相棒の放浪騎士:氷と炎のパコられふたりたび 作:ハンノーナシ
許してくれよな!!!!!
旅の始まりか……。……何故、お前が?
ネルソンの奉仕活動から二日程が経過し。
三人は旅の身支度を終え、家を出る事にしたようだった。
戸締りを確認し……荷物を確認。
完璧な体勢が整い、ようやくスタート地点に立った。
「……それにしても、行く場所は決めたが……」
「君の心配はわかるよ、行く宛てが色々ある旅だから指標が無いって思ってるんだろう?」
「行く宛てがない旅にこそ、真の感動があると山嶺卿は常々言うておったな……彼奴の意思を継いでやろう」
三人は王都を歩きながら、王都の出入口へと向かう。
朝ごはんを食べ忘れていたのを唐突に思い出し、時折菓子を買い……屋台で軽く立ち食いをしたり。
小腹を満たし、満足気に進む。
「……まずは、最寄りの街に向かうぞ。確か、名前は……」
「ハルム町、最近やっと再興が進んだ街じゃ。昔、大火事が起きての」
「……あはは、よりによってそこかぁ……」
その町の名前を聞いた瞬間、アレンが気まずそうな顔を見せる。
アレンの顔と、町の名前を聞いた瞬間にケイシーは思い出した。
そこがアレンの地元であり……アレンが邪教に囚われていた場所であると。
「……寄らない方が良いだろう」
「……!いやいや!気遣いは良いよ、ケイシー。私だって、過去はもう克服したんだ……あの『声』も聞こえなくなったし……」
アレンには昔からのとある現象……幻聴があった。
自らの声に良く似た何かが自分に悪意ある囁きをしてくるのだと。
アレンに抑圧されていた感情を吐露する事を最優先にさせようと、そして人間への底知れぬ悪意を彷彿とさせていた、とアレンは語っていた。
「貴様が昔から言うておった声とやらか。会議中でも急に頭を抑え始めて驚いた物よ」
「今は大丈夫なんだ!ケイシーと一緒に力を封印してから、聞こえなくなったし……うん、大丈夫」
ケイシーとメギラスを安心させようとそう言うアレンだったが……その声には自己暗示も兼ねているように見える。
王都の出入口付近でそんな話をしていると……突然、背後から呼びかける声がする。
ケイシーの声色に良く似ていて……しかし、少し幼い印象があった。
「ケイシー姉さ〜ん、お〜い……!やっと見つけたよ〜……はぁ〜……」
とてとてと走ってくる人影が見えると、ケイシーはその人影に近寄っていく。
アレンとメギラスがなんだなんだと駆け寄ると……その人影は、ケイシーに良く似ているが雰囲気は少し違う……女の子?がいた。
「……ケイド、何故お前が?」
「父さんが不機嫌だから家出してたの〜……それとついでに、ケイシー姉さんを探してた〜……」
「家出、無謀な事を……」
どうやら二人は見た目の通り知り合いの様で、仲良さげに話していた。
メギラスとアレンは二人に近寄ると、事情を聞く。
「ケイシー、この子は?」
「ケイド……私の……」
「妹かの?」
「……弟だって〜、もう。この見た目やんなっちゃうな〜……」
……どう見ても、可愛らしい少女にしか見えない。
外見的にはかなり女の子らしいが、どうやら少年の様らしい。
「かわいいね……♡」
アレンのネルソンの頃から少し出ていた、子供好きの気が発動した。
ケイドはその目線を感じて鳥肌を立てていた。
「……え、何?ゾワッてしたんだけど〜……ケイシー姉さん、この黒髪の人何とかしてよ〜……」
「アレンは小さい子が可愛がり的な方面で好きなんだ、諦めろ……」
ケイドは自らがここにいる経緯を話す。
しばらく家出して、安寧の地を求め旅をしていたと。
そして旅をして散々な目に会いまくり……嫌になって実家に帰ろうとしたら、たまたま3人に出会ったらしい。
「それで〜……まぁ、姉さんが居たら父さんを説得して欲しい、とか思ってたんだけど〜、今帰ったらきっとカンカンだから辞めといた方が良いね〜……」
ケイドはしょんぼりした表情で両手の指先をつんつんと当てている。
ケイシーは何かを考えている様で、結論が出たようだった。
「怒られに帰るくらいなら……私達と一緒に来るか?」
「え、良いのかな〜?なになに?仕事でも行ってるの〜?」
「これから私達は、旅に出る……見識を深める為にな」
ケイシーは真面目に語っているが……アレンはケイドに近付き、人差し指で頬っぺたをむにむにと突っついていた。
「ケイドくん、ほっぺたぷにぷにだね……♡」
「だからこのアレンって人怖いって〜……!」
「そろそろ辞めんか、嫌がっておる……」
ケイシーはアレンを冷ややかな目で見ながら、話を続ける。
「旅に戻るのは嫌かもしれないが……私達がいれば守ってやれるはずだ」
「確かに姉さんが居たら百人力だけどさ〜……う〜ん、行く場所も無いし、どうせなら着いて行こうかな〜?」
ケイドは三人に着いて行く事を決めたようで、ブーツの先で地面にとんとんと叩く。
アレンはニヤァ……と歓喜の笑みを浮かべていた。
「アレン、お前……そんなキャラだったか……?」
「元々私はこんな感じだよ、うん♡」
「明らかに様子が違うであろう、子供好きも度が過ぎると犯罪となるぞ」
二人は呆れた表情を見せながらアレンを見つめる。
アレンはお構いなくケイドにべたべたと張り付いている。
「うへぇ〜……姉さん、困った時は何とかしてよ〜……?」
「アレンの扱いには慣れている……初めて見たが、こんな姿は……」
ケイシーは困惑した表情でアレンを引き剥がす。
アレンはニヤニヤしすぎてふやけた様な表情でケイドに近付こうと手を伸ばしていた。
「流石に時間をかけすぎじゃ……そろそろ馬車が来る、出発しなければ……」
「ほら、行くぞ……ケイド、アレン、アレク」
「は〜い」
「私はケイドくんの隣の席がいいな……うん……♡」
しばらくして馬車が来ると、四人は馬車に乗り込む。
重量オーバー気味なのか、軋む音がしたが。
デカすぎる女性3人と小さめの男の子一人では……流石にキャパオーバー気味である。
「それで、何処行くの〜?目的地とかはある?」
「まずは最寄りの町の宿屋に入る……そこから旅を開始する」
「憂鬱な気分と楽しい気分が混ざって複雑だな〜……」
「貴様の感情は揺れ動きすぎて我にも把握しきれん……」
四人は馬車に乗りながら、ぽつぽつと話を始める。
ケイシーはケイドが経験した一人旅を聞く事にしたようだった。
「ケイド、お前はどんな旅をしたんだ……?散々、とは言っていたが……」
「……話さなきゃダメかな〜……?まぁ、聞きたいならいいけど……」
ケイドは今まで経験した旅の初めを語る。
まずは地図を間違え、森で迷い、水汲みをしていたらゴブリンに襲われ……まぁ、すったもんだの末……更には女性型のスライム娘に襲われ。
ケイシーはそこを聞いた時点で胃もたれしたのか話の休憩を要求していた。
アレンはケイドを眺め続けていた。こわい。
メギラスは腕を組みながら睡眠の体勢を取っていた。
そうやってゆっくりと馬車は進み……ハルム町へと辿り着く。
馬車から降り、町を見る。
レンガ造りが基本の構造であろう事がすぐに把握出来る。
もう二度と起こしたくない火事の対策だろうか。
「……随分、変わったね」
「昔の出来事は聞かないが……火事を対策する為のレンガ造りだろうな」
「でも陽気な雰囲気だし、中々良い町じゃな〜い?」
「邪神崇拝の宗教が昔あったらしいがの……今は消えた様じゃが」
三人は町を歩きながら、辺りを見渡す。
工事や建設が盛んに行われており、町中には人々が活気ある笑顔で歩いている。
しかし、その人混みの中に……アレンとケイシーは何かを見つけた様だった。
……二人が見つけた、何かとは。
「あれは……幻覚か何かか……?」
「やっぱり……君にも見えてる?」
二人の目線の先には……感情を失った顔でこちらを見つめている、幼少期のアレンの姿があった。
アレン:ショタコンでありロリコンの人 過去が重いぞ!