※この作品はR-18です。

俺たちのボクシング部合宿がモニタリング系AV撮影のターゲットになったらしく、憧れの女子マネージャーがタオル一枚でチ〇ポ洗いミッションに挑みにきた話《サンプル版》   作:電柱保管

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DLsiteにて発売するノベル作品のサンプル版です。

サンプル版では、

【オープニング】
【チャプター1】
【チャプター2】

までお読みいただけます。


【チャプター1】

「はぁ~、いい湯だな」

 乳白色の湯にざぶんと体を沈めた瞬間、全身をやさしくマッサージされるような心地よさに、おもわずジジくさい声が漏れてしまった。

 四角い檜風呂を満たした湯は熱すぎずぬるすぎず、疲れた体をじんわりと温めてくれる。お湯は壁から突き出た湯口から常時注がれており、湯船からあふれても足りなくなることはない。

 大浴場と銘打たれているわりに湯船はこじんまりとしているが、それでも一般家庭にあるものよりはずっと大きい。おもいきり足を伸ばして温泉に浸かる機会なんてそうそうないから、これだけでも伊豆まできた甲斐があるというものだ。

 とはいえ温泉はあくまでおまけのようなもので、俺はべつに湯治目的で伊豆にきたわけではない。

 俺たち××大学ボクシング部が伊豆を訪れているのは、毎年恒例の夏合宿のためだ。

 練習は近隣の大学の格技場を借りておこない、この民宿は宿泊場所として利用させてもらっている。このあたりの民宿は合宿利用の運動部を積極的に受け入れているらしく、ありがたいことに格安料金で宿泊できるのだ。

 二年生の俺がこの民宿に泊まるのは去年に続いて二回目だ。家族経営で昔ながらの風情を残す宿で、伊豆の温泉がひかれた風呂もこのとおりすばらしい。こんな広い湯船を独り占めできるなんて、しがない大学生の身ではなかなか味わえない贅沢だろう。

 ……ただ、俺自身はのんびりと湯浴を楽しんでいられるような身分でもないのだが。

「……ッつ」

 口元の傷にそっと指で触れるとピリッとした痛みが走り、俺はおもわず顔をしかめた。パンチを受けた際にできたかるい裂傷とはいえ、傷口はまだ完全にふさがっていないようだ。

 今日は四泊五日の合宿の四日目。合宿もいよいよ終盤にさしかかり、今日は部内でスパーリングがおこなわれた。最終日となる明日に予定されている近隣大学のボクシング部との練習試合に備え、まずは部員どうしで合宿の成果を確かめあったのだ。

 そのスパーリングで俺はノックアウトされてしまった。

(ボディ打ちにつられてガードが下がったところにまんまとストレートをもらっちゃったもんなぁ……情けない)

 パンチにつられてガードが甘くなる悪癖については、コーチからもずっと俺の弱点として指摘されていた。今回の合宿でも個人的な課題にあげられていたが、全然克服できていなかった。

 俺は大学に入ってからボクシングを始めた。いちおう高校まで陸上をやっていたが、ボクシングはまったくの未経験。体力だけはそれなりにあるものの運動神経は並以下なので、正直いって練習についていくだけでやっとだ。なんとか試合に出られるくらいにはなったものの、公式戦はおろか練習試合でもいまだ勝利をあげられていない。俺をボクシング部に誘ってくれた人のためにも、全日本ボクシング選手権で優勝! ……は高望みすぎるにしても、せめて明日の練習試合で初勝利をあげて、ちょっとはいいところを見せたいのだが……。

(このぶんじゃ、それすら遠い目標だよなあ……)

 湯気すら染みそうな生傷を気にしつつ、俺は長いため息を放つ。午後十時すぎ、ほかに誰もいない広い浴場に、俺の憂鬱だけがむなしくただよっていった。

 スパーリングでノックアウトされた俺は、大事をとってひとりだけ先に練習を切り上げ、宿に戻った。体調はまったく問題なかったのだが、部屋で横になっているうちにいつのまにか眠ってしまい、目覚めたときにはもう夜になっていた。ほかの部員はすでに夕食も入浴も済ませており、はからずもひとりで風呂をいただきにくることになった次第だ。

(明日も早いし、そろそろあがるか……)

 合宿中は毎日、朝五時起床のスケジュールが組まれている。明日の練習試合には俺も出場させてもらえることになっているから、すこしでも体を休めておきたい。スパーリングで倒されて今日の練習を免除されたくせに貸し切り状態の温泉を堪能するのも、なんとなく気が引けるし……。

「はぁ……」

 俺はもうひとつため息を落とすと、重苦しい気分を引きずりつつ湯船から腰を上げた。

 洗い場と脱衣所をつなぐ引き戸が遠慮がちな音をたてて開いたのは、そのときだった。

「ん?」

 こんな時間に誰だろうと思ったものの、最初はほかのボクシング部員がきたのだろうとしか考えなかった。いまは自由時間だし、誰かが寝る前にひとっ風呂浴びにきたとしてもおかしくはない。

「……えっ!」

 しかし、開いた引き戸の隙間からおずおずと顔をのぞかせた人物の正体に気づいて、俺は驚愕に目を見開いた。

 嘘……だろ? こんなところに、なんで……。

「ゆ……結花ちゃん⁉」

 あろうことか、小さなタオル一枚で裸の胸元を隠しながら男湯に入ってきたのは、我らがボクシング部の女子マネージャー、保志野結花だったのである。

 

   *

 

 ××大学ボクシング部マネージャー、保志野結花。

 彼女こそ、俺がボクシングを始めるきっかけとなった女の子である。

 俺と結花ちゃんは同じ学部の同級生で、新入生向けの基礎ゼミでたまたま同じクラスになった。そして初回の授業で自己紹介をした際、俺がかるいノリで、あるボクシング漫画が好きだと話したら、授業のあと、彼女から声をかけられたのだ。

 ――楠見君、ボクシングに興味があるの? 私、ボクシング部のマネージャーになったんだけど、よかったら楠見君も入らない?

 聴けば彼女の歳の離れたお兄さんがこの大学のボクシング部のOBで、その縁もあってマネージャーとして入部することになったらしい。ボクシング部は大学公認だが、男くさいイメージもあって部員数の減少はつねに悩みの種なのだとか。だから新米マネージャーの彼女も積極的に勧誘活動をおこなっていたのだ。

 ――コーチもついてくださってるから初心者でも丁寧に指導してもらえるし、私も応援するから。ね?

 そういって両手をあわせた彼女のまぶしい笑顔を、俺はいまでも鮮明に覚えている。

 愛らしい顔立ちで性格もおだやかな彼女がボクシング部のマネージャーをやっていると話すと、驚かれることもあるそうだ。しかしもともと頑張る人を応援するのが好きらしく、日頃から部員たちのケアをしっかりとおこなってくれている。OBの妹ということもあって部員たちからは「結花ちゃん」と呼ばれてかわいがられており、いまや部内のアイドル的存在となっていた。

 もちろん俺自身も入部以来、彼女にはずっと支えてもらってきた。この一年半、ボクシング初心者の俺がきつい練習をなんとか乗り越えてこられたのも、彼女の甲斐甲斐しいサポートがあったからといっても過言ではない。

 俺にとって保志野結花は、憧れの女子マネージャーだった。

 その憧れがいま、男湯で俺と向かいあっていた。

 一糸まとわぬその女体を、小さなタオル一枚で懸命に隠して。

「あっ……。お、お疲れ様」

 にわかには信じがたい現実を前に石像のように固まった俺と目があうと、結花ちゃんは緊張した面持ちで会釈をした。

 どこかこわごわとしたその声色が耳に届き、俺もようやく我に返る。

「えっ、えっ! ど、どういうこと?」

 俺は湯けむりただよう浴室内を見回したあと、自分も裸であることを思い出して、とっさに湯船に体を沈めた。恥ずかしがるのはこっちではない気もしたが、それだけ狼狽していたということだ。

 お湯から首だけ出した状態であらためて洗い場に目をやる。そこにいたのはやはり、裸体をタオル一枚で隠した姿の結花ちゃんだった。

「ゆ、結花ちゃん、どうしたの? ここ、男湯だよ!」

「う、うん。ごめんね……」

 申し訳なさそうに顔を伏せながらも、結花ちゃんはどういうわけかこちらに近づいてきた。周囲を気にするそぶりは見せているものの、この場から立ち去る気配はない。俺は確実にここが男湯だと知らせたはずなのに、なぜ……。

 混乱する俺をよそに、結花ちゃんは湯船の前までやってきた。その場でおずおずと腰を落とし、ちらりと俺をうかがう。

「慎也君……いま、ひとり?」

「えっ⁉ ま、まあ……」

 質問の意図がわからないまま素直に返答すると、彼女は一瞬だけほっとした表情を見せた。しかしすぐに不安そうな目つきに戻り、胸元を隠したタオルをぎゅっと握りしめながら、また俺をうかがってくる。

「あの、変なこというようだけど……、一緒に入っても、いい?」

「い、一緒に、って……お風呂に?」

 結花ちゃんは恥を忍ぶように小さくうなずいた。

(ゆ、結花ちゃんと混浴って……え、ええっ⁉)

 状況の理解が追いつかず俺が返事すらできずにいると、結花ちゃんはそれを許可だと解したのだろうか。

「ホント、ごめんね……」

そういうと結花ちゃんは湯船のふちに立てかけられていた木桶を手にとった。湯船からお湯をすくって掛け湯をはじめる。肩から掛けられた湯がしなやかにくびれた女体の稜線にそってなめらかに流れていった。

(お、おおっ! む、胸が……!)

 掛け湯によって濡れたタオルが胸元に張りつき、透けた生地に桜色の突起が浮かぶさまがはっきりと見えた。あわてて目をそらしたが、あれは間違いなく乳首だ。

 頭のなかで煩悩が一気に膨れあがった。展開が急すぎていままで充分に意識できていなかったが、俺の目の前にいま、裸の女の子がいるんだよな……。

 俺は今年で二十歳になるが、何を隠そう、いままで誰とも付きあったことがない。もちろん童貞で、いわゆる「やらはた」というやつである。ヌード写真やエッチな動画なら飽きるほど眺めてきたが、本物の女体を拝む機会はこれまでの人生でいちどとしてなかった。

 それがまさか、こんなかたちで女の子の裸を目にするチャンスに恵まれようとは。

 いいしれぬ興奮に息を呑んでいると、小さく湯を揺らす音が聞こえてきた。掛け湯を終えた結花ちゃんが湯船に片足を入れたのだ。

「おとなり、失礼します……」

 いつもよりずいぶんとよそよそしい口調でそう断ると、結花ちゃんは俺の真隣にきてお湯に体を沈めた。

(お、おう……)

彼女がつくる波紋があたるだけで、俺は緊張に身を硬くしてしまう。

 隣を盗み見る。

結花ちゃんも緊張しているのだろうか、乳白色の湯面をじっと見つめながらも、時折かすかに瞳を揺らしていた。いつもはおろすか首のうしろで一本に束ねている髪を、いまはヘアクリップを使ってアップにしている。すこしだけ飛び出た髪の毛が湯しずくに濡れて白いうなじにはりついており、それがたまらなく色っぽい。

 にごり湯のため残念ながら下のほうまでは見通せないが、それでも湯船のふちにタオルを置いているため、彼女の体を隠すものは湯以外に何もない。乳白色の湯面から覗く若々しいデコルテは俺にとって充分に目の毒だった。湯の下に隠れているふたつの膨らみや女神の園は見えないはずなのに、男の煩悩はそんなところにまで勝手に想像を広げてしまう。憧れの女子マネージャーの艶めかしい姿が脳裏に浮かび、すこしでも気を抜けば股間の逸物がすぐにでも鎌首をもたげてきそうだった。

 こうなりゃ素数でも数えてよからぬ想像を振り払うしかないと思いつめたことで、すこしは冷静になったのだろうか。

(いや、ちょっと待てよ? そもそも結花ちゃんは、なんだってひとりで男湯に入ってきたんだ?)

 いまさらだが、そんな疑問が頭に浮かんだ。

 たとえば部員の誰かと共謀して俺にドッキリでも仕掛けているのか? いや、それは考えにくいな。俺が知るかぎりボクシング部の面々はみんな真面目で、女子マネージャーを男湯にけしかけるなんて悪ノリを冗談でも口にする人たちじゃない。なにより結花ちゃん自身がそんなたくらみに乗るとは思えない。

 だとすればあと考えられるのは、俺がノックアウトされてひとりで寝ているあいだに常識が改変されて、男女混浴があたりまえの世界になったとか……? ……いや、そのほうがありえんだろ。すくなくともここまでの結花ちゃんの様子を見るかぎり、男女はみだりに肌を見せあうべきでないというモラルはこの世から失われていないように思える。ここは間違いなく、SFもファンタジーもない現実世界なのだ。

 だがそうなると、結花ちゃんはみずからの意思でここへきたことになる。いったいどんな理由があって、常識的な貞操観念をもつボクシング部の女子マネージャーがタオル一枚で男湯に入ってくるのだろう?

 考えても答えの出ない疑問が顔に出てしまっていたのだろう。結花ちゃんは俺のほうをちらりとうかがっておずおずと口を開いた。

「ごめん、びっくりさせちゃったよね……。あ、あのね、私、お願いしたいことがあってここにきたの」

 結花ちゃんが俺のほうへ体を向けた。俺もつられて振り向いたため、裸の彼女と正面から向かいあう格好になる。大事な部分はまだ湯のなかに隠れているとはいえ、俺の目線はどうしたって下のほうへ引きつけられてしまう。

「お、お願いって?」

「うん、あのね……」

 結花ちゃんはためらうように目を伏せた。両手は胸の前できゅっと握っている。それほどまでにいいにくいお願いなのだろうか。

 しかし沈黙もそう長くはなかった。結花ちゃんは意を決したようにおもてを上げ、固唾を呑んで待っていた俺をまっすぐに見つめてこう告げた。

「慎也君のおちんちんを、私に洗わせてほしいの!」

 

   *

 

 悪の秘密結社に、耳だけ魔改造されたのかと思った。

 結花ちゃんが発したひとことはそれほど衝撃的で、それこそSF的な聴き間違いでもおかしたのではないかと思ったのだ。

 切羽詰まったようなまなざしでこちらを見つめている彼女を、俺は目顔で問いただした。――えっと……ナニをなにしたいって?

「だ、だからね、洗いたいの……おちんちんを」

 二度目となるとさすがにこっ恥ずかしいのか胸の前でもじもじと手をすりあわせはしたものの、いっている内容に変わりはなかった。にわかには信じがたいが、俺たちのいるこの時空は現実のそれで間違いないようだ。

 結花ちゃんはいった。たしかにいった。俺のチンポを洗いたいと。

 ……いや、なぜに?

 頭に浮かんだ疑問が、またもおもいきり顔に出てしまったのだろう。

「ち、違うの! 変な意味じゃなくてね!」

  結花ちゃんはあわてた様子で両手を顔の前で振った。

 いやいやいや……。「おちんちん洗いたいの」なんて言葉を、変な意味以外にどう受けとれと……?

「だ、だからね、お風呂で男子部員のおち……を洗ってあげるっていうのが、ミッションっていうか……」

「……ミッション?」

 またしても聞き捨てならない単語が出て、俺はおもわず眉をひそめた。

 たぶんいっちゃいけないやつだったのだろう、結花ちゃんは「あっ……」と言葉を詰まらせて口元を手で押さえた。

 おいおいおい……。こりゃいったい、どうなってるんだ?

「ひょっとしてだけど結花ちゃん……誰かになにかいわれて、ここにきてる?」

 結花ちゃんの顔がわかりやすくこわばった。

「ち、違うの……」

 口先だけで否定してみせたが、目は完全に泳いでいた。額には汗もにじんでいる。なんてわかりやすいんだ……。

 問い詰めるつもりはなかったが、どうしても探るような目つきになってしまう。訝しげに見られて、結花ちゃんも観念したのだろう。逡巡するように瞳を揺らしたあと、おずおずと俺を見返してきた。

「あのね、今日の夕方くらいに、インターネットテレビの撮影スタッフって人から、声をかけられたの……」

 結花ちゃんによると、練習場からの帰り道で声をかけてきたその男に連れられて近くの宿へ行ったところ、部屋で待ち受けていた別のスタッフから、高額賞金の出るゲーム企画に参加しないかと誘われたらしい。

「ミッションっていうのは、だからね……、ゲームクリアの条件になってて……」

 結花ちゃんは番組指定のルールをたどたどしく説明しつつ、タオルの下に隠し持っていた指令用紙を見せてくれた。なるほど、細長くかたどられた防水紙にはたしかに、「男子部員のおちんちんを手で洗ってあげる」と、そのまんまな内容が印字されていた。

 いかにも低予算感あふれる小道具。そしてタオルが一枚。

 決定的な証拠を前にして、俺の灰色の……いや桃色の脳細胞は、瞬時に事の真相を見抜いた。

(これ、素人の女の子がタオル一枚で男湯に入るヤツやん!)

 大人向けの動画サイトを覗くか、もしくはレンタルビデオショップの奥にある怪しげな暖簾をくぐった経験のある男子ならば、誰しもがいちどはお目にかかったことがあるだろう。例のシリーズである。

 いわゆるモニタリング系AVというのだろうか。温泉地などでスタッフにナンパされた女の子がひとりで男湯に入り、入浴中の男性客相手にエッチな「ミッション」をおこなう様子を観察するという形式のアダルト動画企画である。

 ジャンルとしては根強い人気があるらしく、元祖以外にもさまざまなメーカーから類似作品やバリエーション作品が数多く発売されている。ファンにはこだわりの強いマニアが多いのか、動画サイトのレビューがわりと辛口になりがちなのもこのシリーズの特徴のひとつだ。カメラアングルやゲーム内容に不満が出るのは理解できるとしても、AVなのに「挿入行為があるのは減点」とクレームをつけるのはいささか厳しすぎる気も……って、そんなことはどうでもいい。

 関西出身でもないのに関西弁でツッコミを入れてしまったのも、どうでもいい。

 問題は、どうやら結花ちゃんがそのモニタリング系AVの出演交渉に応じてしまったらしい、ということだ。

「あ、あの、結花ちゃん、これ、ヤバいやつなんじゃないの……?」

 俺は周囲を警戒しつつ、やんわりと結花ちゃんを問いただした。いくら一回限りの素人モノといっても、学生の身でAV出演はハイリスクすぎる。

 声をひそめた俺につられたのか、結花ちゃんも声のトーンを落とす。

「わかってる……。だから、顔は映さないでください、ってお願いしたの。そうしたら、お風呂の中の映像は撮ってないから安心していいんだって」

 いや、絶対に嘘だろ、それ。

 向こうはAVとして発売するつもりなんだから、肝心かなめのお風呂場を撮影しないなんてありえない。壁か天井か、あるいは裏返しに置かれた桶の下か……どこかに小型カメラが仕込まれているはずだ。

(……いや、全然わからんぞ、これ……)

 怪しそうなところにひととおり目を凝らしてみたが、カメラらしきものはひとつも見つけられなかった。よほど巧妙に隠しているのだろうか……。

 さすがはプロの犯行、と感心するところでもないのだろうけど。

 俺はカメラの捜索をあきらめ、結花ちゃんに目を戻す。彼女のほうはミッションが書かれた紙と俺の顔を不安げに見くらべるだけで、スタッフから受けた説明を疑っている様子はみじんもうかがえなかった。インターネットテレビの撮影クルーだなんだと身分まで偽っている連中の口車に、見事なまでに乗せられちゃってるな……。俺は万が一にも仕込みのマイクに声が入らないよう、またも声をひそめた。

「結花ちゃん、その……、いまからでも参加を断れたりしないの?」

 さいわいにしていま浴場にいるのは俺ひとり。その俺がビビッてこの場から逃げ出す演技でもすれば、すでに撮られた映像も使いものにならなくなってお蔵入りにされるのでは? そう考えたのだ。

 しかし結花ちゃんは俺の提案に表情を曇らせた。

「え、どうだろう……? 出演料ってことで、前金を貰っちゃってるし……」

 俺はおもわず天を仰いだ。貰っちゃってたかー、前金……。

 こうなると根が真面目な彼女のこと、せめてミッションにチャレンジする姿勢だけでも見せないと、スタッフに申し訳がたたないとか思っているんだろう。

 スタッフが結花ちゃんの性格まで見抜いて声をかけたとも思えないが、結果的にすべてが向こうの都合のいいように運んでしまっている。

(宿の人にいいつけようにも、こんな撮影を黙認している以上、きっと彼らもスタッフに協力してるんだろうしな……)

 人のよさそうなご主人と女将さんの顔を思い出すとにわかには信じがたいが、新型感染症やらなにやらもあり、地方の観光業もいろいろ苦しいと聞く。AVの撮影に場所を貸してすこしでも経営の足しに……と考えたとしても安易に彼らを責められまい。

 とはいえ、宿側もグルとなると、いよいよ進退窮まった感もある。どうしたものかと途方にくれていると、結花ちゃんが「あっ、でもね」といって俺に口を寄せてきた。

「じつは、もしお風呂に入ってるのが慎也君ひとりじゃなかったら、いったん出直そうかなって思ってたの」

「え?」

 話が見えずに俺は目を丸くする。

結花ちゃんは内緒話でも始めるかのように口元を手で隠して俺に顔を近づけた。

「ほら、いろいろしてるところをみんなに見られるのは、恥ずかしいでしょ? でも相手が慎也君ひとりなら、やってみてもいいかなって……」

 結花ちゃんはちょっと頬を赤らめながら、上目遣いに俺をうかがった。

「えっ、それって……」

 おもいがけない彼女の告白に、俺は息を呑んだ。

 考えてみれば、今日のスパーリングで倒れた俺を介抱し、宿まで付き添ってくれたのも彼女だ。当然、この時間、男湯にいるのが俺ひとりである可能性が高いことも、彼女はわかっていたはず。だからこそタオル一枚で男湯に入る覚悟を決めたというのである。

 どんなかたちであれ、憧れの女子マネージャーに頼ってもらえるなんて……。俺はなんというか誇らしくなって、身バレしたらどうしようなどというケチな防衛機制など瞬時に消し飛んでしまった。覚悟を決めて結花ちゃんを見返す。

「わ、わかった。俺でよければ、その……付きあうよ」

「慎也君……!」

救いの神でも見るかのような結花ちゃんの潤んだまなざしが俺の自尊心をくすぐりまくる。

 映像がAVとして発売されれば部員どころか世界中の人に見られる可能性があるわけだが、そんなことはもうどうだっていい。

 結花ちゃんからの望外の評価に応えるかのように、湯のなかで鳴りを潜めていた逸物も、むくむくと頭を起こしていくのだった。

 

   *

 

 そして結花ちゃんによるチンポ洗いミッションは、ついにその幕を切って落とされた。

「じゃあ……向こうに座ってくれるかな?」

「う、うん」

 結花ちゃんにうながされ、俺は湯船を出て洗い場へ移動した。ボディソープも使ってちゃんと体を洗うので、お湯に浸かったままでは支障があるらしい。

 壁沿いに並んだ鏡を横に見る格好で木製の風呂椅子に座る。自分のタオルは近くにあった湯桶のなかにとりあえずつっこんでおく。そうして俺の態勢が整うと、結花ちゃんが背後からゆっくりと近づいてきた。

「あの……恥ずかしいから、こっちを見ないでね」

「わ、わかった」

 そうはいったものの、すぐ横に大きめの鏡があるから、背後にいる結花ちゃんの様子をひそかに観察することができたりもする。結花ちゃんはその場で床にひざまずくと、胸元を隠していたタオルをとって、そっと足元に置いた。

(お、おおっ!)

 鏡越しではあるが何にも隠されていない乳房をついに視認し、俺は興奮に生唾を呑んだ。結花ちゃんのふたつの膨らみは服の上から想像していたよりもずっと大きく、張りのある肉が脇からわずかにはみ出るくらいだった。薄ピンクの乳首がちょっとだけ上を向いているのも妙に煽情的だ。瑞々しくも艶めかしい乳丘は童貞にとって目の毒で、見ているだけで股間が暴れ出しそうになる。

「えっと……、ちょっと待ってね」

 俺が視姦でひとり昂っているあいだに、結花ちゃんは備えつけのボディソープを手にとっていた。手のひらで入念にソープを泡立てると、背後から声をかけてくる。

「それじゃあ……背中から洗っていくね」

「う、うん」

 緊張で固まった俺の背中に、結花ちゃんはたっぷりの泡をまとった両手をそっと乗せた。それだけでも相当気持ちよくて、俺は反射的に背筋をそらせてしまう。

「は、はうっ」

「あ……、くすぐたかった?」

 俺の反応に驚いたのか、結花ちゃんが手をとめて不安げにたずねてきた。もちろんくすぐったさもあったが、変な声まで出てしまったのはおもにべつの理由からだ。

「う、ううん、大丈夫だけど……、手で直接洗ってくれるんだ?」

「うん……。洗うときはタオルじゃなくて手でしてあげてね、っていわれたから……」

 真面目な彼女はスタッフからのオーダーに律儀に応じるつもりらしい。

 ちなみに結花ちゃんが持っていたタオルはわりと小さめの手ぬぐいサイズのものだった。幅も長さも、いっぱいに広げて胸と股間をギリギリ隠せるか隠せないかといったくらいのサイズ感だ。あれは体を洗うためのタオルじゃなく、本当に男湯に入るためだけに用意されたものだったんだな……。

 周知のとおり、この手の企画では一般的に、体を隠すタオルのサイズが小さければ小さいほど、賞金額が上乗せされる仕組みになっている。今回、何種類のサイズのタオルが用意されているのかは知らないが、手ぬぐいサイズは比較的ハイレベルなほうと考えていいだろう。けっこう攻めたな、結花ちゃん……。それとも、ガーゼみたいなスケスケタイプを選ばなかっただけ、まだ恥じらいが残っていたと見るべきだろうか。

 スタッフの口車に乗っちゃった面もあるのだろうが、結花ちゃんも案外、乗り気だったのかも……。

 あらぬ想像を膨らませる俺をしりめに、結花ちゃんは背中に乗せた手をゆっくりと動かしはじめた。

「背中、大きいね。やっぱり男の子なんだ……」

 妙な感慨をつぶやきながらも、結花ちゃんは円を描くようにしてやさしく背中を撫でまわしてくれた。

「男の子の背中を流してあげるなんて、私、初めてだよ。慎也君はどんな感じ?」

「う、うん。すごく気持ちいいよ」

 俺だって女の子に手で体を洗ってもらうなんてこれが生まれて初めてだ。もちろんさっぱりするような心地よさもあるが、それ以上にドキドキと胸が高鳴った。

 いっぽう結花ちゃんのほうは自分の手技で相手が喜んでくれるのが純粋に嬉しいようだ。

「ホント? よかった。それじゃあ、もっと洗っていくね」

 結花ちゃんはちょっと声をはずませると、俺の背中からいったん手を引き上げた。

 背中に柔らかな感触が当たったのは、その直後だった。

(えっ!)

 俺は驚いてすぐに横目で鏡を確認した。するとどうだろう、丸々と育った胸の膨らみを俺の背中に押し当てる結花ちゃんの姿が、はっきりとそこに映っているではないか。

「ゆ、結花ちゃん! お、おっぱいが……!」

「う、うん……。これもやってあげて、っていわれてて……。重くないかな?」

 体を密着させたことで顔も近づき、耳元でささやかれる格好になっていた。恥じらうような息遣いに耳をくすぐられ、俺はぞくりと身を震わせる。

「お、俺は全然、大丈夫だけど……」

「うまくできてなかったら、教えてね?」

 結花ちゃんは不安げにそう断ると、俺の肩口あたりに手を置いて、背中に押し当てた双乳をゆっくりと上下に滑らせはじめた。

(おっ、おおおっ!)

 マシュマロのように柔らかな弾力がヌルヌルと背中を滑っていた。これは本当に、生まれてこのかた体験したことのない心地よさだった。

 女の子がおっぱいを使って男の体を洗う。一部界隈では「おっぱいスポンジ」とか「泡踊り」などと称される行為だ。正確にはソープランドでマットとローションを使っておこなわれるサービスを指すらしいが、この際、細かい定義論は無視してしまっていいだろう。

 とにかくいま、結花ちゃんがおっぱいをスポンジ代わりにして俺の背中をこすってくれているのだ。

「けっこう難しいね、これ……。ちゃんと綺麗にできてるのかな?」

 真面目に俺の背中を清めようとしているのか、結花ちゃんは泡まみれの乳房を俺の背中に一生懸命こすりつけていた。上下にくわえ左右にも体を動かすものだから、乳首のこりこりした感触まで背中に当たる。市販のスポンジではなかなか味わえない、いいアクセントだ。

「ふっ、くっ……、上手だよ、結花ちゃん……!」

 考えてみれば、背中とはいえ女の子のおっぱいにじかに触れているのだ。その柔らかさと火照った肌の温かさはまさに想像以上。得も言われぬ興奮で、俺の心臓は激しく鼓動を打っていた。

 劣情の血流は当然、下半身にも流れ込む。気づけば股間の逸物は痛いくらいに勃起し、高々と天を突きあげていた。

 男の否応ない変化は、結花ちゃんにも隠しきれなかったのだろう。

「えっと……、そろそろ前のほうも洗わなきゃだよね」

 結花ちゃんは緊張ぎみにそうつぶやくと、興奮で鼻息を荒くする俺からいったん体を離した。

(ま、前も、って……!)

 この先の展開におもわず気持ちが逸り、鏡越しに結花ちゃんの様子を確認してしまう。結花ちゃんはかたわらに置いてあったボディソープのボトルに手をのばし、また丁寧にシャボンをつくっていた。あの泡を使って、いよいよミッションの本丸に切り込むつもりなのだろう。

 だが準備万端整って、俺のほうをちらりとうかがったところで、結花ちゃんの動きがとまる。緊張した表情が鏡越しでも見てとれた。いよいよ男のシンボルをじかに洗うとあって、さすがにためらいが勝っているのだろう。

「ゆ、結花ちゃん……、大丈夫そう?」

「うん、ごめんね……。……よし」

 結花ちゃんは唇を引き締めてうなずくと、ふたたび俺の背中に体を向けた。どうやら覚悟が決まったらしい。

「じゃあ……さわるね?」

 やや硬さのある声音で断ると、結花ちゃんは俺の背中にくっつき、脇から両手を入れてくる。股間に向けて伸ばされた指先が、凝り固まったまま待っていた肉幹にとうとう触れる。

「うっ!」

「い、痛かった?」

 うめき声をあげた俺に驚いたのだろう、結花ちゃんはすぐさま肉棒から指を離した。

 だがもちろん、痛みで声を発したわけでない。まったく逆だ。それは口よりも雄弁な下半身に訊いてみればわかることで、中途半端にお預けをくらった怒張はもっともっととせがむように行儀悪く頭を揺らしていた。

「ご、ごめん、大丈夫だから……。つ、続けて?」

「う、うん」

 結花ちゃんは俺を心配する素振りを見せつつも、暴れまわる肉棒を握りなおした。

「くぅ……ッ!」

 ふたたびの快電流に背筋がしびれ、一瞬だが危うく達しそうにすらなる。とっさに肛門に力を入れてなんとか事なきを得たものの、油断するとあっというまに粗相をしてしまいそうだ。

 手のなかで剛直が脈動したことで、結花ちゃんも俺の窮状をなんとなく察したのだろう。

「そ、それじゃあ、洗っていくね」

 ちょっと焦ったようにいうと、結花ちゃんは泡のついた指で太幹をこすりはじめた。

「お、おふぅ……!」

 ギチギチに固まった肉棒に、ボディソープの白い泡がまぶしつけられていく。洗浄という行為を意識してか、結花ちゃんの手つきはもどかしいくらいにやさしかった。陰毛の生えた根元のあたりを指の腹で磨いたかと思うと、裏筋やカリ首、そして亀頭まで丁寧に指を這わせてくる。

「すごいビンビン……。それに、先っぽから何かおつゆが……」

 どうやら淡い刺激に反応し、鈴口からガマン汁が漏れ出てしまっているようだ。仕方のない生理現象とはいえ、ちょっと恥ずかしい……。

「うう、ごめん……、わざとじゃないんだけど……」

「いいけど……綺麗になってるのかな? ねえ、どうやればいい?」

 こすりあげるたびに尿道から汁をしぼりだしてしまう自分のやりかたにいまいち自信がもてないのか、結花ちゃんは俺にアドバイスを求めてきた。

 俺も初めて女の子から愛撫を受けて早くも意識が朦朧としつつあるのだが……なんとか気力を振り絞って助言をひねりだす。

「い、痛くないからさ、もっとこう……ゴシゴシしてくれていいよ」

「ゴ、ゴシゴシ? ……って、こう?」

 結花ちゃんは律儀に俺の言葉を「洗う」方向にひきつけて解釈したのだと思う。左右の手のひらで肉筒を挟むと、きりもみをするように幹をこすりはじめた。

「くっ⁉ ほおぉぉっ!」

 予想の斜め上をいく強刺激に、俺はおもわず獣の咆哮のような声をあげてしまった。こんなねじられる刺激は、普段のオナニーでも経験したことがない。敏感な亀頭への刺激が少ないぶんすぐにどうこうというわけでないが、それゆえ生殺しのような快楽で延々なぶられる感じがつづくといえばいいだろうか。

 男根のほうも慣れない快感に驚いたのだろう。

「あんっ! おちんちんをあんまり動かさないで……」

「だ、だって……」

 俺自身の名誉のために弁明させてもらうが、べつにイジワルをしようとしてペニスを振っているわけではない。女の子の手による摩擦に海綿体が反応して、勝手に暴れまわっているだけである。

「もう……」

 元気のよすぎる暴れん坊に業を煮やしたのか、結花ちゃんはふたたび肉棒に指を絡めた。左手の親指と人差し指で根元を押さえつつ、右手は亀頭を包み込む感じだ。そうして聴かん棒をがっちり抑え込むと、結花ちゃんは最後の仕上げとばかりに手筒で肉幹をしごきはじめた。

「んんンッ! かはぁっ!」

 慣れ親しんだものでありながらも新鮮な上下運動がきて、俺はたまらず顎を跳ね上げた。快感がすぐさま全身を貫く。肛門を目一杯に締め上げたのは、もはや生理現象に近かった。

「すごい、おちんちん、びくびく震えてる……」

 結花ちゃんがひとりごとを俺の耳元でささやいた。

しかし俺はもう何も答えることができない。

(な、なんだ、これ? 自分でするのと全然違う!)

 いままで何の気なしにやってきた、手でペニスを洗うという行為。しかし自分でするのと女の子にしてもらうとでは、まったく訳が違った。数千倍、いや数万倍は気持ちいいのではなかろうか。ボディソープのおかげで滑りも上々。敏感な粘膜と表皮を指の腹でヌルヌルとなぞられる感触はたまらないものがあった。

「ああっ、ああっ!」

「ん……、全部綺麗にするからね」

 馬鹿みたいにあえぐ俺をなだめるようにささやきかけると、結花ちゃんは左手で玉袋を揉み込んできた。陰部の一部として、そっちも清めようという魂胆なのだろう。

 だが子種の製造工場に催促を求めるかのようなその行為は、俺の射精欲を急速に高める効果を発揮するだけだった。

 決壊は時を待たずして訪れた。

「ああっ! 結花ちゃん、ごめんっ、出る!」

 俺が断末魔の叫びをあげると同時に、白い樹液が一挙に尿道を駆け抜け、猛烈な勢いで鈴口を割った。

「えっ? きゃあっ!」

 ビュッと噴き出した一閃のスペルマは結花ちゃんの指の隙間を鋭くすり抜け、目測で一メートル以上も前方に到達。当然、濃厚な白濁弾は一発ではおさまらず、二発、三発、四発とたて続けに放たれていく。そのたびに全身を駆け抜ける快感は筆舌に尽くしがたいほどすさまじいものだった。

「ぐっ、あ、ああぁ……!」

「やんっ、すごい……!」

 暴発に驚いていったんは手をとめていた結花ちゃんが、射出の終わりかけになってまた軽く肉胴をこすりたてた。しなやかな扶助を受けたペニスはもうひと頑張りを見せ、尿管内の残滓をおまけとばかりにピュッと吐き出す。

 白濁した牡汁はまだすこし鈴口から染み出していたが、とりあえず放出はおさまったようだ。

「はぁ、はぁ……ご、ごめん。我慢できなくて、出ちゃって……」

 謝罪の言葉を口に出した途端、倦怠感がどっと押し寄せてきた。心臓はスパーリング直後のようにばくばくと跳ね、頭も湯だったように熱くなっている。油断するとそのまま意識を失ってしまいそうな気さえした。

「気にしないでいいけど……、でも、すごいたくさん……」

 結花ちゃんは肉棒からそっと手を離すと、俺の前方の床に目を向けた。

「あ……」

 目の前に広がっていた惨状を見て俺も愕然とする。濡れたタイルの上に、ザーメンがアメーバのように広がっていたのだ。水に浮かんでいるせいで、ただでさえ大量のザーメンがよけいにかさを増しているように見える。

 射精までするつもりはなかったといえば嘘になるが、チンポを洗われただけでここまで大量に精を放つとは思っていなかった。

まあ洗われただけというか、手コキをされたんだけど。

「ホントにすごい……合宿で溜まっちゃってたのかな?」

「そ、そうかも」

 節操もなくぶっ放す姿を見られた恥ずかしさもあったので、結花ちゃんのやさしいフォローにとりあえず乗っかっておいた。もっとも実際には禁欲だけで説明がつく量とも思えない。昨年、同じ四泊五日の合宿から帰ったあとのオナニーでも、これほど大量にイってはいなかったはずだ。やはり結花ちゃんによるチンポ洗いがそれだけ刺激的だったということだろう。

 はからずも抜いてもらって、もちろん俺のほうはスッキリしたのだが……。

「これ、ミッションクリアってことでいいのかな……?」

 タイルにできたザーメンの海を見つめて、結花ちゃんが自信なさげに首をかしげた。

「ミッション」という単語を聴いて、俺も思い出す。

 あやうく忘れかけていたが、そうだった。結花ちゃんは何も伊達や酔狂で俺のチンポを洗っていたわけじゃない。俺たちはチンポ洗いのミッションに挑んでいたのだ。ええっと、なんだっけ? ミッションの内容はたしか、「男子部員のおちんちんを手で洗ってあげる」だったか。

「ま、まあ、俺のほうは綺麗にしてもらったし、クリアってことでいいんじゃないかな?」

いまこの瞬間も撮影スタッフが俺たちをモニタリングして、ミッションの成否を判定している可能性もある。俺はどこにあるかもしれないカメラを意識してわざとらしく声を張った。精液のプールができた床を見てしまうと全体的にはむしろ汚れが増したような気もするが、それこそ溜まっていたものがデトックスされたと考えれば、表面だけでなく内側からもペニスが浄化されたとジャッジすることもできよう。

 それに、暴発こそタオル一枚シリーズの見どころのはず。自慢じゃないがこれだけ派手な射精を披露したからには、あとで文句をいわれる筋合いはあるまい。

「なんていうか……おめでとう? これで賞金を貰えるんだよね?」

「うん、そうなんだけど、でも……」

 見事にミッションを成功させ、喜んでいいはずの結花ちゃんは、しかしなぜかまだ何かいいたげに俺をうかがってきた。

「え? な、なに?」

「うん、あのね……」

 訝しげに眉をひそめた俺をしりめに、結花ちゃんは足元に置いていたタオルを拾い上げた。そしてタオルの下から細長く切られた防水紙を取り出す。ミッションが書かれた用紙だ。

 でも、ミッションはもう終わったはず。いまさら何を……と思ったが、違う。よく見ると、チンポ洗いのミッションが書かれた紙のうしろに、もう一枚、同じような用紙が重なっていた。

 こ、これは、まさか……!

「うん、じつは、こういうミッションもあって……」

 はたして結花ちゃんが遠慮がちに見せてきた二枚目の用紙には、「男子部員の大事な部分に口だけで輪投げをする」という、次なるミッションが記されていた。

 

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