相棒の放浪騎士:氷と炎のパコられふたりたび 作:ハンノーナシ
「ここ、だよね〜……うん、聞いた情報だと間違いない……」
ケイドは森には似つかわしくない地下へと続く白い階段を下っていく。
その先に姉と姉の仲間はいるのだろうか……不安が過ぎる。
しかし、そんな思考に囚われていては一人前になるには程遠い。
そんな考えを渦巻かせ、ケイドは意を決して勢いよく階段を降りていく。
そんな時だった。
「荒唐無稽……無知の領域に単独で乗り込むなど、阿呆のする事だ」
黒い髪に緑色のインナーカラーを携え、黒い鎧を着込んだ騎士らしき女性。
ケイドの肩に手を置くと、先に階段を降り始めた。
ケイドは突然の乱入者に困惑し……少し背を追う。
「君は誰〜……?」
「私はレイン・バーモット。潰れた騎士団、白光騎士団元序列四位。そして今の身分は……遺物捜索者。過去の産物を悪用されない様に管理、保管する組織に所属している」
……なんだか小難しい言葉ばかり並べ立てられ、ケイドはよくわかりはしなかった。
けれど、未知の場所に飛び立つ時に人がいてくれる方が遥かにマシだ。
「ここにいる……ミルカーズ、だったか。奴らが遺物を悪用している疑惑があってな。立ち入り調査だ」
「……僕も行くよ。姉さん達が危険な目に会ってるかもだからね〜」
「まぁ、私には関係ない。貴公が何処に行こうが、勝手だ」
関係ない、という言葉で立ち入りを見過ごしてくれたようだった。
ケイドはレインの背に着いていくと、中は白色に統一された小綺麗な部屋ばかり。
中に入って歩を進めると、遠くから機械の作動音と嬌声が聞こえ始めた。
「この先に人の気配を感じる。気配も何も、この哀れな嬌声で分かり切った事だがな」
「遺物って、姉さんでも抑えきれない部分がある程に危険なものだから……もし、姉さんに悪用されていたとしたら、危険かもね〜……」
二人は機会の作動音が鳴り響く部屋に辿り着く。
戸を開けると、そこには……無数の女性達が搾乳器に囚われていた。
「……無惨だな」
「非人道的って言うか〜……?……喜んでる顔をしてる人も多いみたいだけど〜……絶対本心じゃないよね〜……」
ケイドは辺りを見渡すと……そこには。
いつもの四人が搾乳器に繋がれた無惨な姿があった。
「……雷槍卿?何故……」
「と、とりあえず助けないと〜……!」
「……無駄な檻だ」
レインは檻をねじ曲げると、メギラスの元に近付く。
そして身体をくまなく調べると札を発見し、少し雑に剥がす。
そして搾乳器の線を叩き切ると……メギラスを解放する。
「隣の奴らは貴公のお仲間か?」
「……貴様は、魔軍卿?」
「そんな無様な格好をして……力も大半を失っているのか?貴公が何故こんな場所に居る」
メギラスは魔法か何かで自らの服をいつも通りのドレスに戻すと……咳払いをして少し説明をしだした。
隣の『炎絶卿』『氷雪卿』と仲間として力を封じ旅をしていたこと。
ここのミルカーズ退治の依頼を受け、まんまと遺物の力に嵌められた事。
「まぁ、この程度が一番単刀直入で実直な説明であろうな」
「そうか、この者があの二人か……いつも鎧を被っていたからか、素顔を見る事は無かったな」
ケイドはその二人を尻目にケイシー、そしてアレンとヴィズの札を引っぺがし、搾乳器を外す。
三人の頬をぺしぺしと叩き、起き上がるのを待っていた……その時。
「な、な、な!なんでゲスか!お前らは!」
「……貴様らの仲間には随分と手を焼かれたのう。──裁きを受けよ」
「ひ、ひえーーーっ!!!ボスは出払ってるでゲス……ここは支部、潰れてもなんの未練もないでゲス!逃げるが勝ちでゲス〜!!」
下っ端の男は無駄に早い逃げ足でそそくさとその場から立ち去った。
その他のミルカーズ組織員達も出払っているようで……何とも不思議なタイミングでの救出となった。
「……ケ、イド……?」
「姉さん、やっと起きた〜……!さっさと逃げようよ〜……!」
「ケイドくん……助けに、来てくれたんだね〜……」
「ケイドくん、焦ってる顔もかわいーね……♡」
「そんな余裕ないから〜!!」
ケイドは両手をブンブンと振り、三人を急かす。
メギラスとレインはそんな四人のいざこざの内に、囚われていた娘達を救出したようだった。
「全く……力を封じるなんて賭け、よくする物だ……」
「久々に強者との戦いを感じてみたい、という名目で力を封じたが……苦難の方が多いよの」
六人の大所帯では、バレるのも時間の問題だろう。
急いで階段を駆け上がり、その場から立ち去る。
──────
「レインさん、色々ありが……もう居ない〜……?!」
「彼奴は影のように消えるからのう……まぁ、またいずれ礼を言える時が来るじゃろうて」
「ケイドく〜ん♡感謝のハグからのキス……」
「『氷烈……」
「アレン!辞めといた方が良いかも〜!」
五人は和気藹々と、一段落した様だった。
何事もなく終わったのが奇跡だろう。
しかし、問題なのは遺物であろう札がまだ残っている事。
そして、あの下っ端の男が漏らした支部と言う発言。
ミルカーズとの因縁はまだ続くだろう。
「はぁ……どっと疲れたよ〜……」
「まだ、乳房が痛いな……」
「そう!ほんっとに痛い!アタシの胸をどんな勢いで吸えばこんな赤い跡が着くのって〜……」
四人は散々な目に会った事にこりごりな様だが、依頼は成功という事になるだろう。
「それで、依頼の報酬を誰に貰えば良いのじゃ?」
「あっ」
「あっ……?」
暫しの沈黙が流れる。
「ただ聞いた話だから正式な依頼じゃなかったや!てへぺ」
「『氷砕・拳』」
「ぷぎゅっ!!!!!」
ヴィズの邪神の面影は、もう何処にもない。
アレンは冷や汗をかきながらヴィズをおんぶして宿屋に戻る事になった。
しかし、ケイシー……そしてその他の三人。
その合計四人の子宮の中で、生命の鼓動が始まった事を誰も覚えていない。
【ケイシー・アレン・ヴィズ・メギラス】
【状態異常:着床】を体得しました。
──────
「それで、明日はまたここから出てくんでしょ〜……?」
「あぁ……そして、ここから南東の洞窟に行く」
「洞窟……嫌な記憶ばっかりだね」
八割、ゴブリンである。
「その洞窟は、入る度に姿を変える……『魔巣迷宮』と呼ばれている」
魔巣迷宮。
とある古の時代からあると言われているダンジョン。
冒険者達はその場所に遺物や過去の金銀財宝を夢見て侵入したが……散々な結果に終わったのが大半という謎の洞窟。
「随分と危険な場所じゃん?どうして急にそんな所行くの?」
「最近、その場所に探索隊が組まれてな……その探索隊が行方不明になったという話だ。表層で呆気なく見つければ何の苦労も無しに大量の金貨が入ってくる」
「つまり、運任せの依頼ってことね〜」
「言い方は悪いが、そうなるな」
「我らの力の封印を解く準備は怠らない方が良いであろうな……良いか、我らは失敗しても良い身じゃ、自分の安全を最優先で行動するのじゃぞ」
メギラスがそう言うと全員がコクッと頭を下げ、同意の素振りを見せた。
ケイドは相変わらず不安そうだったが……ケイシーの本来の力を思い出し、不安を打ち消したようだった。
そして、五人は眠りに落ちる。
明日……その洞窟で、様々な古代の遺物に翻弄され、潜む魔物達に犯され、嬲られ。
命の危険を感じる事無く……貞操の危険『エロトラップ』に苛まれる事になるとは、予想だにもしていなかった。
エロトラップダンジョンの展開で欲しいやつ、感想とかメッセージで募集してます。