コンコースがヒナに提示した条件は以下の通りである。
ヒナの全てを捧げる事…これは、ヒナがこれまで積み重ねてきた全てを失う事を意味する。そして、その代償として、先生の命を保証する。つまり、ヒナはこれから何が起きても、それを甘んじて受け入れるしかない。
身も心も、そして尊厳すらも失う。所謂等価交換というものだろう。一人の命を救う為に一人の命を捧げる。それがコンコースが提示した条件であった。
そしてもう一つ。それはヒナの肉体を先生と同様の外の人間に近付けるという条件だ。
その過程でヒナの肉体は大きく変化する事となる。これまでヒナが持っていた強さは失われ、その代わりに弱体化した肉体を持つ事となる。
ヒナの肉体は、これまで培ってきた力は失われる。その変わりに、痛みを感じやすくなる。
これまで銃弾を受けようとも、キヴォトスの生徒としての力によって銃弾を弾き返す程度には、頑丈な身体を持っていたヒナであったが、これからはそれすらも叶わなくなる。
先生と変わらぬ身体。先生を同じ立場に立つという事は、先生と同等の痛みを味わう事になる。
自ら力を失い、脆弱な身体になる。
これから何をされるのかは分からない。だが、様々な責め苦を受ける事は間違いないだろう。
その過程で、ヒナは己の全てを失っていく事になる。
だが、それでもヒナは耐える覚悟を決めた。
先生を助ける為ならばどんな責め苦も耐え抜く。そして、必ず先生を助けると決意したのであった。
そして、最後の条件。
コンコースとの交渉…契約内容を先生に伝えないこと。これが最後の条件である。
先生に伝える事で、先生が責任を感じてしまう事を危惧したヒナは、それを承諾した。
ヒナが受けた責め苦は先生には関係ない。これはヒナ自身が選び取った道であり、ヒナが受け入れた結果である。先生に責任を負わせるわけにはいかない。だからこそ、ヒナはコンコースとの契約内容を黙秘する事を貫くのであった。
去り際に、コンコースから告げられた言葉、責め苦を受けた後、少しの間だけ先生と会話する事を許された。その時に、先生からヒナに対して何らかのアクションがあるのではないかと推測しつつも、もしも先生にバレそうになれば嘘を吐けば良いと考えていた。
そして、コンコースがヒナのもとを離れて数時間が経過した。
カーテンの向こう側。厚いガラスに遮られた先にいる先生は依然眠ったままである。
恐らく睡眠薬を投与され、決まった時間に目を覚ますような措置が施されているのだろう。それ故に、先生が目を覚ます時間帯はコンコースも熟知していた。
ヒナはその時間まで、先生を眺めつつ待つのだった。
時間の感覚が永遠のように感じる。だが、それでもヒナは待ち続けた。そしてついに、ガラスの向こうにあるベッドで寝ていた先生が起き上がるのが見える。
良かった。無事に目を覚ました。そして、先生は周りを見渡しながら状況を把握しようとしているのか、室内の様子を確認しているのがわかる。
ふと、ヒナと先生の目が合う。
「――! ――――!」
先生が声を上げる。ガラス越しで声は届かないが慌てているのが分かる。突然囚われの身となり、目覚めたら此処に居た。そんな状況に戸惑うのは当然だろう。そして、自分が拘束されていないことに安堵しつつも、ガラス越しにいるヒナへと近付こうとしてくるのが分かる。そんな先生に対し、ヒナは安堵の表情を浮かべつつ、こちらも先生のもとに近付く。そして、先生に手を伸ばす。
ガラス越しに掌が合わさる。触れられない壁が憎らしい。けれど、お互いの手が繋がっていると思える安心感があった。
口元が動く。先生はヒナに何か伝えようとしているのかもしれない。しかし、声は聞こえない。その代わり、唇の形から読み取る事はできる。とはいえ、ヒナも完璧ではないため多少誤認はあるだろうが、おおよそこんなところであろうかと考えた。
『ヒナ、大丈夫?』
不安そうな眼差しを向けながら、優しい声音でそう尋ねているのであろう。
ヒナもそれに答えようと口をパクパクさせるが、やはり声は届かない。
『私は無事よ。先生こそ大丈夫?』
ジェスチャーも添えて伝える。先生はホッと胸を撫でおろすと同時に困ったように苦笑した。おそらくヒナの方が心配だったのかもしれない。
『ここから出ることは出来るかな?』
『どうやら鍵がかかっているみたい。あと、私の銃も奪われちゃってるから役に立てなくてごめんなさい』
先生の問いかけにヒナは答える。すると先生は申し訳なさそうに謝罪した。
『私のせいだよね。本当にごめん』
そんなことないと伝えたくても、ヒナには言葉が出せない。悔しさがこみ上げてくる。この時ばかりは声が出ないことが恨めしく思えるほどであった。
そんなやりとりをしている内にヒナが閉じ込められた部屋の扉が音を立てて開き始める。そして、部屋に入出した人物に意識を向けると、そこには研究所にいた傭兵の姿があった。
傭兵、それも、ヒナが引き金を引いた際に身体に風穴を開けて倒れた傭兵と変わらぬ風貌。
恐らく、先生の顔と声色をした傭兵だろう。
ユスティナ聖徒会の姿を模した誘拐された生徒達もそうだが、先生の姿を模した傭兵をよこすなど、完全に挑発行為である。そして、その行為を行う理由について考えれば、ある程度の事は想像がつく。
ユスティナ聖徒会の件は誘拐した生徒達の情報を基に作られた存在。クローンの可能性がある。
クローン技術についての知識は浅いが、コンコースは人間のクローンを大量に生産し、使い潰す程の余裕を持っているのだろう。ヒナが引き金を引いた個体は既に死亡し、替えの効く存在である為、再登場させてきた可能性が高い。
となれば、必然的にこれからヒナに起こりうる展開は予想できてしまっていた。
先生がこの光景を目撃すればどれほど心を痛めるだろうか。それだけではない。トラウマになりかねない凄惨な現場を見せつけられれば精神的ダメージは計り知れないものになるはずだ。
唯一の救いは、傭兵の素顔がフルフェイスで隠れている事だろう。
先生は傭兵の姿を知らない。それを知るのはヒナだけである。
その事に、ヒナは安堵した。
きっとこれから起こる事はそういう事なのだ。
先生の姿を模した傭兵に嬲り者にされる。コンコースの言っていた責め苦とはこういう事なのだろう。そう理解しつつもヒナは先生を安心させるために口角を吊り上げる。安心してほしい。大丈夫だから。そう願いを込めて微笑むと先生は不安そうな顔をした。
それと同時に、部屋の天井からコンコースの声が流れる。
『初めまして、シャーレの先生。そしてゲヘナ学園の空崎 ヒナさん。私はコンコース。新たにゲマトリアを発足した者です』
コンコースはカメラを通して二人に向けて話しかけているのだろう。そしてその姿は見えない。
ただ、スピーカーを通した機械的な音声のみが響いているのだ。
『本来であれば私自らお話するのが礼儀なのでしょうが、今現在、色々と準備があるので代わりにお話し致します』
先生は困惑した表情を浮かべながらヒナを見る。一方ヒナは目を細めて警戒するように睨みつけていた。
そんな二人の様子を見透かしているかのように、コンコースは話を進めていく。
『これからささやかなゲームを始めます。ゲヘナで最強と称された空崎 ヒナと私が雇った傭兵の一騎打ち。敗者には恐ろしい罰ゲーム……とてもシンプルな内容です』
そこで一旦区切ると、コンコースは愉しそうにくすくすと笑った。続いて言葉を紡ぐ。
『もちろんこれは命令です。拒否権はありません。もし途中で逃げたりすれば、大切な人が苦しむことになるでしょう。どうぞお忘れなく』
その発言により緊張感が高まっていく。特にヒナにとっては他人事ではないのだから。
傭兵との一騎打ち。八百長にもほどがある。それどころか、そもそもヒナが勝てるはずがない。
傭兵がどれほどの実力を有しているかは定かではないが、今のヒナの身体能力は外の世界基準なのだから。
『さぁ、存分に楽しみましょう』
コンコースの宣言とともに戦闘が始まる。
その瞬間、傭兵は迷うことなくヒナに向かって突進していく。
速い。普通の人間ならば避けられる速度ではなかった。
ヒナも例外ではなく、回避することが不可能だと悟った。普段の自分なら躱すどころか攻撃を受けようとものともしないだろう。しかし、今のヒナには不可能だった。
「っ……!!」
衝撃とともに吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。肺の中の酸素を全て吐き出すかのような激痛が襲ってくる。視界が点滅し、平衡感覚が狂う。意識を失わないことが精一杯だった。
痛い。肋骨が折れたかもしれない。呼吸をするだけで全身が軋む。
その痛みの情報量は異常だ。
先生とほぼ同じ肉体になってしまった弊害だ。ヒナがこれまで培ってきた耐久性が著しく低下したことにより、些細なことで身体に深刻なダメージを与えるようになっているのだろう。しかしそれはあくまでもそう『認識』しているだけであり、肉体そのものは傷一つ負っていないのだ。
(……痛い)
それでも歯を食いしばり立ち上がる。ここで諦めるわけにはいかないからだ。
「……!」
だが、身体を支えることは困難を極めたようで、両膝を地に付き俯いたまま震えている。
先生が焦燥の表情を浮かべ、必死にガラスを叩く姿がチラっと横目に入る。先生なりに訴えかけてくれているのだろう。だがその叫びは、分厚いガラスによって阻まれヒナの耳には入らない。その姿を見てヒナは少しだけ気持ちが楽になる。自分のことは案じてくれる相手がすぐ傍にいることを実感できているからだろうか?
それはわからない。だが少なくとも恐怖心を抱くことはなかった。
一方で傭兵は容赦なくヒナに襲い掛かる。
ガラ空きとなった腹部に膝蹴りを入れ、身体がくの字に曲がったヒナの後頭部に肘打ちを喰らわせる。
脳が揺さぶられる感覚。クラクラする頭の中で呻くヒナのことなど気にせず、倒れたヒナの角を鷲掴みにして無理矢理立たせた後、追撃の如くボディーブローが炸裂した。
「ぐぅ……あっ! かはっ!!」
胃液が喉を逆流するような嘔吐感に苛まれ、そのまま咳込みながら震える膝をなんとか抑え込む。
息を整えようとしてもなかなか落ち着かず、肩で大きく上下させる羽目になった。汗なのか唾液なのかよくわからないものが顎先を滴っていく感触だけは鮮明に覚えている。
意識朦朧といった状態でいると更なる追い討ちが来る。
鼻先に迫る拳が目前に現れた。反応すら叶わず正面から受けてしまう。
「ぶふっ!」
視界の端で自分の鼻から赤いものが噴き出す光景がスローモーションのように捉える。更に拳が何度も顔面に叩き込まれると、視界が真っ赤に染まっていき、意識が途切れかけたところで今度は横っ面へ強打を喰らった。
強制的に意識を戻されるも、既に満身創痍の状態。
角を離されると同時に、膝から崩れ落ち、そのまま床に座り込む。
「はぁ……っ、はぁー……」
荒い呼吸を繰り返しながら、なんとか起き上がろうとするものの力が入らない。
たった数発殴られてここまで憔悴している自分が情けない。しかし今のヒナにはどうすることも出来ないのだ。ここで勝敗が決まりかねないのは理解しているが、どうすることもできない。
(立たなきゃ…立って…先生を安心…)
次の瞬間、ヒナの首に傭兵の腕が回され、万力の如き力で締め付ける。
「がっ!?」
目を見開きながらも首に食い込む腕を引き剥がそうと試みるもビクともしない。
「ぐっ、あっ……!」
呼吸ができない。酸素を取り込もうとしても上手くいかず、次第に意識が遠退いていくのを感じる。薄れゆく意識の中、足元が濡れている事に気付く。それが自分の股下を濡らした液体である事を認識した瞬間、ようやく自分が失禁している事に気付いた。
力なく溢れ出る小水が下着のクロッチを汚していく感覚に不快感を覚えるも、どうすることも出来ない。そして遂に意識が途絶えてしまったヒナは意識を取り戻すことがないまま傭兵の腕の中で脱力する事になったのだった。
『気を失ったようですね』
そんな言葉が部屋に響く。コンコースの声だ。
『まだまだ序盤。続きをお見せしましょう』
傭兵は首を絞めていた手を緩め、項垂れるヒナの髪を引っ張るように持ち上げる。そして、ガラスで遮られた先生の前までヒナを引きずり連れて行く。
「っ……」
掠れた声が漏れ出るものの焦点の定まらぬ虚ろな瞳からは涙が零れ続けており、悲壮感を漂わせていた。その様相はあまりに痛々しいものであった。
傭兵は片手でヒナの髪を掴んで頭部を固定すると、そのままヒナの顔面をガラスに叩き付けた。鈍い音が鳴り響き、それでもガラスは罅一つ入る事はない。傭兵は二度、三度と同じ事を繰り返す。
「が……っひゅ……ぅ……」
額が割れ血が流れだし、鼻腔や口腔からも出血する始末だ。それでも尚止めるつもりはないらしく四度五度と続行された挙句六回目に及ぼうとした時点で漸く止められた。
ヒナが意識を取り戻したのだ。そして、自身が先生と向かい合う形で、傭兵に囚われている事実に気付く。
ガラスで身体を挟まれ、顔が接触する寸前まで密接している。
意識が混濁する中で、先生の顔が目の前にあるのに触れることができないのが歯痒くて仕方なかった。しかしそれでもなお必死になって呼び掛けた。
「せん……せ……」
そうか、こういう形で失う事になるのか。
これから先生の姿を模した傭兵に陵辱されることになる。その想像だけで吐き気を催してしまうが、これは必要な試練なのだと思う他ない。
ヒナが耐えることで、先生が助かる可能性が上がるのだから。その為にはどんな屈辱だって受け入れるつもりだった。
(……だけど)
やはり、耐え難い現実だ。初めてを好きな人に捧げるというのは女の子の憧れではないだろうか。
相手が好きであってもなくても、初めての相手というのは特別なものだろう。だからこそ、先生の前で初めてを失う事実に耐えきれなくなってしまう。嫌悪感や羞恥心によるストレスによって精神が削られていきそうだと思ったくらいだ。
ヒナは視線を彷徨わせ、ギュッと目を瞑る。そして、
(……先生、ごめんなさい)
心の中で詫びた。その直後に傭兵はヒナの下着を乱暴に破り捨て、晒し出された秘所へ己の男根を擦り合わせ始めた。
その光景に、先生は顔を青ざめさせる。眼前で行われている暴力の嵐は最も忌避すべき事象だ。
大声をあげるも、防音設備がしっかり働いているせいで全く通じていなかった。
傭兵が腰を押し付け、ペニスが膣口に宛がわれる。ヒナは怯えるように体を縮ませ、硬く閉じた瞼を更に強く伏せる事しか出来なかった。
そして、穢れを知らぬ花弁が押し広げられるように侵入する熱塊の感触が走る。
「~~~ッ!?」
ミリミリと肉壁を引き裂かれ、乙女の象徴である貞操帯の純潔膜を突き破られ、圧倒的な質量の物体を捻じ込まれる衝撃。未成熟な膣は限界を超えようとしていた。
鋭い痛みが迸り、ヒナは弓なりに跳ね上がり、奥深くまで貫かれる感覚に嗚咽を漏らす。痛みによって意識を取り戻したものの、その刺激は脳に直接叩き込まれた爆弾に匹敵しており、思考すら正常に行えないレベルに陥っていた。
結合部分からは鮮血が流れ、白磁のような肌とのコントラストを作り上げる。その血液は潤滑油となり抽送運動を行える環境が形成されていた。
(痛い……痛い……痛い……痛い……っ!)
ピストン運動が始まると肉棒が出入りするたび激しい摩擦が生まれ、裂けた粘膜を更に抉るように動き回る。激痛が倍増し、堪らず甲高い絶叫を上げた。
先生は目の前の惨劇から目を逸らせずにいた。生徒が凌辱されゆく様を凝視しながら呆然としてしまう程のショックを受けていたのだから無理もないだろう。
傭兵の剛直が収まり切る。一番深い箇所に到達した途端勢いよく引き抜き、再度突き刺した刹那、再びヒナの苦鳴があがった。
膣内の壁は侵入を阻もうと抵抗するが、太すぎる凶器は簡単に突破してしまう。寧ろその抵抗すらも傭兵にとっては快楽に変わる要素となっていった。
「ひっ……ぎぃ……いっ! ……あ゛あ゛あ゛っ!!」
ヒナの顔は悲愴に歪んでいる。ガラスに押さえつけられているせいで苦しみ喘ぐ彼女の口元には泡立った涎が滲んでいた。拷問めいた性交により性感帯を蹂躙されるも悦びなんて一切感じていないのである。まさに生き地獄と言って差し支えなかろう。
またも引き摺り出され、思い切り穿たれた。蜜壺全体を使って愛撫することで硬度を取り戻させると、より加速していく速度と共に子宮口までノックしてしまったようだ。
「あぐぅッ!!」
仰け反って痙攣を繰り返す姿は痛々しい。そしてヒナは激痛と精神的疲労によるダメージが蓄積し過ぎた影響でとうとう精神的な柱が脆くなり始める。
(やだ……いやだ……先生……助けて……)
助けを求めたところで無駄だということくらい解っていても本能的に求めてしまう人間の哀愁な性なのかもしれない。
「せん……せ…ッ! 先生ッ!!」
泣きじゃくりながら呼ぶ名前は誰よりも尊敬し、好意を寄せていた大人へ縋る声色そのものであった。
「ぐぅうっ!! がっ……っ! ぁ……ぁっ」
傭兵はヒナを押さえ込んだまま腰を振るい続け、射精欲求を募らせると同時に限界を迎えていた。
そして、それを先生に見せつけるようにヒナの胎内で欲望を爆発させるのだった。
熱い奔流が注ぎ込まれる熱に驚愕し、反射的に括約筋が縮小するが遅すぎたようだった。
どくん、どくんという脈拍に併せて灼熱感のある種汁が放出され続ける。その勢いは衰える兆候など微塵もなく延々続く。
「ひ……ぁ…っ」
ヒナの小さな腹の中に充填されていく精液が行き場を探すように蠢いている。
その感覚すらも不快指数を最高値へ導いてしまいそうで気が狂ってしまいそうだった。
子宮内に収まりきらなかった液体は出口を探して逆流し、栓となっている肉杭を隙間から漏れ出てくる程膨れ上がって零れ落ちていく。
やがて長い時間をかけてようやく終わると同時、グポッと湿っぽい音を立てて陰茎を抜き去った。
「ひっ……く……っ、ひっ……っ」
ヒナは放心状態となりながら嗚咽を零した。
処女喪失の際よりも遥かに甚大な被害を被った気がする。未熟な少女にとって余りにも辛く残酷な仕打ちだったのだ。
まだ鮮烈な痛みが残り続ける下半身を触るとヌルリとした粘着質の液体で覆われており、指についたソレを見ると血が纏わりつき、独特の臭気が漂ってきた。それを嗅いだだけで嘔吐感が込み上げてきてたまらなくなったものの飲み込んで我慢しなければいけないと思うもどうしても抑えきれずしゃっくりに似たような動作を繰り返してしまうぐらい辛かったのであった。
『お疲れさまです。今回のゲームは以上にて終了させて頂きます』
傭兵が退出し、そのタイミングでコンコースのアナウンスが入る。
先生は呆然とヒナを見つめていたが、徐々に憤怒の念に包まれ始める。拳は震え、噛み締めた奥歯が砕けるのではないかという錯覚すら覚え始める程だ。
それなのに何もできない無力さに嘗て無いほどの絶望感を抱いてしまう。
目の前で大事な生徒が穢される様を見せつけられたにも関わらず、己の力量不足を呪うほかない。
コンコースの嘲るような高笑いが鼓膜を劈くが、それに抗議する術は存在していない。ヒナが座り込んだまま動けずにいるという絶望的な情景しか映し出していないからだ。
『明日以降も新たなゲームを用意しておりますのでお楽しみください。今回は以上となります』
ブツリとマイクが切断される音と同時に照明が落とされ暗闇に沈んだ。
暫く経っても光源が灯ることがなく、どちらも漆黒の中へ没入する他に手段がない。
唯一の希望はヒナの姿がぼんやりと見える事だ。
「……」
ヒナはその場に蹲り震えたままであった。
羞恥心や罪悪感が入り混じり、先生への申し訳なさから顔をあげることができないのだ。
また、明日も同じ事が繰り返されるかも知れない。
今日よりも酷い内容の『ゲーム』を課されるかもしれない。
そうなったら自分はどうなってしまうのだろうかという恐怖心に苛まれる日々がやってくるとしたらとても耐えきれないかもしれなかった。それ以前に既に心が挫けそうになっているのではないかと思える節もあるぐらいだから猶更だろう。
そんな鬱蒼とした雰囲気が辺り一面に蔓延し停滞してしまいそうなところへ一筋の光明が差し込む事態が起きていた。
ガラスの向こうにいる先生が手を伸ばしてきたからである。無論距離的には到底届かない位置関係であった筈だがガラス越しに触れた掌は不思議と温もりが伝わってくるような感覚を得ている。
もしかすると単純に寂しさを埋めるための夢幻なのかもしれない。それでもいい。少しでも先生の温もりを確かめたい一心で右手を重ね合わせてみると確かに暖かな波動が流れてきたので益々確信を持つことができたと言えるはずである。
「……っ」
ヒナもまた左手を伸ばし同じく掌を重ね合わせたところで目尻に溜まった大粒の雫が静かに滑り落ちていくのを感じる。
互いに何一つ声に出すことなく沈黙を貫いたまま、時が過ぎていくのであった。
漸く半分ほど行きました。
まだ半分です。
まだまだ続きます。
コメントなどありましたら励みになります。