相棒の放浪騎士:氷と炎のパコられふたりたび 作:ハンノーナシ
番外です、数話先のネタバレを含むかもしれないし、とりあえず現行の奴を読んでから読んだ方が良いぜ!!!
あとエロシーンないから興味ない人は特に読まなくてもいいぜ!!!!
二人の過去と嘘とか本来の実力とかのお話があります
いいかい、そのキャラの本来の力が強ければ強いほど……無様系統に堕ちた時に興奮が増すんだ
いいか、読者のすけ達 アレンとケイシーが強くなる程無様になった時の一つ一つの尊厳破壊が輝くんだ
番外の回想:氷雪卿と炎絶卿
──一年前
「もう、辞めてくれ……!お願いだ、もう侵攻は行わん、だから……!」
「……投獄される前に言葉はそれで良いか」
王都の『白光騎士団』は侵略を行う敵国の軍勢を軽く蹴散らし、王を玉座から下ろす。
白光騎士団、序列二位『氷雪卿』は敵国の王に剣を向けていた。
構えられた二つの剣を縦横無尽に振るい、敵軍の騎士を切り裂き続け……最後には王座に手を届かせた。
彼女が歩く度、地面には霜柱が立ち……辺りの空気が冷たく、薄くなっていく。
しかし彼女は、人を殺める事はしない。
凍てつく氷の様な薄い感情の膜の中には、慈悲が秘められていた。
「こんな国に仕えるなら、儂に仕えろ!名誉と富を与えてやるぞ……!」
「……必要が無い」
氷雪卿は敵国の王に背を向け、歩み出す。
王都の騎士達が敵国の王を捕らえて手柄を手に入れようと躍起になり、何人もの騎士が王に向かっていく。
氷雪卿はその人混みの中を何事にも動じていないかのように歩いていた。
───────
「氷雪卿さん、見事な活躍でしたね〜♡大人の年齢とはいえ、最年少とは思えないですよ〜♡」
「序列二位だが、戦闘力は一位……雷槍卿とも引けを取らんな」
「……褒められるのには、慣れていない……」
王都の王城に戻った氷雪卿を出迎えたのは、『恍惚卿』と『烈水卿』だった。
氷雪卿は人間関係を築こうとはしなかったが、その実力で次第に周りに人が集まる事になっていた。
王城の中を歩きながら、三人は氷雪卿に質問攻めを繰り返していた。
どうすれば強くなれるのか、普段はどんな特訓をしているのか。
氷雪卿はそれに答える事はなかったが……都度、恥ずかしそうな咳払いを零していた。
恍惚卿と烈水卿は呼び出しを受け、氷雪卿から離れて行く。
そして氷雪卿は部屋に戻ると、相棒であり……唯一の幼馴染である『炎絶卿』に甲冑を取り笑みを見せる。
「君はここに来てから本当に人気者だね……私も誇らしい限りだよ、うんうん……」
「ここに来てから、認識阻害魔法を使っているせいで……お前以外に素顔を見せることは出来ないがな……お前こそ、いつも訓練場で騎士達から教えを乞われているじゃないか……」
「たまたま教えるのが上手いだけだよ、君もコツを掴んだらすぐ私みたいに騎士の人気者になれるよ!」
「お前の……八方美人の人柄のお陰だろう……」
二人は子供の頃から常に二人で居た。
どんな時も、どんな日も共に。
そして実力も拮抗し合い、終いには王都の騎士団の序列上位へと成り上がった。
二人は子供の頃から常に剣を振るった。
他の同性の子供達がおままごとで遊んでいる時も、それ相応の教育を受けている時も……常に剣を振るっていた。
共に高め合い、精進し合う二人には……常に明るい未来が待っていた。
成長した二人は王都に向かい、一介の騎士見習いとして戦場に出ると『敗北』を知らなかった。
どんな魔法も剣で切り伏せ、氷雪卿は全てを凍り付かせる様な止まぬ吹雪の様な氷の剣戟と実力で全てを圧倒した。
炎絶卿は剣を振るう度に業火を呼び起こし……その重厚な一撃は辺りを燃やし尽くし、万物を圧倒した。
その後も一度と敗北する事は無く、何もかもを凌駕して行った。
そんな所を白光騎士団の序列8位、『山嶺卿』に見出され……二人は白光騎士団の序列9、10位として名声を得た。
そんな二人の明るい未来は、突如として……暗雲に包まれた。
─────
「おい、聞いたかよ……氷雪卿が白光騎士団を脱退するってさ……」
「脱退っていうか、除名だったっけ?何したんだろ……」
噂話が王城の騎士の中で木霊する。
氷雪卿は……あらぬ疑いをかけられ、除名される事になった。
それは『謀反』であった。
白光騎士団の全員がその疑いについて否定したが……王が断固として除名を進めていた。
疑わしい者は罰せよ、とも言わんばかりに。
王は一時は投獄さえ視野に入れていた様だった。
氷雪卿はその除名について何も言わず、王城を去ることにした様だった。
最も除名に反対したのは……やはり、炎絶卿であった。
「なんで君がこんな目に合わなくちゃ行けないんだ……!!私が直談判して来る、氷雪卿……君はここで待っていて良いからね……」
「もう、良い……炎絶卿。私は……従うのみだ」
「盲目的に従っちゃ、悪い結果を産むだけだよ……!自分の意思を確かに貫いて欲しいんだ、氷雪卿……!」
『幸い、私の顔は市民達にはバレていない……元騎士としての肩書きは持って行こう……そうだな、無愛想で除名されたとでも言っておく……』
「なら……私も騎士団から抜けよう、氷雪卿。君がいない場所なんてつまらない、私達は一蓮托生だって……昔に約束しただろう?」
「……無理する事は無いが、お前は一度言ったら聞かんからな……」
氷雪卿は呆れた様な顔で、炎絶卿を見つめていた。
荷物を詰め、騎士団の仲間達と挨拶さえ交わせず……二人は王城を飛び出した。
氷雪卿と炎絶卿という名前を捨て、本来の名前に戻る時だと。
『……ケイシー、って呼ぶのも……久しぶりだね』
「そうだな……アレン。……職探しでもするか。騎士崩れに紹介する仕事は無いと思うがな」
「なら……冒険者、とか良いんじゃない?身分とか関係ないし、誰でもなれるし!それに……私と君の力なら、良い所まで行けるんじゃない?」
「……いや、この力は……封印する」
ケイシーがそう言うと、アレンは驚きで『えっ?』と言う声を出していた。
いつも通りのすんとした真顔でそう言い放つのだから怖い物である。
「然るべき時が来たら、解放するだけだ。ただ、今は……平穏で平凡な冒険者として、経験を積んでみたい……私達は、あまりに世間知らず過ぎる」
「確かに……そうかもね。なら、よし……私も封印するよ!まずは能力封じの魔法と威圧感とかオーラの封じ方を覚えないと……」
「……遠い道のりになりそうだな……」
2人はそう言いながら、夜の王都を歩いて行く。
これから先に待つ二人の物語は、遠い道のりだろう。