのかも。出来るだけ遠くに捨ててくるので。」

 そう言い残して、その場から全力で立ち去る。甲高い音は思った通り僕に着いてきた。チラリと後ろを確認すると小さなゴブレットの様な形状をした黒い物体が飛んでいる。あれが『ネウロイ』?動物か化け物かと思いきや思ったより機械的だ。赤い部分もあるが色が違う事に何か意味はあるのだろうか?

 足を止めずに思考していると推定『ネウロイ』の赤い部分が輝いた。何か不味い、そう思って横に全力で転がる。ピシュという空気を裂く音が聞こえた。先程まで立っていた場所が焦げている。

 「ビーム?」

 まさか光学兵器を使ってくるとは、侮れない技術力だ。それにー

 「逃げ切れそうにないな。」

 既に囲まれている。さっきいた場所から大して離れられていない。敵の数は10はいるか?

 「フー。」

 息を吐く。精神を研ぎ澄ます。刀を抜く。この1連の動作で頭の中のスイッチが入る音がした。記憶はなくとも身体は覚えているようだ。いや、脳内にも知らない筈の知っている知識が湧いてくる。

 推定『ネウロイ』が4方からビームを放ってくる。この程度なら問題はない。

 「『八葉一刀流・複合型・守式 焔界螺旋』」

 凄まじい勢いで身体を回転させると同時に周りの空気、空間に至るまで全てを回転させ螺旋状にする。

 刀身が燃え上がり、その炎は螺旋状の結界となった空気に広がりその熱量を持ってビームを捻じ曲げた。

 「『八葉一刀流』の担い手。仮名三日月。持して参る。」

 逃亡が無理なら殲滅する。それが僕が出した答えだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。