※この作品はR-18です。

カンスト勇者のやり直しハーレム無双~異世界帰りの俺、今度はアニメの推しヒロイン達を全員幸せにします~   作:のびすけ。

20 / 29
完璧な仮面が、恋に溶かされる時

佐藤海斗君。

あの運命の生徒会長選挙以来、その名前は私の心の中で、日に日に大きな存在となっていた。

 

彼が私にかけてくれた言葉、私を包んでくれた手の温もり。

思い出すだけで、完璧を装うための冷静な思考は霧散し、頬に熱が集まってしまう。

 

「佐藤君、この前のこと、本当にありがとう」

 

選挙が終わって数日後、私は勇気を振り絞って、彼にお礼を伝えるために声をかけた。

二人きりになると、心臓がうるさくて、まともに顔が見られない。

 

「気にするなって。九条さんが頑張った結果だよ」

 

彼は、なんてことないように笑う。その笑顔が、私の心をさらにかき乱す。

 

「で、でも…!」

「お礼なら、今度なにか奢ってもらおうかな」

「えっ?」

「というのは冗談で。それより、また何か困ったことがあったら、今度は一人で抱え込むなよ。俺でよければ、いつでも力を貸すから」

 

そう言って、彼は私の頭を、ポン、と軽く撫でた。

 

「ひゃっ!?」

 

頭に触れられただけなのに、全身に電気が走ったみたいに体が跳ねる。

 

「な、なによ!気安く触らないでよね!」

 

慌ててそう言い放ち、逃げるようにその場を後にしてしまった。

残された彼が、少し寂しそうに笑っていたような気がして、胸がチクリと痛んだ。

 

(Дурак…(馬鹿…)。私の馬鹿…)

 

素直になれない自分が、本当に嫌になる。

でも、そんな私に、彼は呆れたりしなかった。

それからも、彼は何かと私に話しかけてくれるようになった。

 

ある日の放課後、私は図書室で難しい数式と睨めっこしていた。

一人ではどうしても解けず、唸っていると、不意に隣に誰かが座った。

 

「佐藤君…」

「九条さん、勉強か? 偉いな」

 

彼は私のノートを覗き込むと、「ああ、ここか。この問題は、この公式を応用すると…」と、私が何時間も悩んでいた問題を、驚くほどわかりやすく解説してくれた。

 

「すごい……どうしてこんな問題が解けるの?」

「昔、ちょっとだけ塾でバイトしてたからな」

 

隣に座る彼の体温が、すぐそこに感じられる。

シャンプーの、爽やかで少しだけ甘い匂いがして、ドキドキして計算式が頭に入ってこない。

 

彼が身を乗り出して解説してくれるたびに、顔が近づいて、息がかかる。

そのたびに、私の心臓は悲鳴を上げた。

 

「……それで、この数値をここに代入すると……」

 

彼がペンで数式を指し示した拍子に、棚の上に置いていた分厚い参考書が、バランスを崩して落ちてきた。

 

「危ない!」

 

彼が私を庇うように、覆いかぶさってくる。

どん、という鈍い音。

私の体は、彼の硬い胸板と、椅子の背もたれの間に、ぎゅっと挟み込まれていた。

 

「い、痛くないか、九条さん?」

「だ、大丈夫……。それより、あなたこそ…」

「俺は平気だ」

 

至近距離で、彼の瞳が私を見つめている。

整った顔立ち、長いまつ毛。彼の心臓の音が、私の胸に直接響いてくる。

もう、ダメだった。顔が、首が、耳まで、全部が熱い。

 

「離れなさいよ、変態!」

「うわっ!?」

 

私はありったけの力で彼を突き飛ばした。

彼は「ひどいな…」と呟きながらも、困ったように笑っている。

 

(違うの、そうじゃないのよ…!)

 

心の中で叫びながらも、私は参考書を掴むと、足早に図書室を後にしてしまった。

心臓がうるさくて、どうにかなりそうだった。彼に押し付けられた胸の感触が、まだ生々しく残っている。

 

そんな日々が続き、私の心は完全に彼に支配されていた。

彼が他の女子と話しているのを見るだけで胸が痛み、彼に優しくされると天にも昇る気持ちになる。

 

そんなある日、生徒会の仕事で、私は大きなミスをしてしまった。

完璧なはずの私が、信じられないようなケアレスミスで、備品の発注数を一桁間違えてしまったのだ。

誰にも気づかれずに修正しようと、一人で青ざめていると、彼が声をかけてきた。

 

「九条さん、顔色が悪いぞ。何かあったのか?」

 

彼の前では、もう何も隠せない。私は、震える声でミスを告白した。

 

「私……完璧じゃ、なかった……。生徒会のみんなに、迷惑をかけちゃう……」

 

俯く私の頭に、彼の温かい手が、そっと置かれた。

 

「誰だって、ミスはするさ。完璧な人間なんて、どこにもいない」

「でも、私は……完璧じゃなきゃ、いけないのよ…」

「どうして?」

「だって、そうでしょ!? 私は九条アリサなのよ!成績も、運動も、生徒会の仕事も、全部完璧にこなして、周りから“すごい”って思われなきゃ、価値がないんだから…!」

 

自分でも気づかないうちに、溜め込んでいた本音があふれ出していた。

すると、彼は私の肩を掴み、無理やり顔を上げさせた。

その瞳は、今まで見たどんな時よりも、真剣だった。

 

「価値がないなんて、誰が決めたんだ」

「え……」

「俺は、たまにロシア語で悪態をついちゃう君も、負けず嫌いなところも、こうやって一人で抱え込んで、無理して笑ってるところも、全部知ってる。その全部をひっくるめて、九条アリサなんだろ? だったら」

 

彼は、一呼吸おいて、はっきりと言った。

 

「それはもう、完璧に魅力的だよ」

 

その言葉が、雷のように、私の心を貫いた。

ダメだった。もう、限界だった。

 

私の目から、大粒の涙が、ぼろぼろとこぼれ落ちた。

彼が私を、ありのままの私を、肯定してくれた。

完璧じゃない私を、魅力的だと言ってくれた。

 

その瞬間、私の心の中で、彼への淡い好意は、どうしようもないくらい大きくて、熱い、「恋」という確信に変わった。

 

***

 

あの日以来、私は完全に変わってしまった。

彼の前では、もうツンツンした態度は取れない。

 

会えば嬉しいし、話せば楽しい。久世君や有希に、「アーリャ、最近なんだか妙だぞ」「すごく、楽しそうですね」と訝しまれるくらい、私の態度は軟化していた。

 

そんなある雨の日、私は傘を忘れてしまい、昇降口で立ち往生していた。

 

「九条さん、どうしたんだ?」

 

神様みたいに現れたのは、もちろん海斗君だった。

 

「傘、ないのか? 俺ので、一緒に入っていくか?」

「で、でも……」

「遠慮するなよ」

 

そう言って、彼は大きな傘を広げ、私の肩をそっと抱き寄せた。

一つの傘の下、ぴったりと身を寄せ合って歩く。

 

彼の匂い、彼の体温。もう、恥ずかしくて死んでしまいそうだった。

その時、猛スピードで走ってきた車が、私たちの横で大きな水たまりに突っ込んだ。

 

「危ない!」

 

海斗君が、私をぐっと自分の胸に引き寄せ、庇ってくれる。

バシャーン!という大きな音と共に、冷たい水しぶきが、彼の背中を叩きつけた。

 

「だ、大丈夫!?」

「ああ、俺は平気だ。君こそ、濡れてないか?」

 

見ると、彼のシャツはびしょ濡れで、鍛えられた筋肉のラインがくっきりと浮かび上がっている。

私の制服は、彼の背中に隠れていたおかげで、ほとんど濡れていなかった。

 

ただ、庇われた拍子にシャツが少し乱れて、雨水で濡れたブラウスの下の、レースのブラジャーが、うっすらと透けてしまっていた。

 

「あっ……」

「……っ!」

 

お互いにそれに気づき、顔を見合わせ、そして、同時に真っ赤になった。

 

結局、私は「風邪をひくから」という彼に半ば強引に連れられて、彼の家にお邪魔することになった。ご両親は共働きで留守だという。

 

彼の部屋で、彼の匂いに包まれながら、乾いた制服に着替える。

もう、ダメだった。この気持ちから、絶対に逃げることなんてできない。

私は、彼に恋をしている。

 

ーーーーー

 

その夜、私は自室のベッドの上で、眠れずにいた。

お風呂に入っても、体の火照りがまったく収まらない。

 

目を閉じれば、彼の顔が浮かんでくる。

私を庇ってくれた時の、たくましい体。濡れたシャツから透けて見えた筋肉。

そして、私の透けた下着を見て、気まずそうに顔を赤らめた、彼の表情……。

 

(あぁ……ダメ……)

 

思い出すだけで、体の奥が、きゅん、と疼く。

私は、無意識のうちに、自分のパジャマの胸元に手を入れていた。

自分の手で、自分の胸をそっと撫でる。

誰も触れたことのない、私の胸。指先が乳首に触れると、そこだけが、きゅっと硬くなった。

 

「ひゃっ……♡」

 

変な声が出た。

なんだか、すごく恥ずかしいことをしている気分。

でも、やめられない。

指が、ゆっくりとお腹を滑り、脚の付け根へと降りていく。

そして、私の、誰にも見せたことのない、秘密の場所へ……。

そこに指が触れた瞬間、「びくんっ!」と、私の体は大きく震えた。

 

(ここ……っ♡)

 

濡れている。私、濡れてる……。

恥ずかしい。でも、もっと知りたかった。

私は、目を閉じて、想像する。

この指が、もし、海斗君の優しい指だったら……?

彼が、私のここを、優しく撫でてくれたら……?

 

「かいと、くん……♡」

 

彼の名前を、吐息と一緒に呟く。

私は、濡れた花弁を、自分の指でゆっくりと開いてみた。

そして、その中心にある、小さくて硬いものを、おそるおそる、撫でてみる。

 

「んっ、んぅ……っ♡♡」

 

脳みそが、痺れるみたい。今まで感じたことのない、甘い快感が、背筋を駆け上がっていく。

「くちゅ、くちゅ…♡」と、初めて聞く自分の体の音に、羞恥心と興奮で、頭がどうにかなりそうだった。

 

もっと、もっと気持ちよくなりたい。

私は、さらに大胆な想像をしてしまう。

 

彼の、あの、硬くて大きいおちんちんが、私のここに入ってきたら……?

あんなに大きいのが、私の狭いところを、ぐちゃぐちゃに……。

 

「あ、あ"ーーーーっっ!!!♡♡♡」

 

その想像をした瞬間、私の体は、びくんびくんっ!と激しく痙攣し、頭が真っ白になった。

お腹の奥から、熱くて、気持ちいいものが、ぶわっと溢れ出してくる。

初めての絶頂。

 

私は、荒い息をつきながら、涙をぽろぽろと流していた。

恥ずかしくて、情けなくて、でも、どうしようもなく気持ちよかった。

 

もう、決めた。

ただ待っているだけなんて、私らしくない。

 

この気持ちを、ちゃんと、彼に伝えよう。

そして、彼に、この体をめちゃくちゃにしてほしい。

私の全部を、彼にあげたい。

 

ーーーーー

 

翌日の放課後、私は生徒会室で二人きりになるチャンスを待った。

そして、ついにその時が来た。

 

「佐藤君!」

「ん? どうした、九条さん。改まって」

 

私は、彼の前に立ち、震える唇で、練習してきた言葉を、一生懸命に紡いだ。

 

「Я люблю тебя...!(愛しています…!)じゃなくて……っ! あ、あなたのことが、す、好き、です……っ!」

 

顔は、きっと林檎みたいに真っ赤だろう。

心臓は、今にも口から飛び出しそうだ。

 

でも、私は、彼の目を、まっすぐに見つめ続けた。

彼は、一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐに、今までで一番優しい顔で、微笑んだ。

 

「ありがとう、九条さん。……いや、アリサ」

「え……」

「俺も、君が好きだよ。君が、初めて会った時から、ずっと」

 

その言葉に、私の涙腺は、完全に壊れてしまった。

彼は、泣きじゃくる私を、その大きな胸で、優しく抱きしめてくれた。

 

彼の匂い。彼の温もり。彼の心臓の音。

ああ、私は、世界で一番幸せだ。

 

しばらくして、彼がそっと体を離し、私の涙を指で拭ってくれた。

そして、私の頬に手を添え、少しだけ真剣な顔で、囁いた。

 

「キス、してもいいか?」

 

私は、声にならない声で、ただ、こくん、と頷くことしかできなかった。

彼の顔が、ゆっくりと近づいてくる。

 

私は、そっと目を閉じた。

そして、私の唇に、柔らかくて、優しくて、少しだけ甘い感触が、そっと触れた。

初めての、キス。

 

その夜、私は自分の部屋のベッドで、唇に残る彼の感触を何度も指でなぞりながら、夢見心地で天井を眺めていた。

私たちは、恋人同士になったんだ。

 

(明日、絶対に、デートに誘うんだから……!)

 

私は、最高の幸福感に包まれながら、来るべき新しい日への期待に胸を膨らませて、眠りについた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。