相棒の放浪騎士:氷と炎のパコられふたりたび 作:ハンノーナシ
諸々の騒動から、一ヶ月の時が経ち。
先生の業務もあらかた学び終えたケイシー達は、今日も生徒達に剣技を教える毎日を送っていた。
……まぁ、時折欲求不満の対処もしていたが。
そんな時、ひょんな事から。
メニアの騎士団の客が、バリア機械の修理にやってくる事になった。
「ヤァヤァ、どうもネ……」
目を糸の様に細めた桃色髪の女性は、体育館裏と試合場のバリア機械の点検にやってきたようだ。
……どうやら、ケイシー達に伝えたい事もある様で。
ケイシー達を見るや否や、ゴマをする様に手を揉みながらやってくる。
「こんにちワ、メニアの騎士団『観測者の騎士団』からやって来ましタ、第三陣隊長……セーニャと申しまス」
へらへらと笑いながら、ご挨拶……と言わんばかりに、演劇の終劇の幕間の様に、帽子を手に大きく華麗に頭を下げる。
ケイシーはその様子を見て、不審がりながらも……話を聞く事にした様だ。
「……本題は、何だ?」
「おっト、せっかちサンですネェ……マ、良いでショウ。それでは、早速……」
コホン、と咳き込むと。
胸に手を置きながら、セーニャと名乗る女性は淡々と喋り始めた。
「この学園に現れた来訪者を招き入れたポータルは、私達が管轄している遺物による物……メニアの国の管轄の物の筈ガ、何者かに使われていたのデス」
「……メニアの国の中に、悪趣味な犯人がいると?」
「そういうコトですネ、話が早くて助かりまスゥ。……という事で、冒険者であり元ではありますガ、手練の最強格の騎士である貴方方にしか頼めない依頼デス、どうか……受けては頂けませンカ?」
……ケイシーは僅かな沈黙の後『受けよう』と答える。
「マ、依頼内容を言われないと分かりませんヨネ。簡単に言えば……観測者の騎士団の騎士として、一定期間働き……家も与えるとのお達しデス。メニアの国を探訪し、観光しても宜しいでショウ」
うんうん、と頷きながらセーニャは話を続ける。
「成功した暁には、一生遊んで暮らせる程の賃金と、我が国の国家機密であり門外不出である機械やテクノロジーの秘密をお教えしまショウ。貴方方が作っていらっしゃる街の発展に役立てて貰ッテ。そして……」
「……働いて、どうする」
「……我が騎士団の裏切り者を、発見して欲しいのデス」
細い目を妖艶に光らせながら、セーニャはそう語る。
ケイシーは安請け合いしてしまった物の……その甘い誘惑を断る事は出来ない。
「マ、失敗しても構いまセン。観光しにいらっしゃるだけでも……王はそれだけで嬉しいとおっしゃって居ましたノデ」
軽々しくそう言うと、セーニャは後ろを向いて手を振る。
「マ、受けてくださるという事で……馬車を手配しておきまシタ。あと……ポケットに、メニア国の通行許可証を突っ込んで起きましたノデ。それでハ〜」
ケイシーは『いつの間に……』と言わんばかりに、ポケットをまさぐる。
そこには、五人分の顔写真も既に印刷された水色の通行証。
そして……凄く小さい小型カメラの様な物が忍ばされていた。
──────……
「ケイシー、行くべき場所があるんだろう?」
職員室で業務を行っていたケイシーに、ミリスはそう語りかける。
ケイシーは黙って頷くと……ミリスは笑いながら、窓を向く。
「この一ヶ月で、騎士の卵達は大幅な成長と意思改善を見せた。……もう、ケイシー達のお目付けは不要だ……好きな所に行っておいで」
「……本当に、人手は足りているのか?」
「はは……それがね、卒業後にケイシー達に憧れてここの教師志望になってくれた子が何人かいるんだ。だから……問題は無いと思う」
ケイシーはそう言われ、大きく頭を下げると……急いでこの件を仲間に伝えに行く。
どうせ、三人と一人はまだ未練がましく残らせろと言うだろうが。
……新たな旅路は、未来の為に必要だ。
──────……
翌日、早朝。
ケイシー達の乗る馬車が学校前に既に手配されていた。
「ケイシー、本当に行くのかい?……しばらく滞在したい気持ちもあったけど……」
「まだ、あやつの面倒を見切っておらんと言うに……」
「……あの子達は、強い。だから、大丈夫だ……デュリアも、風邪を引いているらしくてな……別れも、告げられなかった」
ケイシー達は生徒には告げず、こっそりと学校を離れる事にした。
後処理はミリスが全部する!と意気込んでいたが……本当に大丈夫だろうか。
「……楽しかったな〜、学園生活〜……」
「でも、アタシに剣はやっぱ合わないや!やっぱり拳でしょ!へへ……」
ヴィズとケイドは感慨深い様子で思い出に浸っていた。
二人と三人は馬車に乗り込むと……馬が嘶き、馬車が動く。
目標はメニア国の国境まで。
大陸間は通行証が無いと通れず……噂では、国境を超えた瞬間に、国境を遮るバリアを通ると大きな国が作り上げられているらしい。
──────……
……数十時間後。
全員がすぅすぅと寝息を立てていた頃……馬車が止まる。
国境にどうやら辿り着いた様だ。
アレンは辿り着く前に、セーニャから貰ったパンフレットを読み込んでいた様で……ある程度はメニア国の知識を着けたようだった。
「このバリアは完全に外見を見るのを阻害してるけど、それは入った瞬間の感動を増幅させる目的もあるんだってさ!」
「ふむ……通行証は持っておろうな」
「勿論〜……さ、入ろっか〜……」
五人がバリアに触れると、そこには。
水色の液晶が中に何個も浮き、表示され。
路面電車は線路を介さず中に浮き走り。
塔の様に上に長い施設に取り付けられた大きなモニターにはピンク髪の少女が漫画の宣伝をして。
地面は水色の所謂、サイバーな雰囲気で染まり……見た事もない信号は音を鳴らしながら。
車という機械が道を何個も走っていた。
広大な最新鋭が、目の前に現れ……ケイシーは思わず『ぽか〜ん』と口を開く。
すると、ケイシーのポケットに入っていた小型カメラが宙に浮き……ケイシー達を写し始めた。
『旅行者・来訪者観測配信、開始します』
その弟と同時に、少し水色にケイシー達が写る液晶画面の横に『Comment』という欄が表示され。
凄い勢いで文字が流れ始めた。
──────
Comment
『旅行者とか珍し〜』
『おっぱいでっか』
『メニアにようこそ〜!!!』
『レーニン様を崇めよ』
『レーニン様を崇めよ』
『荒らしも湧いてます』
『メギラス様じゃん!!!!』
──────
ケイシー達は頭に『?』が浮かんだ状態で……その液晶を覗き見る。
唯一この現象を知っているアレンは、冷静に語る。
「この国は、他人の生活とかゲームとかを配信で見るのが流行りなんだって。『観測者』って言うのが多いみたい。それで、観光客とかはメニアの観光の様子を……なんだったっけ?観測者達が『初見の反応』ってのを楽しみにしてるから、小型カメラで様子を配信するのが義務化されてるみたい」
「……?」
説明を聞いても、ケイシー達はよくわからなかった様だ。
アレンは『あはは……』と言った顔で頬をかく。
コメントは絶え間なく流れ続け……ケイシーは目をぐるぐると回していた。
メギラスも同様で、頭の上に『?』が浮かんでいた。
「……本当に『?』が浮かんでな〜い……?」
「これは、36ページ目……『感情表現プログラム『Y-XIII』という物があり、この国の来訪者や住民は怒りや悲しみ等の……『感情』を得る度に怒りのマークや涙のマーク等の絵文字や顔文字が適切な箇所に効果音とともにプログラムで表示される』……だってさ」
……ヴィズも同様に頭に『?』を浮かばせていた。
このパーティ……最新鋭に弱い奴らが多すぎる。
メニア初っ端は?(各々別れて仕事をする想定)
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