ミヤコに憑依していた魂を僕本体に戻し、自分の体を起こす。
目の前には、二人の少女が虚ろな目をして立っている。一人は性器が剥き出しで、もう一人は顔が尿塗れという酷い有様だが、二人とも直立不動で次の命令を待っている。
さて、これからどうしたものだろうか。
この二人には一緒に活動している仲間があともう二人いるらしい。ミヤコの記憶を読む限りこの近くに来てはいないようだが、あまり長時間海の家に滞在していると探しに来る可能性もある。
分魂憑依は万能ではない。何でも思い通りになるような全能感を味わったばかりだが、こうして自分の体に戻ってみると、やはりただの冴えない男の肉体があるだけだ。
この能力は正体を隠匿しているからこそ効果を発揮する。一度種が割れてしまえば、体液の注入という発動条件を満たすのは非常に困難だからな。
つまり、この二人も近い内に元通りにして返さねばならない。だが、せっかく乗っ取った肉体だ。ただ解放するのはもったいない。できれば今後も有効に利用していきたいものだ。
そのためには、親しい人間でさえ異変に気づけないレベルで本人の意識を起こしつつ、僕の命令に服従する人形に仕立て上げる必要がある。
ミヤコの方は僕の意識が入り込み、ミヤコ本人の魂に干渉したので、恐らくこのまま解放しても問題はないだろう。ミヤコ本人の意思を取り戻しつつも、僕への忠誠心を刷り込むことができているはずだ。
しかしサキの方はまだ魂の一部しか入っていない。とはいえ、今のサキに意識を憑依させたいとは到底思えない。自分が命じたこととはいえ、顔から尿を被った少女に意識を移すのはごめんだ。
待てよ。僕自身がやりたくないことは、ミヤコにやらせてしまえばいいんじゃないか?
「……あれ? 私……いつの間に意識が……」
名案を思い立った僕は、すぐさまミヤコの意識を解放する。しかし、僕の魂は依然として彼女の中に入ったまま。彼女の魂をしっかりと蝕んでいる。
「あぁ……何があったかと思えば、ご主人様ですか。私の肉体は既にご主人様のものですから、どうぞご自由にお使いください」
僕が意識を乗っ取り、記憶が断絶している最中のことについても違和感を覚えていない。それどころか当然のこととして受け入れている。やはりミヤコの方はもう問題なさそうだな。
ミヤコの現状について確認した後、僕は彼女に命令を下す。その内容は、隣にいる仲間を、自分と同じ状態にしろというものだ。
「かしこまりました」
ミヤコは一瞬の逡巡もなく、サキを床に押し倒す。
「サキの魂を私と同様に汚染して、本人の意識が戻ってもご主人様に忠実な奴隷であり続けるよう洗脳を施せばいいのですね? お任せください。何をすればいいのかは、私の体が覚えていますから」
そう言うと、ミヤコは寝転がるサキに唇を押し付けた。そして貪るように舌をサキの口内へ突き刺す。その舌からは大量の唾液が流れ込み、サキは大きく体を跳ねさせる。
「ん……⁉ んん……⁉」
「暴れないでください。ぷはっ……まだ準備の段階ですよ?」
ミヤコは左手でサキを抑えつけつつ、右手で彼女の下半身をまさぐる。次第に彼女の股がじわりと湿り出し、頬は赤く染まっていく。
「さて、これくらいで準備はいいですかね」
サキを機械的に発情させたミヤコは、そのままサキに跨った。
「あなたには私の魂を送り込みます。私の魂は既にご主人様に染められていますから、そんな私の魂によって穢されれば、あなたの魂もご主人様のものになるでしょう。そのためにはあなたのおまんこに精液を流し込む必要があるのですが……」
ミヤコは自分の膣に指を突っ込むと、中から半透明な棒状のものを引っ張り出した。どうやらアレは彼女の魂のようだ。分魂憑依を受けたことによって、僕ですらできない芸当ができるようになっているのか。
「さあ、あなたも自我を捨て、ご主人様とひとつになりましょう」
魂で作り上げたペニスが、サキの膣を突き刺す。
その瞬間、サキは跳び上がるようにして意識を取り戻した。
「うわっ……⁉ はっ……な、なんだ……ここは……? ミヤコ……⁉ 一体何を……!」
僕がやったことをミヤコに代行させた場合、やはり分魂憑依の持ち主である僕と比べればレベルが落ちる。だから憑依の最中に相手が意識を取り戻すなんてことも起こり得るようだ。
「あっ……あっあっあっ……私の魂が溶けだす……」
「ミ、ミヤコ! な、何が……一体どうしてこんな……」
「サキ、疑問を持つのはやめなさい。人形はものを考える必要なんてありません。全てをご主人様に委ね、あとは今まで通り、空井サキとしての意識を保っているフリをして日常に戻ればいいんです」
「まっ……ちょっとまっ……!」
「いぐっ! ああ……あっ!」
奇怪な叫び声をあげながら、元気に腰を振っていたミヤコがぐったりと倒れた。それと同時にサキも大きく顔を歪めながら気を失う。
「ん……」
しばらくして、サキが目を覚ます。彼女は自分の手を見つめ、頬や髪をつねった後、上にのしかかっているミヤコをどかして僕の前に立った。
「ご主人様、サキの体に憑依できました。これからサキに私と同じような洗脳を施します」
そう言うと、ミヤコはそこらにあった机に座り、左手で胸を、右手で性器を弄り始める。
「こうやって……んっ……体を乗っ取って操れば……その最中にしたことは本人の魂に刻み込まれます。たとえ意識がなく、記憶には残らなかったとしても、魂は確実に穢れるのです。この自慰行為だって、ご主人様がさきほど教えて下さったものなのでしょう?」
サキに憑依したミヤコがしていることは、ついさっき僕がミヤコに憑依してやったこととほぼ同じだ。彼女は忠実に命令をこなしている。
「所詮操り人形である私には、ご主人様ほどの力はありません……あんっ……ですが、この行為をしばらく続けていれば、いずれはサキの魂も私と同じ状態にできます。それまで少々お待ちを……んっ……」
サキは一心不乱に自慰に励んでいる。その姿は、己の性的欲求を満たしているようには到底見えない。あくまで僕の命令でしていることだからだろう。まるで仕事みたいに淡々とこなしている姿はなんとも間が抜けている。
「お待ちいただいている間、ぜひとも私の体をお使いください。今はこうしてご主人様に従っていますが、時間が経過すれば少しずつ私の自我が戻ってくる可能性もあります。そうならないよう、抜け殻になっている私の体にご主人様の魂を刻み込んでおくのがよろしいかと」
僕が命令すると、空っぽになったミヤコの肉体がむくりと起き上がった。
今、ミヤコの体にミヤコの魂はない。入っているのは僕の魂が僅かだけだ。他に魂がなく、僕だけが体を占有している状態なのだから、本人の意識を眠らせるまでもなく完全な支配下である。今の内に強い忠誠心を植え付けておくのは確かに名案だ。
ミヤコの提案を採用し、僕は抜け殻になったミヤコにペニスをしゃぶらせることにした。
僕は机に座っているだけで、彼女はその横で屈みこみ、餌を貪る動物みたいに男根を咥え込む。手は自分の性器を弄らせて、より体を発情させておく。これまでの経験から、性的興奮を覚えているほど洗脳しやすいことがわかったからだ。
つまり現状、ミヤコの魂はサキの体を弄り、肉体は僕に奉仕していることになる。こうなればもう文字通り、心も体も僕の奴隷だ。この状態を一時間も続けてしまえば、彼女の魂は完全に傀儡となる。それが完了する頃には、サキの洗脳も出来上がっているというわけだ。
たび重なる憑依で疲れていた僕は、そのまま眠ってしまった。それからしばらくして目を覚ますと、外はすっかり暗くなっていたが、それでもまだサキとミヤコは一生懸命に命令を遂行していた。
二人とも汗だくで、顔には疲労も見られる。それでも手は全く止まっていない。もしも僕が何も言わなければ、このまま死ぬまで続けるんじゃないだろうか。
それは流石に困るので、僕は慌ててミヤコに出した命令を解除した。するとサキが立ち上がり、ミヤコにキスをして魂を戻す。ついさっきまで何時間も僕のペニスをしゃぶっていた口に、躊躇なく口づけした彼女は、すぐに自分の体で目を覚ました。
「さて、あとはサキがどうなっているかですね」
無事に洗脳が完了していれば、サキもまた僕の忠実な奴隷となっているはずだ。
今、サキの体には僕の魂が少しだけ入っている。これはミヤコを経由して憑依させたものだ。だからいつでもサキの意識を奪い、傀儡にすることはできる。
しかしそれでは親しい人間のところへ戻した時にボロが出る。必要なのは、本人の意識が戻った上で、僕に従う人形に改造することだ。
僕自身が手を下せばそれが可能なことはミヤコで証明されているが、果たしてミヤコが実行した場合は上手くいくのだろうか。
「ん……」
サキが目を覚まし、怠そうに体を起こす。
「サキ、ここにいるのは誰ですか?」
ミヤコはジッとサキを睨みながらすぐさま質問をした。その返答次第では、僕の身を守れるように臨戦態勢に入っている。
「誰って……ああ、ミヤコに手を出した男だろ? 海岸で倒れてたところをミヤコが助けて、たぶんその時に何かされたんだ」
「ええ、その通りです。では、あなたにとってはどんな方ですか?」
「……たぶん、私も同じことをされたんだろうな。その人は私の主だよ。どんな命令にも従いたい。もう魂がそういう形になってるみたいだ。理屈とか感情とか関係なく、もはやその人に従うことしか考えられない」
「どうやら演技をしているわけではなさそうですね。瞬時に状況を把握し、私たちを騙そうとしているようには到底見えません。ということは、洗脳は成功のようです。サキも無事、あなたの奴隷になりましたよ」
サキとミヤコは横に並び、僕の前で膝をつく。
「さあ、次は何をすればいいですか? ご命令をください」
「私たちは何でもするぞ。差し出せるものは何でも差し出す。それだけが私たちの望みだ」
力強い言葉だが、彼女らの瞳には一切光が無い。空虚だ。そこに自分の意思など存在せず、ただ記憶をもとに本人の意思を再現しているだけの人形と化している。それは目的が無事に達成されたことを意味していた。
こうして僕は、二人の美少女を完全な傀儡とすることに成功した。この二人は僕が憑依などせずとも、自分で考えて僕に尽くしてくれる。今後、さらに別の誰かに憑依する時は大いに役立つことだろう。
となれば、さっそく次の標的を決めねばなるまい。これだけの便利な力があるんだ。好きなだけ支配欲と性欲を満たさせてもらおうじゃないか。