カンスト勇者のやり直しハーレム無双~異世界帰りの俺、今度はアニメの推しヒロイン達を全員幸せにします~ 作:のびすけ。
電撃走る、君との夜
(……なんだ、これ?)
意識が浮上すると同時に、俺の視界に飛び込んできたのは、見慣れない天井……いや、見慣れすぎている天井だった。
昭和の香りがする木目調の天井。安っぽい蛍光灯。間違いなく、友引高校に通う高校生、諸星あたるの部屋だ。
(ってことは……成功したのか?異世界転移が!)
しかも、諸星あたる本人に転生したらしい。
(うん、それならそれで、俺のやることは一つ!)
そう決意を固めた俺の耳に、甘く、そして少し舌足らずな、とびきりキュートな声が響いた。
「ダーリン?どうしたっちゃ?早くこっちに来るっちゃ!」
声の方を向くと、そこには緑色の髪、頭には小さな二本の角、そして虎柄のビキニという、あまりにも刺激的な姿の美少女が、布団の上で頬を膨らませて俺を待っていた。
ラム。鬼族のプリンセスにして、俺――諸星あたるの「最愛の妻」を自称する宇宙人だ。
(うおおおお……!本物のラム……!生ラムだ……!)
アニメや漫画で何度見たか分からない光景。だが、目の前にいる彼女は、画面の向こうの存在とは比べ物にならないほどの生命力と魅力に満ち溢れていた。潤んだ大きな瞳が、不安げに俺を映している。
「ダーリン、本当にどうかしちゃったのかや?いつもなら、ウチより先に布団に入ってるのに」
(……あ、そうか。ここは『夜を二人で!!』のシーンか!)
俺の脳内に、原作の知識が稲妻のように駆け巡る。
これからラムは、俺が一緒に寝てくれないことに痺れを切らして、電撃を放ってくるはずだ。そして原作のあたるは、それを避けるために「耐電スーツ」なる珍妙な発明品を持ち出すのだが……。
(フッ、今の俺にそんなものは必要ない)
転移時に得た俺のステータスには、あらゆる状態異常を無効化するスキルが付与されている。電撃?そんなもの、心地よいマッサージにすらならないだろう。
俺はニヤリと口角を上げると、ラムが待つ布団へと歩み寄った。
「悪い悪い、ラム。ちょっと考え事をしてただけだ」
「考え事?」
「ああ。今夜、どうやってお前を最高に気持ちよくさせてやろうかってな」
「へ……?」
キョトン、と目を丸くするラム。
いつものように逃げ回ったり、悪態をついたりすると思っていたのだろう。
予想外の俺の言葉に、彼女の白い頬がみるみるうちに赤く染まっていく。
「な、ななな、何を言うっちゃ!ダーリンのスケベ!」
照れ隠しなのか、ラムの指先からパチパチと小さな電撃が迸る。
だが、俺は怯まない。むしろ、その反応が愛おしくてたまらなかった。
「スケベで結構。今夜はたっぷり、お前に俺の愛を教えてやるよ」
俺はそう言って、ラムが横たわる布団の中に、ゆっくりと体を滑り込ませた。
すぐ隣に感じる、彼女の柔らかくて温かい肌。甘い香り。
そして、至近距離で見つめてくる、潤んだ瞳。
「ダーリン……?」
戸惑いと、期待と、少しの不安が入り混じった声。
ああ、なんてそそるんだろう。
これから始まる、二人だけの甘い夜。
俺は、この世界で最高のハーレムを築く第一歩を、今、踏み出す。
吐息が触れ合うほどの距離で、俺とラムは見つめ合う。
潤んだ瞳が、不安そうに揺れていた。無理もない。いつもは邪険に突き放してばかりの俺が、自分から布団に入ってきたんだからな。
(混乱させてるよな、やっぱり)
俺は、原作のあたるが決して見せなかったような、とびきり優しい声で囁いた。
「驚かせたか?ラム」
「……ダーリン……」
俺の言葉に、ラムの翠色の瞳が、さらに大きく見開かれる。
彼女の小さな肩が、ピクリと震えたのが分かった。
(今日のダーリン、本当に変だっちゃ……。いつもみたいに怒鳴ったり、突き飛ばしたりしない……。それに、ウチを見る目が……なんだか、すごく……優しい……)
ラムの心の声が、聞こえてくるようだ。
俺はそんな彼女の不安を解きほぐすように、ゆっくりと、本当にゆっくりと手を伸ばした。
「ラム……」
名前を呼ぶと、彼女の肩がまた少し跳ねる。
その反応すら愛おしい。
「少し、寒いな。……だから、ちょっとだけ……。こうしてても、いいか?」
俺は同意を求めるように、ラムの瞳をじっと見つめる。
そして、彼女が小さくこくりと頷いたのを確認してから、その華奢な肩を、壊れ物を扱うようにそっと、本当にそっと引き寄せた。
「……あっ」
腕の中に収まったラムの体は、驚くほど柔らかくて、温かかった。
虎柄ビキニの布地越しに、滑らかな肌の感触が伝わってくる。俺の胸に、彼女の小さな胸の膨らみが、かすかに触れた。
「……ダーリンの匂い……」
腕の中で、ラムがぽつりと呟く。
最初はこわばっていた彼女の体から、少しずつ力が抜けていくのが分かった。俺の胸に、おずおずと顔をうずめてくる。
(ああ、ダメだ……。こんなに優しくされたら、ウチ……どうにかなっちゃいそうだっちゃ……)
トクン、トクン、と、腕に抱いた彼女の鼓動が、俺の心臓と重なり合う。
甘い髪の香り。規則正しい寝息に変わっていく吐息。
俺は愛しさがこみ上げてくるのを感じながら、彼女の背中を優しく、一定のリズムでとんとんと叩き始めた。
「大丈夫だ、ラム。もう、お前を一人にはしないからな」
今夜は、電撃なんていらない。
言葉と、この温もりだけで、俺たちは一つになれる。
腕の中の小さな体を強く抱きしめながら、俺は静かにそう誓った。
腕の中で安心しきったように身を委ねるラムの髪を、俺は指でそっと梳いた。絹のように滑らかで、甘い香りがふわりと鼻腔をくすぐる。愛おしさが、腹の底からこみ上げてくるようだ。
「なあ、ラム…」
俺が囁くと、胸にうずめていた顔がゆっくりと持ち上がる。
不安と期待が入り混じった、潤んだ瞳が俺をまっすぐに捉えた。
「今まで、ずっとお前にひどいことばっかり言ってきたよな。ごめん」
「ダーリン…?」
「でもな、本当は……。ずっと言えなかったけど、俺、お前のことが……本当に好きなんだ。誰よりも」
しん、と部屋が静まり返る。
俺の言葉が、目の前の小さな宇宙人に届くまで、永遠のような時間が流れた気がした。
やがて、ラムの大きな瞳から、ぽろり、と一粒の涙がこぼれ落ちた。
(うそだっちゃ……。いつものダーリンじゃない……。こんなこと、言ってくれるはずないっちゃ……。でも……でも、ダーリンの目は、すごく真剣で……あったかくて……)
「信じられないか?」
俺が苦笑しながら言うと、ラムはぶんぶんと首を横に振る。
そして、しゃくりあげながら、途切れ途切れに言葉を紡いだ。
「しんじ……信じるっちゃ……!ウチのダーリンが、ウチに嘘つくはずないっちゃ!」
ああ、なんて健気で、なんて愛おしいんだろう。
俺は彼女の涙を指で優しく拭ってやると、もう一度、深くその瞳を見つめた。
「ラムは……どうなんだ?俺のこと、どう思ってる?ちゃんと、お前の口から聞きたい」
俺がそう尋ねると、ラムははにかむように頬を赤らめ、そして、この世の何よりも美しい笑顔で、はっきりと答えてくれた。
「ウチは……!ずっと前から、今も、これからも……ダーリンのこと、世界で一番、大好きだっちゃ!」
その言葉が、欲しかった。
俺は込み上げてくる感情を抑えきれず、ラムの頬にそっと手を添える。
「そっか……。嬉しいな」
もう、言葉はいらない。
俺たちの心は、確かに一つになった。