相棒の放浪騎士:氷と炎のパコられふたりたび 作:ハンノーナシ
投稿だぁっ
次の章では、バニーガール、風俗、スラム街。
全部、やる。
魔王はこほん、と咳払いすると……もう一度口を開く。
「そ、そうだ……吾輩の事を見逃してくれたら、あ、あれだ……世界をもう一度掌握した時に、世界の半分を……」
「要らない」
「ほぇっ?!」
魔王は涎を垂らして食いつくと思っていたのか、あまりの衝撃にケイシーを二度見する。
なんと言うか、魔王としては短絡的過ぎる。
ケイシー一行は溜息を吐くと、もう一度剣を握る。
「待て!!!!許してくれぇ……わ、吾輩はまだ生きたいのだ……」
「生き延びる事をそこまで望むとはの……魔王も見下げた物よ」
「堪忍してって〜……ここまで僕らを酷い目に遭わせたんだから〜……!」
魔王は半泣きになりながら、ぺこぺこと頭を下げる。
ケイシーは少し考え込むと……思い付いた事があった様だ。
「……なら、次の依頼の手伝いをしろ」
「そ、それで生かしてくれるのか?!な、なんと……貴様は吾輩がもう一度力を取り戻した時、片腕として迎え入れようではないか……」
「……」
ケイシーは呆れて物も言えないようだ。
魔王は意図を汲んだのか、外に繋がるテレポーターを繋げる。
「こ、これで外に出られるぞっ!さ、ささ……早く早く……」
「はぁ……やっと出られるんだね、私達……」
「アタシはマシでよかったかも〜……」
五人と小さな魔王はテレポーターの中に入ると、洞窟の入口へと転送される。
見慣れた景色と空気に、心が落ち着く。
「それにしても……僕って、いつ戻れるのかな〜……」
「中にいる神とやらはうんともすんとも言わぬのじゃろう?なら、待つしかあるまい」
ケイドはメギラスにそう言われ、しょんぼりした様に肩をすくめる。
しかし、ケイシーには一つ……心残りがあった。
「そう言えば、本来の目的の探索隊はどうした」
「そ、そいつらは……支援してくれた者に対価として探索隊の女を引き渡し、男はさっさと帰したぞ……?」
「その、支援者は誰だ?」
魔王は記憶の奥底から記憶を引きずり出す様に、頭を抱える。
目がぐるぐると回転している……思い出しにくい様だ。
「……思い出したぞ!!!ケイシーとアレンと言う奴だ!!」
「……はあ?」
「私とケイシー?」
二人は困惑で顔を見合わせ、首を傾げる。
残りの三人も意味がわからなかったのか……魔王の頭をつんつんと突いていた。
「ほ、本当だぞ!な、なにやら異世界から来たとか言っておったが……合っている筈だ!」
「……はぁ、ややこしくなって来たな……またいつか、詳しく聞く。その間までしっかりと覚えていろ」
ケイシーは今聞いても整理が出来ないと結論付け、王都へと戻って行く。
そして、しばらくして……ケイシーとアレンの仮住まい。
──────
「なんだか、久しぶりに帰ってきた気がするね!そういえば、旅してたのにどうして急に帰ってきたの?」
「……それは、この依頼に関連する」
ケイシーは依頼掲示板から引っぺがしてきた一枚の依頼を取り出す。
内容と言うと……『王都西部の都市ケリュディの土地を譲ります!都市開発を進めて欲しいです!』という……元ケリュディの土地主からの依頼であった。
「ケリュディって、あれ?半分スラム街になってるって言う……」
「昔、行った事があるが……凄惨な有様であったな」
「その土地主がこの現状に痺れを切らして逃亡した。そして、この依頼が一枚貼られてあった」
「てことは、この依頼……冒険者に責任投げて、自分は楽したいって魂胆だよね……」
アレンがそう言うと、ケイシーは黙って頷く。
しかし……依頼を受けた謝礼金は多大なる物であった。
ある程度、都市開発を進められる程の代金ではある。
この依頼主もケリュディを自らの力では何とか出来ないと悟り……やる気ある若者に譲り、未来を作ってもらおうという意思はあるのだろう。
「最近、王都では性犯罪が増加しているのは知っているな」
「急に?!ま、まぁそうだね……セクハラとか、ナンパとか……所構わずやってるもんね。私達もよく盗賊とかゴロツキのナンパに絡まれるし……」
「そこで、だ。私は思いついた……その性犯罪の起因。それは、王都にそう言った欲求を正当に発散出来る場所がロクにないという事が起因だろう」
メギラスはその言葉を聞くと、一理ある……と言わんばかりに大きく頷く。
「王都はクリーンなイメージを作ろうと、王が土地の権利を持つ場所は比較的住宅街や商店街等を作っているが……まぁ、言うなれば性的欲求の発散には微塵も役に経つ訳は無い」
「私達が結構前に行ったエステ店も、そういう事を隠れてひっそりと……いや、クーポンは配ってたけど……大っぴらに性的欲求を発散出来る場所ってそうそう無いよね……」
ケイシーは目を開き、机に手を置く。
そして全員に目配せすると口を開く。
「そこで、正当に発散が可能な所謂……『アンダーグラウンド』な『夜の街』と言う物を……未来の事を考えるのなら、作るべきではないか。私はそう考えていた。このままでは、王都は治安の悪化を経路を辿るだろう」
「それで、僕達で街を作るって事?!さ、流石に無理だよ……」
「いや、実現可能だ……あれ程、王都に似た広大な空間を作り出せる、魔王がここにいるのだからな」
「……ん?吾輩?!」
しょんぼりとして空気だった魔王に、突然白羽の矢が立つ。
全員の視線が魔王に向くと魔王はキョドキョドとし始めた。
「確かに、吾輩は城や建築物は作れるが……一から作った経験はないぞ?何か、実物の建物や設計図に似た、建物の構造がパッと見でわかる物がないと……」
ケイシーはその発言を聞いた瞬間、本棚から薄い本を何冊も取り出す。
「外観なら……ある。王都で流行っている『薄い本』とやらの、風俗しちゅ……?という物を買い漁ってきた。精巧に建物の外見を書いている物等をな」
「……凄い遠回りだね、ケイシー……普通に、漫画とかで……」
「漫画は……買うのが、恥ずかしかった……」
「薄い本は恥ずかしくないのかい?!!!」
アレンのツッコミを他所に、ケイシーは魔王に薄い本を押し付ける。
「とりあえず、だ。まずは予定地に行くぞ……依頼主とは話をもう付けてある」
「動きが早いねぇ、前の休日の時、確かに居ないと思った……」
アレンは汗をかきながら、外に出ていくケイシーに着いて行く。
一行も更にアレンの背中を追って王都に出る。
王都に出ると……魔王の見た目は随分と視線を呼んでいた。
「……本の素人が書いた建築物なんぞで、本当に作れるのかの……」
「……ダンジョンにいた時に見た王都の建築物は、時折構造が破綻していた。見よう見まねで作った物もあった様だ」
「な、何故わかる?!」
「私の……観察眼を舐めないでくれ」
「それで、もしも柱や内部の構造が破綻していても……男の人が妄想する物ピッタシの『お店』が作れたら、需要も刺激も満たせるって考え?」
ケイシーは黙って頷く。
ケイシーなりにしばらく考えた故の結論であろう。
これが、ケイシーなりの王都の治安改善方法なのだろうか……。
「うぅん……吾輩の負担が重いぞ……」
「あんな恥ずかしい目に合わせたんだから、これくらいしてよ〜……」
「うぐっ、それを突かれるとなんとも言えん……」
一行は三人に分け馬車に乗り、王都の西部へと旅立って行く。
今度の五人と負担の重い一人の依頼は。
街づくり、の様だ。
アレン「魔王がいなかったらどうするつもりだったの……?」
ケイシー「……気合いがあれば、なんとかなると説得するつもりだった」
アレン「王都建国230年程度のノリやめようよ」