カンスト勇者のやり直しハーレム無双~異世界帰りの俺、今度はアニメの推しヒロイン達を全員幸せにします~ 作:のびすけ。
腕の中で、すぅすぅ…と安心しきった寝息を立てるラム。
その頬には、幸せな涙の跡がうっすらと残っている。
俺の精液で満たされ、心も体も完全に俺だけのものになった彼女の寝顔は、宇宙のどんな星よりも美しく、愛おしかった。
(ああ、良かった。ラムを、ちゃんと幸せにしてあげることができた)
その深い満足感に包まれながら、俺の意識はゆっくりと薄れていく。
ラムの温もり、甘い香り、柔らかな肌の感触が、夢と現実の境界線で溶け合っていく。
さようなら、俺だけのラム。いや、さようならじゃないな。また、いつか。
ーーーーー
次に目を開けた時、俺はいつもの自室の、ゲーミングチェアに深く身を沈めていた。
目の前のディスプレイには、『うる星やつら』の配信サイトのトップページが表示されている。心地よい疲労感と、胸の奥に残る確かな温もり。
どうやら、無事に帰還できたらしい。
俺は大きく伸びをすると、ふと、過去に自分が介入した物語のことが気になった。
あれから、あの世界はどうなっているんだろうか。
マウスを操作し、俺が最初に本格的な介入を行った『とある科学の超電磁砲』のページを開く。
スクロールしていくと、シリーズの最終話の後ろに、見慣れないサムネイルが追加されていることに気がついた。
『特別編:風がめくった、一枚のページ』
(なんだ、これ……?こんなエピソード、原作にもアニメにもなかったはずだ)
胸騒ぎを覚えながら、俺は再生ボタンをクリックした。
そこに映し出されたのは、学園都市のありふれた放課後の風景。
そして——俺が恋人になったはずの、佐天涙子の姿だった。
映像は、俺が介入した後の物語を、原作の雰囲気をまったく壊さないまま、補完するように描いていた。
佐天さんは、俺が転移した設定の男性と、当たり前のように手を繋いで歩いている。
以前の彼女が持っていた、レベル0であることへの焦りや劣等感は、その表情からは微塵も感じられない。代わりにそこにあるのは、自信に満ちた、柔らかな微笑みだった。
「あ、見てください先輩!限定クレープ、まだ残ってますよ!」
「お、本当だ。ラッキーだったな」
そんな他愛もない会話をしながら、二人でクレープを頬張る。
初春や美琴、黒子とばったり出会い、「さっ、佐天さん!また先輩とデートですか!」
「まったく、あなたたちも懲りないわねぇ」「いけませんわお姉様!そのようなはしたない輩に近寄っては!」なんて、いつものやり取りが繰り広げられる。
だが、以前と決定的に違うのは、佐天さんの反応だ。
からかわれても、彼女はもう俯かない。
俺の腕にぎゅっとしがみついて、「えへへ、いいでしょー?」なんて、幸せそうに笑い返すのだ。
エピソードの終盤、夕暮れの河川敷を二人で歩くシーンがあった。
俺が「最近、いい顔するようになったな」と呟くと、佐天さんは少し驚いたように目を丸くして、そして、はにかむように笑った。
「そ、そうですか?……でも、もしそうなら、それは先輩のおかげです」
「俺の?」
「はい。先輩が、レベル0(わたし)の私を、ただの私として見てくれたから。能力なんてなくたって、私の価値を見つけて、好きだって言ってくれたから……。だから私、自分のこと、ちょっとだけ好きになれたんです」
風が、彼女の長い髪を優しく揺らす。
バットを振り回し、都市伝説に目を輝かせていた少女は、一人の男性からの深い愛を知ることで、誰よりも強い、自分だけの輝きを手に入れていた。
俺が起こした行動は、確かに、一人のヒロインを、原作以上に幸せな未来へと導いていたのだ。
ーーーーー
胸が熱くなるのを感じながら、俺は次に『うる星やつら』のページへと戻った。
確信があった。こちらにも、きっと“続き”があるはずだ。
案の定、最終話の後ろには、新しいエピソードが追加されていた。
『特別編:ダーリンの一番星』
再生すると、そこには友引町の、いつもと変わらない、しかし決定的に何かが違う日常が広がっていた。
諸星あたる(俺)は、やっぱり他の女の子に声をかけている。
しかし、その態度はどこかカラッとしていて、本気ではないのが誰の目にも明らかだった。
「そこのお嬢さーん!お茶しない?」
「ダーーーリィィィンッ!!」
バリバリバリッ!と、空からラムの電撃が落ちる。いつもの光景だ。
だが、電撃を受けたあたるの反応が違った。
「いってぇな!何すんだラム!」
いつものように逃げ回るのではなく、彼は頭を押さえながらも、その場に仁王立ちしてラムをまっすぐに見据えた。
「お前なぁ、俺がお前以外の女に本気になるわけねーだろ!俺がお前をどれだけ好きか、昨日の夜、確かめあったばっかりじゃねぇか!」
そのあまりにもストレートな言葉に、友引町の住人たちが固まる。
面堂も、しのぶも、竜之介も、あんぐりと口を開けている。
一番驚いていたのは、電撃を放ったラム本人だった。
彼女は空中でぴしりと固まり、その顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。
あたるは、そんなラムに向かって手を広げた。
「ほら、降りてこいよ、俺の嫁さん。
お前が一番だって、何度言ったらわかるんだ、このバカ」
その言葉は、ぶっきらぼうで、乱暴で、でも、今まで聞いたどんな愛の言葉よりも、誠実だった。
ラムの瞳から、ぽろり、と涙がこぼれる。彼女はゆっくりと地上に降り立つと、あたるとの胸に、顔をうずめた。
「……ダーリンの、うそつき♡」
その声は、怒っているようで、でも、どうしようもなく甘えていて、幸せに満ち溢れていた。
ただダーリンを追いかけるだけだった鬼の娘は、絶対的な愛と信頼を手に入れ、盤石の愛の上に立つ「妻」の顔をしていた。
あの一夜が、二人の関係を、誰にも壊すことのできない、永遠のものに変えたのだ。
ーーーーー
俺は、静かにブラウザを閉じた。
画面の向こうで幸せそうに笑う、佐天さんと、ラム。
俺が起こした行動は、確かに物語を、世界を、良い方向へと変えていた。
「物語の登場人物だからって、幸せになっちゃいけないなんてルールは、どこにもないよな」
誰に言うでもなく、そう呟く。
心の奥底から、経験したことのないほどのやる気が、情熱が、マグマのように湧き上がってきた。
もっと、もっと多くのヒロインを、俺の手で幸せにしてやりたい。
原作では描かれなかった、最高の笑顔を、彼女たちに見せてやりたい。
さあ、次だ。
俺はマウスを動かし、新たなお気に入りリストに入れていたアニメのページを開いた。
『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』
ディスプレイに映し出された、気高く、美しい銀髪の少女。
クーデレを装いながら、時々ロシア語で甘い本音を漏らしてしまう、愛すべき隣人。
「……アーリャ」
俺は、彼女の名前を静かに呼んだ。
「よし、次は君だ。君のそのロシア語のデレを、日本語で、俺だけに、最高の形で言わせてやる」
決意を新たに、俺はヘッドホンを装着し、意識を集中させる。
新たな物語へ没入するため、キーボードに指を置いた。
俺の戦いは、まだ始まったばかりだ。