これは敗北の証明である。
私の前任者達である『ゲマトリア』の敗北証明。そして、それと同時に、新たに発足した次世代の『ゲマトリア』による存在証明。
彼等は何を違え、舞台から姿を消したのか。謀略も策略もなく、あるのは偶然か必然か。あるいは、一人の男に執着したが為の破滅か、その答えを知る者は誰もいない。
ならばこそ、証明せねばならない。かつてのゲマトリアが崩壊した理由を。そして、その元凶となる人物への報復を。証明し、示さねばならない。それが、新たに発足した『ゲマトリア』の存在意義なのだから。
シャーレの先生。
彼の敗北を以って、ゲマトリアは証明する。そこに真意はなくとも、求める心が存在するが故に、人はあらゆる悪となり得る。人類の悲哀を体現する私は『人』の業を体現する。
故に私は止まらない。ゲマトリアは止まらない。
シャーレの先生よ、舞台の幕を開こうじゃないか。
これは敗北の証明である。
敗北へと至る為の証明である。
舞台を整えよう。私と貴方の証明の開幕にふさわしい場を仕立てるとしよう。
その舞台が破綻したモノだとしても。
その舞台が貴方にとっての悲劇だとしても。
貴方の悲劇によって、私は証明される。貴方の絶望により、私の世界は証明される。
さあ、開幕の時間だ。喜劇が始まるぞ、先生。悲劇が始まるぞ、先生。最も喜劇らしい悲哀の世界の幕開けだ。
カーテンコールは必要ない。
ただ舞台の幕が下りるまでステージの上で踊り続けよう。
それが、私の存在意義なのだから。
『ゲマトリア』は静かに舞台に上がる。それは破滅への旅路。道化たる私は先導者として踊り続ける。哀れな愚者に明日も知らぬ悲劇の戯曲を奏で続けよう。
愚かなる人よ、我が傀儡なれ。自我も意識もない走狗よ、我が言葉に従い夢に溺れろ。
物語の敵役たる黒幕の配下が如く、私は喝采を持って貴方を歓迎しよう。さぁ、先生が私の存在を示す刻はすぐそこまで来た。最初で最期の恍惚の時。
ごきげんよう、シャーレの先生。
そして、ごきげんよう。
風紀を正す美しき翼の君。
敗者に相応しき舞台の幕開けである。
―登場人物―
・コンコース
新たにゲマトリアを発足した人物。
先駆者達の敗北を証明し、そして次世代たる自分達の存在を証明する為に、ゲマトリア解散の元凶となった先生に報復という名の証明をすべく暗躍する。
尚、先生をターゲットにした理由というのが、黒服達が先生の事を評価していた事もあり、自身も先生に興味をもった為。
研究・芸術・文学など、各々のスタンスがあった中、彼は自らの行為を証明と表現している。
しかし、証明と表現していながら、その根本は結果ありきの証明であり、その過程は度外視している。
彼がコンコース故に。